ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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この一話毎の感想の差が・・・!

微妙に長くなりそうな麻帆良武闘会編開始
一話一試合を内包できるよう更新する所存です
あとはキンクリ?


『麻帆良武闘会、開催してます』

 

 麻帆良祭・二日目――。

 

 

 

『それでは! 出場選手の紹介です!

 気は優しくて力持ち、いまどき珍しい絶滅危惧種!? 喧嘩“番長”! 豪徳寺 薫!

 対するは、最近イメチェンしたそうですがこんな場にもかかわらず相変わらずのガクラン姿! 最早これが彼のトレードマークか!? 埼玉の漆黒改め麻帆良の混沌よりも這い寄る“負完全”! 烏丸 そら!

 どんな勝負になるのか誰もがまったく予想のつかない! 麻帆良武闘会本戦第一回戦、レディー……! ゴォーッ!!!』

 

 

 

 ペプシコーラ吹いた。

 暇つぶし代わりに冷やかしに来た催し物の舞台ど真ん中で、まさか見るとは思ってなかった知り合いの姿を見つけてしまう。

 若干やる気の無さそうなガクラン姿の褐色白髪が、いやに熱気で溢れたリーゼントヘアの番長と対峙していた。

 アイツ今から戦うのかよ。つーか戦えるのかよ。

 そんな疑惑を抱きつつ、アタシはハンカチで口元を拭う。

 

 

 

「始まりましたね、麻帆良武闘会。実況は私、麻帆良科学部よりの依頼で登板いたしております絡繰茶々丸と、」

「暇なので連れてこられました、解説の大河内です。とはいっても茶々丸さん、わたしこういうことに詳しくないよ?」

「大丈夫です。賑やかしに女子がいれば問題ないのですから」

 

 

 

 もう二人、というか一人と一体、知り合いとクラスメイトを見つける。

 というかすぐ隣が実況席だった。

 ぶっちゃけた実況と解説で、のっけからgdgdになりそうな混沌具合に頭痛が痛くなってくる。

 

 

 

「というか、烏丸くんはなんであんな名称で呼ばれているの?」

「それは語るも涙、聞くも涙の悲しい過去が関わってくるのです」

 

 

 

 表情を変えずにおよよ、と涙を拭う仕草をして言葉を紡ぐロボ。コイツのその存在に違和感があるのは元よりとして、何気に烏丸のことを内心嘲笑っているように聞こえるのは気のせいなのか。気になったのも確かなので咎める気は更々無いけど。

 雰囲気がばっちりなのには異論は無いしな。

 

 

 

「昨日行われた予選会場にて、「モブキャラの皆さんこんにちわー」という一言で3ブロック分の出場選手の心をポッキー感覚でポッキリ圧し折り再起不能に追い込みました」

 

 

 

 もうアイツ球磨川禊に改名しろよ。

 螺子を使い出したらそう呼ぶことを心の中で決定付ける。既に懐に潜ませていそうな雰囲気を醸していることなのだし。

 

 

 

「それほど昔でもないね」

 

「いやそういうツッコミじゃないだろ今必要なのはっ!?」

 

 

 

 って、やべえ、声が出ちまった。

 

 

 

「これはこれは、長谷川さん。なんだかお久しぶりです」

「ほんとだ、千雨ちゃんもネギ先生の応援?」

「お前らとりあえずアタシのフルネームを公共の電波で放送するの止めやがれ。応援っつうか、まあ見学だよ」

 

 

 

 さすがに全聞こえな状態で冷やかしだとは堂々言えなかった。

 本音としては、昨日襲撃食らわされてコスプレコンテストで赤っ恥をかかされた意趣返しに、ウチの副担任の面白い姿でも拝めればとやってきただけなんだが。

 まあ今更逃げるのもアレだと思われるだろうから、せっかくだし聞いておきたいことを尋ねる。

 

 

 

「ところでなんでアイツ、烏丸は出場してるんだよ? アタシの知る限り、アイツはこういうところに堂々出てくるタイプじゃなかったはずだと思っていたんだが」

 

 

 

 数ヶ月程度しか同じクラスにはいなかったが、バカイエローとかが勝負を挑んでも逃げ回っていたイメージが先行している。

 ついでに言うと聞きかじった噂でも直接対決を避ける逃げ足だとかって耳にした覚えもあるんだが?

