東方渡世抄 〜現実と幻想の境界〜 【更新停止】 作:小鳥戦士
〜蒼刃side〜
「くっそぉぉぉ‼︎なんで当たらないんだよ⁈」
俺はマスタースパークが当たる瞬間、唯一の退路である下に滑り込んだ。元々、マスタースパークは正面から撃たれた場合ほぼ避けるのは無理だ。しかし俺は、原作を知っているからこその疑問があった。
それは、相手の下に回り込んではいけないのかと言う事だ。
確かに、原作では下には行けずに正面しかない状況になる。しかしこれは現実だ。下に行けない見えない壁など存在しない。つまり俺は、どんなスペカでも下に回り込んだり相手の周りに行けば全て攻略出来るかも知れないのだ。
(ッ......!やっぱ動画で見た二次創作の比じゃねぇなこれは......)
だが、流石は主人公の必殺技。簡単に躱させてはくれない。髪が何本か消された。あの時スライディングしてなかったら死んでたな〜......
「くそッ!でもまだスペルブレイクしてないぜ‼︎」
「はぁぁぁ⁈これ一発じゃね〜の⁉︎」
やばいやばいやばい‼︎マスパって持続すんの⁈聞いてないんだけど⁈......そういや動画とかのしかマスパ見てないや......
「下に来るなら炙り出してやる‼︎」
宣言通り魔理沙はマスパを上から下に向けてスライドする様にずらして来る。結果、俺は後ろから迫る死の光線と鬼ごっこする形になるわけだ。ははは......洒落にならん。
(ッ〜〜‼︎まずい、このままだと消し炭になるぞこれ......そうだ、このまま横に......いやそれだと作戦が台無しに......)
蒼刃は考える。自分がどうしたらマスパを攻略出来るかを。こんな状況に陥ってなお、彼は勝とうとしているのだ。
「ぐぐぐ.......捉え......た‼︎」
しかし魔理沙は蒼刃を徐々に追い詰める。マスパの威力を維持するにはかなり負荷が掛かる様で箒の上からだとかなりきつい様だ。だが魔理沙は蒼刃を捉えた。
「ッ⁈マジかよやべぇなちくしょう‼︎」
(くっそ!空からのアドバンテージがあるからって対応早すぎだろ!なんだよあいつはプロかよプロだった‼︎)
マスパが当たる瞬間、霊夢は思ったのだろう。
やはり、この少年はただの外来人だと。
同時に、紫も悟っただろう。さっきの行動は偶々に過ぎなかったと。
だが、別に俺は負けたなんて言ってない。
「......一か八かやってやる......マケテタマルカ。」
「うっ⁈」
何か含みのある言葉を放った瞬間、蒼刃の雰囲気が変わった。さっきまでは必死な表情で逃げていた様だが今は違う。
魔理沙は強烈なまでの殺気を感じたのだ。いったい、こんな少年のどこにそんな力があるのだろう?
そして.......彼は宣言した。
ーーー翔べ
******************
「................あっれぇ〜?おかしいなぁ、なんで寝てんだ?」
蒼刃は何故か知らない天井を見上げていた。さっき体験したが為にもう自分がどんな状況かを把握出来ていた。
だが、何かがおかしい。さっきまで魔理沙との弾幕ごっこをしていた筈なのに何故蒼刃は寝ているのだろうか。彼はわからなかった。
(うーん......弾幕ごっこでなんかあった様な気もしなくは無いが.......どうしてこうなった?)
「その答えなら教えてあげるわよ。」
「あり?霊夢いつの間に?」
「さっきよ。あんた弾幕ごっこの途中で気絶したのよ。」
(おろろ、不覚だな。勝負の最中にそれはまずい。つーかなんで気絶してたんだよ俺)
「マジか〜......魔理沙に悪い事しちまったなぁ〜。後霊夢もありがとう。」
「へ?なんでお礼なんかすんのよ?」
「いやだって霊夢が介抱してくれてたんだろ?ここ博麗神社だし。だからありがとう。」
「........どういたしまして.......」
霊夢は感謝される事になれていないのだろうか、小さな声で返事をする。蒼刃もおう、と返事をするが口元が緩んでいた。彼の心境がこちらである。
(おぉ.......これがツンデ霊夢なんですねぇ.......)
