ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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あなたの知らないりりかるなのは


『IFルート【その3】』

「武装錬金! 焼き尽くせ! ブレイズオブグローリー!」

『俺のこの身が真っ赤に燃えるぅぅぅ!!!』

 

 

 麗の所持しているデバイス『20号』が、叫ばなくていい台詞を吐き本来の性能を起動する。

 彼女としても、今日のところは文句を言ってる暇もないので、心の中で呟いた。自重しろ、火渡。

 それはともかく。

 起動した核鉄本来の性質である『炎熱同化』をその身で再現した彼女を筆頭に、彼らは臨戦態勢を取る。

 

 対峙するは邪神の顕現。

 幼い少女の姿をした、歪な笑みを浮かべているその存在『ナイアルラトホテプ』を取り囲むように、『魔法少女』らの準備は整いつつあった。

 

 

   『【まにあむけりりかる】(疑問)』

 

 

 取り囲むのは『魔法少女プリティ☆ベル・高田厚志』に『闇統べる王・ロード=ディアーチェ』『夜天の守護騎士ヴォルケンリッター』らを筆頭に、金髪の転生者・涌井天馬と青髪の転生者・淀橋虎丸。それらに混じり、中学生くらいの容姿でありながら何の因果か魔法少女をやっている千里塚麗・前世の名を長谷川千雨が、広範囲に手を届かせるように炎の壁を作る。

 そこから距離を取り、ナイアルラトホテプからリィンロッドを回収して変身した『真魔法少女プリティ☆ベル・高町なのは』に若干露出狂の卦が気掛な少女・フェイト=テスタロッサと銀髪の転生者・埴谷正一、そして最終防衛ラインはなのはそっくりな少年・泉井美月だ。

 バッグには時空管理局の次元航空船(修理中)もいるが、本来マスコット的存在であるはずの小動物・ユーノ少年の話では、彼らは元いた世界を追い出された全時空にて懸賞金まで賭けられているテロリスト扱いの信用できない集団なので、この前線に無理を言って出てきてくれなくて彼らとしては正直ほっとしている。それでも見張りの意味合いも兼ねてユーノ少年と狼幼女アルフを更に後方にて控えさせているので、彼らがモーションを起こせば即座に対応できるため、魔法少女らは最大火力を邪神へと宛てられるのである。

 

 さて、何故一息に詰め寄らないのかというと、人質がいるからだ。

 夜天の書本来の主である夜神はやてが、本と一緒にナイアルラトホテプに捕まっているからだ。

 しかもなんかぶつぶつと呟いているのは、SAN値が下がっているかというか、『何か』を解放しようとナイアが小細工を弄したのが現状。

 もっと正確に言うならば、夜天の書に封じられているという最悪の魔導書の封印を、ナイアルラトホテプがこじ開けたのが原因だ。

 件の書は、正確に『読み解』かなくては封印を開けない、というガッチガチに夜天の書に縫い付けられた一冊で、そもそもそれを封印するために今の『闇の書』と呼ばれるような現状になったのだとか。バグだとか言われているその部分自体が封印のための仕様だとか。それを手に入れるために試行錯誤していたのがナイア本来の狙いだったのだとか。まあ、色々込み入った事情が出揃ったわけであるけれど――。

 とりあえず、攻めあぐねているのが現状。

 どうしたものか、と誰もが思う。

 

 

「んふふふ、これだけ並ぶと壮観だねぇ

 真・疑のプリベルだけでもオーバーキルなのに、夜天の騎士とバグの顕現。SSS+の魔力所持者に過去の英雄に匹敵する槍使い、そしてほぼ無限に近しい炎を扱える焼夷弾の顕現に、ど本命は手数の数え切れないサイキッカー

 リィンロッドが手元に無いのは、正直やばいかな?」

 

「黙れ邪神。大人しく小狸を引き渡して縛につけ

 この戦力差で、勝てると思うか?」

 

 

 不敵に邪悪に笑みを歪める少女の姿の邪神に応えたのは、バグと呼ばれた闇統べる王。

 そして銀髪君にも焦点を当てて欲しい。確かに、聖剣・魔剣の創造なんていう能力を持っているのに今まで実質役立たずだったために、スルー仕様は仕方ないとは思うけれど。

 そんな風に麗が、正一への評価の低さに、ひっそりと心の中で涙を流していた。そのとき、

 

 

「んふふふ、まぁねぇ

 でもボクはこのまま引き下がるつもりは無いからねぇ……

 ――みせちゃお」

『禁鞭』

 

 

 その言葉とともに、ナイアの足元に多量の魔方陣が出現。そこから極太の触手のように勢い良く吹き出してきた『それ』に――、

 

 

「! 散れッ!!」

 

 

 厚志の言葉で、全員が咄嗟に距離を取った。

 捕らわれたものも弾かれたものもいない。が、醜悪な結界のように縦横無尽にナイアの周囲を囲むそれを、何人かは良く知っている。

 

 

「『禁、鞭』……?

