ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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遅くなって申し訳ない
多分過去最高の謎回


『クタァト=アクアディゲン(・・・?)』

 

「ヘラクレスくん、一足目、始め!」『カブー!』

 

 

 二足歩行のカブトムシを従えてわたしらの前に現れたのはそらくんやった。何を言うとるのかわからんかも知れんけどわたしも何を言うとるのか良くわからん。催眠術とか魔法とかとはずっと違う、なんか恐ろしいものの片鱗を味わったわ……。

 

 

「――で、呆けとる様だけど大丈夫かこのか?」

 

「ああ、うん。一回ポルナレフやったら落ち着いたわ」

 

「そかそか」

 

 

 改めて、リョウメンスクナの封印を解いたと思ったら突然の咆哮、辺りには瘴気が漂ったという千草さんらの談に慌てて皆で入れる結界を用意してくれた笹浦のおじさんには感謝やけどわたしの魔力とやらもスクナにぐんぐん持っていかれている現状ではいつ結界も解かれるかわからんかった。そんな地味なピンチに助けに来てくれたそらくんマジイケメン。さすが雰囲気イケメンといわれるだけのことはあるわ。というかどうして片腕無いん!?

 

 

「そ、そらくん左腕どうしたんや!?」

 

「途中でちょっとあってな。まあそれはいい

 今はこれを収めるのが先だ」

 

 

 全然放っておいていい問題とちゃうと思うんやけど。

 

 

「これは……、どういうことなんや……、私の封印解除術式は間違っていなかったはずやのに……」

 

 

 千草さんが虚ろな目でそんなことを呟いた。

 救援が来たお陰でちょっとだけ余裕が出たんかな。

 

 

「どちらかというとこれは封印した場所の問題だと思うが」

 

「……え、なんやあんさん、これがどういうことなのかわかっとるんか……?」

 

 

 その呟きに応えたのはそらくん。

 まあ、湖の真ん中では二足歩行のカブトムシくんが木剣を振るっておるのやから、多分全部把握してやっとるのかと思うけど。あれ、多分封印術式か何かやろうしなー。

 

 

「あれは、反閇、か……?」

 

「さすがに笹浦さんは知ってるか。ああ、心配しなくてもスクナを再封印するわけじゃないから」

 

「じゃあ、なんで封印術式を組んでるんだ……?

 しかも、あれは俺でも見たことの無い型だぞ」

 

 

 笹浦さんって意外とインテリ系なんやろか。そらくんのやろうとしていることに興味深々で解析しようとしとるみたいやし。

 

 

「説明、要るか?」

 

「「頼む(わ)」」

 

 

 千草さんと笹浦さんの声が完全にはもった。

 一方わたしとこたろーちゃんとせっちゃんは置いてきぼりのままや。何がどうなってるのか、さっぱりわからんかった。

 

 

「まずは、地球空洞説というものを知ってるか?」

 

 

 その切り出しで、更にわけわからんことになったのは言うまでも無いな。

 

 

   × × × × ×

 

 

 1692年、エドモンド=ハレーによって提唱されたこの惑星の内殻に存在する直径一万キロになんなんとする大地と極孔及び世界各地に点在するそこへ通じる穴についての奇説らしいがな、都内某所のちょいと老舗の骨董品屋の魔女に聞いた話ではどちらかというと『こっち』が内殻じゃないかとゆう話だ。それというのも『あちら側』のほうが比較してずっと広大だからという理由にしか基づかないが。

 で、だ。その説を裏付けちまう事件が実は半世紀ちょっと前くらいに大陸のとある都市で引き起こされた。

 正確にはその都市のど真ん中に眠っていたファンタジー合金を回収するための犠牲だったらしいが、どちらにしろいつまでも放置しておくわけに行かない代物だったらしいからそのついでに『穴』を塞ぐと言うのも現代の人類にとっては有り難いことだがな。その犠牲になった都市は地図から消えたそうだから、当時そこで生活していたやつらにとってはたまったものではなかったと思うけど。

 

