ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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ようやくそらのかっこいい戦闘シーンが?
三十八話です

・・・ところで、麻帆良祭って何月でしたっけ・・・?



『吐き気を催すほどの、邪悪』

 

 前回のあーらーすーじー。

 見た目チンピラっぽいおっさんが森を抜けて現れた。多分侵入者で、女子寮から逃げた奴だと思う。6号からの連絡と時間的に一致するし、方向もそうだし。

 つーわけで、職質開始。

 

 

「今晩は、どちらへおでかけ?」

 

 

 できる限り好青年っぽい雰囲気でにこりと笑いかけてみた。多分意味無いけど。

 

 おっさんは俺の姿を見て引きつった顔していたけど、ちらりと別の方向を向くと、

 

 ……何故か更に引きつった顔になって、俺に対する警戒心がありありと見て取れるように。

 なんでさ。

 

 

「お、お前なにもんだっ、そこにいる子達になにをしてるんだっ!?」

 

「はいー?」

 

 

 そこにいる子達って……?

 

 言われておっさんの視線の先を見てみると――、

――ああ、綾瀬と早乙女が気絶していたな、そういえば。

 

 ………………え? 俺、見知らぬおっさんに変質者認定されかけてる?

 

 

「いや、待て。待て待て待て待て、

 おいこらおっさん、あんたこそ他人に何事か言える立場なのか?」

 

「だっ、だまされねえぞ! 変態はみんなそう言うんだ!」

 

 

 ……変態に何か嫌な思い出でもあるのか……?

 つーか変態じゃねーし。紳士だし。

 

 

「そっちこそ言い逃れしようとか思って無いだろうねー? っていうか侵入者がいることは連絡きてるし、おっさんがその一人ってことで間違いないよな?」

 

 

 つか、もうこいつボコろう。うん。

 

 セルシウスは返喚したけど、冷気はまだ周囲に漂っているから、無駄に詠唱する必要も無い。セルシウスの魔力は俺との『同期』で自在に扱えるし。

 

 

「とりあえずは捕まえるか

 えーと、氷の37矢」

 

「うおおおおッ!?」

 

 

 対象一人なら充分な数なはず。

 縦横無尽の氷の矢が、おっさんの周囲を蠢き襲う。それの回避に囚われて自由に動けない隙に、俺は別口を用意。

 魔力を手に集中。形は銃をイメージ。進行方向、前へ。要するに、日本一有名な霊界探偵の必殺技。

 なんで魔法使いって魔力だけでこういう使い方しないのだろうね? 呪文唱えるより手っ取り早いと思うのだけど。ってこれを考えた幼い頃には思っていたのだけれど、魔法理論を知るうちに納得した。

 魔力は基本的に魔法というシステムを通さないと効力を発揮しない。電気や炎といった発電用のエネルギーとは違う、むしろカロリーに近いそれ自体は貯蓄系統のエネルギーなのだ。このまま撃ったとしてもそれは攻撃にはならず、ドラクエで言うところのマ●イミにしかならない。

 それを俺はスタンドで攻略した。

 

 

「霊●ーン!」

 

 

 手の甲に『銃』の文字、指先に『弾』の文字で的確な攻撃意思を表示。

 撃ち出された魔力の弾丸は魔法の射手以上のスピードで、おっさんの無防備なわき腹へと吸い込まれるように命中した。

 

 

   × × × × ×

 

 

 逃げ延びれたと思っていた。

 人気の無い場所、つまりは魔法使いの気配である魔力の感知できない場所を選んで其処へと抜け出るつもりだった。

 魔法使いが魔法を使えば、少なからず周囲に魔力が分散される。それを逆手に感知して行けば、と己の知略に賞賛を浴びせたいほどだった。

 

 ……まさか、それを隠せる術法があるとは、思いもしなかった……。

 

 

「(つーか、このガキ、そんなことをなんでここでやってるんだよ!?)」

 

 

 八つ当たり染みた思考で、視界の端に映った何物かに視線を思わず向ければ、そこにいたのは――、

――拘束されて気絶している女子生徒らで……。

 

 思わず自身の顔が引きつるのを、笹浦は感じ取っていた。

 

 

「(……え、つまりそういう犯罪行為を隠すためか……?)」

 

 

 やべぇ、と自分が信頼する嗅覚が警報を鳴らす。

 目の前の少年からは、社会の裏に存在するくらいの悪の気配がありありと見て取れた。

 

