ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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・・・なのに、こんな話ですみませんw



『ブレイクタイム』

 

「色即是空、という仏教概念があるのを知ってるかい?

 色とは現世に於ける己の知り得るものを指し、空とはそれ以外を指す。そして色とは空であり空とは色である、というのがその概念の意味するところだ。

 これは世界そのものを己一人の視点だけで見るのではなく、全体を語るものらしい。己の知り得ぬことは己以外が知ることであり、他者が知ることは己の知るもの確たることとは言えない。仏教とは哲学だね。

 この概念をたとえに出すと、恋に恋する女子というものは知らぬものに恋い焦がれているのであってそれほど無駄なものは無い、ということかな。

 高みを目指すのは勝手だが、知らぬものへ期待を高めても届かぬものでは意味が無い。少女よ分相応であれとは、よく言ったものだよ」

 

「おめーら何処に行ってきたの?」

 

 

 温泉に浸かって就寝しようかという適度な時刻、ロビーを通り掛かれば遭遇したのは珍しいことにたつみーであった。

 せっかくなので、と誘われて椅子に腰掛けて顔をつき合わせての雑談タイム。本当に珍しい。

 お前俺のこと嫌いじゃなかったの? と問うて見れば、魔法使いのいざこざに巻き込まれたくないので麻帆良では過度な接触をしないようにと言い含められていたのを了承していたが実際のところ別段嫌いになる要素は抱えてはいないよ、と長ぇ言い訳で一息に応えられて思わず言い淀む。お、おう。

 

 

「とある寺社仏閣にて体験学習。

 由貴英里似の金髪のお坊さんが出てきたときには正直驚いたが、言ってることは意外にまともでためになったよ。最近ではイケメン僧侶、とかいうカテゴリも生まれつつあるのかもしれないね」

 

「たつみーって確か運動部四人組と一緒の班だったよな。よくあの連中が寺の体験学習とか選択したな」

 

 

 原作では某ネズミの王国関西版に行っていたはずでは?

 そしてユキエイリって誰よ。

 

 

「大河内がいつの間にか申し込んでいてね……

 気がついたときにはもう寺にいたよ。びっくりだ」

 

「そ、そっすか……」

 

 

 アキラたんが意外にもアグレッシブで……。

 

 

「由貴英里は、知らないかい? えらくイケメンで今人気の小説家なのだけど」

 

「知らん。まあイケメンに出会えて良かったんじゃねえの? 金髪の僧侶とか何処のリロードかと問い質したくなるけど」

 

「いや、その僧侶とは別物だよ完全にあれは」

 

 

 拳銃片手に須らく魅せる破戒僧が真っ先に脳裏に浮かんだのだけど、たつみーは倒置法で否定。

 理由は? と視線で続きを促した。

 

 

「好みのタイプはニトルグラスパーの佐久間竜一とか言っていたからね。多分ゲイなんじゃないかな、あの人」

 

「色即是空どこいった」

 

 

 ホモォ……。

 ニトルグラスパとやらは知らんかったけど名前からして確実に男性。すげぇ破戒僧だな。むしろ寺に置いといて大丈夫なのかよ。

 そして説法に説得力が無さ過ぎる。芸能界とか、一般人では到底楽に辿り着けそうに無い場所だろうが。高みを目指し過ぎるのは愚策だとか、そう説法咬ましていたんじゃねえのかよ。

 

 

「っと、すまん、電話だ」

 

 

 そんな益体も無い会話をしているところへ連絡。さよちゃんだな。

 一言断りを入れて、電話≪念話≫に出る。

 

 

「もしー? どした?」

 

『そらさん! なんか明日菜さんからの反応が消えました!』

 

「……どういうことだ?」

 

 

 さよちゃんにはあらかじめ、感覚共有の媒体は明日菜に渡してあると伝えてある。

 が、それが消えるってどういうことだ?

 

 

『わ、わかりません! 急に身動きが取れなくなったと思ったら視覚も触覚も聴覚も閉ざされたままで……っ』

 

「………………とりあえず、さよちゃんは今から俺の言うことを実行してくれ。俺は現場に行ってみるから」

 

『はい……!』

 

「まずは――、」

 

 

   × × × × ×

 

 

「あ?」

「お」

「吽?」

「おろ?」

 

 

 四者四様で驚きの声を発する。

 此処は昆神社の参道真っ只中。

 さよちゃんにそれなりに指示を出し、関西呪術協会の本部へと急行したわけだが、その道中にて麻帆良武道四天王のお三方と顔をあわせてしまった。

 何故ここに。

 

 

「なんで?」

 

「いやいや、ブラックに救援を求められてしまいましてな。一人では援軍として心もとないゆえ、こちら二人に伝手を頼った次第でござる」

 

「緊急の要件だとかで出張ってきたわけだけど、そちらはどうしたのだい?」

 

「こっちは別口で救難信号受け取ったんだよ。

 というか、たつみー以外帰れよ」

 

 

 はっきりと魔法に関わっているのはそこの色黒巫女しかいないわけだろ? 勝手に関わらせると後が怖い。

 参道を駆け上がりつつそう提示してみれば、忍ばない忍者がそのスピードについてきながら応える。

 

 

「しかし、そちら二人だけでは大変でござろう?

