ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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『俺は魔窟に足を踏み入れたようだ』

 

「先生っ!? このガキがーーーっ!?」

 

 

 実に無礼な物言いを隠そうともせず、明日菜の絶叫が学園長室より木霊した。多分、響いた。俺もその場にいるから外にまで聞こえたかどうかは知らんけど。

 

 

「きょ、今日からこの学園でせんせいをすることになりました、ネギ=スプリングフィールドです」

 

「と、いうことでの、ネギ君には2-Aを担任、及び英語を教えてもらうことになるでの

 とりあえず三学期の間を、のう

 問題になるのは住居なんじゃが、明日菜君とこのかの部屋でネギ君を預かってはくれんかのぉ?」

 

 

 犬猫の類じゃねえんですから。というか、結構ハナシを端折ったように聞こえたのは気のせいか?

 

 

「いっ、イヤですよ! なんで私たちがそんな見ず知らずのガキをいきなり預からなくっちゃいけないんですか!?」

 

「えー? うちは別に問題ないと思うけどなー?

 ネギ君かわええんやし、問題なさそうやん?」

 

「このかは黙ってて!」

 

 

 そんな原作でもあったようなやり取りを見つつ、このままだと俺が引き取らされるような誰得な状況を作らされそう、とちょっと筋違いな感想に思いを馳せていた。

 

 

   × × × × ×

 

 

 結局のところ住居問題は原作通りに決定しあっという間にハナシは進み、気づけばアスコノの二人は一足早くに教室へ。ようやく俺が口を挟めそうな状況へと進んでいた。

 

 

「さて、それではネギ君。さっそくじゃが2-Aに行く前に紹介しておきたい子がおるのじゃよ」

 

「へっ、あ、はい?」

 

 

 すすっていた茶をテーブルに置き、どもりながらも話を聞こうという姿勢になりつつあるネギ君の意識に入るように立ち上がる。

 期待通りに、そばに寄ると彼はこちらを見上げて不思議そうな表情を作った。

 そんな彼の心情には構わずに、こちらはできる限りに爽やかそーな笑顔を作って挨拶。

 

 

「烏丸そら、だ

 キミと同じように三学期から2-Aで授業を受けることになった、編入生という代物かな?

 よろしくおねがいしたいところだね」

 

「あっ、ど、どうも、ネギです」

 

「うん、知ってる

 ネギ先生、と呼んだほうがいいかな? それともネギ君?」

 

「ええっと……、その、どちらでも」

 

 

 ファーストコンタクトは滞りなく終了。

 正直、中身が転生者でキラークイーンのスタンドを使う、とかいう最悪を妄想しかけたけれど、対応から鑑みるにその心配はなさそうである。握手の際にスタンドを出してジョジョ立ちさせてみたけど無反応だったし。あとネギ君が使うのだったらキラークイーンよりはレッドホッドチリペッパーかも。

 それよりもネギ君は俺の障壁に気が行っているらしい。無理もないかと。

 

 

「ああ、これは生まれつきのものだから、あんまり気にしなくていいよ」

 

「き、気にするなといわれましても……

 ……神殿クラスの障壁を生まれつきって……?」

 

「まあ、あれだよ

 世の中こういうこともあるんだよ」

 

 

 納得できない? 納得しろ。

 

 

「ほっほ、早くも打ち解けたようじゃのう

 それでは、後のことはしずな君に聞くと良いじゃろう」

 

 

 そんな風に見た目明らかに人外な翁≪学園長≫の言葉に、前へと出てくる巨乳かつスタイルの良い美人女教師。源しずな、だったか。

 原作知識を総動員すれば、高畑先生と若干いい仲になっていたような描写があった気もするけれど、ふと疑問に思う。

 

 

「そういえば、しずな先生って何の先生何すか?」

 

 

 学園長秘書なのか。しかし教職関連に秘書がつくとかいう話を聞いた覚えもないし。

 などとのんきなことを考えていたのだが、

 

――それは充分に問題発言であったらしい。

 

 

「なんの……うん? なんの教師、じゃったかのお……?」

 

「えーと、しずな先生は……あれ…………?」

 

「え、なにそのはんの――、

 っ!? インストールドット!」

 

 

 ガッ、と慌てて唐突に正面に現れていた『それ』を掴み取る。

 

 首をかしげている学園長や高畑先生、ネギ君なんかもこの場にはいるのだから、スタンドのことを勘付かれるというリスクは負いたくはない。かといって易々と攻撃を受けるわけには行かない。