 

 

 

「さあ。暇だったのでは無いでしょうか?」

「どんだけ暇人が横行してるんだよ今年の麻帆良祭は」

 

 

 

 アタシが言えたことでもないのだけれども。

 そんなアタシらの会話を横に、本戦はとっくに始まっていた。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 むしゃくしゃして予選に出場した。

 今ではちょっと後悔している。

 

 全ては昨日の夜が原因。

 時間が余ったのでまおちゃんに使おうかと、余計なことを考えてしまったことが一番駄目だったのだろう。

 ――まさか彼女と仮契約が結ばれるとは思っても見なかったなぁ………………。

 

 ――いや、違うんですよ。聞いてください。

 このロリコン野郎め、って語るその眼差しを向けないで。お願いだから。それでも俺は無罪だから。

 

 キスとかそういうのをやったわけじゃないんだよ。

 ただお願いされただけなんだよ。

「わたしとパートナーになってもらえませんか?」って。

 

 うん。まあ、それが世界樹で叶えられちゃった、っていうのが顛末である。

 世界樹の魔力ぱねえ。

 強制力こそ働かなかったものの、俺の障壁とすげぇ轟音鳴らしてぶつかり合って、最終的に無理やり仮契約カードを具現化させたからね。

 

 しかもよくよく聞いてみると、今日行われるはずだったカップルコンテストに出場したいから、それのパートナー役をやってほしかった。とかなんとか……。うん、あれだよ。原作でネギ君と和泉が出ていた路上コンテスト。

 ……言葉が足りないよ、まおちゃん……。

 

 仕方ないのでカードについて魔法についてちょっとだけ詳しく教えて、秘匿主義とばらすと俺がオコジョにされる、って九分九厘程度の嘘を教え込んで口封じしたのが昨夜の記憶。

 嘘じゃないよー。可能性はあるって話だから嘘はついてないよー。

 ちなみに九分九厘って10分の9って意味合いなのだけど、常識で語れば“割”っていう単位が上にある。九分九厘に九割一厘を足してようやく全つまりは一になるとかいう意味合いもあるのだ。つまり九分九厘とは訳すと一割に満たないって程度。それが“ほぼ全部”っていう意味合いで共通認識されてる日本語ってちょっとおかしくね?ってどうでもいいことを思ってしまったりもしちゃったりもする。

 まあ日本語なんて時代でころころ意味合い変わるからどうでもいい。眉唾眉唾。

 

 

 

 そうして出場したのはガチで憂さ晴らし。自分がどの程度まで戦えるのかを知りたかったというのもあるけど。

 スタンドが進化したのはいいが、相変わらずピーキー過ぎて使い勝手が悪いのだ。俺のスタンドは。

 

 言葉で何処まで行けるのかを実践で証明したかった俺は、『見下す』視線で相手より上位の領域に立ち、『暴言を吐く』ことで『言葉をぶつけ』的確に聞いた者の心を『圧し折る(へしおる)』。

 スピーカーでちょちょい、と立ってられない程度の言葉の重みに嫌なトラウマを植えつけられた数は、片手じゃ確実に足りない様子。

 

 そしたら出場選手が足りなくなって、慌てて欠場しようとしたらご覧の有様だよ!!!

 目立つつもりは全然なかったのに。

 ただ超の思惑を根っこから圧し折るのも面白そうだと思っただけなのに。

 こんな目立つ場所に引きずり出されるとか、まるで天下一武道会で正体をばらされたグレートサイヤマンみたいな心情である。

 俺にはスーパーな野菜人を更に超える、みたいな面白ギミックは備えられていないのだけれど。

 

 ともかく、それ繋がりで別ブロックから連れ出された目の前の豪徳寺先輩を見やる。

 原作では予選敗退であった彼だが、ネギ君と当たらなければ相応に本戦出場可能なキャラクターであるはずなので、俺のバタフライエフェクトの結果であろうとこうやって戦っていることには、まあ文句は無いのだ。

 その相手が俺自身でなければ。

 

 というかこの先輩、確かアキラたんの話ではスタンド使いであったとかって聞いたはずなのだが一向にスタンドを使おうという気配が無い。

 使い方がわからないのか、使いたくないのか、隠しているのか。

 

 以前にしずな先生(おそらく)に襲撃された折、彼も封印の憂き目に遭っていたと予測できる。だが、その封印もおそらくは完璧ではない。

 現にアキラたんは別荘に連れて行ったらすぐに回復したし、おそらくしずな先生のスタンドの感知外に出ると効果が失われるとか、そういった解消法があるのかもしれない。そう考えるとセル彦先生の封印が修学旅行で解けたらしいことも納得できるし、麻帆良に襲撃かましてきたらしいスタンド使い2名の封印が解けたことも納得できる。そうでなければ捕縛していた麻帆良側が易々と取り逃がすとはちょっと思えないし。

