ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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めんどくせぇぇぇ!


『説明回だよ! 千草さん!』

 

「そもそも、関西呪術協会が発足した理由を知っとりますか?」

 

「んー、日本の魔法関係の人らをまとめるためのものやないの?」

 

 

 ちょっとせっちゃんを待たせてまうかな、と思ったけども、千草さんの表情は至って真剣なもので。話に付き合うのも致し方ないかな、とも思ってまう。

 わたしの憶測での返答に微笑むと、千草さんは穏やかの表情のままに応えてくれた。

 

 

「その返答では半分しか正解ではないですな。

 関西呪術協会の前身は、元は情報を取りまとめるためのものだったらしいですえ?

 まあ、このことを知っとるお人が、今何人残っているのかも怪しいものですが。私かて、歴史を辿ってようやく知った事実ですし」

 

「情報? それって、どういうものなん?」

 

「要するにネットワークの中継点みたいなものだったらしいですわ。どちらにしろ、呪術師を取りまとめること自体は専門ではなかった、というのが実際のところだったようですわ」

 

 

 あー、なんかそらくんも、魔法使いは今ではインターネットにも手を広げとるとか言うとった気が……。

 いつの時代でも情報は命綱ってことを、昔の人も知っとったんやねぇ。

 あれ? でもそうなると……。

 

 

「今の呪術協会の在り方、って?」

 

「鋭いですな。そこなんですわ、私が懸念しとるのは」

 

 

 一つ息を吐くと、千草さんは言葉を続けた。

 

 

「現在の関西呪術協会は日本の裏関連の術師らを、魔法使い以外すべて取り纏めようと躍起になっているのですわ。

 でもそないなことできるはずがありゃしません。

 そもそも裏の技術自体、呪術師だけで一まとめにできるほど単色ではありませんからなぁ。

 魔法使いに呪術師・陰陽師。それらだけで対立できるほど、裏の世界は単純では無いのですわ」

 

「お父様では手が足りない、っていうこと?」

 

「すぐにそこに思い至るあたり、お嬢様のほうが向いとりますなぁ。

 そもそも、長の本職は剣士どす。

 赤き翼、というものをご存知で?」

 

「知らへん」

 

「二十数年前に魔法世界を救ったという英雄の一派ですわ。長はそのメンバーに所属しておりましてな、そのときの実績とお嬢様のお母様との婚姻で協会の長に就任しましたけども、協会がごたごたと下のものまで手が届かなくなっていったのもその辺りからですからなぁ。

 やっぱり、『詠春さん』には協会の長は荷が重いのでしょうなぁ」

 

 

 そんな事情があったんやね。

 どーでもええけど、千草さんがお父様のことを名前で呼ぶのを聞くと、長としては認めてないことがよくわかってしまうなぁ。でもなんか、別の感情も混じっているような、そうでもないような……? なんやろ?

 というか、それがわたしにお願いしたいこととどういうつながりがあるのかな?

 

 

「まあ、長の責任問題以前の話もありますけどな。

 そこで話はリョウメンスクナに戻ります。

 こちらはご存知ですか?」

 

「飛騨の大鬼神、って千草さんさっきいうとったえ?」

 

「ああ、そうでしたな。

 そう、つまりは元々京都にあるもんとは違うのですわ。

 この『戦力』を抱え込んでしまっていることが、第一の間違いですわな」

 

 

 戦力?

 

 

「この大鬼神、二十年前にも暴れて、それをサウザントマスターや長が封印したという逸話がありましてな。逆にいうと、そこまでの戦闘技能を持っていないと、英雄クラスに匹敵しないと対抗しきれない、ということの証明にもなってしまっておるのですわ。

 『それほどの『戦力』を抱えているからこそ、関西呪術協会は日本の術師を取り纏められる』という、しょーじき逆接にもならん理屈が罷り通ってしまっておるのですわ」

 

「ああー、その勘違いを正すために、そのスクナちゃんを解放しよういうことやね」

 

「す、スクナちゃん?」

 

 

 なるほどなるほど。合点がいったわ。

 ほんなら手を貸すのもやぶさかでもないな。

 

 

「ええよ。わたしに何が出来るかわからんけど、千草さんに手を貸してもええわ」

 

「ほんまですか!?」

 

 

 というか、協会云々じゃないのやろうな、千草さんの目的って。

 

 

「お父様の重荷を何とかしよう、いうのがほんとの目的なんやろ?

 なんかでかい組織の長とかって、そもそもお父様には無理やろうし。千草さんの狙いもすぐにわかったわ」

 

「え、いや、そんな。

 ……そんなにわかりやすかったですか?」

 

 

 ちょっと赤くなってる。

 かわええなぁ。

 

 

「隠そうとしてもばればれやで? お父様も隅に置けんなぁ」

 

「う~、えいs、お、長には内緒にしといてくださいね?」

 

「あはは、なんならお義母さんって呼ぼか?」

 

「是非! ……あ、」

 

 

 こんな若い人が新しい母親となるのも、まあ悪くないかな?

