ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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『私は人間をやめるぞっ! ネギィィィッ!』

 

 エヴァ姉と出会ったのは俺が小学校に入学したてのころ。

 当時の俺は『原作知識』の部分に記憶のブロックがかけられた状態で、学園にある認識阻害の結界のことや魔法使いのことなんぞ詳しく『知らない』状態となっていた。

 

 そんな状態だったにもかかわらず、自身のチート特典であるスタンドをむやみに使用しなかったのは褒めてやりたい。

 使っていたら間違いなく怪現象として人の目に触れていただろうし、それで目をつけられでもしていたら目も当てられなかっただろうし。今俺上手いこと言った。

 

 ……今じゃエヴァ姉に修行つけてもらっているお陰で、魔法教師とかとは若干距離を置かれている気もするけどな……。

 まあいいさ。『学園のお仕事』を手伝うような暇もないし、な。苦学生舐めんなよ?

 

 まあ、それはともかく。

 

 魔法のまの字も知らない順当な前世ありの少年が、好奇心あふれる少年が、それらを見かけたらほいほい近寄っていくよな? うん? 同意求められても困る? うん、ゴメン。

 

 で、エヴァ姉と出会ったのはそういう現場そのものだったわけで。

 

 具体的に言うと、

 

 吸血鬼が主催する屠殺現場。

 

 ……フツーはトラウマものだぜ。

 

 

   × × × × ×

 

 

「よく付き合っているよなあ……」

 

「始めにほいほいやってきたのはお前だろうが

 それもなんだったか? 吸血鬼と聞いていきなりお前の『それ』が見えますか? とか言われたときにはさすがの私だって戸惑ったさ

 実際何も見えないのに、勝手に落胆されたしな」

 

「だって吸血鬼といったら石仮面しか思い浮かばなかったし……」

 

 

 若しくはDIO様。今なら仮面片手に例のあのポーズとあの台詞を叫ぶエヴァ姉を軽く妄想できる。うむ、滑稽。

 

 

「大体なんだその石仮面? とやらは

 聞いたこともないわ」

 

「ですよねー

 いや、前世のことだからもーいいんだけどさ」

 

 

 原作知識が戻っても未だにエヴァ姉と呼び続けているのは、偏に修行という名の調教の成果。刷り込みとか、そういう分野の話かも知れんけど知らねーし興味もねー。

 成長の結果こうなったっていいじゃんか、って言う程度の話だ。

 

 あ、あと付き合っているって言うのは男女の仲じゃねえぞ。

 いや俺としては吝かでもないけど、エヴァ姉からしてみればまず間違いなく弟程度が一番いいところだろうしなぁ。高望みはしていませんよー。

 

 

「それでもまあ暇つぶしにはなったさ

 出会ってから7、8年か

 此処に封印された期間の大体半分をお前で気休めになったことには感謝しているよ」

 

 

 原作からして十五年だっけ?

 そう考えると確かに半数だわ。高畑先生と同級生って言う設定は俺と出会う前の話なのだろうか。

 

 まあそれはともかく。

 ……その言い分はどーよ?

 お前『で』ってなにさ、『で』って。確実におもちゃ扱いじゃね?

 

 ちょっとむかついたから意趣返ししてやろう。

 

 

「……なんだよ、その胡乱な目は」

 

「……クールキャラを装っているけど間違いなくエヴァ姉はツンデレだと思う

 そこでもっと顔を赤らめてドモって見せれば完璧

 テイクツー、いってみよーか」

 

「縊ってやろーか」

 

「ゴメンナサイ」

 

 

 即土下座。

 意趣も返せないというのか……っ!