 そのうち片方は俺ゲフンゲフンヘラクレスくんが半身に圧してしまった訳だけど。

 

 ともかく、どの可能性も捨てきれない以上は迂闊に間合いへ踏み込むのも躊躇われる。

 アキラたんにどんなスタンドだったのかを聞こうと、とりあえず参考資料としてジョジョの第三部を読ませたら一発で近い形状のスタンドを指差したからな。

 それがスタープラチナであったのだから、俺が戦いたくないのも、わかるよね?

 

 まあ、形状というか身に着けているトレードマークは若干違った、とかっては言っていたけれど。

 

 

 

「っ、くそぉっ! いい加減かかって来いやぁっ!?」

 

 

 

 回避行動ばかりしていたら怒られたでござる。

 モノローグだと思った? 残念! 既に戦いは始まっていたのでしたっ!

 

 っつうかいやいや、俺って見た目は普通の男の子だから。最近は無茶なイメチェンで若干転生者っぽい見た目になったかも知れんけど、自分から殴りかかるとか今時の踏み台転生者でもやらないし。つうか俺そんなに野蛮じゃないしー。

 

 

 

「俺にはわかる! お前は本性を隠している! そのガクランに隠された強さを! どうか俺に見せちゃくれねえかっ!?」

 

 

 

 良い事言っている風に聞こえるけれど、言葉区切るごとに殴りかかってきているんだぜ。

 それを雲耀スタイルで回避しながら、豪徳寺先輩の動きに注視する。

 

 言いつつ、この人も隠し球を抱えているんだよな。

 

 振るっている攻撃は最初こそ本気だったが、今では狙っているような力を抑えた大振り。

 決定打を打ち込むために、あえてかわせる攻撃でカウンター誘い? 番長の名は伊達じゃないのか。

 

 

 

「――っ、ち、さすがに誘われちゃくれねえか。

 それなら、俺のほうから見せてやるよ。俺の錬(レン)をな」

 

 

 

 そう言って、こちらが距離を取ると追撃を止める。

 つうか『錬』って言った? 何? 念能力なの? スタンド使いじゃなかったの?

 

 コブシを腰打目に構えて、気合(オーラ)のようなものを全身から発揮。

 あれー、スタンドじゃないし……。

 マジで錬?

 というか、――来るのか、原作でも見せたアレを……!?

 

 

 

「『発』――漢魂ァ!」

 

 

 

 コブシから振りぬかれた弾丸が、一直線にこちらへと放たれた。

 放出系かよ、お前。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

「躁気弾、ですか。やはり麻帆良の使い手は一筋縄ではいかないようですね」

「いえ、特別な修行をしたように思えない一学生が気の扱い方を習得しているって普通におかしくないですか……?」

「ネギ先生、埼玉にはこんな格言があるんです。『麻帆良なら仕方ない』」

 

 

 

 そっかー、と私の説明を受けて若干白い目で舞台へと再び目を向けるネギ先生がそこにいた。

 

 いや、私だって普通におかしいとは思いますけどね? 説明できない事象が実は一週間でダース単位で盛られていると言っても過言ではない麻帆良ですから、一々気にしてたら身が持たないのも事実なんですよ。夜間警備をしていたらその格言がよく身に染みた私としては、他に言葉を選べません。

 関西呪術協会が解散したはずなのに、何故か襲撃は止まらないし。それ以外の事件も実は日夜起こっているとかいう現状だと、何かしらの手当てを要求しないとやってられなくなりもする。当初料金請求をしていた龍宮の気持ちも今ならよくわかります。

 

 そんなことよりも今は烏丸さんの試合だ。

 このブロックに残っている実力者は私か烏丸さん、それ以外となると月詠かローブを纏った魔法生徒の誰かでしかない。

 最も警戒すべき麻帆良四天王は上手いこと別ブロックに分けられたことだし、順当にゆくならば準決勝で私たちは激突するのは必至のはずだ。

 勝ち抜けばそのうち二人とぶつかるネギ先生には哀れみの目を向けざるを得ないけれど、手数が多いという理由でエヴァンジェリンさんとほぼ互角に戦えるとかいう烏丸さんの手の内を探るのに、この試合から目をそらしてはいけないと私の勘が告げている。

 

