ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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お騒がせして申し訳ない
色々警告食らってましたさーせん
活動報告に前書きみたいなものが載ってますよー



『IFルート【その5】』

 

 轟々と気流が千々に乱れる遥かな空の下。地面は煮え滾った溶岩で溢れていて足の踏み場もない様子。おいちょっと待て、ここ何処だ。

 落ち着け落ち着け、素数を数える……必要はないとして、気がついたらここに居たという自分の数秒前を思い出せばいいんだ。

 

 と、思い返そうとした瞬間目の前に迫り来る白い雷の奔流がー!

 呑み込まれそうになるのを必死で回避。

 数ミリ掠って、後方で誰かが飲み込まれる気配がしたが気にしている暇はない。

 

 つうか、なんでいきなり激戦地に飛ばされているのだ。

 

 確かクタァトの真の姿がみんなの前で発覚して精神的な死を迎えそうになっていたのが最後の記憶。完全に趣味で造ったホムンクルスの中でも異色……いやさ、どっちかというとホムンクルスというカテゴリに入るのがセルシウスだけだからセルシーの方が異色なのだけどそんな詳細はまあ他人には理解できない話だから攻められるのも仕方ない。こっちとしては個人所有のエロ本を目撃されて趣味を解明されたような気分だったのだけど、こういう場合は大抵男が悪いんだ。そこに男女平等の精神はないのである。

 ともあれ、雪広・綾瀬・刹那からのじっとりとした視線に加えてエヴァ姉の物理的なお仕置きが多分最後の記憶。覚えている辺りを思い返せば致死の直接的な原因はアレかと思われる。ていうか、俺死んだ?

 しかし走馬灯だと言われてもこんな地獄みたいな場所に訪れた記憶なんてない。本気で死んだとかそういう思考はカットとする。怖いし。

 と、いうことはだ。

 

 

「なんだ貴様、そこの一行のお仲間か?」

 

 

 ああ、夢か。

 

 

   『そらさん!ラストダンジョンですよ!ラストダンジョン!』

 

 

 目の前に居るのは白髪の青年で、性格が歪んでいそうなくらいに下卑た表情を浮かべている。多分だけどセクンドゥム。

 その周囲にはずらりと居並ぶ恐らくは『完全なる世界』の復活した面々の皆々様、といったところか。

 

 そしてちらりと後ろを振り返ってみれば、満身創痍でボロボロなネギ君と同じく瀕死のフェイトくん。それを纏めて始末しようという二番目の人形との間に、俺はいきなり現れたということらしい。

 果たして誰の仕業なのだろうか……。

 

 

「フン、誰であろうと関係ないな。そこを退け、退かないのならば力ずくで退かせる」

 

 

 ……初見であるけど酷い性格してるなこの二番。

 というか、俺を単体でこんな場所に連れてきて何をさせようというのだろうか。誰の仕業かは知らないけど。

 言葉を返すのも億劫なのだが、確認を取りたいので、

 

 

「あn「私は、退けと言ったんだ」

 

 

――言葉を紡ぐ間も無く雷撃魔法が放たれる。

 が、それをインストールドットで『防』ぐ。雷撃の矢はジッと弾かれて掻き消えた。

 おお、使えた。相変わらず防御だけなら鉄板な硬さで俺も安心である。そして見えている奴はどうやらいない、と。あ、後ろのほうに麻帆良組も発見。

 

 

「……? なんだ、貴様?

 今、何をした……?」

 

 

 言葉を介そうとしない二番は放置。

 今会話すべきは後ろの少年たちだと判断する。

 

 

「えーと、ネギスプリングフィールドとテルティウムことフェイトくんで合っているのかな? 違うというなら名乗って欲しいけど」

 

 

 どうにも現実感がない。目の前の少年たちが自分の知る本人らとは別物に思えて仕方がないのである。

 時間が経っているからこその違和感のせいなのか、それとも本格的に違うのか。詳しく知れないところで余計な勘違いを誘発するのは避けたい所存であるし。

 まあ片割れは元のところでも未だ初対面なのだけど。

 

 

「え、と、はい、そうです、けど……あの、貴方は誰なんですか……?」

 

 

 ハイビンゴー。このネギ君は俺のことを知らないご様子でーす。

 んー、状況を鑑みるに、原作世界の最終決戦場?

 世界線が違うって程度の理屈も考えかけたけど、そうなると俺以外の転生者とかが居たりするのだろうか。

 

 

「……誰かは知らないけど、とんだことに巻き込んでしまったようだね……

 それとも、貴方が僕らを助けてくれるのかい……?」

 

 

 おおう、感情表現の薄い子だね。

 んー、手を貸すのは吝かではないけど、今の俺に何ができるのか。ケータイをぽちぽちと検索しながら思考してみる。

 障壁は張られていないから無駄な結界なんかが介在する空間ではないけど、魔法が使えるからといってずかずか踏み込んでくるあの一団に対抗できる手段とか――、

 

――あ、あったわ。

 

 

「――イグドラシルの恩寵以て来れ貫くもの……!」

 

―轟き渡る雷の神槍(グングナール)!!!―

 

 

 ちょw、おまwww

 

 

「どんな手で今のを防いだのかは知らんがこれくらいの威力なら消し炭になるだろう?」

 

 

 雷製の巨大な槍を構えてこちらに向ける。

 無視していたらいつの間にかピンチに陥っていたでござる。急げや急げ。

 

 

「――諸共消え去れ……!」

 

 

 そうして槍を投擲する体勢に入った。その瞬間、俺はケータイを掲げる。

 

 

「御出でませ、ハチリュウ」

 

 

 トラップカードオープン!

