ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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え、あー、ここから二巻分かー・・・見えないなー・・・
『期末試験と相成りましたが、』


 

「2-Aが学年一位を取れば教師として認めてもらえる?」

 

「はい! クラスの皆さんは頭の良い方が多いようですし、コレくらい簡単ですよね!」

 

「ん、んん~?」

 

 

 相談があるからといって生徒指導室に連れ込まれたかと思えば、返答に困る相談をネギ君に持ちかけられてしまった。

 というかそういう相談は俺でなくて高畑先生とかに……あ、出張中かあのオッサン。

 

 先週のバレンタインからずっと姿を見せない高畑先生に明日菜がチョコを渡せるはずが無く、それから三日くらいかけて意気消沈していた明日菜を皆で元気付けたのが最近の思い出。

 特に奔走していたのが雪広と、このか含む図書館探検部の面々。ネギ君もそれなりに元気付けようとしていたのだけど、彼の役割は明日菜の手渡せなかった証を処理するくらいであったのが物悲しい。

 当然俺もそっちに携わっていたので、せっかく貰った本命チョコの返事が未だに良い断り方を思いついていない。噂ではともかくガチでロリコンではないノーマルな性癖なわけだから、あれくらいの年頃の少女にどういう対応をするのが正解なのかまったく想像がついていかない。こういうことの専門家がどこかにいないものだろうか。

 いや、それで本当に見つかったら引くどころの話ではないのだろうけれど……。

 

 それはともかく、ネギ君の相談というのがネギ君自身の承認試験に関するものだと聞いて、ちょっと思うところがある。

 

 

「えー、と。いくつか聞いておきたいんだけど、いいかな?」

 

「はい? なんでしょうか?」

 

「その通達?を、いつキミは教えられたわけ?」

 

「ついさっきですけど」

 

 

 おいちょっと待て。

 

 

「……期末試験まであと一週間きってるぞ……?」

 

 

 思わずボソリと口に出す。

 期限に間に合うかどうかの瀬戸際にそんな通達をしてくる学園長の思考回路には疑問を感じざるを得ない。とうとう惚けたか……?

 

 

「それと、キミはうちのクラスの、あー、2-Aの順位を知ってるの?」

 

「いえ、まだ調べていませんけど」

 

 

 いや、知っておこうよ。一応『先生』なんだし。

 

 

「……他に何か注意事項とか……」

 

「いえ、これだけです」

 

 

 えー……。

 

 まて、現実逃避はまだ早い。

 思考を切り替えろ烏丸そら。

 

 

「まずさ、ネギ君

 その試験はネギ君自身に課せられたものなわけだけど、それに対して思うところはないかな?」

 

「思うところ……ですか?」

 

 

 これを言っちゃうとそもそも生徒に相談している時点でどうなの、とも思うけど。

 まあこれは学園長側の過失だと思って諦めてもらおう。俺をここに引き込んだ時点で既に詰んでるようなものだし。

 

 

「試験で上位の成績を取って、正しく評価されるべきは生徒であってしかるべき

 コレくらいは理解できるよね?

 それなら、この試験結果がネギ君の評価に繋がるのはおかしいと思わないかな?」

 

「え……、あ……っ」

 

 

 聡い子だね。

 まあ学校そのものは本来教師側が自分たちに都合よく生徒を導くためのものでもある、という傲慢な見方もあるわけだから、生徒の成績を自分の『利益』にしないで、ここできちんと生徒のことを考えられる辺り『教師』としては未熟なのかもしれないけれど。いい意味で。

 そこで自分のことだけを考えないで思い止まれているのだから、利発で聡明な『良い子』なのだろう。本気で教師をやれば心労で胃を壊すタイプだ。

 

 

「そして、キミが教師として認められることは構わないけれど

 その先は?」

 

「その先……ですか?」

 

 

 コレも、確認をしておかなくてはならないものだ。

 

 

「そもそも、キミはなんで『先生』をやろうとしているのかな?

