しっかりしろ俺・・・っ!アイツはヒゲ面のおっさんだぞ・・・!しかも強面w
あ、前回のあとがきでドヤ顔がうざいと言われたのでちょびっと修正。宜しければ読み直しをどうぞ
え?意味合いが違う?
『やだ……やだよ……しんじゃやだ……』
『そいつは、無理な相談だな……』
『ガトウさん……しなないで……!』
『泣くなよ……。いいか、俺のことは忘れろ……』
『やだよ……わすれたくない……!』
『忘れて……幸せになれ……』
『やだ……ガトウ……お父さん……っ!』
『っ! ――はは、……最後にそう呼んでもらえただけでも、充分さ……』
『お父さん……!!』
心の声に叩き起こされるように、記憶の己が叫んだのを切欠として明日菜の意識が浮上する。
がばり、と跳ね起きて、どっどっど、と鳴り続ける心音を確認するように自身の胸を押さえる。
記憶の中とは違う。ふくよかに成長した女性らしい胸だ。未だ少女と呼ぶに相応しい程度の大きさでしかないが、それもまた成長の証だと無意識の誰かが呟く。
――あのころとは違う。確りと成長できる身体だ。
「――……、おもい、出した……」
目を覚ますと同時に、明日菜は過去を思い出していた。
煙草の香りを身に纏った、胡乱気な男性。そして自分よりわずかに年上であった、幼さの残る少年。その二人と旅をしていた。そんな過去。
紅き翼、ウェスペリタティア、黄昏の姫巫女、魔法世界の崩壊、英雄と呼ばれた少年に助け出された記憶、その仲間であった男性とその弟子と旅をしていた記憶、そして、死に別れた記憶。
全てを。
「明日菜さん? 大丈夫ですか?」
名前を呼ばれて、焦点の合ってなかった瞳がそちらを認識する。
黒髪の同級生。自分と同じ年のはずなのに、ずっと幼気な少女。
「……ゆえ、ちゃん?」
「はい、ゆえです」
認識して思い至る。此処は過去の記憶ではない。
此処は、確か親友の実家であったはずだ。件の親友は別件で外出したところであったが、そのあとで襲撃されたのだった。
と、近しい記憶に己の状況把握をフォーマットし直して、
「………………なにこれ」
周囲の状況を見て、絶句した。
自分らを取り囲む何らかの『術』を行使しているのだろう、呪文を唱え続けている術師ら。
怒号と悲鳴に塗れながらも、必要なものを必要な場所へ届ける必要があるのだろう。バケツリレーの如くに途絶えることの無い奔走を繰り返す、巫女の格好をした協会の者ら。
絶えず襲い掛かり続けている異形の生物らは『人』を狙っているのだろう。それらを片っ端から狙撃し、弾き飛ばし、撃墜する、見知った顔の女子が三人。
どれもこれも、意識を失う前には欠片もなかった光景だ。
「――えっと、確か、巫女さんたちが石にされちゃったんだよね……?」
「はい。その術の使い手は烏丸さんが倒したので、皆さんの石化は無事解けました」
己の記憶を確認するように呟けば、ゆえがそれに応えてくれた。
その返答に、「(そっか、そらが来たんだ……)」と微かに嬉しさが心の内に染み出ていたが、同時にあの術は今思えばなんだったのだろうか、と記憶を取り戻した頭で疑問が浮かぶ。確か己は魔法を無効化できるはずだったが……と。
「で、まだこんな状況ってことは、その襲ってきたやつに仲間がいたってことなの?」
「……あー、いえ、それなんですが……」
そうでなければ異形の怪物が多種多様にこの『屋敷へ』襲撃をかけ続けているはずが無い。
それを撃退している顔見知りの三人娘も若干気になるが、今は現状確認のほうが優先だと一先ず一番の懸念から質問した。
が、ゆえは目線を逸らしつつ、言葉を濁し、
「――私自身、何から説明したものかと思うのですが……、とりあえず――、」
そうして語りだす。
『こうなった』そのときの状況を。
× × × × ×
「とりあえず、これ以上の危機はないようですね……」
死んだ人には悪いのですが、どう考えても襲ってくるほうが悪いのです。と命の重さについては一旦思考を割り切り、石化が解け始めた烏丸さんの左腕を視界に収めてほっとします。なんだかんだで烏丸さんにも毒されてきたみたいで非常に不本意ですが、こんな状況で我が侭を言う気は無いので黙っておきましょう。あれもこれも全部後です。色んなことがいっぺんに起こりすぎて思考放棄していた、というのが正直な本音ですけど。
……わたしを守るために犠牲になって、切り落とされた左腕を見てしまうと、どうにも申し訳ない気持ちも浮かびますしね……。
「そっちの三人娘も復活中。さて、ヘラクレスくんをどう説明したものかねぇ」
「隠し事ばかりしてるからこういうときに大変なんですよ。一度どんな手札を持っているのかくらいばらしてみては如何ですか?」
確かエヴァンジェリンさんもセルシウスのことを知らなかったとあの日言っていたみたいですし、この人は本当にいくつ隠し札を持っているのか。
そう考えると申し訳ない気持ちも吹き飛びますね。
「そして敵も(冥府に)去ったのですし、いい加減にその腕も治療したほうが宜しいですよ?」
石化の解けた左腕を持ち上げて唸る烏丸さんに、そんな言葉を投げかけてみれば、
「こうなると本格的な治療に集中せんといかんからなー。俺の工房に行けば機器も揃っているからなんとかできるんだけど」
どこの魔術師ですか。と口を挟みたくなるようなゲーム的な単語が飛び出しました。
というか、
「……? 応急処置くらいならできるのでは……?」
というわたしの純粋な疑問に対して、
「んー、無理だな」
そんな言葉をあっけらかんと呟きます。
「え、でも、切断したのはその、スタンド、ですよね?」
未だに納得できませんがそう言っているのですから認めざるを得ませんが、スタンドはスタンド使いにしか見えないという『ルール』が存在していたはず。そうなるとわたしも『それ』だという可能性が浮かびますが……。わたし、『矢』に射抜かれた経験も『遺体』に関わった経験もありませんよ……?