 

 

   × × × × ×

 

 

 目の前の少年が携帯電話を翳した瞬間、彼の足元に召喚の魔法陣が刻まれる。が、それを目の当たりにしても『完全なる世界』の面々はさして危機感を抱いていなかった。

 彼の少年がどんな才能に溢れていて、どんな思惑で手助けに入ったのだとしても、自分たちは魔法世界最強の実力者だと自負していた。中には『例外』も現れることが間々あるが、そんな事象は『前回』の敗北以降起こっていないし、その事象を起こした人物も自分らの知る限りこの場に現れないということも判っていた。

 だからさほど脅威ではないと判断し、傍観していた。それが、ことの推移を判断する材料になった。

 

 足元の召喚陣から現れたのは『炎』だった。

 

 八本の炎の柱が、召喚陣から吹き出て溶岩を飲み込み、更に巨大に畝って絡み合い、焼け溶けた大地を我関せずとばかりに走り回って、とぐろを巻き、鎌首を擡げて、彼らの仲間たちを守るように囲んで聳え立つ。

 それらはまるで意思があるように動き、自分たちと対峙するかのように静止した。

 

 

「ハチリュウ。後ろの女の子たちとそこの少年らを守護。後は好きにして」

 

『ヤー』

 

 

 しゃべった。

 

 そう判断した瞬間には炎の柱はそれぞれが自分たちに突撃を咬まして来る。いや、此処に至って彼らはようやく気づいた。これは『柱』などという無機質なものではない。

 これらは、炎の『竜』だ。と。

 

 

「お、おお、うおおおおおおっ!?」

 

 

 鞭のように撓った動きで一匹がセクンドゥムを弾き飛ばす。遥か上空に放り投げられるような形で吹き飛んだ彼は必死で体制を立て直そうとしたが、次の瞬間には飛ばされてきた隕石大の火の玉に飲み込まれた。

 褐色の幼女は似たように火の魔法で火の玉を何とか逸らしてかわすことに成功したが、脇を走り抜けた火の刃によって障壁関係無しに片腕が蒸発する。『断罪の剣』のように相転移に近しい性質を持っているのか。食らった瞬間にそう判断したが、切り傷が焼けている様子からして焼切ったというのが正解らしい。刃の厚さ自体が数メートルなのに切れ味が抜群とかなんの冗談かと顔を歪める。

 腕が何本もある黒衣の男・デュナミスはそのコブシが次々と蒸発してゆくにもかかわらず内の一匹と正面から戦っていた。が、こちらの攻撃は意にも介さぬままに睨まれるだけで焼けて溶けて塵になってゆく腕たち。何度も再生を繰り返していてもそのうち本体にまで『視線』を向けられればそれで詰む。

 大柄なもう一人の男は炎の結界に遮られて身動きできなくなっていた。得意らしい水の魔法で結界をいくら叩いても壊すことが出来ず、むしろ水素爆発が勝手に引き起こされる連続自爆をいい加減学習するべきだと思う。あとそろそろ酸欠でヤバイ。

 雷の魔法を扱うアーウェルンクスシリーズとはまた違った様子の男はとっくに満身創痍である。召喚が成功した瞬間に走り出した炎の奔流に巻き込まれた上に、降って来た火の雪崩が彼の遺体を溶岩の中へと押し流していった。辛うじて息があるらしいので遺体と言うのは過剰表現かもしれない。

 ちなみに他のアーウェルンクスシリーズは火の暴走が始まった瞬間に一目散に逃げ出した。勝てない喧嘩に付き合う義理は無い、とデュナミスも言っていたらしいのでその判断は正解であった。が、それならばこんな全員集合する前に参加を辞退しておくべきであったのだろう。高々数百メートル距離を置く前に火の幻影に行く手を遮られてとっくの昔に逃げ場が無い。足場の悉くが危険地帯として判断するような幻影をかけられ、素早すぎる状況判断力を逆手に取られて右往左往しているのが現状であった。ちなみにそこを飛んで逃げようとした火のアーウェルンクスはレーザーのような光線に撃ち落とされている。

 

 はっきりという。

 地獄絵図であった。

 

 それらを『特等席』で、火の結界に守られた麻帆良組は唖然と眺めていた。

 

 

「……いや、強すぎるだろ。誰なんだよ、あれは……」

「なんや、もう可哀想になってくるなぁ……」

「て、敵じゃないんよね……?」

 

 

 誰が誰かは推して知るべし。

 

 

   × × × × ×

 

 

 あれー? なんでこんなに容易いのかなー?