 魔法学校の卒業課題、とは聞いたけど、魔法学校を卒業するのに教師の資格が本当に必要なの?

 そして、それに終わりはあるのかな?」

 

「い、言っている意味がよく……」

 

「たとえば、教師の仕事をやることと言われたのは良いとして、それをどれだけ続ければ教師として合格なんだと思う?」

 

 

 この課題。多分合格そのものが無い。

 教師をやるのに魔法使いである必要性はないし、教師を続けている者達に対しても「やり遂げたぞっ」とでも言おうものなら完全に侮辱しているからだ。

 新田先生ディスってんのか、てめー。と言いたい。

 

 

「生徒を卒業させれば? 就任一年の教師が? たった三十人あまりの生徒の一年を見ただけで胸を張って言えるのかな?」

 

「う、あう……」

 

 

 それで本当に胸を張っていたら張り倒しているけれど。そういう子でなくて本気で安心した。

 

 

「さてここで本題に戻るけど

 ネギ君が、ここで教師を続ける理由は何?」

 

「それは……試験、で……」

 

「うん。卒業試験、だよね

 じゃあ、卒業資格を認められなかったらキミはどうするのかな? ずっと此処で教師を続けられるの?」

 

 

 コレ、苛めているわけじゃないですからね?

 ネギ君今すげえ蒼白になっていますけど、俺別に教師イジメをやっているわけじゃありませんから。

 

 

「話題を変えようか

 ネギ君。キミの夢はなんだい?」

 

「夢は、立派な魔法使い≪マギステル・マギ≫になることです……」

 

「……ん?

 それって魔法学校を卒業しなくちゃなれないものだっけ?」

 

「………………………………………………は?」

 

 

 おや?

 

 

「あれ?」

 

「え?」

 

「んん?」

 

 

 ちょっと待てよ。ひょっとして、ネギ君ってまだ知らないのか?

 

 

「ネギ君、キミひょっとして今マギステル・マギって呼ばれている人たちが全員魔法学校をきちんと卒業した、って本気で思っているわけじゃないよね?」

 

「は……?」

 

「ん?」

 

「なにそれこわい」

 

 

 うっそ、本気で思ってた?

 

 

「あのねネギ君。今そう呼ばれている人たちって、魔法世界でそれなりに戦争に参加していた人とかが大半なんだけど、その戦争だって数十年くらいの規模で広げられたっていう話なんだよね

 そういう戦果を挙げた人たちが育った環境が、果たしてのほほんと学校にしっかり通えていたのだと、本気で思っていたの?」

 

「え……あ、ああああああ!!」

 

 

 うへぇ、今気づいたのかよ……。

 

 

   × × × × ×

 

 

「えーと、一週間後には学期末試験を控えているわけですけれど、大事なのは皆さんそれぞれのペースですから!

 自分たちの最高の成績を出せるように、勉強と体調管理には充分気をつけてくださいね!」

 

『ハーイ!』

 

 

 幼稚園か。

 と、いう感想が出そうなくらいに能天気な返事を返す2-Aの淑女共。

 

 

「そして目指すなら学年一位ですよ!

 今回は頂点を目指してみましょう!

 エスカレータ式だからといって、いつまでも学年ビリでいていいという理屈にはならないですし!

 なにより今回ビリだと、えと、その、大変なことになりますのでー!」

 

『ハ、ハーイ……』

『ハイ……?』

 

 

 子供に言われたことで返事も力ない。プラス、最後の台詞に困惑するものもしばしば。まあ仕方がないことだと思うが。

 ネギ君はというと、やはり自分の課題を優先しているようだ。でも元々性格的にそういう部分があったし、欲目が出るのを悪く言う気はないし、別段気にするほどでもないので放置。

 ただ一応はクラスのためにという考え方もあるようにも思える。クラスの成績を知って愕然としていたようだし、そう考えるようになっても不思議ではないけれど。

 でもそれ、けっこう余計なお世話な気もするなあ。

 まあソレはともかく。

 

 

「特に成績が悪い方のために、今回から特別講師をお願いしました!