 なんで宝貝が……っ!?」

「あいつだ! 白のやつ!」

 

 

 それを能力として得ていた転生者が一人いた。

 他の二人と一緒に行方不明となっていたのだが、この場面で敵対するとは何を考えているのか。

 そう思っていた彼らの予想を裏切るように、魔方陣から出現してきたのは件の少年だった。

 但し、2・30人くらいに増量して。

 

 

「「「「はぁっ!?」」」」

 

「んふふふ、スーパー宝貝の召喚能力だっけ?

 呼び出せても基本的に使えない少年だったけど、連続使用が無理ってだけだったみたいだしね。コピー&ペーストでとりあえず量産してみたんだ☆

 ま、リィンロッドが没収されちゃったから、これ以上は増やせないけどね」

 

 

 驚愕する彼らを他所に、白髪の転生者・海常礫達(・)が一斉に、それぞれが超攻撃力の漫画兵器を行使する。

 

 

『禁鞭』 『雷公鞭』 『金蛟剪』 『盤古旛』 『六魂旛』

 

「「「「ちょ、おま!!!」」」」

 

 

 対処しきれず、彼らは散り散りに逃げ出した。

 麗は慌てて炎熱同化を解除する。

 ブレイズオブグローリーは炎と同化している限り無敵の攻防一体術を顕現できるが、『雷公鞭』が相手だとどうなるか予想がつかない。その能力は雷を使う上に攻撃力は全宝貝第一位。炎自体が塵にされれば、それと同化している麗も一緒に死んでしまう。

 

 案の定、余りにも比類なき攻撃力に、取り囲んでいたはずの全員が成す術なく逃げ惑う。

 不幸中の幸いは同じ宝貝は呼び出せないらしい、ということだったが、だからこそもっと気を配るべきだったのだろう。

 

 

『――傾世元禳』

「えっ……」

 

 

 高町なのはの背後に、それがいた。

 

 

「げっ、やばい!?」

 

「――神威、召喚」

 

 

 洗脳特化の宝貝『傾世元禳』によって一時的に脳を洗われ、目に光の無くなった高町なのはがリィンロッドを振り上げて呟く。

 

 

「飛竜≪ワイバーン≫」

 

 

 魔力が渦となって空気を揺さぶる。

 その中心に呼び出されるのは、

 ――比類なき巨体、

 ――全身を覆う鋼よりも硬い鱗の表皮、

 ――どんな空戦戦力をも上回るスピードで飛びまわれる翼、

 ――何物をも焼き滅ぼせる息吹を吐き出し、爬虫類を描けと言われれば真っ先に紡がれるであろうフォルムの、そのもっとも原始的且つ理想的な、誰もが色濃く妄想できるであろう神話上の恐怖の象徴。

 『もっともドラゴンらしいドラゴン』が、そこに呼び出された。

 

 

『GOAAAAAAAAAA!!!!』

 

 

 理不尽を上回る理不尽。

 不条理を打ち破る不条理。

 それが、莫大な魔力量を誇る高町なのはの変身する、『真・魔法少女プリティベル』。

 

――その特化戦力が、よりにもよって敵に回る。

 転生者たちがほぼ全員絶望した瞬間だった。

 

 

   × × × × ×

 

 

 うわああああ、最悪最悪最悪、最っっっ悪だ!

 よりにもよって高町が敵側って、冗談にしてもワラエナイ!

 とりあえずこの瞬間20号は核鉄本来の性能を扱えないことが確定した。妥当な攻撃力なら炎熱同化で回避できるけど、ワイバーンの攻撃力はどう見繕ってもオーバーキルですホントニアリガトゴザイマシタァ!

 つうかどうやって倒せばいい?

