「もっしんぐ?」
『あっ、やっとつながったー
はろはろー今へいきー?』
「おう。どしたゆーな?」
『どしたじゃないよー。この三日なんでケータイつながらなかったのさー』
「ああ、ネギ君の実家ってかなりの田舎だったからな。電波が届かなかったんだろ
っておい、なんかお前からの着歴が三十件とかバカみたいな数字になってんだけど!?」
『わたしのログにはなにもないなー』
「嘘付け
つーかなんの用事だよ」
次々入ってくる遅まきながらの着信履歴に一々対処しながら、ゆーなの声に応える。ゆーな、ゆーな、ゆーな、ゆーな、和泉、ゆーな、ふーか、和泉、ゆーな、ゆーな多すぎワロタ。あ、因幡。
『今まだイギリスでしょ?
お土産とかー、ホワイトデーのアレもかねてブランドのバッグとか買ってきてくれたらうれしいかなーって思って』
「おま、苦学生になんとゆう注文を」
『パパー、グ●チかってー、シ●ネルかってー』
「本物のパパに頼みなさい」
ろくでもない注文を付けなさる。
まさか和泉や風香もコレ系の連絡だったんじゃねーだろうな。
『ってかまだ帰れないの?
そらっちがいなくてサミチイナー』
「棒読み乙。残念ながらお兄さんの出張はまだ終わってないんだよ」
『え? 連絡取れたってことはネギ君の実家からはもう離れてるんでしょ? じゃあ空港とかじゃないの?』
「連れ帰ることには成功したけどさ。もう二三日くらいはかかりそう
や、航空機関連のことでなくてな」
『……そらっち、いまどこにいるの?』
「京都」
× × × × ×
「――というわけで、意外と死亡例自体は少ないそうです。ちなみに祭神は阿弖流夷というのがあまり知られていない事実です」
「あてるいって誰だっけ……」
ゆえせんせーの雑学神社仏閣講座を聞いていた明日菜からのちょっと残念な感想を聞きつつ合流。
感動しているネギ君をエスコートしているのは主に雪広。まあお互いに楽しそうで何より。
「ずいぶんお楽しみでしたね。彼女ですか?」
「いや友達。お前は楽しんでるか?」
「ええまあ。八つ橋くれいぷというのも中々オツですね」
「食い倒れているようで何より」
俺の財布は着々とダイエットをしていますけどね。
後で学園長に請求しよう。絶対。
「どうですか?」
「何が」
「着替えろと言ったのはあなたです」
いや、言ったけど。
今その話題を聞くの? 服を換えさせたのって二三時間は前だけど?
× × × × ×
ネギ君の連行に伴って最初に彼を迎えたのは他でもない、従姉であるネカネさんからの涙混じりの説教であった。
帰ってきたと思ったら魔法世界へ無断渡航した上に拳闘というバトル漫画に首を突っ込んでいたのだから、ソレを知られてしまえば改めて泣かれることは当然である。
加えてネカネさんは、ネギ君が未婚且つ家族でもない女性と寝食をともにしていたことにも説教していた。
身内の恥ほどどうしようもなく目立つのは仕方のないことだ。
改めて自分が如何に世間知らずだったのかを突きつけられて、ネギ君のライフはマイナスへと振り切っていった。
ちなみにアーにゃだかアンナだかいうネギ君の幼なじみの娘には会えずじまいだった。多分都合がつかなかったのだろう。
それと。
魔法世界を脱出するにあたって、助力を発揮してくれたこの少女を俺はとりあえず皆に紹介した。
少女6号からすれば俺に用事がまだあるわけだから、このまま麻帆良までついてくるつもりなのだろう。
そのことを含めてみんなに紹介すると誘拐と捉えられそうになった。解せぬ。
とりあえず偽名を『鈴木』としておく。
そんな少女鈴木の格好は、原作で着ていたままの男装なのだが、性別の差か未調整だという事情の所為か、原作フェイトより幼く見える。
なので、せっかくなので、何かしら着飾ってみることを勧めると同時にじょしちゅーガールズへと放り投げてみた。
「――その結果がこれだよ」
「似合いませんか」
「いや似合ってはいるよ。うん。ゴスロリとか着せられるとは思ってもみなかったけど。きゃー6号ちゃんカワイイー(棒」
「えへへ(棒」
なんだかんだでゴスロリはエヴァ姉がよく着ているのを見るからあんまり新鮮味がないんだよなあ。
でも折角なので写メを撮る。
無表情で上目遣い&横ピース、だと……っ?
なんという破壊力……っ!
「あの、そらさん」
「む、ちょっと待てネギ君、今いいところだから」
「ありがとうございます」
唐突に有り難がられてしまった。
キミも似合うと思うか。
この写メが欲しいというのか。
え、違う?
レフ版を持っていた茶々丸に休憩の合図をしつつ、ネギ君へと向き直す。
「この京旅行、そらさんが企画してくれた、っていいんちょさんから聞きました」
「え、喋ったの? 雪広」
そのまま自分の手柄にすれば良いのに。
妙なところで律儀な奴。
ショタコンの癖に。
「それに、ボク家出したのに、わざわざ魔法界まで迎えに来てくれるなんて……」
「あー、まあ気にしないほうが良いよ。大体学園長からの依頼だしね
あと今回の旅行は2-Aをいちおー最下位脱出させたご褒美ってことで」
課題が原作通りなら一応はあれで正式な教師になれたはずなのになぁ。
学園長はなんで課題のレベルを上げたのだろうか。謎だ。
「でもボク、教師クビになっちゃいましたし……」
「そもそもまだ正式に教師じゃなかった状態で首とか意味がわからない
正式に採用されないだけで、チャンスくらいならまだあるんじゃね?
