『ほほぉ、そぉかぁ、朝倉、貴様が主犯かぁ……!』
『げ、げぇっ!? 関羽! じゃなくて新田先生!? 何でこんなに早く……! い、いえこれはそのレクリエーションみたいなものでして……』
『カモ君……キミってやつは僕に黙ってなんてことを……』
『げぇっ! アニキ!? い、いやこれはですね……っ!?』
『『言い訳無用、ちょっと来い(来なさい)』』
『『す、スイマセンでしたぁーーー!!?』』
ジャーンジャーンジャーン! という銅鑼の音と共に部屋に踏み込んできた二人の教師にとっ捕まり、引き摺られ連れてゆかれる一人と一匹。本作戦開始10分にて胴元が捕縛されるという状況に陥り、ゲーム終了のお知らせが誰の目にも明らかになる。
それを俺は逃げ隠れた1班の部屋の液晶にて、その一部始終を眺めていた。
なんでここにいるかって? 新田先生を連れてくるために別館の中を走り回り、行き着いたのがたまたまここだっただけで。
「アイヤー、朝倉が捕まテハ、げーむもお仕舞いアルかな?」
「そうでござるなぁ、あの場で雌雄を決するというのも捨てがたいと思ったのでござるが」
「いや、この辺りで妥当じゃないかな。さすがに先生に捕まってまでそんな労力を割くつもりは無いよ」
「そもそもあんなところで麻帆良武道四天王全員がぶつかり合ったら大変なことになっていただろうしね~」
「「「いや、正直まき絵殿(ピンク)が一番脅威だったのだけど(ワケダガ)(でござるが)」」」
「えっ」
え、なにそれ気になる。
一緒についてきた参戦メンバーの話に耳を傾けていると、意外なダークホースが居たことに驚きを隠せない。
「なぁ……、それより、いまあのオコジョしゃべったよな……?」
「そうですの? 生憎わたくしには聞こえませんでしたわ」
「そうですね。それに今の世の中、猫ですらしゃべるのですから。小動物の一匹や二匹がしゃべったところで気にするほどでは」
「いやいや、あれは完全にしゃべったろ。ていうか綾瀬、猫がしゃべることは無いだろ、普通」
「そうですか? よくテレビでしゃべっているですよ『まぐろおいしいにゃ~』と」
「いや、それはそう聞こえるってだけでだな……」
ゆえきち、その台詞もう一回頼む。ポーズつけて。
「で、なんでエヴァ姉まで居たの?」
「ふ、修学旅行の醍醐味といえば枕投げだろう! こんなこともあろうかと茶々丸には前日のうちに充分休養を取らせていたのでな、折を見て参戦した次第だ!」
「まさかエバちゃんにぶつかるとは~」
「せっかくゴール目前まで行けたのに~」
「お二人とも、残念でしたね。うちのマスターがはっちゃけたのが運の尽きです」
茶々丸は相変わらず平常運転だなぁ。
いや、そうでなくて。その内実をどうやって知ることができたのかが知りたいのだけど?
まあ念話妨害結界とか契約陣とか敷いてあれば、その魔力を読み取るくらいできるか。
「しかし、烏丸さんが手をかしてくれるとは思いませんでした。てっきり放置するかと」
「せっちゃんの中では俺はどういう評価なのよ」
周りのハナシに混じらない桜咲さんちの刹那さんが俺に話しかけてきた。
それを何故か、にやにやと笑みを浮かべながら遠巻きに視線を向けてくる、部屋にいたチア部三人娘。
「何?」
「ううん、べつに~」
声をかけても柿崎はその笑みを止めない。なんなの、ほんと。
ネギ君がバナナで転んだ、その数分後にゆえきちが部屋に転移魔法で踏み込んできたわけだけど、それまでが実に散々だった。タライは落ちてくるわ、部屋の中には落とし穴が生まれるわ。ネギ君を標的にしていただけらしいから俺は無傷だったけど。
で、ゆえきちが踏み込んだらぴたりと収まったのだけど、アレは一体なんだったのだろうか。
新手のスタンド攻撃か? それにしてはしょうもない罠ばかりだったけどなぁ。原作での関西の妨害工作(笑)みたいな。
ともかく踏み込んできた綾瀬に事情を説明してもらい、どうせならば打って出るかとネギ君には新田先生のところへと行かせ、俺はせめて被害が少なめに済むようにと参加メンバーに招集をかける役目を。部屋を出てすぐに双子姉妹とエヴァ姉が対峙していたのは、正直驚いたが。
それからは女子の使っている別館へと、正体がばれないように天狗の面を被って走り回った。移動術で並ぶものといえば縮地くらいしか思いつかない雲耀と跳ね馬を使いこなせる俺に、追いつけるものなど居りはしない。精々新たな怪談を作れ。
あ? 天狗の面? ネギ君が買っていたお土産の一つだ。
「さて、俺はそろそろ戻るかね」
「えー、もうー?