いったい何を考えているのだろうか。
「ッ‼︎......あんたには雑用全部やってもらうから!」
「ふぁい⁈何故に⁈」(思考読まれた⁈)
「なんでもよっ‼︎と言うかあんた居候でしょうが!家主の言う事は聞け‼︎」
「.......確かに。」
(まぁ、大体は出来るしいいか。これで幻想郷ライフも安泰って訳だ。ありがたいこってい。)
彼は将来嫁の尻に轢かれるタイプだと思う自分は普通だと思う。そう信じたい。
〜少年労働中〜
〜蒼刃side〜
時は少し経ち、今の時刻は夜の10時、もう霊夢は寝ているだろう。俺は度重なる気絶で眠気が吹き飛んでしまい目が覚めてしまっている。
とりあえず縁側で湯呑みでお茶を飲む事にした。
「ふ〜......まだ夜は冷えるなぁ.......」
まだ幻想郷は夏の始め、夜は冷える。なので温かいお茶を飲む。うん、体が温まって行く感じがする。
(......問題は三つ、一つはつい本気が出てしまった事。これは治さないとまずいよなぁ......)
いやね?少し加減という物を身につけなきゃいかんでしょ。あのままだと魔理沙殺してたかもしれんし。
実際、あの世界ではだいぶかけ離れてたし、まぁもしかしたらそれが原因で追い出されたのかな?
(二つめもだいぶやばいなぁ......なんでここで『あれ』が使えたんだ?)
こちらもかなりヤバイ。何故かって?まぁ弾幕ごっこの時気絶したから覚えてないけど、霊夢の話だとこうだ。
『あの時何が起きたかって?ああ、あれね。あんたマスパに巻き込まれる瞬間に目で追えない位高速で空に飛んだのよ。しかも魔理沙より高い位置によ。ただその時点で気絶してたらしくてね、魔理沙が助けてくれたのよ。多分瞬間的に移動したせいで身体が持たなかったんじゃない?』
とのこと。この分だとかなり魔理沙に借りが出来てしまった様だ。後が怖い。
そんな事よりもだ。おかしい、おかし過ぎる。あれはあの世界、まあゲームなんだが、そこしか使えない筈なのに。一度実際にやってみた事がある。もちろん結果は失敗、当たり前だ。だが、ここでは出来た。.......細胞でも活性化しているのだろうか?二次創作では見たことあるが......まぁ今度永遠亭でも行って見てもらおう。
そして......
「三つめ......かぁ......」
(あいつ......元気にしてっかなぁ......)
本来、俺はこの世界の住人じゃない。加えて東方のキャラでもない。何故ここに来てしまったのかの理由は大体わかっている。そう、これは転生なのだろう。全くもって信じがたい事であるがおそらく事実だ。この手の二次創作はよく見ていたのだから、間違いは無いだろう。
問題はそれだけではない。俺が生きたあの世界では2015年7月だった。こちらも7月ではあるが恐らく時代が違う。それもそのはず、ここ幻想郷は二次創作の世界であるからだ。そもそも次元自体が違う。
即ち......もう如月 澪と言うおバカで天然で幼馴染の少女にはもう会えないという事だ。
.......嬉しい様な悲しい様な、複雑な気分になる。そんな感情を打ち消す為に俺はすっかり冷えてしまったお茶を飲み干した。
〜???side〜
「蒼刃.......くん.......」
終業式の時、私の目の前から彼は忽然と消え去ってしまった。しかもみんな彼が倒れた事がなかったように式を進めていた。その後、みんなにいつも遅刻してくるちょっと口の悪い幼馴染の少年について聞いてみた。だけどみんなは.......
「え?誰だそいつ?そんな奴いたっけ?」
「うーん......そのような生徒はがこの学校にいた記録はありませんねぇ.......」
同級生も、先生にも聞いた。あらゆる関係者にも聞いて回った。終いには彼の家族にも.......。
一度、私と彼で2ショットを撮って貰った事がある。その写真は今も大切に飾っている。
でも......でも.......その写真に写っている筈の彼に白い影がかかっていた。もう、この世界には蒼刃くんが存在してないって事を示していた。
「会い.......たいよ.......蒼...刃くん.......。また......話したいよッ‼︎だから絶対.......絶対見つけ出して見せるから........ッ‼︎だから待ってて......蒼刃くん.......‼︎」
だけど私は諦めたくない。私は蒼刃くんを忘れたくない。それに、私だけ覚えているのはおかしいと思う。
もし......もしそれに何か意味があるなら、私は探し続ける。また、彼と笑い合う為に......
はい、風邪で寝込んでいたとこからこんにちは、小鳥戦士です。
今回で幻想の第1章は完結、次の章に移ります。
次章ではやっと彼女の出番となります。
では次章のプロローグをどうぞ。
少年は、幻想へと消えた。
少女の想いを残して
しかし、少女の想いは終わらない
必ず、見つけ出すと信じて
次章
『現実』の第1章 澪サーチメント
『現実』の、少女の想いは止まらない