 というかローブで姿を隠すってなんだ。

 試合を始めたら嫌でも人目に付くのだから、正体を隠すってあまり意味の無いことのようにも思えてくる。

 それともそこまでして隠さないといけない人物だったりするのだろうか。

 いや、あちらのブロックには人差し指に目玉の模様の覆面で顔を隠している人とか、変身ヒーローみたいなマスクで待機している人もいるから、そっちに比べたらまだマシなのは確かですけど。

 

 

 

「あ、刹那さん! そらさんが何か始めました!」

「っ! あれは――!」

 

 

 

 怪訝な思いがローブの人物あとその他に向けられていたところで、ネギ先生の呼びかけに舞台へと再び目が向く。

 その中央では、拳銃のスピードで放たれた弾丸を紙一重でかわした烏丸さんが、何某かの技を『作ろう』というところで――、

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

「へへ、その身のこなしでよくわかるぜ……。やっぱりお前ぇ実力を隠してやがったか……!」

 

 

 

 今日はこんなに嬉しいことはない。

 噂に聞いた謎の実力者の実力が、期待以上だったと実感できるのだから……!

 

 俺の『漢魂』をかわすとは思ってなかったが、その回避から実力の程は計り知れる。

 俺の見立てでは、――計測不能。

 最初から本気で打ち合えば、負けていたのは俺の方だ。

 

 だからこそ本気の実力を、引き出せる状況を作り出せたことに自身を絶賛したくなる。

 強い相手と戦いたいのは、上を目指すためだ。

 上が計り知れなければ計り知れないほど、俺はまだまだ強くなれる。

 そう信じて勝負を挑む。

 勝つためじゃない、負けないためだ――!

 

 

 

「さぁ、俺は手札を晒した。これ以上の技なんて持っちゃいない……。

 だからお前の本気を見せてくれ……! 俺は後悔する戦いなんてしたくないからな!」

 

 

 

 勝手な奴だと言わば言え。

 勝てる戦いをするのが漢ってわけじゃないんだからなっ!

 

 

 

「――ふぅー……。本当に勝手な先輩だよ……」

 

 

 

 愚痴のような言葉を漏らすが、その両手が何かを用意しているのが気配で感じる。

 俺の『念』のような、攻撃的なオーラを両手に込めているのが『凝』を使うまでもなく理解できた。

 というより、俺の技もそうだがオーラは隠そうという気がなければ一般人の目にも見えるものらしい。

 漢魂を放ったときのギャラリーのざわめきでそうだとわかる。

 

 で、何を見せてくれるんだ?

 

 

 

「この技は、正直時間が要る。四十秒ほど待てよ?」

 

 

 

 当然だ。

 構えたところへ攻撃するなど漢のすることじゃないからな。

 そう頷く、前に、――烏丸は自身のコブシをぶつけ合った。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

「――ムゥ? アレはナニをしてるのカナ?」

「ふむ、見たところ、両手に込めたのは魔力のようだね。それをぶつけあう……、皆目検討がつかないが」

「魔法使いの技ではないのでござるか?」

 

 

 

 かといって拳法でもなし。

 うむ、相変わらず何をやるのかわからないことを見せてくれるな。

 

 コブシ同士をぶつける毎に、重量級の何かを叩きつけるような轟音が響く。

 本当にコブシをぶつけ合っているのか?と疑いたくなる行為だ。

 そもそもあんな真似をしてどうなる――何?

 

 

 

「――あれは……?」

「気付いたか、龍宮」

 

 

 

 刹那が声をかけてくる。

 そちらへ目を向けるが、彼女は舞台から目を逸らさない。

 一挙手一投足を見逃さない勢いの視線だな。

 視線が熱烈すぎて、想い人に向けるようにも見て取れるな。

 

 

 

「気の威力を高めている。魔力を掌握したままだ」

「――掌握? っ、まさか『闇の(マギア)』――!」

「いや」

 

 

 

 私の憶測を切って捨てる刹那。

 お前は何かを知っているのか?

 

 

 

「エヴァンジェリンさんに聞いた話では、烏丸さんは『闇の魔法』を修得するには至って無いらしい。そもそも資質が合わないとか」

「そう、なのか……。見た感じでは一番性に合っていそうに見えるのだが……」

「言うほど負完全でもないのだろうな」

 

 

 

 このネタ通じるのか。お前。

 

 

 

「今烏丸さんがやっているのはおそらくそれ以外だ。見ろ、内包する魔力と外気の自然エネルギーが衝撃の毎にゆっくりと混ざり合っているのがよくわかる――っ!」

「お前誰だ」

 

 

 

 口調の変わったルームメイトに思わずそう突っ込んでいた。

 

 というか、今『混ざる』とか言ったか?