 

 

   × × × × ×

 

 

「ほー、スクナの解放で協会自体の解体を狙うってことか。つまりは」

 

 

 笹浦のおっさんから話しを聞いて、なんとなく狙いも読めた。

 けどとんでもないことやろうとしてるな、千草さんとやらは。

 

 

「まあ、関東が関西を掌握しようという理由の一つが戦力の確保だろうからなぁ。術師は元より、鬼神でさえも戦力として見られていることを考慮しての解放と解体か。

 だから新幹線で会ったときに親書について聞いてきたのか、笹浦さんは」

 

「それが関西の長に渡ると、関西だけの一存じゃ手が出せなくなりそうだったしな。その前に接触できてよかったよ。

 一応、昨日とかは協会本部前で張っていたのだけど。

 それと、千草の嬢ちゃんは純粋に長のことを心配してるらしいけどな。その結果協会っつう『重荷』を下ろさせようってんだから、マジでぱねえが」

 

「よく思いついたよなぁ、そんなこと

 で、解放したスクナはどうする気だ?」

 

「なんか嬢ちゃんの知り合いに外国の魔法組織がいるとかで、そいつらに売り払うつもりで途上ルートの隠蔽を要求しとるらしい」

 

「返せよ。飛騨に」

 

 

 いや、今更鬼神を返されても飛騨も困るかも知らんから別に構わないけどさ。

 

 

「そもそも、日本の術師は呪術だけじゃねえ。

 青森は恐山じゃイタコっつう霊媒師のメッカだし、魔法協会の取り仕切ってるっつう東京の地鎮をしたのは会津出身の僧侶だし、今でも東京の心霊配備は魔法の魔の字も携わってないそうじゃねえか。北海道じゃ未だにシャーマンが生き残ってるしな。

 関西呪術協会っていう名称だけでも、既に名前負けしてんだよなぁ」

 

「そういやあそうか。

 というかシャーマンのくだりもうちょっと詳しく」

 

 

 やっぱりシャーマンキングを決める戦いが何処かで起こっていたりするのだろうか。wktk。

 

 

   × × × × ×

 

 

「え、お前らも一緒にいくの?」

 

「うん。さすがにこのかだけ実家に帰すことはできないでしょ?」

 

 

 ホテルに戻ってみれば5班全員が制服に着替えて出発しようというところだった。というか、修学旅行なんだからそういう別行動自体ダメだと思うのは間違ってるのだろうか。

 

 

「大丈夫です! 学園長の許可は下りているって、先ほど新田先生に許可を取ってきましたから!」

 

「マジで?」

 

「親書とかを渡すように言ったのは学園長ですよ? それくらいの配慮をしてあるのは当然ですよ」

 

「当然かなぁ……

 って、ネギ君も行くんだよな?」

 

 

 行くんだよな? なんかこの葱坊主、既に浴衣に着替えて温泉に浸かる気満々なのだけど?

 

 

「いえ?

 ボクはこれでも3-Aの副担任ですよ~?

 許可を取っていたとしても、特定の班と別行動とか許されるはずがありませんよ~」

 

「え、いや……親書は?」

 

「……ナンノコトデショウ?」

 

 

 目を逸らすな。こっちを見ろ。

 こいつ、完全に渡す気無いじゃねえか。

 まあ、今日のところはそれでも構わないから別に深く追求する気は無いけど。

 

 

「それでは、特別見学実習ということなので、怪我などしないように、周りの人に迷惑をかけないように、気をつけていってきてくださいね!」

 

『はーい』

 

 

 久しぶりに見たな、幼稚園みたいなあのやり取り。

 ネギ君のほうも浴衣だし、緊張感なんぞかけらも無いし。

 

 ってそれより。

 

 

「明日菜、ちょっとまて」

 

「ん? 言っとくけどお土産とかは期待しないでね?」

 

「してねえよ。ほれ」

 

 

 ロビーから全員が出立する前に、明日菜を一人呼び止めて手渡す。

 

 

「? 何これ?」

 

「お守り。もしものための保険みたいなもんだ。首にかけとけ」

 

「なんか、あんの?」

 

「GPSも内蔵されてる。迷子になっても安心だ」

 

「ならないわよっ」

 

 

 と、突っ返されそうになるが、

 

 

「あと、なんかあったらすぐに俺に連絡が来るような仕組みになってる。念のためだ、持っとけ」

 

「ぇう……、

 も、もう、しょうがないわねぇ」

 

 

 と躊躇し、顔を赤くしてそれを首にかけ、服の中へと仕舞う明日菜がいた。

 そんなやり取りを、眺めている一つの眼(まなこ)。

 

 

「……何かな」

 

「いえ? 青春ですねえ」

 

 

 ネギ君、キミって意外と爺くさいな。

 

 

   × × × × ×

 

 

 その日の夜。

 俺の元に、狙い済ましたように悲報が届いた。

 

 

 




~千草さんがアップを始めたようです
 着々と外堀から埋めている千草さんマジしたたか。

~関西&鬼神について
 完全に俺の勝手な解釈です。

~シャーマンキング
 よみがーえーれー(CVはやなみさん)

~お守り
 さよちゃんのあれ。


すっげめんどくせぇ。これを書くのにどれだけの資料を漁ったことか
いや、この話の大本だけってわけじゃないですけどね
でもある程度読み飛ばしても問題無いような気もしてくる。不思議!
というかお二人の口調が俺自身一番違和感。どうすりゃいいの

先週とは打って変わって更新速度ががくんと落ちました。五十一話です
なんか日刊一位をとったとか(他人事)
これもひとえに皆さんの応援のお陰。なんとかクオリティ下げないようにがんばります!

考察とか、政治的影響とか、麻帆良の土地情報とか、いろんなサイトを飛び飛びに漁ってなんとか自分なりの形にまとめられ始めたような気がしますがもう話数も五十を過ぎてんだから遅すぎるだろ常考。と言われてもおかしくありません
それもこれも原作がふわっとしてるから!
いえ、愚痴る気はないですけどね
逆に考えろ、これで好き勝手やっても大丈夫という大義名分を得たのだと
え、今更?

とりあえず、原作では「埼玉県麻帆良市」という表記があったのは確実なので、
所沢の西武ドーム付近に水気があった気がしますのでそこを世界樹として、高尾山のほうを麻帆良山・その反対側にエヴァの家、更に多摩川に麻帆良大橋を架けて、と・・・
ん? なんだおまえらうわなにするやm

・・・感想待ってます


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