ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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やっぱり実験作な二十七話
それを言い出したらこの作品自体なかなかに実験作な気もする



『アキラのセカイ』

 

 彼について知っていること。

 三学期になって一緒のクラスで勉強することになった男子。

 私と同じスタンド使い。

 意外と同じクラスでの友達が多かった。

 私が知っているのはせいぜいこれくらいで、それ以上は知らなかった。知ろうともしなかった。

 でも、このときの私にとっては頼れるのが彼しかいないと思えた。

 

 私は酷く視野が狭かったと思う。

 いつの間にか偶然得ていただけの『特別なチカラ』、それに酔って自分が何かをしなくてはならないのだ、と思い込んでしまっていたのだろう。

 本当はぜんぜん特別なんかじゃなかった。

 チカラに溺れて、迷惑なことをした先生を殴った。その後も、また何か他人に迷惑をかけているのではないかと、正義感染みた衝動に突き動かされていたのだと思う。

 そうして強すぎる存在と戦って負けて、得たものが『力を使えなくなる』という結果だった。

 

 そんな話をしたら、彼は頭を抱えて蹲っていた。

 

 

「……戦車って……、規格外すぎるだろあの人……」

 

 

 だよね。

 というか、ひょっとして知っている人なのだろうか。

 

 私はあのスタンド使いに負けた。

 戦うと言うことは雌雄を決すると言うことで、負けたものには何かを言い返す権利もない。

 その先にあるものを、私は今まで自覚できていなかった。

 

 当たり前だったはずのセカイは私にとって実に恐ろしいものになった。

 スタンドを使えなくなった上に見ることもできなくなっていた私には、まだ見ない使い手が『何か』事件のようなものを起こしたとしても感知できないし対処できない。

 スタンドはそもそもが規格外な方向に性質を特化させているから、もし異常な事件が自分に降りかかったとき、何もできないと自覚してしまったとき、私は一歩も外へ出ることができなくなっていた。

 私はスタンドを使えない、という本来ならば『当たり前』だったはずの状況で、『見えない』という現実に怯えながら生きることとなってしまっていたのだ。

 

 

「……やっぱり見えないと気になる?」

 

「うん……、正直、烏丸くんのことも、ちょっと怖い」

 

「……けっこう、ぐさっとくるな……」

 

 

 言ってから、悪いかな、とは思ったけど。

 目の前二十センチ以内の彼は、ちょっと傷ついただけの顔なのがちょうどよかった。

 もし何か危害を加えよう、という魂胆があったら、私はそれくらいなら見抜ける。

 これは私が特殊なんじゃなくて、コレくらい近くにいる人の心、表層心理というものをなぞる程度なら女の子は誰だってできる。

 それをなぞれば、烏丸くんは私を必死で気遣っているのがよくわかった。

 もともとお人よしな部分もあるのかもしれないけど、そんな反応をしているのが少しだけ可愛い。とも思っちゃったりなんかりしたりして。

 

 

「つーか、大河内、近すぎないか?」

 

「だめ。離れちゃだめ」

 

「なんでだ……

 大河内って、そんなにパーソナルスペース狭かったっけ……? はっきり言ってアレな距離感なんすけど……」

 

「恋人とか?」

 

「………………」

 

 

 赤くなった。可愛い。

 はっきり言うなって言いたいのかな。

 

 

「……つか、じっと見るな」

 

「でも、離れすぎると、怖いし」

 

「怖いから近づくって何だよそれどういう心理なんだよわけわかんねぇよ」

 

「捕まえておけば怖くない、みたいな」

 

「本末転倒過ぎないか……?」

 

 

 でも、危害を加えよう、とは考えないんだよね。

 彼の優しさに甘えてるのかも。

 でもこの後どうしよう。

 

 

「まあ、まずは効果を解除するのが第一だよな」

 

「え? もう使えなくなったんじゃないの?」

 

「それならとっくに死んでるだろ」

 

「そうなの?」

 

 

 彼が言うには、スタンドは一度発現すれば死なない限りは消えると言うことはないらしい。

 それでも現在使えていないのならば、それは相手のスタンドの攻撃効果だろう、というのが見解だ。

 

 

「でもそういうのは範囲外に出れば大体解除できると思うのだけどな

 範囲が広すぎるのかも知れんなー」

 

「そう、なの?」

 

「少なくとも俺は生の戦車なんぞこの学園内で見たことねえよ」

 

 

 そういえば風香も女子寮の近くでそんなものを見たとも言ったことはないはず。

 そう思っていたら、烏丸くんが徐に携帯を取り出した。誰かに連絡でもするの?

