東方渡世抄 〜現実と幻想の境界〜 【更新停止】   作:小鳥戦士

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なんというか、自分自身これだっ!っていう内容の物が書けずにズルズルと時間だけが経っていく……とりあえず不完全ながら投稿をば


第17話 模擬戦…?

その後、皿洗い等を終わらせた俺たちは『黒い霧』が出ることも無く、また異変に動きがないためにヒマを持て余していた。で、そんな時間は勿体ないという事で妖夢と模擬戦もとい弾幕ごっこをする事になった。

 

「じゃー始めようか。ルールはスペカ無し、純粋に弾幕だけを当てあうって事で。んで、お互いの能力を考えて物理攻撃もあり、明らかに一本取られていたり身動きが取れなくなったら終わり…OK?」

 

「はい、それでいきましょう。よろしくお願いしますね、蒼刃くん」

 

「おう、こっちこそな」

 

お互い木刀を構えいつでも始められる状態だ。そして、今回の模擬戦はこの世界に来て初めての近接武器を持った相手との戦いでもある。そもそも近接武器持ちがこの東方の世界には少ないため、貴重な経験となる。

 

「んじゃ、この石が地面に落ちたら試合開始な。言っとくが妖夢、手加減は無しだぜ?すぐに決着ついちゃうからよ」

 

「それはこっちのセリフです。蒼刃くんこそすぐに負けないで下さいね?」

 

お互い軽く挑発しあい、不敵に笑う。なんというか、決闘紛いな事は久々だからかとても気分がいい。

 

「いくぜ…よいしょぉっ!」

 

俺は手に持った石を全力で空高くぶん投げる。が、霊力で身体強化をしなければただの子供であるため、筋力が足りず空高くとはいかない。精々3回建ての建物くらいが限度だが、今はそれでいい。

 

「(『形成』《霊力強化》‼︎)」

 

瞬間、俺の身体は全身を自身の紺色の霊力で覆われた。覆うとは言ってもただ身体能力を向上させるために使用する霊力が噴出してるだけなんだが、わかりやすく言うとあれだ、ドラゴンボールのあれである。気を高めると周りになんか出てるやつ。あれあれ。

 

心の中で叫び、能力により霊力で強化された自分をイメージ、そのままイメージを形作る。これで問題点の身体能力はクリア、少しはまともに動けるだろう。

 

「……シッ!」

 

勝負開始の合図である石が地面に落ちた瞬間、ググッと右足に力を込め一息で妖夢に飛び込んで肉薄し、そのまま斬りかかろうとする。

 

「…っ⁉︎ハァ!」

 

しかしそこは流石剣士、瞬時に後退しながら接近した俺目掛け右の木刀を振り下ろす。一直線に接近したが故に、回避することの出来ぬまま妖夢の反撃は俺の頭を寸分の狂いなく狙い振り抜こうとしている。だが、俺は頭に当たる瞬間身体を前に投げ出すように飛び掛かり、空中で身体でいなすように斬撃をすり抜ける。

 

「なーーッ!」

 

「ーーフッ‼︎」

 

すり抜けた先、妖夢の半身はガラ空きである。 体勢を崩し、そのまま放った斬撃を躱された為にその隙は大きい。俺は右手に持った剣で妖夢を斬りつけるーーのではなく、剣を叩きつけるようにして霊力放出を行う吹き飛ばしを選択した。

あの時、階段をショートカットする為に使ったエネルギーを攻撃に転換したものである。

 

「ーーーーッ‼︎げほっ‼︎」

 

幾ら小さいとはいえ、能力を使っていた俺を吹き飛ばしたその瞬間出力は侮れない。この技のネックな所は単に威力が強すぎて自身も吹き飛ばされてしまう事の“よう”だが、身体を回転させればいなす事が出来るので問題無い。だが相手は凄まじい霊力の放出を受けるのでただでは済まないであろう、妖夢は元いた位置からだいぶ離れた位置まで吹き飛ばされてしまっていた。だが、割と強めに霊力を放ったというのにもかかわらず、妖夢は地に足をつけて立っていた。…え?嘘でしょ?