 それとは規模はずっと小さいけど、これも『穴』だ。本来なら地下にあるはずなんだろうけど、何かの拍子で地上のここまで上がってきたんだろうな。

 それを魔法使いの秘密主義が今日まで隠し続けてきたってわけか。隠した上に放置プレイとか、誰得だっつーの。

 

 この『穴』というのも単なる現象に過ぎなくてな、向こうの宇宙とを繋ぐ回廊みたいなものでこれが開ききってしまうと向こうの法則に侵食されて世界が終わる。正確にいうなら、物理法則が捻じ曲げられて自我の脆い己のカタチの認識の甘い他人に与えられた価値基準を丸呑みな輩はあちらの法則にのっとった形に順応しちまうらしいのだが、桜咲のその姿はそれの影響か? まあ、羽が生える程度ならまだ良いもんだろ。女神転生も真っ青な怪異か怪獣かに変貌した標本を見せてもらったことがあるけど、あれに比べればずっと可愛いさ。――おい、顔を赤らめるなよ。褒めてねえよ、別に。

 

 んんっ、話を続けるぞ。

 

 穴の規模が小さかったのと、最低限度ではあるけど地脈を封印する下地が呪術協会にあったのが幸いしたのかも知れんな。変貌したのは今のところ人には及んでいないはずだ、まあ、道中昆虫だか山の獣だかが百鬼夜行になって屍骸を漁るようにはなってしまったようだが、今のところ協会本部は防戦に徹底させているから被害は特に無い。周囲に結界を敷くようにも連絡はいれてあるから、街中に被害が及ぶことも無さそうだし。

 それにしたって小規模ではあるけど穴が放置されていたのが一番いただけないな。本当にただ塞いだだけって感じ。お陰で法則の余波が瘴気って形で噴出してんだと思うぜ?

 

 

   × × × × ×

 

 

「――で、今はその穴の処置かな。規模から考えて人体で言うところの引っかき傷程度のものだろうけど、自然治癒にするには内側から吹き出てくる『血』を止めていないのが問題。生傷のままって状態だな。

 さすがに回廊をどうにかする技術は俺には無いからねー、俺に出来るのはせいぜい場所を移す程度だ。もうちょっと処置のし易い場所に、な」

 

 

 あかん。本格的にわけがわからへん。

 SFな話に行ったかと思ったらせっちゃんの背中には羽が生えとるし、都内某所の骨董品屋の魔女って誰や。有子さんか? これも魔法関連の話と仕舞ってしまって良いのやろうか。

 

 

「……言いたいことは色々あるけど、処置のし易い場所ってのは何処や?」

 

「麻帆良」

 

 

 千草さんの質問にあっけらかんと答えるそらくん。

 

 

「って、麻帆良にこの穴を移すん!?」

 

 

 なんかとんでもないこと考えとった!?

 

 

「正確には世界樹かな。あれ、ヘラクレスくんの振るっている木剣、旙桃の枝なんだよ。その中に紫金の針代わりとして金を流し込んだ特別製でな。振るって流れを断ち切り最終的に中心へ突き立てることであの枝を世界樹と誤認させてリンクする。そうすることで瘴気は世界樹へと流すことが出来る。

 世界樹は循環器としてはこの世界で最高級のものだそうだ。そうして魔力に転換させれば向こう数百年くらいは放置しても大丈夫だろ」

 

「長い。三行で説明して」

 

「これ以上要約できねえし」

 

 

 わ、わけがわからへん……。

 大丈夫って言うからには大丈夫なんやろうけど、千草さんもよく理解できてへんのかぽかんとした顔しとるし、笹浦さんに至っては頭痛が酷いかのように目頭を押さえとる。あれ? 『大丈夫』を信頼できる要素が見あたらへんよ?

 

 

「まあ四の五の言ってる間にそろそろ架橋なんだけど」

 

「へ?」

 

 

 言われて湖を見れば、二足歩行のカブトムシくんが真ん中に剣を突き立てているところやった。

 え、もう終わったん?