 まさか彼のやろうとしていることは……。

 

 そう気付いたとき、轟音は止んでいた。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

「――完成」

 

 

 

 翠色に淡く輝く両コブシを、中国拳法の構えのように合わせているその人物に、俺は思わず後ずさっていた。

 そんな自分を叱咤し、半歩で踏みとどまる。

 しかし、それでも、――目の前の重圧は予選の時以上のものを醸している……っ!

 

 

 

「この技は、」

 

 

 

 烏丸が、わざとやっているかのように言葉をゆっくりとつむぐ。

 聞かせているのだと、理解できた。

 そしてその理由も。

 

 

 

「この技は食らえば唯では済まない。――棄権しろ」

 

 

 

 予想通りの言葉を投げつけられる……っ!

 そしてその言葉に飛びついてしまいそうになる自分が、俺は今一番嫌いだ!

 

 だが、その信念を折るかのように、俺自身の言葉を俺自身の口が勝手に紡ぎ出す……!

 

 

 

「お、俺は、こ、こうさ――」

 

『――おいおい、やめられるわけ無いだろ?』

 

 

 

 ――その背中を支えた言葉もまた、他でもない俺自身のものであった。

 

 背後から響く言葉の主は、振り向くまでもなく良くわかる。

 あの日、あの時、あのピンチに、

 逃げ出したくなったあの『俺が死ぬ』間際に動き出し、念能力を授けてくれた、俺自身の『相棒』――。

 

 ――俺の『スタンド(傍らに立つもの)』が、再び俺のことを支えていた。

 

 

 

『受けて立てよ。負けるとわかっていても戦う、それが俺≪漢≫だろ?』

『こんなところで逃げ出すなんて、面白くないぜ』

『背中なら任せろ、お前≪俺≫は前だけ向いてやがれよ』

 

 

 

 ――ああ、まったくいやに頼りになる。

 本気で逃げ出したいときに声をかけてくれる。

 決して離れない、俺自身の中に直接響くようなその声は、いつだって俺を鼓舞してくれる。

 

 ――そんなお前に、俺は『イット・ビート』と名づけよう――。

 

 

 

「――へっ、誰が逃げるかよ……っ!!!」

 

 

 

 相棒についに名を与え、俺を支えてくれる俺自身に背中を押され、俺は仁王立ちで『堅』を建てる。

 

 その姿を見て、烏丸は、ふぅ、と息を一つ。

 

 

 

「そうか――

 ――じゃあ遠慮はしない」

 

 

 

 言葉を、投げられた。

 

 嬉しいぜ、手加減なんてしようとしない、その様がな……っ!

 

 

 

「彗龍(すいりゅう)――」

 

 

 

 コブシを振りかぶる、と共に一瞬で距離を詰める烏丸の姿が正面へと躍り出る。

 振りかぶったその威圧で、一瞬で再び“死”のイメージが蘇る……!?

 

 駄目だ……!

 堅じゃ無理――!

 硬――! 何処を守る――!?

 頭? 腹? 腹だよな!? 腹だって言えよ! 腹!

 腹腹腹腹腹腹腹腹!!!!!

 

 

 

「一本髪(いっぽんがみ)――!!!」

 

 

 

 瞬間――腹部へと突き刺さる衝撃に、後方へと吹っ飛ばされた。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

―長谷川千雨の証言―

 

 ええ、死んだと思いましたね。

 

 いや、一瞬の出来事なんですけどね、その瞬間は皆が良く覚えているんですよ。

 まるでスローモーションで風景が動いたかのような、そんな印象が残りました。

 

 結末としては、10トントラックに吹っ飛ばされた事故を目の当たりにした、って感じでしたけど。

 

 

 ――ええ、皆の目に映っていたと思いますよ。

 緑色、いや翡翠色って言うほうが適切だったのかな。

 そんな龍がゆるりと突き刺さっていった、そんな光景を見せてもらいました。

 

 ――え? いや龍なんて見たこと無いですよ。でも実在するならあんな感じかなって。

 西洋のドラゴンじゃなくって、東洋の。ええ、蛇みたいな感じのあれです。

 アイツの一撃が、輝くコブシを正拳突のように突っ込ませるその攻撃が、歩法って言うんですか? それ自体が攻撃のモーションに繋がっているみたいな。

 ……上手い言葉がみつからねえなー……。

 ともかく、そんな一撃が相手の腹へと一直線に、いや途中蛇のような動きって言うか、コブシの通過した残像がそう見えたっていう感じなんですけど。

 それが、突き刺さると同時に、相手が吹っ飛んで行きました。

 

 

 ――それで終わる、と思っていたんですけどね。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 一瞬――、意識が飛んだがすぐに呼吸を整える。

 いや、衝撃が全身を突き抜けていて最早戦えるコンディションには戻りえない。

 それでも最後の意地を通す!