 

「…あらら、これ受けてもまだ立ってられるんだ…すげーな」

 

「なん…けほっ…ですか、今…の。明らかに戦闘慣れしたかのような身のこなしに、尋常ではない威力の攻撃…貴方はいったい…」

 

少しするとダメージは引いてきたのか、俺の一連の動きに驚きを隠せない様子で尋ねてきた。二次元の、それも強キャラの部類に入る妖夢に一泡吹かせて驚かした事は素直に嬉しい。

……さて、俺は…か。

 

 

「二週間修行してたら強くなれた。以上、終わり」

 

俺は真顔でそう言い放った。

 

「待ってください」

 

妖夢は真顔で待ったをかけた。

 

 

「え?」

 

「え?」

 

「いやどしたん、早く続きしようぜ」

 

「いやいやいや!勝手に自己完結しないでくださいよ!私にわかるように説明してください!例えば今の回避とか‼︎」

 

何故か慌てたかの様に熱心に聞いてくる。でも何度聞かれても変わらないよ妖夢サン

 

「身体を動かせるようにがんばった」

 

ただそれだけである。

 

「へっ…?じゃ、じゃあ霊力で身体能力を強化したこととか…!なんか普通にやってましたけど普通は無理ですよね⁉︎」

 

「使えるようにがんばった」

 

「な、なら今の一撃は…!」

 

「能力の応用を効かせれるようにがんばった」

 

「じゃあどうやって能力を使いこなせる様になったんですか!」

 

「ひたすらひたすら能力を使いまくって身体に染み付くまでがんばった」

 

「……な、なら『黒い霧』との戦いはーー」

 

「死に物狂いでがんばった」

 

ただただ淡々と答えていく。我ながらなんてわかりやすくて簡単な答えなのだろうか。妖夢はもう理解出来すぎて肩を震わしてるぜ‼︎

と、急に妖夢は俺に斬りかかってきた。木刀と木刀がぶつかり合い、カン‼︎と良い音がなる。

 

「あぶなー。話してる途中でなんて危ないだろー」

 

「貴方こそ何言ってるんですか⁉︎もはや話してることが理解出来ませんよ⁉︎なんですかひたすらにがんばったって⁉︎それしか言ってない‼︎」

 

「そんなこと言われてもなぁ、本当だしなぁ…」

 

妖夢は縦に、俺は横に得物を構え相手に競り負けない様に鍔迫り合いを演じる。というかおかしい。今俺は霊力強化を効果はまだ続いている状態にも関わらず、妖夢は素の状態で互角に競り合って来てるんだけど。理解出来ないのはこっちなんだけど。

 

「ま、人間死に物狂いで頑張れば大抵なんとかなるもんさ。あ、俺の場合は元の世界で運動してたからある程度動けるし、アニメとか漫画とかの動きをイメージしてるからってのもあるんだけれども」

 

この際言っておくけど八雲紫と博麗霊夢の修行は尋常じゃないからね?凄いんだぜ?紫は俺の周りに無数のスキマを展開して来たんだが……

 

『今から貴方の周りにあるスキマの内どれかから弾幕飛んでくるからがんばって避けてね〜。ちなみに殺傷設定ギリギリの威力だからもし当たれば痛いどころじゃすまないわよ〜』

 

奴は完全に俺を殺しに来ていた。

無論、最初の内は弾幕を躱す事が出来ず何度も何度も俺の身体を抉った。でも、慣れって怖いネ!極限状況に追い込まれた日々だったおかげか段々対応出来るようになり、今では紫がガチにならない限りは当たること無くなった。

 

 

霊夢の場合はそれはそれでエグかった。紫にスキマを展開させると俺の首根っこ掴んで彼女ごとスキマにIN。何をするのかと思えば……

 

『じゃ、今から弾幕ごっこしましょ。私はスペルカードあり、あんたは無しね。じゃあ行くわよ』

 

当時、スペルカードはおろか能力や弾幕もろくに使えない状態。奴は完全に俺のメンタルを折りに来ていた。

もちろん最初の内は圧倒的な弾幕量とポジションの悪さに全く歯が立たなかったがこれまた慣れ、並行して修行していた霊力の扱いが上達する頃には霊夢に反撃出来るようになって来た。

 

 

そんな地獄(日常)をおよそ二週間、強くなってなかったら本気で泣く。

 

「…大変でしたね……」

 

「うん。だからもう頑張ったとしか言えない。いやもうさ、心折れるよあれ」

 

俺はそう言い切った後、自分で言って自分で悪夢を引きずってしまった。あぁ、なんかもう……疲れた…

 

「……なぁ、決着はまた今度にしない…?思い出しちゃった所為でめちゃくちゃしんどいっす…」

 

「は、はい…そうですね……では、また。私も色んな意味で、ちょっと…」

 

二人は競り合っていた木刀を下ろし、妖夢は苦笑いでこちらを見てきた。結局、お互いに試合どころではなくなってしまった為、勝負はここまでとなってしまった。

 

 


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