もっとお話していけばいいのに~」
「今ならいい娘揃ってるよ~
サイドポニーの娘とかー」
「おにいさーん、安いよ安いよ~
三十分で五千円ぽっきり!」
「なんの店だよ」
完全にぼったくられるのが目に見えた。ので、俺はそっと部屋を抜け出した(脱兎)。
× × × × ×
「………………」
「………………」
「………………おかえり」
「………………ただいま……」
数分後、先ほどと同じ部屋に俺は舞い戻ってきていた。
「えっ、どうしたんですか?」
「うん……、無理だわ、あれ、戻れない……」
沈黙のままに皆が視線を俺に向ける中、せっちゃんが若干驚いた表情で話しかけてきた。
いや、あれは戻れないわ。
女子が使っている別館と男子の使っているほうを繋ぐのはロビーだけなのだけど、ネギ君と新田先生がそこに陣取って朝倉(+一匹)に説教して正座させているんだよ。
ひょっとしたら朝倉がゲーム内容をゲロッたかも知れん。ゲームの都合上ネギ君の部屋がある隣へはあの通路を使わないと行けないわけだし。道連れを一人でも多く引き込むつもりか。汚い。さすがパイナップル、汚い。
先生方の見回りが終わる頃を見計らって移動するくらいしか手段はねぇなぁ。転移魔法使おうにも、転移先に誰がいるかわかったものでも無いし。
「つーわけで、しばらくここで暇を潰すわ
女子トークに混ぜてー」
「お、語っちゃう? 好きな人のこととか聞いちゃうよ?」
「ごめん、やっぱ別のにして」
すぐさま反応したのは柿崎。
しかし、俺はそれを聞いて即座に意見を翻した。
さすがに、ねえ?
「じゃあじゃあ、枕投げしよぉ~!
ちょうど枕もいっぱいあるしっ!」
椎名がそんな提案をする。
さ、さすがは桜子大明神さまやでぇ。
能天気の塊のような発言!
男子が混じっているのにそんな発言が出来るとかマジぱねぇ! そこに痺れる憧れる!
「おお! それはいい考えアルな!」
「それでは始めるでござるか
賞品が無ければチームわけも要らないでござるし」
「そうだな、ただ力の限り目標にぶつける
枕投げ本来の仕様で充分さ」
「あ、最低限声を抑えろよ
無効試合後に捕まるとかどんなバカでもしねえぞ?」
あれよあれよという間に決定されてゆく。枕投げ会場はここですか? な空気。
えっ、みんな抵抗無いの?
正直おんにゃのこの浴衣姿とか目の前に並んでいるのって、結構揺さぶられるものがあるのですが、心とか。
……俺が不純なのかな……。
「あの、本当に大丈夫なのですか?」
「ん、まあ、時間つぶしに付き合ってくれるなら、何でも文句無いけどさ」
「じゃあ決定だね~」
「ボクらの分身魔球をとくとごらんあれなのです~」
綾瀬に尋ねられ、応えれば双子姉妹がそんなことを言った。
あー、原作でもやってたね。あれかー。
微笑ましい気持ちでのんびりと対応してしまう。あ、そういえば俺枕持ってなかった。
「それでは僭越ながら、わたくしが試合開始の合図を、」
「雪広、俺の枕とかs」
「はじめ!」
小声で開始の合図を叫ぶ。という器用な真似をする雪広。
いやそれよりも俺の質問に答えてほしいのだけど。
と、そんなことを口に出す前に、
――部屋の中のありとあらゆる女子らから、一斉に枕(殺気)をぶつけられる俺がいた。
~タイトル
Qだと思った? いいえ、私は真打ち派。
ねえどんな気持ち? 予想を裏切られたのってどんな気持ち? ねぇねぇ? ねえってば?
~キングクリムゾン!
過程をすっ飛ばし、結果だけが残される!
いつから原作通りにゲームが進められると錯覚していた……?
~意外すぎるダークホース
カンフーのイエローに分身などができる忍者のブルー、そしてスナイパーの褐色巫女。
しかし、俺らのまき絵さんは枕をリボンでつかんで自由自在に操れる! その動きはまさにゴ●ラに対抗するビオ●ンテの如し!
なんという触手プレイ。
~やっぱりいました
エヴァェ……。いや、参戦理由はまっとうだったご様子ですが。
なんか京都に来てからはっちゃけてるなぁ、うちのエヴァは。(すっとぼけ)
~せつなさん
未だにぼっちだった頃の印象がクラスメイトからは抜けていないのか、男子とお話しするだけでにやにやと意味深に眺められます。
ぼっちなんじゃないよ!「私は一人でも大丈夫です(キリッ)」っていう中二にはよくある精神だったんだよ! ほら! 孤高な俺かっこいい、とかって考えたことあるよね! みんな!(おい、やめろ)
~浴衣姿の天狗
どう見ても変態です。本当に(ry
~そして、伝説へ
枕投げ大会(目標・男子一名)、開☆催。
打ち合わせをしていたわけではない。そらが戻ってくるなんて思ってなかったし。
目線で合図をして暗黙のうちに決定した。団結力が試される。多分せつなさんは此処でも一歩遅れてるかもしれんけど。
短いかな? まあキンクリすればこうなるよね
さくさく読んで欲しいのでこんなん出来ました
そしてせつなさんの扱いがひでぇ。どうしてこうなったのか、俺が教えてほしいくらいだわ
でも原作でも刹那ってこんな感じじゃなかったっけ?
序破離、と三分割にしたラブラブキッス大作戦ですが、実はもうチョットだけ続くんじゃよ
蛇足の一回を次に載せて、それからIFの3を載せようかと思います
もうちょっとだけ舞っててね!