 自分も人に胸を晴れる仕事ではないが、少なくとも犯罪行為に手を染めるような真似はしたつもりはない。

 しかしこの少年からは、己が悪であるということを自覚した上で、それを非道と知った上で、平然と他者を慰み者にできる程度の悪。それくらいの『凄み』とでも呼べるものを笹浦は嗅ぎ取っていた。

 

 

「あんたこそ、他人に何事か言える立場なのか?」

「だっ、だまされねえぞ! 変態(犯罪者)はみんなそう言うんだ!」

 

 

 笹浦は嗅ぎ取った感覚から、その少年の持つ『悪』が己の知る限り最低最悪の種類に属する『害悪』だと判断したが故の言葉である。

 その中には『死体偏愛(ネクロフィリア)』『幼女性愛(ペドフィリア)』『嗜虐または加虐趣味(マゾヒスト&サディスティック)』『執着追跡偏性(ストークフィリア)』『監禁束縛趣味(ヘッジロック)』等、思いつく限りの変態的犯罪が名簿のようにずらりと彼の脳内に浮かんでいた。

 

 はっきり言って関わりたくないし、今にも逃げたくなるが、間違いなく逃げたら追ってくるタイプの変態(犯罪者)だと確信している。

 その証拠に、魔法の射手を無詠唱で多数放ってきた。

 

 

「うおおおおっ!?」

 

 

 縦横無尽に氷の魔法が自身を襲い来るのに対して、笹浦は一歩対応が遅れたと数秒前の己に歯噛みした。

 とっととシキガミでもなんでも呼び出して、それを囮に逃げておけば良かった。

 あらゆる方向から襲い来る氷の魔法に、その場で姿勢を崩さないように留まって避け続けるのが精一杯の中、

 

 

「霊●ーン!」

 

 

 懐かしい漫画の必殺技を叫ぶ、少年の声が聞こえた。

 と、同時に、わき腹へと相応の威力の何かが襲ってくることを自覚し、しかしそれでも、

 

 

「(よ、避けきれねぇっ!?)」

 

 

 数瞬の間の後、コレが彼の行く末の分かれ目になったことを知ったのは、後の話である。

 

 

   × × × × ×

 

 

 は?

 

 思わず目を疑った。

 

 

「………………っ!

 ………………?」

 

 

 おっさんのほうもどういう状況なのか自覚して無いみたいだった。

 俺が見たその光景とは――、

 

――おっさんのわき腹から腕が生えて、俺の霊ガ●を掴み取った姿だった。

 

 

「腕……っつうか、」

 

 

 スタンド、か?

 おっさんはやってくるはずの衝撃が無いことに疑問を持って、瞑っていた目を開き、その『腕』に目を白黒させていた。

 その『手』が掴んだ俺の魔力弾を『飴玉』のような形に圧縮したものを手にして、更に白黒させている。

 どうも、たった今その能力に目覚めたようだ。

 

………………ふむ。

………………よし。

 

 やってみるかねぇ。

 

 

   × × × × ×

 

 

 来るはずだった衝撃に思わず目を瞑っていたからわからなかったが、この『飴玉』を生成したのは己らしい。

 というか、どうしてそうなったのかを理解できていなかった。

 突然『腕』がわき腹から生えて、少年の魔力弾を掴み取った。

 その結果になんでこういう付随効果が生まれるのか、奇妙な冒険にでも遭遇したかのようだ。

 

 頭の中が混乱することを自覚しつつ、笹浦は突然少年のことを思い出したかのように目を向けた。

 呆けている暇は無い。今は警戒しなくてはすぐに捕らわれる。

 そのことにいち早く気づけたからこそ、目を向けた。……のだが――、

 

――ニィィ、と少年の口の端が盛大に吊り上がる様を見て、心が折れかけた。

 

 ヤバイッ!!! と彼の嗅覚が、過去最大級の警報を鳴らす。

 

 

「(ま、負ける以外の選択肢が見つからねえ、だと……ッ!?)」

 

 

 逃げる→捕まる→殺される。

 立ち向かう→殺される。

 言い訳する→殺される。

 そんな『結果』を、彼の嗅覚は未来予知のように導き出す。嗅覚が全面的に降伏を支持し、その先にある己の姿は、敗北を認め土下座しひれ伏し涙と鼻水で意地汚く命乞いをする、という負け犬の底辺のような未来を垣間見ていた。