 先生! お願いします!」

 

「どぉーれ、お仕事しましょうかね♪」

 

 

 雇われ用心棒の如くに現れたのは、

 

 

「「そらじゃん」」

 

 

 はーい、俺です☆

 

 

   × × × × ×

 

 

「まあこっちは期末に今のところ不安もないし、教えられるところを手伝ってあげようという親切心だ

 ネギ君一人に任せてクラスを放り出して良い道理にはならんでしょ?」

 

「そりゃそうだけどな

 なんだ、あの子供先生は何でまた張り切っているんだ?」

 

「まああっちはあっちで理由もあるのさ」

 

 

 一先ず着席し、それぞれが自主補習に移りだす淑女の面々。

 俺はというと、隣の長谷川さんに手を借りつつ席の確保。纏まってやったほうが効率がいい。

 

 

「さーてそれじゃあ、

 成績不振者を呼ぶからこっちへ来ることー

 ちなみに自主的に『そら先生の特別授業』を受けたいという淑女でも可っすよー

 とりあえず順繰りに、綾瀬神楽坂古桜咲佐々木長瀬ー」

 

 

 ぞろぞろとやってくる五(・)人。

 五人?

 

 

「おいこら桜咲、自分は関係してませんみたいな顔で鹿十こいてんじゃねえ」

「えっ」

 

 

 本当に聞こえていなかったみたいで、改めて名前を呼ばれてびっくりしているせっちゃんがいた。

 

 

「なっ、何故私が……」

 

「成績不振者っつったろうが

 ぶっちゃけネギ君に去年の成績見せてもらったけど、……お前、落ちてるぞ、成績」

 

「え」

 

 

 護衛()とか言いつつ学園警備に廻っているからじゃないのかね。正直、原作でコイツのやっていたことは煮え切らないちぐはぐさばかりが目立って仕方ないと思っていたのだけれど。

 今はどうなのか知らんけど、この分だと多分大差ない現状じゃなかろうか。

 

 

「つーわけで来なさい」

 

「いっ、いえ、私は自分で、」

 

「成績不振者に拒否権は無い」

 

「」

 

 

 自分でやって出来ないから成績が落ちるんだろうが。諦めて特別授業を受けろ。

 

 

「そんなわけで急遽参入したバカホワイトでーす

 みんな、仲良くしてね☆」

 

『ハーイ!』

 

「止めてください! 大体なんで白なんですか!?」

 

 

 文句は受け付けない。

 なんで白かといわれたら、イメージカラーだとしか答えようが無い。ピュアホワイトなイメージがせっちゃんにはあるのだ。ねえ?

 

 

「まあまあ桜咲さん

 そらはけっこう教え方上手いから、大丈夫だよ」

 

「それは期待できそうですね」

 

「この補習を受けるからショーブして欲しいアル!」

 

「くーふぇい、そのじょーけんは変だよー」

 

「宜しくお願いするでござるよ、バカホワイト」

 

「なんでそんな早くに受け入れられるのですか!?」

 

 

 さーて、ビシバシ行くよー。

 

 




~課題の変更
 ネギの出番を危ぶみ一計を案じた無茶振り。課題レベルが天元突破で学園長の正気がルナティック。

~生徒指導室
 生徒『が』指導しています。

~キミはどうして教師をする?
 ネギだけでなく世の教師陣全てに問いたい課題。ほんと、考えてください。

~マギステルマギについての考察
 筆頭がアレだし。作中の解釈はそらの考え方もあるけど、大体間違ってないと思うんだ。
 どう贔屓目に見ても碌な設定に思えない。魔法使いェ・・・。

~先生!お願いします!
 用心棒を呼ぶときはこの台詞。と、そらに教わりました。

~バカホワイト
 翼とか無視しての内面的なハナシ。作者の中のせっちゃんのイメージは大概がスカカード。若しくは式神のちびせつな。と同意を求めてみる。多分少数派。

~野球拳なんて無かった
 『ざ、残念だなんて思ってないんだからね!』。

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