ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

21 / 100
ネギまをやれよ
と言われてもおかしくないオリジナル展開な21話



『私6号さん。今あなたの後ろにいるの……』

 

 拳闘士として致命的な恥を晒してしまったネギくんは見事に引き篭もり、それを慰める意味合いを兼ねて顔を出せばまさかの門前払いを食らった。

 まあ麻帆良から来ましたとネギくんに伝えさせればすぐに顔を合わせることが出来たのだけれど。

 元老院だっけ? 彼を囲って上手い汁を吸う気が満載な方々の片鱗を、その対応で垣間見せてもらった気がする。

 

 そんなネギくんを慰めるのは雪広と宮崎。

 一応それに付き添う形で図書館探検部のこのか・綾瀬・早乙女の三人官女も。

 麻帆良に帰るわけだから説得のほうヨロシク。

 そんな葱坊主の説得は丸投げしてこちらはというと、

 

 

「デート、なう」

 

「デートというか買い出しだけどね」

 

「それでも両手に花ですね。わかります

 そらさんの分際で生意気な」

 

「茶々丸。俺のこと嫌い?」

 

 

 魔法世界首都メガロメセンブリアの下町的な市場の一角にて、近くにはカフェとかもあったりするのでデートという表現でも間違いじゃないと思うんだ。

 そのお相手は明日菜と茶々丸という、まあ何処に色気があるのと問い詰めたくなるようなあぶれた二人なわけだけど。

 

 

「つうかネギくんのことを慰めなくていいのかいキミらは?

 いちおー今回の旅の目的だけど?」

 

「私の目的は初めからそらさんの監視なので

 目を離すと何処に行くものかわかったものではない。とマスターからはきっちり言いつけられております

 面倒臭いですが」

 

 

 やっぱり茶々丸は俺のこと嫌いでしょ。

 信用ねえなー、と呟きつつ目線は明日菜へ。

 

 

「説得はまああの面子に任せれば大体大丈夫じゃないの?

 それより私はこっちでどんなものを売っているのかがちょっと気になるかな」

 

「完全に観光気分じゃないですかやだー」

 

「それで? 何を見るの?」

 

 

 こっちの買い物は個人的なものばかりなんだけどなあ。

 

 

「あー……、まあいいや

 ついでだし何か奢ってやるよ。ちょうどあぶく銭が浮いたことだしな」

 

「ああ、例の拳闘の賞金ですね」

 

「……違うし

 レイヴーンに賭けた配当の返金だし」

 

「ひよっこ魔法使いを相手にしたのですから勝てるのは当たり前かと」

 

「しかも負ける約束までしたのに相手に逃亡させての勝利ですからね。卑怯臭い」

 

「だから俺じゃないから

 あんな中二臭いキャラ間違っても俺じゃないから」

 

「認めたくないから違う違うと自己暗示までかけて他人のように思考をそらしていたのですね。わかります

 結局は姑息な手段でしかありませんでしたが」

 

「認めたほうが良いのではないですか?ユー、認めちゃいなYo。ですよ」

 

「………………わかったよ。お前らにも何か奢るから、それ以上傷口に塩を塗り込まないでくださいますかねお嬢様方」

 

「やっふう。それでは私は食事できる身体ではないので着飾れるアクセサリーの類を要求します

 着飾ってマスターにこれ見よがしに自慢したいので露天で売ってるものよりも宝石店に行きましょう」

 

「では私はあそこの露天の軽食を

 ネルティプラチナマイオケートナブリュッセルヒュデルンというよくわかりづらい飲み物を要求します。通常の五倍ほどのお値段ですが」

 

「あらやだこの娘たちったら要求額が天井知らず……ッ!」

 

 

 間違っても宝石店なんぞには入らねえぞ茶々丸……ッ!

 って、なにやら明日菜が静かなんだけど。

 

 

「っと、明日菜どした?