 

 

「流れを断ち切ったから、もうこのかの魔力も遮断されてると思うけど?」

 

「え、あ、い、言われてみれば……」

 

 

 力が抜けるようなあの感覚がいつの間にかなくなってることに気づく。別の意味で力が抜けそうなんやけどな。

 

 

「……瘴気も無くなってるな。なんっつう無茶苦茶な術式を組みやがるんだこのガキ……」

 

 

 笹浦さんがそう言って結界を解く。

 お、終わったんか。なんかどうなることやと思っとったけど――、

 

 

『He is torch to the heart of people clearly filled to people's child's eyes in supreme Jin's work gorgeously once again at vanity and deception…』

 

 

 ――はい?

 

 

『my God -- please lend how or power…』

 

 

 なんか英語?が聞こえたかと思って、みんな揃って上を見上げる。

 

 ――リョウメンスクナがまだおった。

 

 

「あれ? なんで一緒に相殺して無いんだこいつ?」

 

 

 え、想定外なん?

 

 

『The child etc. of the poison electric wave which tells an ignorant crowd the voice of God and it pours from the dark sun to God

 God gave only this me Stigma as save – already teach me the reason right into this world by this power -- me -- this world -- a living deity…』

 

「あー……、多分だけど、『あの』スクナもあっちからきた元・人間なのか?」

 

「は!? あれが!?」

 

「少々愉快な見てくれになってもあれも人だ。かなり前にあっちに迷い込んでそれが出戻ってきたんじゃないかな、生物としての帰巣本能が働いたか?」

 

『right God gave the right blessing of the right help correctly to the child of God right us who continued repenting the right faith on a breast every day already alike right It is different and twists!』

 

 

 うわぁ、なんや、ハウリングみたいな聴こえ方で声(?)がびりびり響く。

 意味のありそうな言葉を発声させているのが余計に醜悪に思えてくるな。なんか、嫌な感じや。

 

 

『it can sing sacred song in praise!

 Brace up the good heart!

 It is March about March!』

 

 

 五月蠅っ!?

 

 

「――the pseudo cleric of religion collapse. Is it a case where it is immersed in a good feeling?(宗教崩れの似非聖職者が。いい気になってんじゃねえぞ?)」

 

 

 え、そらくん今なんて言ったん?

 あ、なんかスクナがこっち向いた。

 

 

『What was it called now?』

 

「was said that it was noisy It goes also on a diet, oxygen consumption can be cut down fuck.(うるせぇっつったんだよ。ダイエットでもして酸素消費量を少しでも減らせや豚が)」

 

『…God said. There is no necessity that you get angry. To a thing to that extent is as useless no thing as getting angry with the said thing of a yellow ape and an animal』

 

「if I am an animal, although you will be an insect. White maggot(俺が動物ならお前は虫だろうが。白蛆)」

 

『…it is better not to offend me. I am " simply only at twisting this hand, such as your life--』

 

「It does not have the culture with it which can understand the language of an insect.(虫の言葉なんて理解できねえな)」

 

『it is good courage! it kills pagan right now!』

 

 

 そ、そらくん何言ったん!? なんかスクナがえらい剣幕でこっちを威嚇しとんのやけどぉー!?

 

 

「いや、だってあいつうるさかったし、なんか妙に態度偉そうだしよ」

 

「そんなんでも喧嘩腰に話しちゃアカンって幼稚園で習ったやろぉー!?」

 

「そんなんしらんもん」

 

 

 ぷいって感じでそっぽを向く、っていや、今そんなんやっとる場合ちゃうよ!?

 

 

「あんさんら何漫才やっとるんや!

 ここはあたしらに任せてはよにげぇ!」

 

「ち、千草さん!?」

 

「負傷者と女子供に戦わせるほど、こっちも大人辞めてるつもりはないんでな……っ!」

 

「笹浦さん……っ!」

 

 

 そういえばそうやった、そらくん何故か左腕無いし、はよ逃げんと……!

 

 

「お嬢様! つかまってください!」

 

「せっちゃん!?」

 

 

 こたろーちゃんを小脇に抱えたせっちゃんが、翼はためかせて必死な顔でこっちに手を伸ばす。

 そらくんもつれていかんと……!