 俺に攻撃してきたのは『スタンド』なのだから。

 

 

「あっぶねぇ! つうかなんだいきなり――っ!?」

 

 

 気づけば、全員の動きが『停止』していた。

 それぞれの胸や頭に、VHSなどにあるような『一時停止』の記号≪マーク≫が浮かんでいたのだ。

 間違いなく、攻撃したのはこのスタンド。そして、以前から仕込んでいたであろう二人はともかく、この場に今日現れたネギ君に真っ先に『攻撃』したのであろう。だから俺もコイツに反応できた。

 

 そいつは真っ黒のドレスで着飾った貴婦人みたいな姿で、俺のインストールドットに腕を止められているのに無感情な様子でそこに佇んでいた。いや、スタンドだろうから無感情無表情なのはある意味当然なのだけれども。

 

 

「どこのどちらさまだよコノヤロウ……っ!」

 

 

 俺のスタンドと似たように見た覚えのない、少なくとも『どっちの原作』にも登場した覚えのない姿。それでもって女性型となると真っ先に使い手は絞られる。

 遠隔操作型という一人立ち(?)できるスタンドも想定しかけたけれど、この強力さからしてそうは思えない。つーかこの場から去ったばかりであるあの二人を真っ先に犯人候補として考えかけてしまいそうであるので、そうは思いたくはない。

 そんな俺の希望的観測を思ってくれたわけではなかろうが、犯人はすぐに名乗り出てくれた。

 

 

「ふふ、必死で抵抗して……

 可愛いわね」

 

 

 正体不明の美人女教師兼謎のスタンド使いとして、源しずながそこにいた。

 

 

   × × × × ×

 

 

――と、いうようなやり取りがつい先ほどあったのだとさ。

 

 今は原作通り、ネギ君が2-Aの仕掛けた罠に『原作通り』に引っかかって自己紹介。タイミングを見計らって俺も中に入って自己紹介、という流れとなるべく教室の外で待機である。

 しずな先生はネギ君と一緒に中にいる。

 

 正直、先ほどのやり取りなんざ思い出したくもないので、暇にさせずにとっとと呼んで欲しいものだ。

 

 

   × × × × ×

 

「他にもいたのかよスタンド使い……っ!」

 

 

 正直いないと思っていた。しかし考えてみればスタンドが発現する条件というものが別方向の『原作』にあるのだから、その可能性を据えておかなくてはならなかったのだろう。この世界には『矢』または『遺体』があるとでもいうのだろうか。

 

 

「っつうか、俺には正直現状を理解するので手一杯なんで、攻撃やめてもらえませんか先生っ!?」

 

 

 情けないかもしれないが膂力の差が結構あるらしい。しずな先生のものと思われるそのスタンドからの腕力が、俺のスタンドを圧しているのが、スタンド越しに伝わってくる。 自分が弱いのだとは思いたくはない。男子として。

 

 

「――そうね、あなたには何の恨みもないし、正直あなた程度ならどうとでも対応できるしね」

 

「お褒めに預かりましては光栄ですよ……っ」

 

 

 ちっくしょう、俺は弱くねえぞっ!

 

 

「認識阻害が効かない、というのも厄介ね

 あなたにも私の『これ』で刷り込みを入れなくてはならなくなったみたいだし……」

 

 

 やばい。まだ狙われてる。

 

 

「いえいえいえ! 先生のお手を煩わせるなんてことはいたしませんのことよ! 正直自分なんぞ塵芥にも等しい三下でごぜえますから、あなた様に逆らう意思なんぞとてもとても!」

 

 

 情けないか? どうとでも言え。

 

 

「せんせい、そういう自分を下に見るような子は嫌いだなー?」

 

「どうすればいいんだよチックショウ!!!」

 

 

 思わず切れた。テンパリ過ぎていたんだと思う。

 

 

「まあまぁ、私としては別にどうやってでも排除する、っていうつもりもないのよ?

 ただ、貴方みたいなイレギュラーに登場されるのも困ってしまうものなのよねぇ」

 

 

 それはあれですか、二次創作的な意味合いでのイレギュラーってことですか。

 それとも言葉通りに2-Aまたはネギ君に関わる意味合いでの?