 お前も何か注文しねえとキャラが薄くなるぞ」

 

「そこは影でしょ

 ……じゃなくって、えーと、そら?」

 

「おう?」

 

「いつの間にかあんたの後ろにいたその女の子、誰?」

 

 

 ああ、そういえば。

 口調が茶々丸とそっくりだから気にしなかったけどいつの間にやら背後にいたりする、アルビノっぽいネギ君くらいの年齢の幼子美少女。

 つうかお前らキャラが似すぎなんだよ。違いを強いて挙げるなら俺に対して辛らつなのが茶々丸なんだけど。

 ほんと、俺のこと嫌いだろ。茶々丸。

 

 

「ああ、そういえば自己紹介がまだでしたね」

 

 

 ネルティプラチナマイオケートナブリュッセルヒュデルンという名前が長ったらしい飲み物をヂュゴゴゴと飲みつつ、そう切り出す美少女。

 いや、正直あまり聞きたくないのだけれど。

 

 

「完全なる世界(コズモエンテレケイア)から来ました。水のアーウェルンクスを拝命いたしております、セクストゥムと申します

 レイヴーン=ブラック、貴方を我が組織へと勧誘に来ました」

 

 

 ………………だから俺は違うといってるだろうがぁ……。

 つーかなんでいるの、アンタ……。

 

 

   × × × × ×

 

 

「二十年ほど前、魔法世界全土を巻き込んだ世界大戦が起こった当初は数十万人に及ぶ超規模だった我が組織なのですが、赤き翼(アラルブラ)の忘れ形見タカミチ高畑とかクルトゲーデルの地味ーな殲滅力によって近年まれに見るほどの弱小振りを発揮しつつあります

 

 んぐ、むぐ……

 

 何とか逃げ延び生き延びている中ボスクラスがいるにはいるのですが、組織自体を動かせるほどの人員はあまりにも頼りない女子供ばかり。このままではいかん、と蜂起した某中ボスさんは、私たちアーウェルンクスシリーズを正直未調整な状態で稼動させてしまいました

 

 はむ。もぐ……

 

 実力的には申し分ないのですが、私としては作戦参謀を行うべき頭脳が我が組織には圧倒的に足りない、ということに気付いてしまったのです

 そこで目をつけたのが実力的にも合格領域にいそうなレイヴーン=ブラック

 

 あむ、むぐむぐ……

 

 詠唱破棄で燃える天空に似た攻撃魔法を再現させたことには正直驚きましたし、心情的にも英雄の息子を躊躇い無く叩き潰せるその性格、契約をしたはずなのに舌の根も乾かぬうちに契約を覆すその度胸、悪党としてみるならば十二分にパーフェクトです

 その『悪』を、我が組織にて遺憾なく発揮していただけないでしょうか?

 

 すいません、おかわり」

 

 

 随分と饒舌に色々説明してくれたけれど、その表情はずっと変動しないまま。しかしその手元では俺が注文したベリー系のケーキを切り分けるフォークの動きを止めることは無い。

 そんなに気に入ったのか。聞いちゃいけなさそうなことまで喋ってくれたけれど。

 つうか食うか喋るかどっちかにしようよ。

 

 

「今組織に入るなら、メンバーは七割強が女子です。はーれむですよ?」

 

「詳しく」

 

「食いつくなバカっ」

 

 

 いやだってハーレムと言われたら食いつかずにはいられないでしょっ!

 明日菜だって禁酒法時代のギャングやマフィアが屯っている酒場とかが実際にあったら入り浸るじゃんかよ! オジコンハーレムは良くて正統派ハーレムが駄目とか納得できないんですけどー!?

 

 

「大! 体! そんな怪しい組織に幼なじみを預けられるわけないでしょ!

 どういう代物なのよ、そのコズモなんとかっていうところは?」

 

「別にあなたに許可を求めているわけではないのですが

 そうですね、一言で言えば『悪の秘密結社』です

 しかし目的は『魔法世界の救済』となっていますが」

 

「はぁ……?」

 

 

 明日菜には理解できないらしい。無理もない。

 まあ冗談は一先ず置いといて、

 

 

「正直入る気無いから他を当たってくれるか? 魔法世界もネギ君の説得が済めば早々にサヨナラするつもりだし、俺はキミの勧誘に応えられないんだわ」

 

「ネギ、ネギ=スプリングフィールド、ですか?

 彼を旧世界に連れ戻すのがあなたの役割、と……?」

 

「うん。まーね」

 

 

 特に隠すことでもないので正直に答える。

 ソレに対して、彼女は表情を変えないままに小首をかしげる仕草。無駄に可愛いな。

 

 

「しかし、それは無理では?」

 

「いや、拳闘であんな恥をかいてまだ続けられるような子じゃないでしょ

 彼が帰りたくなったらこっちのものさ」

 

 

 まさに気分は呉学人。提案したときのみんなの視線が痛かったけど細かいことは気にしない。俺だって早くカエリタインダ!!