 夜目の利きにくい素人相手では、闇に溶け込みすぎて見つけることが困難ではないかと、」

 

「「色黒馬鹿にしてんのか!? そこまで溶けこまねえよ!」」

 

 

 思わずたつみーと台詞がはもった。

 そんな俺らを気にすることなく、残る色黒もとい褐色肌の馬鹿イエローも参戦してくる。

 

 

「まぁまぁ、足手まといにはならないつもりダシ、気にすることないヨ」

 

「それにブラックの居場所はこのGPSで探知しているゆえ、烏丸殿では見つけられずにスルーしてしまいそうでござるし」

 

「……そんなことはねえよ?」

 

 

 忍者も文明の利器に頼る時代か。と思わないことも無いけど、便利なのでその点には触れない。

 それより割とぐうの音も出そうに無い要点を突かれ思わず目を逸らしてしまいそうになるけど、それに気づかなかったのかたつみーが声を潜めて話しかけてきた。

 

 

「すまない。だが私だけで今更出直すにはもう遅すぎるし……」

 

「いや、もういいけどさ……」

 

「それはそうと。

 何故烏丸君がきたんだい? てっきりエヴァンジェリンあたりを押し出してくるかとも思ったのだけど」

 

「エヴァ姉を出張らせるには契約を動かす必要があるからな。そうなると、仮契約主となる俺の魔力が根こそぎ持っていかれるし、常に一緒に動かなくちゃならなくなるからその場合は『俺が』完全に足手まといになる」

 

「ああ、成る程」

 

 

 納得のいったように頷くたつみー。

 俺も気になっていたことを質問することにした。

 

 

「で、ネギ君はどうした?」

 

 

 てっきりそっちと一緒に動いたのかと思っていたのだけど?

 

 

   × × × × ×

 

 

「うーんむにゃむにゃ、もう食べられないよう……」

 

「テンプレな寝言を呟いている場合じゃないぞ、ネギ君! 起きろ!」

 

「ふぁいっ!?」

 

 

 布団にて就寝していた薬味坊主を神多良木先生が叩き起こす。起き抜けにヒゲとサングラスのドアップが目の前に現れたことに一瞬パニックに陥りそうになったネギ少年であったが、それが自身の知る者だと思い至るとほっと胸を撫で下ろした。

 

 

「な、なんだ神多良木先生じゃないですか

 なにかあったんですか?」

 

「何かどころじゃないぞ! 麻帆良から脱走者が出た! 関西呪術協会のものらしいのだが、ネギ君は親書を届けに行っていたのではなかったのか!?」

 

「はぁっ!?」

 

 

 一度に色んな情報を叩きつけられて混乱する葱坊主。実際、ヒゲグラ先生も混乱しているのかもしれない。

 そのことを自覚できたのか、はっと気がつくと深呼吸をして言い直すヒゲメガネ。ところで魔法教師の一人だということは、バラしてしまっても構わないものなのだろうか?

 

 

「む、いや済まない。

 学園長からたった今、東西の融和を脅かす、おそらくは反対派と思われるものらが二名、捕縛してあったはずの麻帆良から脱走していたという連絡が入ったのだ。

 呪術協会本部とは連絡が取れないというし、そのことでネギ君に注意を促すように言われたのだが、ネギ君は親書を届けに行ったのではなかったのか?」

 

「い、いえ、今日のところは遅いですし、明日にでもと、今日関西呪術協会の本部に行っているのはこのかさんや明日菜さんたちで……」

 

「な、一般人と学園長のお孫さんがか!?」

 

「で、でもそちらでしっかりと話はついているはずですから、安全面は大丈夫だったはずなのですけど!」

 

 

 自分に言い聞かせるように口調が強くなる葱坊主。実際、そうであってほしかったのだと、言外に語っているようにも見えた。

 

 

「……っ、とにかく、呪術協会の本部に敵対勢力が向かったのは事実だ。

 ネギ君はすぐに出撃の準備をしておいたほうがいい。それと、烏丸は何処にいる?」

 

「え、そらさんは……?」

 

 

 ここで、初めて少年は同室のはずの彼の姿が無いことに気づいた。

 昨日も結局深夜遅くになるまで帰ってこなかったらしいし、今日も女子部屋にでも行ってるのだろうか? と憶測をしかける。

 そこに、

 

 

「そらなら一足先に現場へ出向したよ」

 

 

 いつの間にかそこにいたのか、真祖の吸血姫・エヴァンジェリン=マクダウェルが偉そうに壁に寄りかかっていた。

 

 

「エヴァンジェリン……?

