エヴァ編最終話
副題がどう見ても惨劇の跡
「失礼します……」
京都昆神社、関西呪術協会の本拠地であるそこの一室から、憔悴しきった男性が静かに出てくる。
男の名は笹浦福次。関西の一部に雇われて麻帆良へと攻め入る部隊に組み込まれていた傭兵呪術師だが、逃走したところとある少年にとっ捕まり、哀れな運命を辿ることと『なりかけた』男性であった。
「……はぁ~~~」
笹浦はしばらく歩くと、重く溜息を吐き出して縁側へと腰掛ける。ライフは既にゼロだった。
「なんとか……首の皮一枚つながった……」
とっ捕まった際、少年と汲み交わしたことは自分に有利になる条件であった。
彼曰く、『関西の過激派を探るためのスパイ役であったという嘘(こと)を引き受けてほしい』とのこと。
そうだとする結果でトップである近衛詠春にも話を通しておくので、麻帆良に攻め入った者達のリストを作成して捕縛された呪術師または近接戦闘職らとの照合に役立つように、とのこと。
……正直、面倒なこともあるが笹浦自身に有利な条件過ぎて逆に恐ろしい。
それらの条件を呑むならば逃げることを見逃してもよい、というのが少年の言い分であったのだが、それ以上の見返りをわかりやすく要求してこないことが笹浦には果てしなく恐ろしかった。
そして現在。彼は詠春にリストを手渡し、現在麻帆良で捕縛の目に合っている関西の術師らの照合とを済ませてきたところである。
法律の目の届きにくい魔法関係者の処罰ではあるが、さすがに関東魔法協会の者らが関西の捕虜を勝手に処理するわけには行かない。関東には大きく貸しを作ってしまうことになるのだが、身内のことを他人に任せるわけにはいかないのは、戦場の最前線でもない限りは至極当然の理屈であった。
「……なんか、これだけ仕事をしているとあのガキに手間だけを手渡された気がするな……」
しかも、スパイであったという嘘が本当のことらしく両組織内に広がっているお陰で、彼が今後とも仕事を請け負えるヴィジョンが欠片も伺えない。
組織内の内患を早期に発見できたという名目での成功報酬を詠春には頂けたので、借金に関しては一先ず目処は立ったものの、その先の人生には最早支障しか表れていない。
どーすんべ、となんとも言えない悲壮感が、彼の背中にどよんと圧し掛かっていたのだった。
「なんや、えらい空気淀んでますなぁ」
「あ? ああ、千草のお嬢ちゃんか」
着物を着崩して胸元と肩とを露出させた二十歳そこそこの女性がふらりと現れる。その後ろにはとてとてと犬耳の少年(見た目)がついてきていた。
「そういやぁ嬢ちゃんは麻帆良には行ってなかったな」
「そうやねぇ、行ったところでうちには何も意味無いことやし」
仕事仲間としても協会の顔見知りとしても、この女性の『魔法協会嫌い』は割りと有名である。
それなのに今回の事件には関わっていないことに、笹浦は眉を顰めた。
「うちのしたいことは関東をどうこう、というのは違うんし
厳冬はんらとは意見合わんかったなぁ
うちの『目的』は、『別』にあるし」
「そんなお嬢ちゃんは、なんでこの場にいたんだ?」
もっともな疑問。
今日はそれなりに重要な、かつ機密でもある『話し合い』だ。呼び出されたのは必要最低限に今回の事件に関わったものばかりで、指揮にも暗躍にも関わっていないとされる協会関係者は原則『禁足』扱いとなっているはずなのである。
千草は呼び出しも照合にも名前は載っていないはずであった。
そのことを指摘すると、彼女は胸の谷間から一枚、何かの用紙を取り出して、
「いやぁ、本日の分の婚姻届を詠春はんに渡しておくの忘れとってなぁ♪」
「お願いだからやめてやってくれ。詠春さん、ガチで泣いてたから」
そう何処か嬉しそうに宣った彼女の『目的』とは、『玉の輿』であるというのは一部暗黙の噂である。
× × × × ×
なんだか一生分に暗躍したような気分。
でもエヴァ姉に関する懸念は解けたことだし、魔法関係に深くかかわる必要ももう無いんじゃねえの?