 

 

「そう上手くいかないかと」

 

「……何故?」

 

「例のあの姿を新Verパックで絵柄にした『仮契約カードコレクション』がファングッズとして販売が開始されていますから」

 

「なん……だと……?」

 

 

 言われて見せてきたのが、件のウサ耳スク水ニーソ姿になったネギ君(青年Ver)の仮契約カード。……に似たトレカだった。

 拳闘士のファングッズが色々あるのは知っていたけど、まさかこういうのまで着手されているとは思っても見なかった。

 意外と手広いな、メガロメセンブリア。

 

 

「こういう『金の卵』を、彼を抱えている元老院が易々と手放すとお思いですか?」

 

「ぐぬぬ……」

 

 

 そうなると……どうしたもんかなー。

 ネギ君の意思だけじゃ開放しきれない可能性が浮かんでくる。

 雪広たちは説得に成功しているとは思うけど、政治とかの話になると、学生の身である俺にはちょっと手出しできないことに……

 

 

「私ならなんとかできます」

 

 

 うぐ。確かに、原作では『完全なる世界』は元老院にも融通を利かせられるくらいには浸透していたはず……。今もそうかは知らんけれども……、

 ……背に腹は変えられないな。

 

 

「わかった

 ただ、俺は一応エヴァ姉の弟子だからさ、そっちの許可が取れたらってことでかまわないか?」

 

「いいでしょう

 では、契約成立ということで」

 

 

 そう応えた、瞬間――何故か、俺の障壁が勝手に作動し、

 

――バキン

 

 

「ん?」「え」「は?」「え、なに?」

 

 

 何かが壊れる音が聞こえたかと思ったら、目の前の彼女の懐から道具がこぼれて床に落ちる。

 あれれー? 何かなそのアイテムはー?

 ………………見たことあるぞ、鷲のマークの天秤とかって。

 確かー、……相手に絶対遵守の契約を口約束で取らせるアイテムじゃなかったっけか?

 

 

「………………」

「………………」

「………………」

「え、何々?」

 

 

 わかっていないのは明日菜のみ。

 対して、俺と茶々丸の彼女に向ける眼差しは、ひじょーに冷たい。

 

 そんな沈黙がしばらく続いた、数秒後。

 彼女は、動いた。

 

 

「………………えへ☆」

 

「ギルティ(有罪)

 お前たちー、やーっておしまい」

「「あらほらさっさー」」

 

 

 俺の掛け声に応えて躍りかかるノリのいい明日菜と茶々丸がそこにいた。

 

 

「えっ、ちょ、ま――――アッ――――――!」

 

 

   × × × × ×

 

 

 数分後、目に光の無いうつろな表情で、ビクンビクンと痙攣する6号さんがいたとかいなかったとか。

 

 




~前回のネタバラシ
 レイヴーンブラックの正体はそらだったのだよ!な、なーんだってー(棒)

~茶々丸の口調が厳しすぎます
 心が、芽生えているのだよ。

~6号さんの勧誘
 ある意味修正力が仕事しました。ちなみに会話中徹頭徹尾無表情な彼女。茶々丸の無表情キャラというポジションが本気で狙われております。

~呉学人
 肝心なときには役に立たない、という逸話がある。

~仮契約カードコレクション
 ありそうな気がする。ファンとかが買い集める気がする。
 当然カード自体に効果も強制力も無い。トレカと同等の価値程度。

~鷲のマークの天秤
 名前なんだっけー(チラッチラッ
 思い出せないなー(チラッチラッ

~今更ながらそらの障壁について補足
 ・オートで勝手に発動する
 ・物理より精神寄りの効能
 ・認識阻害、幻惑、幻覚、催眠、呪詛をほぼ完全に遮る防御力
 ・初心者の魔法使いでも発動すれば見ることができる
 ・神殿並み、とはネギの談
 ・天秤は契約をかけようとして魔力を障壁に弾き返されて自壊した模様、南無
 ・あれ、これパクティオーも無理じゃね?

~「えへ☆」
 当然、無表情のまま。

~ビクンビクン
 具体的に言うなら原作で風呂場にてフェイトに襲われた明日菜状態。えっちなオシオキじゃないよ! この小説は全年齢向けの健全な作品です!


『思いつき二次創作』という暇つぶしの駄文の蛇足を投稿しました
現在続きを書いている『【まにあむけりりかる】』や『バカとテストとクロガネカチューシャ』、そして現作品の『ネギまとか真面目に妄想してみた』を投稿できないときはそっちを投げ打つ所存です
ハーメルンでの投稿以前から書き溜めていた頓挫作品の墓場みたいな
皆様のお目汚しになるやも知れませぬが次話投稿までのお暇つぶしにでもそちらをどうぞ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。