 現場に出向とは、どういうことだ?」

 

「言葉の通りだ。そらの元に別方向からの救難信号が届いたらしくてな、本来ならば実力の差ということで私が出向くのが筋なのかもしれないが、生憎私に掛けられている契約が足枷になる。私は泣く泣くヒーローの役目をあいつに譲った、というわけだ」

 

「って、襲撃されたのは確実なんですか!?

 た、大変だ! 僕も早く行かな「行って、どうするつもりだ?」っ!?」

 

「ネギ先生は見習いの魔法使いで、大きな魔法事件をどうにかできるという実績も無ければ経験も不足している。

 対して、関西呪術協会というのは腐っても一端の魔法組織だ。そこを襲撃できる実力者に、ただの見習い魔法使いが、高が『英雄の息子』程度が、どうにかできる範疇はとっくに超えている。

 ボウヤ(・・・)、子供は大人しく、大人の帰りを待っているものだぞ?」

 

 

 エヴァの言葉にネギが声に詰まる。

 それは奇しくも、この中で誰よりも自分の実力を自覚しているがゆえに真っ先に気づけた。そんな躊躇の足踏み。

 少年は、弱い。

 その事実を知るからこそ、彼自身は何も言い返すことが出来なかった。

 

 

「だ、だが、エヴァンジェリン、烏丸も、魔法使いとしては未熟そのものだろう?

 麻帆良では警備についた経験も無い。実戦経験が何より不足している者の筆頭ではないか」

 

「おいおい神多良木先生、あいつをなんだと思っているんだ?

 ――曲がりなりにも私の一番弟子だぞ? この程度の騒動、一晩で解決に導くさ」

 

 

 妙に自信のある言い方にヒゲグラ先生も言葉をなくす。

 が、自分の言い分だけでは説得力が無いのは百も承知なのだろう。

 

 

「ま、不安だというならジジイに登校地獄の契約変更の術式の打診でもしておけ。咄嗟のときには、私が出張って事件を片付けるさ」

 

 

 そう言い締めて、少女は部屋を出て行った。

 後に残されるのは今後の打診のために学園長へと連絡を取り始めるヒゲメガネと、己の弱さに口の端を噛み締める少年だけであったという。

 

 




~色即是空空即是色
 あんまり高みを目指すなよ!お前の知るところは結局その程度!分相応に夢を見ないのが現実的な生き方だぜyear!
 という仏教的哲学の教え。ちなみに仏教の元は宗教ではなくて哲学だそうで。蛇足蛇足

~たつみーの言い訳
 せ、せやな・・・

~リロードな破戒僧
 硝煙の香りとタバコと酒と麻雀が良く似合う金髪の破戒僧。ジープに乗って西域へ、須らく見よ

~ニトルグラスパー
 佐久間竜一をボーカルとした人気バンド。佐久間竜一本人は現在外国へと出向中の世界的アーティスト。そろそろ三十路に突入だというのに可愛さが天元突破しているおっさんで、ファンの心を鷲掴みにして離さない。ぱねえ
 最近そっくりな少年の率いるグループがデビューしたとかしないとか

~ネギ、不参加
 あれー?


なんだか前回くらいから微妙にクロスな気配が漂っていますが言及するつもりはございません
言い出したらきりが無いしね。因幡とか、鬼瓦幕僚長とか、とっくにクロスキャラは出ていることだし
ネギま原作を消化しきったら何かしら出すかもしれませんが、今のところはネタの域を超えません。ファンだという方がいたらごめんなさいね?

色んな伏線が張られていますが感想でネタバレさせたくないのであんまり言及は避けて欲しいなー、っとも思ったり?わかりやすい展開だと言われちゃったら言い訳できないっすけどねwww
逃げ出した二人って、だ、ダレナンダー(棒)

あと突発でハイスクールDDの二次創作とか書いてみた俺がいる
タイトルは“忙しい人のための赤竜亭”
東方のあれを捩りましたwそのままのスピードで脳内再生をヨロシクお願いしますw
よろしければ読了ください。では

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