と、今はそれよりも別のことでした。
「俺のスタンドじゃ付け直すためにはイメージが足りん。単純に『治療』とやるには重傷だし、癒着とくっつけるにはどの部分がどうくっつくか見当つかんから最悪くっついたら関節曲がらなくなるかもしれないし。そもそも能力一度解かないと書き込めないし解いたら解いたで出血多量で死ぬかも知れんし。マチみたいな観察眼とかドクターブライスみたいな念能力が欲しかったなぁー」
最後の台詞は聞かなかったことにします。
というか、そこまで明け透けに話してしまってもいいものなのでしょうか? いえ、確かに手札を晒せと言ったのは他ならないわたしですけど。スタンド能力まで晒されると、こう、言い知れぬ罪悪感まで感じてしまいそうですよ……!?
「ま、魔法でちゃちゃっと……」
「ストックしてあるけど、起動させるのと腕の固定とに文字通り『手』が足りないな」
誰が上手いこと言えと。
「魔法自体それほど強力な奴じゃないからどのみち腕をくっつけるにはこの場じゃ無理だしなー。折角だし協会本部に出向いて治してもらうか?
――……って、お?」
暢気な様子でそんなことを言っていたとき、烏丸さんは不意に宙を見上げました。
何かと思い、わたしも見上げれば、
―――ォォォォン……!!!
何処からか怪獣の鳴き声のような咆哮が……。
「封印が解けたか。多分リョウメンスクナだろ」
「あっちにはあの人のような刺客は赴いて無いですよね?」
無事に事が済んでいるといいのですが……。と、このかさんと刹那さんの身を案じつつ、思わず未だ動かないはずのお爺さん(半分)に目を向けました。
目を向けて――、絶句しました。
――バリバリ ボリボリ グチャグチャグチャグチャ
いつ、それらが現れていたのか、お爺さんの死体は無数の異形の怪物に食されておりました……。
「――ひっ!?」
「あ? なんだこりゃ?
――はぁ?」
素っ頓狂な声を上げる烏丸さんの周囲に、障壁が出現します。今まで反応しなかったのに、何故?
と、思っていると、急に息が、苦、しく……
「っと、やばいやばいやばい」
× × × × ×
「――おう、神社、というか協会の敷地の外側な? 全体的に広範囲で頼む。ああ、出力はそれほどかからんと思う。出て来る奴らは弱いのばっかりだし」
――再び気がついたときには息苦しい気分は消えて、ある程度快調な状態に戻っていました。
恐らくですけど、烏丸さんが何かしらの処置を施したのだと思われます。
「何が、あったんですか……?」
烏丸さんは何処かへ電話をかけている様子ですから、説明できるほど余裕があるとは思いません。
なので呟きつつ、自力で状況の確認をしようとします。目が覚めていた楓さんの背に負われながら周囲を見渡せば、ヘラクレスさんが無数に湧き出ている異形の怪物らを片っ端から滅多打ちにしているところでした。
「え、ほんとになんですか、あれ」
「おや、気づいたかい」
「あ、龍宮さん」
周囲を警戒している龍宮さんに、心配したと言いたげな目を向けられました。
「瘴気に中てられたようだね。突然このあたり一帯に濃い目の瘴気が吹き出し初めてね
まったく、こんなもので処置ができるとは、つくづく規格外な人だね」
「こんなもの?」
言われて首をかしげると、龍宮さんは自分の胸元を指差しました。手に取るとわたしにも同じものが。
「成田山のアミュレットだよ。個人用簡易結界の効果を及ぼすらしい」
「ますますゲームの世界ですね」
「いや、アミュレット自体は普通に売っていたらしいけど」
何を売ってるんですか成田山。
「お、気づいたか
じゃあ俺はちょっとスクナ見てくるから、お前らは協会本部で結界強めておいてくれ。なんかどう考えてもイレギュラーな事態みたいだし」
じゃあいくぞヘラクレスくん!と叫び跳び乗ったかと思うと、烏丸さんらはそのまま飛び立ってゆきます。
ええー……。確かにここら一帯の異形らはヘラクレスさんが片付けたみたいですけど、乙女を四人も放置してゆきますか普通……。
まあ、中心地のほうが危険だという理屈は、わからないでも無いので構いませんけどね……。
× × × × ×
「――と、いうわけでして
ちなみに協会の敷地全土を外側から結界を敷いて怪物らを逃がさないようにしているのは茶々丸さんらしいです」
と、ゆえは締めくくる。
これで篭城の説明は全てなのだが、内心果たして納得してくれるだろうかと戦々恐々でもあった。