 

 

「……、正直、先生の狙いが読みきれなくって本音でお手上げっす

 まずは言葉で解決できないでしょうか……?」

 

 

 OHANASHIしようよ。

 

 

「――そうね、

 

 私の目的は特にないわ

 ただ、平穏に暮らせればいいのよ

 

 あなたたち魔法使いに脅かされることなくね」

 

 

 ………………………………

 

 はっ?

 

 

「ちょっとお待ちを

 ………………えーと、しずな先生? ひょっとして俺のこと魔法関係者だと思って攻撃しました?」

 

「エヴァンジェリンさんと懇意にしていると聞いたけど……

 それで魔法使いではない、と貴方が言えるの?」

 

 

 いや、確かに魔法も使えますけど。正直なところ魔法使いとはあんまり仲が良くないって言うか。

 というより、しずな先生って魔法関係者と違うんかい。

 

 

「あと、学園長の秘書とか特別指導員とかいう肩書きはそれなりに重宝するものなのよ

 下手なことを言って刷り込みを取り払おうというのは困るのよね」

 

 

 絶対そっちが本音だろ。就職難でもないのに贅沢な物言いをしおってからに。

 つーか使い勝手良さそうなスタンドっすね。俺もそういうやつが欲しかったなぁ。

 

 

「おーけいせんせい、俺は先生に逆らわない

 先生の生活を邪魔するつもりもないし、誰にも話す気もない。これでいいっすか?」

 

 

 そう答えると、しずな先生は満足そうに頷いて、

 

 

「――ホッ、確か特別指導員じゃったかのぉ」

 

「ええ、僕とも近い仕事だから、烏丸君も気軽に声をかけるといいよ?」

 

「あらあら、よろしくね? 烏丸君?」

 

 

――全員の動きが再開した。

 ドッ、と冷や汗が湧き出そうになったけど、なんとか押し殺して笑顔で対応。

 

 

「ええ、何かあったら、よろしくおねがいします」

 

 

 このときの自分を全力で褒めてやりたい。

 

 

   × × × × ×

 

 

「諸君、私が烏丸そらだ

 本日から諸君らと勉学を共にすることとなった男子だ

 諸君らをそれぞれ立派な淑女にするのが私の仕事だ

 私の言うことには『はい』か『イエス』で返事をしろ

 納得できないなどという泣き言は一切を許さん」

 

「なにを言い出してるんですかあなたは」

 

 

 とりあえず登場一番ボケてみた。真っ先に反応を返してくれたのが雪広、この辺りは一応の元クラスメイトなだけはある。見えないだろうけどスタンドで投げキッスを送る。

 

 

「まあそんな冗句はさておいて、

 あ、今日からクラスメイトになるって言うのは本当だから。よろー」

 

『え、えええええええ!!!?』

 

 

 大半からの当然の反応。

 反応を返さないのは……、エヴァ姉&茶々丸・柿崎の事情を知っていたもの。うっすら笑っている辺り、お二人の人の悪さが伺える。

 

 一方で静かにこちらを値踏みしているのは龍宮マナ・桜咲せつな・長瀬かえで・古菲の武道四天王と呼ばれている四人。前二人は魔法生徒でもあるし、俺のことを注意しているって感じだけど、後二人はなんか微妙にやーなフラグが立っている気もする。『実力』って言う点に集中して値踏みされているような気がするし。

 

 そんでもって、叫ばずに絶句して目を見開いているのが……、ん、んん? 超鈴音と長谷川千雨はわかるけど、大河内アキラと鳴滝姉妹の片割れ? あれ? なんで?

 超さんは恐らくだけど、歴史にないイレギュラーだから驚いている感じ? で、ちうたんは冗談みたいなことを実行した学園側に引いてるって感じだろうな。

 大河内と鳴滝ってマジでなんで? 共通点も接点もこれまでなかったのに、何に驚いてるんだ?

 




~源しずな
 本作ではラスボス的な存在。学園にとっては隠しダンジョンの裏ボスみたいな人。使用するスタンドは『ノクト・コペルニクス』と呼ばれており、攻撃した対象の時間の流れを操れる代物で、キングクリムゾンの上位置換をイメージしたスタンド。実際どうかは今後に期待。
 学園側からすれば高畑と同じ立場の教員として周りに認識されている。脳の働きをスローで再生されたところにガチの催眠術を学園長に仕掛けた、というのが本作の設定。
 公式がどうなっているのかは知らないが、原作の舞台内で正式に語られたものでもない裏設定とかがあったとしても知ったことではない。
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