 それだけは譲れない――!

 

 腹に込めた念を解いて脚へ!

 舞台へ下ろして踏ん張るように着地、――失敗! 着地、失敗! 着地!

 まだ威力は収まらない!

 ブレーキをかけろ!

 脚に込めた念で足場を削り、舞台との摩擦で舞台の床板がバリバリはがれるっ!

 それを全て“引っかかり”にしろっ!

 脚を下ろせ! 足を下ろせ! 足を下ろせぇっ!!!

 

 

 

「――――――っっっ!!!」

 

 

 

 ガリガリガリガリッ! という音で武舞台の外、水掘りに落ちる寸前の縁にて仁王立ちのポーズで止まる。

 これで全神経を、全精力を消費した。

 まったくもって無駄な行為だと誰もが言うだろう。

 だが、それでも、最後の意地だけは貫き通した――!

 

 

 

「へ、へへ……、信じて、いたぜ……!」

 

 

 

 ――その告白を最後に、俺の意識は闇に飲み込まれた。

 漢の倒れる最後の意地――、『倒れるときは前のめり』を遣り通せたのだから、悔いは無い。

 

 

 




~予選はキンクリ
 この負完全め・・・・・・っ

~仮契約第1号
 まおちゃん。まあすっげえアクロバティックな契約になっていたけど

~『念』
 纏・絶・錬・発の四大業が云々。纏と錬を維持して堅、身体の一部分にそれを集約して硬
 堅が鎧とするなら硬は盾兼矛
 スタンド能力からこっちが発現したのは気を云々よりもイメージしやすかったから。あくまでイメージなので念能力そのものを身に付けているというわけではない。発=漢魂になったのもイメージ
 イメージのちからってすげぇー

~ローブを着込んだ人物
 一体何音さんなんだ・・・・・・?
 それとも何ネルさんか・・・・・・?

~覆面&変身ヒーロー
 原作キャラは多分豪徳寺先輩のみ
 予選のアレで大体が無残に・・・・・・うぅっ・・・・・・(泣

~彗龍一本髪
 当初より予定していたネタ技
 元ネタはマテリアルパズルのジールボーイ
 魔力を手のひらで握ることで『掌握』、魔力量を保ったまま、それに合わせるように気をぶつけ合うことで高めてゆく擬似感卦法。保つ必要は無いのです。威力だけを目的としているので。一部に集約させることで擬似的に再現できた一撃必殺。直撃すれば魔力も気も通過する勢いで拡散するのでマホイミみたいな攻撃に。ガクブル
 距離を詰めるのは跳ね馬+雲耀の特殊歩法。滑るように低空を跳ねて距離を詰めるのだが上体を動かさないので予備動作無しで詰め寄られる恐怖
 あれ、これ今思ったけど瞬動術と何が違ry

~『イット・ビート』
 豪徳寺のスタンド
 直接戦闘能力はほぼ無し、本体が戦うのではなく使い手本人が戦いたいがゆえにこの形になった可能性が有り
 実は感覚スピードを高速にさせる能力を備えておりスター・プラチナ若しくはザ・ワールドを再現したようなスタンドでもある
 だがこの世界線において時間停止という荒業を再現できないためにクロックアップ染みた性能に劣化
 それでもそのアクセルな世界に慣れれば充分強くなれる素養はある

~っていうか区切り多くね?
 遊びすぎたかも知れぬスマン


8000字越えだよ長くてごめんね!
ダレたかもしれないけど読み込んでくれることを願ってネタを盛り込んでみた
お気に入り登録が3000を突破したら正直もういい数字かなーと思っていたのだけど未だに増え続けてます。感謝
あとはまあ今年中に何ぼか進められるように執筆を続ける
仕事も忙しいけど、エタらないように頑張るー

あと前回の更新で実は更新一周年経ってた
一年経ってまだ78話って、早いのか遅いのか・・・?
それではまた次回

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