 猫に狙われたねずみ、どころではない。蛇に睨まれたカエル、でもない。

 今の彼はゴ●ラに捕食されることをただ待っているだけの亀だ。ガ●ラではない、ただの『亀』だ。

 

 

「(逃げ……ッ!?)」

 

 

 それでも、動かなくなる身体を必死で奮い立たせようと己の意思を心に浮かべる。その瞬間、

 

――少年の姿が無くな「動くな」

 

「――!?」

 

 

 気づけば首筋に、うっすらと掠められている何者かの指先。声音は少年のものだから、恐らくは彼がいつの間にか背後に回りこんで自分を脅しているのだろう。

 笹浦には、彼がいつの間にこうやって移動したのかがまったく目に映っていなかった。

 

 

「(瞬動、いや違う! わからねえが、ノーモーションから移動できるのなんざ達人しかいねえだろ!)」

 

 

 既に負けていることを自覚した。

 少年が本気になったその瞬間から、笹浦にはそれ以外の選択肢なんてなかった。

 最後の悪あがきすら起こすことなく、彼は易々と捕縛されたのだった。

 

 

「名前は?」

「……笹浦だ、笹浦福次」

「ここへは、何しに?」

「関西のとある一派からの依頼でな、近衛このかの誘拐をしにきたんだが……、俺はその前に逃げた」

「それを信じる証拠は?」

「……ない。けど、俺はもうこの仕事から足を洗う。だから、見逃、いや……なんでもない」

 

 

 命乞いすら無駄だと、そう感じていた。

 彼は基本的に生き汚いくらいに生き延びることに執着しているが、それでもこの土壇場で生き延びる方法が無いことくらいは自覚できる。そんな修羅場をいくつか潜り抜けた人間でもある。

 だからこそ嗅覚が優れ、今に至るまで何とかこの仕事を続けてこれた。だが。

 

 

「(――そんな俺以上に、このガキのもつ雰囲気はヤバすぎる……)」

 

 

 どっぷりと裏の世界に頭の先まで浸かっているような、邪悪。

 殺して奪って引き裂いて、犯して解体して曝して壊す。そんな悪意を他者に振りまいても、平然としていられそうなくらいに我の強い、まるで吐き気を催すほどの、邪悪。

 笹浦は、その少年の見せた威圧感に、それくらいのイメージを抱いてしまっていた。

 

 そんな少年は、どこか愉しそうに口を開く。

 

 

「なぁ、笹浦さん。あんたさ――、

 ――この状況を助かるための手段を、欲しくないか?」

 

「………………なに?」

 

 

 少年の言いたいことが理解できずに、笹浦は思わず疑問符を浮かべると同時に振り返っていた。

 

 

 




~霊●ン
 ネタ技その3くらい?
 日本一有名な霊界少年探偵の得意技。今更ながら、当時の彼は中学生だったんだぜ?
 威力は初期のあれと同程度。スピード重視で人一人をぶん殴るくらいの威力。込められた魔力によって変動もあり得るけれど、そらの魔力は普通の魔法使いよりは意外にも下。大魔力は障壁から転じて使っていますからねー。

~笹浦のおっさんの思い浮かべた『害悪』
 漫画的には指差すおっさんの背景に文字がずらっと浮かんでいる感じ。アニメ版エ●ァのタイトルとか予告とかみたいな文字だけで表すあれね。
 後半のルビは大体が意訳。あってなくてもべつにいーや。

~おっさんのスタンド
 前回二人ほどしずな先生に撃墜された理由がまあこれだけど、他二人としずな先生関連の詳細は多分説明入るのはずっと先。また長い伏線を張るのか……。多分その頃にはみんな忘れてるんじゃねえかな。
 スタンドの元ネタは@ガッサン4256さん。応募された『チュッ●チャップスラバー』を採用させてもらいましたー。
 でもチュッパ●ャップスって多分商標登録されてたって聞いた記憶があったし、名称は変更されます。あと付随効果とかも。ごめんね?

~そらが悪役過ぎる
 おかしいな。どうしてこうなった……?


ちょっと内容薄いかなー、っていう三十八話がこんなんですいません。キンクリしてとっととエヴァと合流させようかとも思ったけれど、片付ける部分片付けないと後々めんどくさいんですよね
ギャグやってるんだしいいんじゃないかって? でも意外にもこれをマジに捉える人が多くて多くって・・・
次回こそはエヴァ戦を終わらせたいです

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