 

 

「手っ取り早く移動しよう。いつまでもここにいてもどうしようもねえだろ」

 

 

 移動って、わ、まぶし

 

 

   × × × × ×

 

 

 目を開けるとすっごい開けた場所にいた。

 突き抜けるような青空に、眼下には広い海原。というか、手すりが無くてちょっと怖いんだけど。

 

 

「そっちじゃねえ、こっちだ」

 

 

 声に振り返ると、また絶句する。

 遠くには大きな西洋のお城。某ネズミの国とか目じゃないくらいの規模だ。

 断言できる。ここは日本じゃない。

 

 

「か、からすまくん、ここは……?」

 

 

 確か、私はログハウスみたいなところにいきなり連れて行かれて、手を引かれるままにボトルシップみたいなものの前までついていって。

 ……気がついたらここ。

 あれ、これって誘拐じゃないの? 原理はよくわかんないけど、瞬間移動みたいな能力、で連れ込まれたのかな。

 というか私、部屋着のままなんだけど。

 

 

「別荘みたいなもん

 連れ込んでも悪いようにはしないから安心しろよ」

 

 

 た、食べられちゃうのかな。

 

 

「……なんで顔赤らめてんのか知らんけど、本当にどうするつもりもないからな

 つーか結構耳年増だよね、アキラたんって……」

 

「う゛、だ、だっていきなり連れてこられたらそう考えてもおかしくないし

 普通だよ、普通。これくらい今頃の娘なら考えたことくらいあるし

 あとアキラたんとかってやめて欲しいんだけど」

 

「明日菜とか佐々木とかはそういう危機意識が足りない気もするけど。……体格の

差かね

 あとアキラたんは絶対やめない」

 

「なんで!?」

 

 

 あ、思わず叫んじゃった。

 いや、だって、なんかここ風も結構あるし。

 というか体格云々はセクハラじゃないかな。

 

 そう思っていたら、烏丸くんはくくっと可笑しそうに笑う。

 

 

「元気出てきたな。まー、ここにいてもどうしようもないから、向こういこーぜ」

 

「むー

 ……本当に食べちゃったりしないよね」

 

「しないしない(つーか、こんなところで手を出したら俺が縊られるし)」

 

 

 ? なんかぼそっと聞こえた?

 でも、とりあえず差し出された手をつかむ。

 城までは石橋が架かっているけど、やっぱり手すりもないし、風もあるから危ないし。エスコートしてもらうのって、女の子なら当然だよね。うん。

 

 ………………。

 そう思っていたら、目が合った。

 石橋の端っこ、というか外側。足元に捉まって、じっとこっちを覗いている、なんか白い女の子と。

 ……幻覚?

 

 

「……そらさんが女の子を連れ込んできました……」

 

 

 しゃべった。

 

 

「うお!?」

 

 

 あ、烏丸くんにも聞こえた。というか見えてるみたいだ。幻覚じゃなかった。

 というか、そんなところに捉まっていてよく落ちないね。

 

 

「突然旅行に行ったと思ったら知らない女の子を連れてきて、今度はクラスメイトの女の子とか連れ込んで、なんですか、はーれむでも作るつもりなんですか、わたしのことはないがしろですか、飽きたらポイですか、そらさんのスケベ!」

 

「人聞き悪ぃし拗ねるなよ。つーかそんな台詞回しとかどこで覚えたのさよちゃん」

 

 

 彼女なのかな。

 なんだかノスタルジックな雰囲気の娘だなー。

 でも、私は手を離さなかった。

 

 

「ふーんだ。今でもしっかりと手をつないでいるようなお二人とはどうせ関係ないですもん。別荘の中でいちゃいちゃしていればいーんですよー、だ」

 

「わけのわからん拗ね方してないでついてきなよ、土産もあるから。……って、あ、」

 

 

 ?