 ハチリュウ無双に思わずそんなことを心内で呟く。

 実際、ちょっと強くしすぎたかなーとは思っていたけど、この場所が溶岩の渦中でなければそれほど強化もされなかったはずなのである。この子は。

 

 炎と熱とを溜め込んで推進力とエネルギーに換える、火の精霊の複合実験で生まれたのが『ハチリュウ』だ。

 形が竜になったから折角だから昔読んだ漫画の性質違いの炎の能力を再現させようと色々実験を繰り返した結果、呼び出したら当たり一面を焦土にするまで落ち着かないという困った子になってしまった。てへぺろ。

 普段は餌場でもある火山のエリアに常駐させているから、そこで蓄えたエネルギーを使い切るまで止まらないやめられない。いや、普段から餌しかない世界に押し込んでいるから、広い場所に出るとはしゃいでるんだと思う。一応俺が居れば言うことくらいは最低限聞くし。

 

 

「こ、この! 貴様をやればぁぁぁ!!!」

 

 

 消し炭になったかと思った二番がグングニールをこちらへ飛ばす。

 が、ハチリュウの一匹に槍は途中で食いつかれて飲み込まれる。

 あ、なんか唖然としてる。わーお、火のレーザーに飲み込まれたー。

 

 まあ、見ての通り。内包している火力よりも威力の低い魔法なら飲み込んでエネルギーに変える。普段からマグマ溜まりで生活しており大地のエネルギーを食い散らかしているコイツに勝てる威力の魔法ってなんぞや?と思わなくも無いけど。なんという魔法使い殺し。

 

 

『アルジ、アルジ』

 

「ん? どしたい烈?」

 

 

 先ほど槍を飲んだ一頭がこちらを呼んだ。名前は『烈』、八本それぞれに名前をつけているのだけど意思の疎通が出来るのは最初の生まれのコイツだけである。ちなみに中枢みたいな役割をしてもらっており、こいつを通しての制御だ。

 あの漫画で見たような最終変化はさすがに無理だったしなぁ。

 

 

『ダレカ、キタ』

 

「誰か? 何人だ?」

 

『ヨン、ナナ? ノミコマレタ』

 

「ん?」

 

 

 あれ? 過去形?

 

 

「「「「「「「ぬわーーーッ!!!」」」」」」」

 

 

 あ、なんか遠目にハチリュウの暴走に巻き込まれている人らが。

 英雄組、かなぁ……。

 

 それにしても面白い夢だ。普段からこれくらい無双出来れば楽しいんだろうけどなぁ。

 

 

 




~原作ラストダンジョンですよ!
 36巻既読推奨

~ハチリュウ
 烈火の何某を参考に造った火の精霊実験体
 それぞれに名前があり能力を再現させることに成功した
 『崩(くずれ)』は無数の火球を作り、『砕(くだき)』は分厚い炎の刃を生やし、『蛇(かがみ)』は打撃干渉の出来る状態に変化でき、『瞬(またたき)』は瞬間的に視線の向いた先を沸騰させることができ、『甲(よろい)』は火の結界を生み出すことが出来、『累(かさね)』は火の幻影を見せ、『虚(うつろ)』は熱戦砲を放射できる。『烈(れつ)』は唯一の攻撃吸収型で司令塔の役割である
 ちなみに中の人はいない。けど名前を付けているのはそのうち人格が搭載されて人型に変化できるようになったときのためのものか?累辺りが好みの美女になればと画策している可能性も・・・
 あと残念ながら不死鳥の火の型は再現できなかった模様

~最後、おい最後
 巻き込まれた7名を挙げると、ぬらりひょん・ソードマスター・古本・エターナルロリータ・陰険メガネ・デスメガネと思われる
 公式チートは復活が間に合わず。危機を察して密かに隠れていると言われても納得の危機察知能力
 あと一人?いるじゃんほら、最初からいたけど描写されてなかった人がさ・・・


微妙に間が開きまして申し訳ない
いつもよりちょっと短めのIFをお送りしましたよっと
火の四番目が丁度いいタイミングかなーと思い急遽やらかしました
登場渋っていたら益々後になりそうでw
しかしこの予想を誰もしなかったというのが逆に驚きました。クト●グァさんよりは再現としては妥当な気がするのだが如何なものか

活動報告でも軽く謝罪しましたが前前回のクイズまがいな後書きを運営さんに注意されて完全非公開になっていました。すいません
俺の割と勝手なミスですので今後とも気をつけます
編集はしたけどこれでいいものかどうかとも思われる・・・

ところで本気でこんなラストダンジョンだったら、嫌ですよねー
熱線に呑み込まれる二番・・・ツインテールの白い魔王のOHANASHIか、カメ●メハに呑み込まれる人造人間か、に通じるものがあったりなかったり・・・
ではまた次回

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