 

 

「あ、これ詰んだわ」

 

「ちょっ! ちうたん!? 諦めるのはやすぎっしょ!?」

 

「ちうたんいうな

 つか無理だろ、ワイバーン倒せてもスーパー宝貝軍団がいるし、そっちに対抗戦力割り振ってもなぁ……」

 

 

 淀橋が槍で禁鞭を捌きつつそんなことを叫んだけど、肝心の対抗できる戦力があたしの知る限り一人しかいないのが一番痛い。

 

 

「美月、なんとかできるか?」

 

 

 その唯一の対抗可能戦力にハナシを振ってみた。

 若干思案するような表情にも見えるが無表情に近い、肩にトカゲを乗っけた高町なのはそっくりの少女。この集団の中では一番の年下で、実はヴィータよりも身長が低い。だが、男だ。

 但しその戦闘力はこの中では対抗できるのがいないくらいに高い。基本武装は掌握領域で、それで再現したビスケットハンマー(小型版)を扱うのだが、そのハンマー自体概念武装に近しいのでそれで叩けばいいんじゃないかとも思える。

 しかし、

 

 

「無理かと

 あそこまで巨体なものに対抗するには、泥人形でもポジディオンクラスを創る必要性がありますし。そのためには時間が圧倒的に足りませんし

 それに、それに匹敵する掌握領域を使うとなると、ボク一人じゃまず無理です」

 

「再現領域は? つーかビスケットハンマーじゃ無理なのか?」

 

「倒せると思いますけど、倒した端から再召喚されるとやっぱり体力的にきついです

 まだなのはちゃんも抵抗しているようなのでワイバーン一体で済んでますけど……

 あと、再現領域は一回発動ごとに一発が限度です。いちいち再構築する間に夜天の書の封印解除が済んでしまいます」

 

「だよなぁ……」

 

 

 あたしらの最終目標はナイアルラトホテプの陰謀の阻止だ。

 高町なのはを倒すことが目標ではないので、言い方は悪いかも知れんけどワイバーン一体に感けている暇はない。

 なんせ件の書が読み解かれれば、『すべて終わる』らしいし。

 そもそも目標の魔導書とやらがどういう代物かは、まあ美月は知っているらしいがあたしらはナイア以外誰も知らない。そんなのそもそも原作に出てこない設定だし。いや、今更原作どうこう言うのは間違っているというのはわかってるんだけど、でも泣き言くらい言わせてくれよ。

 どうしてこうなったし。

 

 

「おい! はやてがいねーぞ!」

 

「ナイアもだ! 多分転移した!」

 

「む? 銀髪はどこにいった?」

 

 

 でぇぇい、全員でいっぺんに聞くな!

 しかし、聞かれた情報を元に20号で消えた者ら全員の居場所を検索。こういうのでは認めたくねえけどあたしのコイツが一番早い。

 

 

「ユーノとアルフからだ、ナイアとはやては次元航行船内部、やっぱりあいつらつるんでやがったな。まあ、修理中だからすぐに逃げられることは無いだろうけど

 埴谷は交戦中。見るに、こいつは赤髪だな。あいつもナイア側か」

 

「……やばいのではないか? 正一に灰倉を倒せるとは思えん」

 

 

 涌井がそんなことを言うけど、一対一で抑えてくれてるんならそれが一番いい。

 多分、埴谷もそれを狙ってやっているかも知らん。

 

 

「一応、相手が相手だからな。あたしらが対応に乗り出しても対抗武器が無い。

 灰倉鐙の能力は『万物の選択』だし、埴谷に教えておいた対抗策以外だとやっぱり一対一が一番妥当だよ」

 

「対抗策?」

 

「それは、

 ――っ!? 厚志さん離れろっ! 次元転移で誰かやってくる!」

 

 

 デバイスの20号が表示した情報に、慌てて一番隣接していた厚志さんに檄を飛ばす。

 敵対していたときは恐ろしかった肉弾戦車のマッチョな魔法少女が、筋肉の鎧で弾き飛ばしていた海常らをいったん引き剥がし全速力で離脱する。

 そこに転移陣が出現し、そこから現れたのは怪獣だった。

 

――一瞬。

 思考が考えるのを放棄する。

 

 え、なにあれ。

 

 

『KYOAAAAAAAA!!!』

 

 

 ライオンに翼が生えた姿の、身の丈50メートルはあるであろうワイバーンに匹敵する大きさのキメラが。そのままワイバーンへと踊りかかり動きを封じる。

 その様子を見てさすがに驚いたのか、海常らが動きを止めた。

 それらを更に縫い止める人物が現れる。

 こちらもまた、原作にはいないはずの日本人形のような格好の女性が、動きの鈍くなった海常らを次々に石化してゆく。

 うん。石化だ。

 影響力と威力が桁違いなあれは、魔法以上の手段でやっているのではなかろうか。

 何処か、美月に近しいバグの気配を感じる気がした。

 

 

「………………味方、でいいのか?」

 

 

 先立って戦闘していた転生者組みが、思わず距離を置いてその戦場を観察する。

 ヴォルケンズと厚志さんも同様だ。

 そして、その攻撃に抵抗するかのように、ワイバーンがブレスを吐き出す。その動作に一歩反応が遅れた。

 

 

「――って、やばい! ブレスが来る!?」

 

 