 

 

   × × × × ×

 

 

 この世界の魔法は多分だけど6つくらいの属性に分けられる。

 多分、火・光・雷・氷・闇・毒の6つ。

 アーウェルンクスシリーズは地とか水とか言っていた気もするけど、実際使っていたのは石化や氷。石化は毒に順ずるし、別口で見かけた木々を操る魔法使いは血統に属するものに見えた。どっちかというと魔法というよりは超能力とかに近い代物なんだったんじゃないかなと思う。

 

 で、本来人間には属性はなく、魔法を使うことによってその属性へと純化されてゆくものなのだろう。要は慣れ。

 俺もやっているうちに気がついたら一本に絞っていそうなので、気をつけて全属性を使えるようにしている。

 今のところ戦う予定なんて皆無だけど。

 

 

「で、どんな感じだ?」

 

「割と上々。障壁からの魔力転用に魔法とスタンドの複合もいい具合だね」

 

「相変わらず器用なやつだ」

 

「それを集中してやってんだもんよ、7年で正常に作動できないとかなったら本格的に才能ないでしょ」

 

 

 正直ゆえきちとかの本来魔法の才能がなさそうに見えた一般人が、魔法教師(見習い)に修士してそれなりの技術を得た描写を見たときには、さすが漫画、って思ったけど。

まあゆえきちはそのすぐ後にアリアドネに留学していた気もしたけど、イギリスに行くまでにそこそこの修行を受けていたじゃんよ。アーティファクト持っていたとはいえ、あのレベルの上がりようは現実的に考察できるものなのかね。とも思う。

 

 

「そうそう、そう言えば今年の三学期になんか私を封印したやつの息子がやってくるとかいう話だ」

 

「へー

 ………………ん? なんでそれを俺に言うの?」

 

「これは私の勘だがな

 お前はそいつに関わることになりそうな気がする」

 

「え、やめてよエヴァ姉の勘とか

 下手な占いより当たるかもしれないじゃん」

 

「くくっ、信用されているなぁ?」

 

「そりゃそーだ

 俺にとってはエヴァ姉ってだけである意味絶対だし」

 

「くははっ」

 

 

 なにが面白いのか。

 ひとしきり笑った後、エヴァ姉はいやらしい笑み(彼女曰く悪らしい含み笑い)を浮かべつつ、

 

 

「まあ冗談さ

 正確に言うとソイツを使って私にかけられた封印を解いてみようかと思っていてな?」

 

「ああ、それの手伝いしろってこと?」

 

「そうだ

 もっとも、お前は保険程度の手伝いでいい

 ソイツの出来を見極めるのがまず第一だしな」

 

 

 なにやら色々と画策している様子である。

 つうかソイツってネギだよね? 英雄の息子だよね? エヴァ姉の熱の入りようが微妙に淡白に聞こえるわー。封印とかもあんまりどうでもよさげな。

 

 

「封印をなにが何でも解くぜーって感じじゃないね? なんかできればやってみようか的な?」

 

「まぁな

 ……ま、私にも色々思うところがあるんだよ

 成長したって程度のハナシさ」

 

 

 む。微妙に原作から乖離しているような気が。

 

 

「深く聞いてもいいハナシ?」

 

「そうだな……

 お前が模擬戦で私に一本取れれば答えてやろう」

 

 

 しまった。ヤブヘビだったか。

 

 

   × × × × ×

 

 

「リク・ラック・ララック・ライラック!

 きたれ えいえんのやみ とこしえのひょうが!」

 

 

 無理無理無理無理無理ぃっ!

 なんなのこの吸血鬼! 可愛い顔して極大魔法ばっかり使うし! 別荘で魔力が十分に使えるからって張り切りすぎじゃねーの!?

 

 

「どうしたっ!? スタンドとやらを使ってもかまわんのだぞっ!」

 

「俺のスタンドが攻撃できないって知ってて言いやがってっ!

 つーかこれ模擬戦だよなっ!? こっちのターンとかないわけ!?」

 

「ずっと私のターンだっ!」

 

「鬼ぃぃぃっ!」

 

 

 いやほんとに鬼ですこの幼女。

 

 

「防いで見せろっ! 氷神の戦槌!」

 

 

 やってやんよー!