 なんか烏丸くんがこっちを見て変な顔してる。

 気にしなくていいよ。続けて、どうぞ。

 

 

「……? つーかアキラたん、さよちゃんのことひょっとして見えてる?」

 

 

 え、なにそれ何の話?

 あとアキラたんはやめて。

 

 

   × × × × ×

 

 

 驚愕の事実。さよちゃんはうちのクラスに取り憑いている幽霊少女だった。

 普通信じられないことだけど、壁抜けとかポルターガイストとか宙に浮いたりとか、色々証拠も見せられたし納得する。

 烏丸くんには普通に触れているから、実はそういうスタンド使いなんじゃないかな、とも邪推してしまうけれど。私に触れられない以上は多分どちらでもいい問題なのかもしれないし。

 というか、この様だとクラスに取り憑いているのではなくて烏丸くんの背後霊にしか見えない。

 

 

「肩とか重くなったりしないの?」

 

「羽根より軽し

 女の子だからかもな」

 

 

 軽口にやだー、と赤くなっているさよちゃん。

 さっきまでの険悪な雰囲気は欠片も無かった。

 というかいちゃついてる? リア充爆発しろー。

 

 

「つーか、さよちゃん見えるってことは解決してるじゃん」

 

「そうなの?」

 

「幽霊が見える→スタンドは質量のある幽霊→認識できることがスタンド使いの第一歩。」

 

「なにその三段論法」

 

 

 言われて、出してみようと念じる。

 

 

「でないよ?」

 

「解決したとは言っても病み上がりみたいなもんじゃねえの? すぐに運動できない、みたいな状態なんだろ。ゆっくりリハビリしていけばいーだろ

 これ、見えてるだろ?」

 

 

 言うと、インストールドットが動く。

 

 

――きゅっきゅっきゅ、にゃー。

――ブフォ!?

 

 

 思わず吹き出した。

 

 

「な」

 

「なんてものを見せるの……っ!?」

 

 

 スタンドを踊らせるとか初めて見た。

 まったく違う印象なのに、もう烏丸くんのスタンドがギャグキャラにしか見えない。

 

 

「まー、ゆっくりしていってね

 お世話はあの子らに言えばいいから」

 

「あの子ら?」

 

 

 振り返ると、

 

 ――いつの間にかずらっと、メイドさんがたくさんいた。

 え、これ烏丸くんの趣味?

 どこか茶々丸さんに、似てるような……姉妹?

 

 

「風呂入れて洗ってやって。着替えはてきとーに」

 

「「「りょうかいしました、そら様」」」

 

 

 なんですと?

 

 え、ちょ、まって、そこは自分でできる、

 アッ――――――――――――。

 

 




~アキラのセカイ
 成恵の、が完結したと聞いてリスペクトしてみた副題。
 若干失敗っぽい。

~目の前二十センチ
 距離感のおかしいあきらたん。
 そらに対する信頼と言うよりは男扱いされてないようにも見える。

~携帯
 詳しくは次回。

~部屋着のまま
 意外と耳年増なあきらたん。改変の結果。
 『最近の中学生』よりは『いい娘』な風には書いています。原作よりは冷静に物事を判別できるだけの観察眼があるご様子。スタンドの副次効果やも知れぬ。

~きゅっきゅっきゅ、にゃー
 FFとかの動画のアレ。
 スタンドに目の前でやられたら普通は吹く。

~茶々丸姉妹が現れた!
 詳しい設定も忘れてしまった。
 原作終了時期には何処に行ったのか影も形も見当たらなかった不遇姉妹。あれ多分エヴァも忘れてるよね。


アキラたんのキャラも順調に狂ってきています
シリアスかと思ったらそんなことなかった
そんな出来になったと思う
〆とか最早テンプレ。もうちょっと上手く描けないものか

一回で書ききれなかったので続きは次回
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