どう見ても明日菜も物事の中心から遠ざけられて、はいそうですかと簡単に頷けるような性格をしていないのは明白だからだ。
そらは明日菜の幼なじみであるらしいし、そら自身あの場にやってきたのは明日菜の身に起こったことを心配してやってきた、ということは憶測できた。
そうなれば遠ざけるのは自明の理でもあるのだが、明日菜のほうもそらを心配するという心情を抱えているのは普段の親密具合からも容易に推測できる。
このあとどんな無理な注文を告げられるのか、とゆえはちょっとだけ憂鬱になる。
「……ねえ、ゆえちゃん」
「は、はい、なんでしょうか……」
「そら、左腕取れたままなんだよね……?」
「で、ですね……。治療は麻帆良に戻らないとできないとか言っておりましたので……」
「そうだよね……」
ふぅ、と息を吐く。
ああ、これは噴火前だ。とゆえは漠然と理解した。
「――そんな状態で何をやってんのよアイツはぁぁぁあああ!!!」
「わ、わたしに言われましてもぉぉぉ!!?」
記憶を取り戻したことなんて、最早どうでもよかった。
× × × × ×
一方、協会の中心で怒りが爆発していることを知らぬ少年は、カブトムシのホムンクルスに乗ったままとある一点を見ていた。
「――おいおいおいおいおいおいおいおいおおいおい、なんだよあれは……」
それは、天を衝くような巨躯の大鬼――、
――ではない。
「なんでこんなところにあるんだよ……
ああ、魔法使いが携わっていたからか……? こんなものまで秘匿するなよ、バカだろチクショウ……」
どう考えても問題がある。と頭を抱えて項垂れる。
その少年の視線の先は大鬼の出現した大岩――、でもなく。その傍にある、湖であった。
――そこから、瘴気が漏れ出していた。
「スクナの気に中てられて活性化したか……それとも綻びが緩んだか……
おっかしいなぁ、聞いた話じゃどでかい穴はとっくに塞がれていて、こんな地表にまで出ているはずが無いんだけどなぁ……」
完全に専門外だわ。と一人呟く。
よくよく見ればスクナのほうもなんだか暴走しかかっているご様子。
何処ぞの巨人型決戦兵器宜しく拘束具を解除する勢いで咆哮を繰り返す。
どちらかというと、大鬼の方が瘴気に中てられているようにも見えた。
「めんどくせー。すこぶるめんどくせー……
――でも、やれるやつって俺しかいないんだろうなぁ……。はぁ……」
ため息をつきつつ、ヘラクレスの進撃は止まらない。
やるしかねー、と気合を入れて、烏丸そらは現場へ赴いた。
~マチみたいな観察眼
念糸縫合技術は能力だけじゃ説明つかない気がする
~ドクターブライス
玩具修理者。死者蘇生まではできないけどね
~成田山のアミュレット
言い方違うけど要するにお守りのこと。ので、売っていても不思議じゃないよ?
効果というか魔性付加≪エンチャント≫はそらが色々仕込んだわけだけど
~異形の怪物
姿のほうはご想像にお任せします
ハイスクールD×Dの二次を始めたお陰でちょっとだけ更新が遅れました
いや、あっちのほうがやたら書きやすくて書きやすくて
短いのですけど内容が濃い目です。地獄少女がやたらと人気。何故
別の作品のキャラで表現するな、という旨を感想でつっこまれました
思わずそうだよな、と思い謝ってしまいましたが、そもそも視点が主人公の場合は明確に語る気も無ければ明確に語れるほどの性格でもありません。という前提が暗黙の了解にあったりします。勝手に
ついでに言うとそのすぐ前文辺りに相応の描写をして、それから例文のような形で表現しているし、今更考えると別に平気じゃね?伏せ字にする必要性は多少なりともあるけど。と思い至る始末
こいつ、反省してねえぞw
もっといい表現も今なら思いつきますが、書くその時に思い至ってないのだからその時の己の実力がその程度なのだと思われるのも致し方なしです
まあ今後もこういう表現を割とやらかすかと思います。所詮踏み台にして欲しい二次創作ですから。読者の方がこれを読んで面白い話を考える参考にしてくれればそれで良いんですよ
作者のことを嫌うのは別段構いませんが、小説というものに拘りを持つのは止した方が宜しいかと
文章なんてのは誰が書いても良いんです。面白ければ。これが駄目それが駄目、と言うよりは、清濁併せ呑んで厳選したほうが愉しいですし?と余計なことをまたこんなところで呟きます
そんなんだから突っ込まれるんじゃ無いですかやだー
相も変わらず、前書きや後書きで余計なことしかしないのが俺ですw
精進します