 

 

「インストール・ドット!」

 

 

 スタンド使うときは叫ぶのが必須。たとえ見えなくても様式美は絶対です。

 俺のスタンドは真っ黒な姿で、悪魔みたいなカジュアルスーツを纏ったカラス天狗のようなやつ。名前は『インストール・ドット』、移動速度はスタプラ並みで移動範囲・効果範囲は1m程度。ただし、攻撃力はゼロ。その代わり特殊な性質を持っている。

 

 

「『熱』!『暑』!『細』!『解』!」

 

 

 それは『文字入力』。対象に一文字ずつ書き込むことによってその性質を撃ち込める、という概念制御のスタンド。

 ただし、何も考えずに攻撃すれば『攻撃≪Attack≫』という言葉が対象に撃ち込まれて襲いかかられたことがある。このことから正確には感情とか意思とか、曖昧な精神を反映させるのが本質なんじゃないかと思う。

 だからこの7年で『文字』しかも『漢字』という比較的なじみのある言語で制御できるようにまで、必死で修行したのだ。

 

 そのお陰でご覧のとおり。

 エヴァ姉の放ってきた巨大な氷の塊は、俺の撃ち込んだ文字を浮かび上がらせて『細』切れになって『解』けていった。多分触ってみれば『熱』く『暑』くなっているのだと思う。

 

 

「今のうちにこっちのターン! ドロゥ!」

 

 

 手札≪使える魔法≫から『腐食の汚泥≪ヴェノン・マッダー≫』を発動! インストール・ドットと掛け合わせて『凝』『縮』!

 

 

「無月」

 

 

 ちょいふざけて作った自作魔法。

 オサレな世界の最終奥義を作ってみた。

 本来ならば鉄を融解させるほどの泥の毒が放射状に広がって俺もヤヴァイ魔法が発動するはずだったところを、インストール・ドットの能力で一方向に向けられるように『凝』『縮』して振るうように放つ。巨大な影のような衝撃波がエヴァ姉を飲み込んだ。

 ちなみに放つときは静かに言う。これ鉄則。

 

 

「月牙と、一つになることだ」

 

「いや、知らんがな」

 

 

 かわされてた。ですよねー。

 

 

「お前のそれは確かにすごいのだろうけどな、振るうときの動作が大振りで初見殺しにしかならん。

 もっと汎用性に優れたものを考えろ」

 

「了解しましたー」

 

 

 しかも滔々と説教される程度にしかリアクションされなかった、という事実に心の中で泣き崩れる。

 

 

「で、これで終われると思ったか?」

 

「………………

 解散しようよ……」

 

「だが、断る」

 

 

 結局、この後一日中逃げ回ってた。

 

 




~スタンド『インストールドット』
 色々詰め込んだ結果がこれだよ。
 考えた末に、文殊とエコーズを足して2で割ったようなものになった。姿のイメージはわかりやすくいうと『足洗い屋敷~』に出てきていたトム・ポーカー。
 あまりオリジナルになっていないけど、サウンドマンのアレだってエコーズにしか見えなかったんだしこれもオリジナルでよくない? だめですか? ですよねー

~エヴァの思考は語られない
 主人公の一人称だから見えない。
 ほんとは、封印されている期間の半分を一緒に過ごしてくれた子供がだんだん大きくなってきていて弟だったものが自分を守れそうになるほど成長してきていてそんなそいつがこれからも一緒にいてくれそうなくらいに気安くて、しかも自分を封印した英雄は死んだとか風の噂で聞くしその息子が来ることから自分ははじめっから相手にされていなかったことも自覚できるしこのままここにいるのもいいかもしれないとか日和ったことを考え出した闇の福音、けどそんなことを正直に言葉にできるわけがないツンデレ福音さん。
 とか妄想したけどほんとかどうかはオフレコで一つ


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