そんな晴れ晴れとした気分で登校した過去の俺に一言。
「甘い。甘すぎる。上等なケーキに蜂蜜をぶちまけたかのように甘い」
……そーですねー。
「くくく、煩わしい太陽だな……」
「跪きなさい、豚ども」
『ロリっ娘&メイドロボキターーーー!!?』
エヴァ姉と茶々丸が教壇に立ってそんなことを呟いていた。つーかあんたら何やってんの。
「えー、本日よりこのクラスで一緒に授業を受けることになった、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。並びに絡繰茶々丸だ
みんな、仲良くするように」
『はーい!』
というか受け入れるのはええなお前ら。
紹介した神多良木先生(通称ヒゲグラ先生。ひげにサングラスが特徴)も、担任だっていうのにそれ以上自分から説明しようとしないのは何故?
「グラせんせー、質問ありまーす」
「なんだ神宮寺。あとお前のその呼び方、俺の名前に一文字も掠ってないからな」
「なんで女の子なんですかー、それって校則、っつうか法律に触れて無いんですかー?」
際どい質問をするな神宮寺。
でもやっぱり気になっているのはエヴァ姉だけのようだな。確かにエヴァ姉は見た目十歳だから、ぱっと見危うげな感じはビンビン感じるだろうけど。
「彼女はこう見えて女子中等部の同学年に通っていた。何も問題は無い」
「えっ、同い年っ?」
ヒゲグラ先生もエヴァ姉『だけ』に限定して説明した。
あれか、自分のクラスとなるとやっぱり監督者はヒゲグラ先生になるから少し煩わしかったりするのか。
「それに彼女の移動は学園長の共学化試用試験の一環だ
ほら、お前らも烏丸が去年末学期に移動していたの知ってるだろう。あれと同じことを男子でもやろうという話になってな」
「ああ、あれ……
って、えっ? その理屈だと烏丸って去年は女子校舎に通っていたってことに、」
その言葉が終わるのが早いか否か、クラスの視線が一斉に俺のほうを向いた。
俺は俺で咄嗟にあさっての方向を向いていたから見えてないけどー。
「それについて烏丸、ちょっとこい。話がある」
「うす」
「残りは、少し自習だ。質問にでも充てていろ」
『はーい!』
ヒゲグラ先生に連れられて廊下へ。
何人かは気になっていそうだけれど、すぐに興味はエヴァ姉&茶々丸へと向いていた。
「で、話とは?」
「学園長からの伝言だ。エヴァンジェリンの監督役はお前が勤めるように」
「……はっ?」
えっ、いいの?
俺、正式な魔法生徒じゃないんだけど。
「それだとむしろネギ君のところに預けておけば良かったのでは……」
「エヴァンジェリン本人の希望だ……
ネギ君には……まあ一応は伝えてあるが、あまり追求しないようにな……」
何があったんだろうか……。
というか、エヴァ姉の問題が一段落ついたのだし、魔法関係にはもう関わらなくっても問題なくないっすか? だめっすか。やれやれ、主人公はつらいぜ。
そんなことを、教室の喧騒を眺めながらふと思った。そんな一日が、今日も始まる。
『闇に呑まれよ!』
『やみのまーーー!!!』
……締まらねえなあ。
~千草さんがやばい
いろいろ試行錯誤しているうちにこんなのになってしまった。すまん。
~エヴァが男子部に現れた!
子供先生に監督役をやってほしくないけど烏丸ならいいんじゃないか? というエヴァの心情を書こうとしたけど割と蛇足な気もしたし。いろいろ削ってごらんの通りだよ!
~闇に呑まれよ!
意訳はない。
何気に初めて男子生徒と一緒に授業を受ける(烏丸以外)、ということに気づいたテンパリエヴァが苦肉の策としてとある人物に参考を授かった結果。
頭にちゃのつくメイドロボがそれの犯人。
おっつおっつ、やみのま
いろいろ考えて描いてるはずなのに内容が薄い。ハーメルンのみんな、俺にネタの作り方を教えてくれ。四十話でした
またパソコンが熱くなってるし。休憩が追いつかないよぉ。ふええ・・・
今までのも編集とかしたいし。とはいっても今回のように行間を空けようとかいうつもり。あとは前書きとあとがきをいくつか削ったり。IFの2も上げるつもりだけど、すこーし手間がかかって遅くなるかも?
個人話でスミマセン
描きたいことがけっこうあるはずなのに書く時間と描くための端末がこの様。今もファンが回ってて、本体が熱い熱い
ともかくバカテスも仕上げたいし、りりなのもやりたい。オリジナルだって書きたいのにぃ・・・
えっ? 暇が出来ない以前に俺には文章力が無い? 言い返せないのが、くやしぃ
というか、もうこれで最終回でもよくね?
次回のIFともう一つ特別編でも載せてから考えますかね。明日菜の誕生日くらいはやりたいけどなぁ・・・
それでは