 と、そう思ってそっちに目を向けると、そらくんは、

 

 

「――クタァト!」

 

 

 そう叫んだ。瞬間、

 

 

『--it is was this!?』

 

 

 湖の水が全部押し上がってスクナに絡みつき、それが姿を変貌させてゆく。

 その姿は、蛸と蝙蝠が合体したような、巨大な怪獣やった……。

 

 

「ああ、まあここにいると思っていたんだよな。水辺って言えばここくらいしか無いし」

 

「そ、そらくーん!? あのラブク●フトなクトゥ●ーも向こうの生き物ーっ!?」

 

「いんや、あれは俺の使い魔」

 

 

 邪神にしか見えん!?

 邪神が使い魔って何!?

 そらくんって実はいつもにこにこな這い寄る混沌さんやったんか!?

 

 

「――………………湖が完全に干上がっちまった……」

 

 

 呆然とする笹浦さんの言葉に目線を下ろすと、確かに、湖は完全に少し凹んだ程度の広場になっておった。

 

 

「麻帆良と繋げた際にここの水も媒介として利用したからなー。残っていたのは魔物だけだ」

 

「っつうことは、水気と木気と金気の三重相克……? どんなやり手の陰陽師だよ……、協会にも居ねえぞそんなやつ……」

 

 

 え、魔法とちゃうの?

 

 

「ま、そんなのはどうでもいいさ」

 

 

 平然とした様子で見上げる。

 そこには、軟体系海洋生物的な触手で雁字搦めに身動きできなくなっているリョウメンスクナの姿が……、

 

 

「敵対したいというなら対峙してやる。てめぇは今から俺の敵だ

 ――解して晒して並べてやるよ」

 

 

 実に嬉しそうに、スクナを見上げてそんなことを宣ったそらくんが、そこにいた。

 




~タイトル
 クタァト=アクアディゲン。またの名を『水神クタァト』。狂気的な魔道書の一冊。なんで今回のタイトルにしたかというと、

~クタァト
 水の魔道書の名前で括った製作者そら印の魔性の使い魔。前々回くらいにヘラクレスくんに乗って近場まで運ばれてきたけど水気が欲しくて自身で移動。スクナが封印解除されるまでずっとここに居たお茶目な娘。水を吸えば姿は変幻自在。今回こんな格好ですけど、普段はもうちょっと可愛いんですよ?

~英文
 エキサイトさんに頼りました。翻訳し切れんかった部分は辞書を片手に。久方振りに英語やったわ

~都内某所、老舗骨董品店の魔女
 某次元の魔女さんとは関係ありません
 イリシャ=リーバス。年齢不詳、黒髪眼鏡のお姉さん。かなり昔からそこに陣取ってはいるものの、魔法使いらとはほぼ疎遠。というか出会うこと事態が幻扱いの御伽噺がそのまま実体化したような魔女。敵対すれば優しく絡め取られ戦力を無くすらしい、という闇の福音に比べると少々大人し目にも聞こえるが実は魔法界には賞金までかけられているお方。魔法界や協会に属さない魔法使いには割と格安で相談を受けることもあるらしい。通り名は『ワルプルギスのご老体』

~解して晒して、
 自由を奪ってフルボッコですね。わかります


長らくお待たせしてスイマセン
D×Dが一段楽したのでちょっとした宣伝に来ました嘘です

ええ、まあ、言いたいことはわかります
わっかんねえだろぉー?
俺でも何書いてるか途中プロット何度も見直したもん

え、結局何が言いたかったの?
これってオリジナル解釈だよ?
地の文少なすぎねえ?
いや三つ目は、このか視点だからある意味仕方ないんですけどね(という体のいい言い訳)

あとそら、お前いつの間にそんな流暢な英語喋れるようになった
あれー?ヘブンズドアとか出たっけ?
まあ後々説明入れます。多分ずっと前に書いたことで説明して無い部分もまだ残っていたはずですし、次章か次々章辺りには、ええ

イリシャさんはクロスキャラです
偽名です
意味無いとか言われそうですけど、己的には言いたいことがこういうクロスに混じっているのでこういうこと結構続けます
感想とかご意見とか、待っていますのでよろしく

次回、ついに章の終盤まで忘れられかけていた某運命さん登場の予定・・・っ!
お楽しみにー

・・・予定は所詮予定ですが

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