 叫んだときにはもう遅く。

 ものみな焼き尽くす破壊のブレスが、その余波が、一纏めになっていたあたしたちに一斉に襲い掛かってきた。

 

――が、

 

 

「鉄壁シーーーールドぉぉぉ!!!」

 

 

 それを防ぎきる、そんな桁違いの障壁を持つ人物が、あたしらの前に現れて攻撃を凌いでくれた。

 

 その人物は、……どうやら女性らしい。

 

 

「――ふむ、本来魔法文化の発展していない辺境の地で、このような威力の攻撃ができるとは

 末恐ろしいものが居たものだな。管理局に所属していないと助かるのだが」

 

 

 攻撃を防ぎきったことを確認すると、中腰の姿勢から立ち上がり、凛とした佇まいを見せるのは騎士のような甲冑姿の女性。

 貌は完全に兜で覆われ、胸当て、手甲、脚甲でそれぞれ武装しているが、武装していない二の腕や太もも腹などの部分は女性の柔肌を見せている。更に口ずさんだ声音から、恐らくは女性。

 そんな彼女は、呆然とするあたしらに言い聞かせるように、声を張り上げた。

 

 

「私の名はタロス、ミッドチルダ防衛戦団、順位6位にして第6部隊隊長、ひと呼んで『鉄壁タロス』!

 そしてあちらは同じく、防衛戦団第4位『獣神ヘカーテ』に、第10位『メデューサ市松』!

 管理局がこの地に逃げ込んだと聞き追撃に参った次第だが、戦力が足りないというのならば手を貸すことも吝かではない!

 よく見ておけ少年たちよ、これがそれぞれ防衛力第一位、殲滅力第一位、捕縛力第一位の比類なき実力だ!

 力仕事もこなせると見せて実は家庭的、そして、ちょっぴり餅肌なお姉さんの『鉄壁』を! 説くとその目に焼き付けろ!」

 

 

 ………………うん。

 言いたいことはわかった。

 この土壇場で戦力が増えたことも喜ばしいよ。

 

 タロスさんとやらは言いたいことを言うと、再び残っている海常らの残党を処理するように『鉄壁』を展開しつつ戦場へと舞い戻ってゆく。

 それじゃああたしからも、言いたいことを一つ言わせてくれ。

 

――他人の星で最終戦争始めるなっっっ!!!

 

 ほんと、どうしてこうなったんだろうなー……。

 

 

 




~いつからIFがネギまのみだと錯覚していた……?
 ありとあらゆる予想を振り切って書き上げたこれじゃない感。
 描く見通しが一向に浮かばないために、この場にて掲載した次第。
 原作通りのちうたんを妄想したひとには悪いかも知れんけど、格好は原作仮契約の魔女っ子コスなのでそれで許してね☆

~最初からクライマックスだ!
 この場に至るまでに色々と紆余曲折があったわけだけど。
 うん。ポカンとするのは良くわかるから、そのもの言いたげな視線は感想にぶつけてください。

~転生者組みはともかくさー……
 とりあえず、『魔法少女プリティベル』と『封神演技(フジリュー)』、『惑星のさみだれ』に『忘却の旋律』を読むことをお勧め。どれも漫画なので、それほど難しいものではないかと。
 あとは『D-Grayman』かな。

~泉井美月
 この世界線においての最大戦力でありバグ。
 一応転生者なのだけど、掌握領域は転生特典ではないらしい。
 見た目は完全になのは似の美少女。正直言葉遣いも相俟って星光さんことシュテルにしか見えない。だが、男だ。
 一応最終戦直前までは味方の振りをしていた管理局の、次元航行船に穴を開けて修理中にしたのはこいつが原因。

~主人公とか闇の書とか
 なんかほぼ空気。
 詳しくは別枠に載せるね。

~みんな目が死んでる
 主に転生者組みが。
 チカタナイヨネ。


IFのルート3、いかがでしたか?
絶対に皆様の期待したものではないと、自信を持って言えます
どーしてこーなったしw

まあ、あれですよ。バレンタイン辺りにちうたんがぼやいていた夢の続きです
並行して進められれば良かったのですが、そんな実力は俺にはねぇ、ということを思い知ったのでこうしてやりました
描きたかったんだよ。仕方ないんだよ

【まにあむけりりかる】の詳細はいっそ『思いつき二次創作』のほうへと載せます
その際に色々とネタバレなことを一緒に載せますので、途中まで進めていた本編は多分消します。大体一週間くらいを目安に
誰かこれを参照に形に起こしてくれると嬉しいなー(チラッチラッ

さて、後残るは高音さんの話ですか
今度こそネギまを書きますので、あんまり期待しないで待っててください
では、次回は本編です

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