っとすまん、なんか電話」
ケータイが着信を鳴らす。
曲は『サン●オピューロランドのテーマソング』
てゆーかエヴァ姉だった。
「もっしんぐ?」
『オイコラそらなんだこの小娘はお前魔法界で女引っ掛けてきたのかコラ』
「えっ」
句読点なしで問い詰められて、思わず件の対象であろう6号のほうを向く。
――サムズアップをしている茶々丸が目に映った。
お前か。
× × × × ×
茶々丸が6号の写メをエヴァ姉に送っていたらしい。
麻帆良帰宅早々にややこしい事態になることが予想される。
埼玉に暗雲が立ち込める。
それはそれとして。
「千本鳥居のようですね」
「残念ながら違う。ここはこのかの実家です」
「えっ」
言われて、改めて周囲を見渡すゆえきち。
ずらーっ、と鳥居が立ち並ぶ、どう見ても件の神社のそれに酷似していた。
「……著作権とかで訴えられないのですか?」
「どーなんやろーなー」
のんきね、お嬢様ってば。
当人がこの調子なのだし、突っ込まなくてもいいのかもしれない。
むしろそっちが正解だと思いたい。
気にしない方向性でいこう。
「せっちゃんもくればよかったんになー」
「一応は誘ったのよ?」
イギリスに行くとしか言わなかったから断られちゃったけど。
「なんで桜咲さん?」
「幼なじみなんよー」
「へー、そうなんだ」
軽くスルーしているような返答を返す明日菜。
まあこれで気づけというのは無理か。
「……あの、烏丸さん?」
ゆえきちが何かに気づいたようである。
「ひょっとして、桜咲さんって魔法使いなのですか?」
「え、そーなん?」
「ちがうよ」
率直過ぎ。
正確には関係者だけど。
「ゆえきちはどーしてそー思ったのかな?」
「ゆえきちは止めてください
えと、イギリスに誘ったと言うので、ネギ先生の事情を汲める人だったのではと
……私たちは何気についていっただけというカンジでしたから」
自覚してたのな。
そう、俺がネギ君を連れ帰る役目を仰せ付かって真っ先に声をかけたのが2-A魔法生徒で色々役立ちそうな護衛(笑)と顔黒スナイパー。あとついでにサボり魔シスター。
不慣れな外国に行くにあたって、一人じゃ心細かったんだー(棒)。
簡単に袖にされたけど。
一蹴どころか話も聞いてくれなかったけど。
それを教室でやったから話が広がったんだけど。
そうして都合がついたメンバーが今のこれ。
雪広がついてきたからその足で今回の旅行に踏み込んだ。それだけであったりする。
なので今回のこのかの帰省は完全に不意打ち。
でもまあ原作知識と照らし合わせてみても、別段問題ないような気もする。
「つーわけでこのか、掛け声たのむわ」
「ほいほい
ただいまー!」
「「「こっ、このかおじょうさまっ!!!?」」」
門を開いて元気良く。
巫女さんの群れが驚愕していた。
~着信三十件
魔法界は普通の電波では通話できないところ。
おかけになった電話は電源が入っていないもしくは大気圏突入中につき繋がりません。というメッセジが多分あった。
~因幡
そらに電話をかける数少ない男友達。
社交性の高いイケメン。
これまでの三人? そういうタイプと違う。
~阿弖流夷
悪路王とかゆう呼び名もある蝦夷の王様。
正確には寺だし、祭神ゆうよりは御霊が正解。
まあ奉られてることは間違ってないからそこまで細かくなくてもいいか。
~八つ橋くれいぷ
あんこと生クリームのコラボレーションに八つ橋特有のニッキのにほいが香ばしい一品。
味わいをどうにかできないものかと、店の配慮によって混入された山盛りフルーツが更にカオスを引き起こす。
このクレープを作ったのは誰だぁ!?
~アーにゃ
本名がアンナココロヴァ以下忘れた。多分色々間違ってる。
最初にこの変換が出てきたので思わず猫耳の釘宮を妄想したのは間違ってないはず。
ツンデレでロリっ子とか、出てきたらそらもネギも確実に帰れなかったので割愛。理由は、分かれ。
~鈴木6号
調整ミスの結果何気に幼女なセクンドゥム。
俺のイメージでは原作フェイトより頭ひとつ分背が低い。年齢設定はネギ君と同じくらいで妄想してるけど。
今のところ麻帆良にいるはずの別の幼女の対抗馬。
これにはエヴァも激怒する。
~昆神社なう
確かそんな名前だった。
本家の千本鳥居はもっと小ぢんまりとしていた気がする。
行ったこと無いから知らん。
パソコンがあんなことになるなんて、思ってもみなかった俺が通りますよ、っと
いやな、じけんだったね・・・
ここに来て戦闘力(白目)のインフレがおかしなことになった気がする
幼女率が跳ね上がる、だと・・・っ!?
俺のスカウターじゃ測定不能だぜ・・・!
幼女と書くからおかしいんだ。少女と書こう
そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、某時代があれで名乗ってるから書ききれないだけで・・・あれ、そうなると少女と書けないじゃないかやだー
あとは、わかるよね?
なんだか混沌かつ正しく狂っているような展開を書いている気もしますが、これはこれで一応の物語にはなっている
きっと、そのはず。たぶん、おそらく、めいびー