二回戦・Aブロック第一試合
烏丸そら VS 高音=D=グッドマン
「ようやく貴方に引導を渡す日が来たようですわね! 同じ魔法生徒だというのに毎晩役目も全うせずふらふらと……! しかも闇の福音に弟子入りしているとかいう非常識極まりない貴方に!」
高音さんがとてつもなくアウトなことを公の場(武舞台上)で高らかに宣言している気がする。
秘匿とかそういう意識はどうした。
やる気が漲っているらしいグッドマンお嬢は既に『夜想曲』を着込んでの臨戦態勢。
対する俺はまだ仕込みも済んでないので、ケータイをぽちぽち弄くりつつ話を聞く。
チャントキイテルヨー。
キキナガシテナイヨー。
「そもそもは、ネギ先生の『昨夜のこと(不幸な事件)』を反省したにも拘らず、『こんな公共の場で魔法によるお遊びを実行すること(不真面目な行い)』を正すために出場したわけですが……。
愛衣は予選で貴方の威圧の余波で敗退……、ネギ先生は外部の出場者の手によって敗退と成ってしまったので今更話をどうこうというつもりもございませんでしたわ……」
語るなー、お嬢。
というか昨夜の何某が云々ってことは、やっぱり原作通りにキス魔にでもなったか?
原作と違う部分は話伝いに聞いたことだけど、宮崎がネギ君に告白する気は実は無いらしいとのこと。ゆえきちから又聞きしたからどの辺りまで正鵠を射ているのかは知らんけど、そういう一大イベントとかが発生しない限りはネギ君らを尾行しようとする一団も発生しなかった可能性が高い。
事実、昨夜の女子部3-A打ち上げパーティに顔出ししたときは、危ぶんでいた面子の彼女らの距離感は別段普段とは変わった様子もなかった。
そういう観察眼はしっかり備えている俺がそう観たのだから、この判別も間違いないだろうと思われる。このレベルになるともう『心理定規(メジャーノート)』を名乗れるんじゃないかな、俺。
つうか、まあ、顔出ししたというよりは連行されたというのが正確だけど……。
猫耳男子がそんなに珍しいか鳴滝姉妹。
尻尾触られたりと逆セクハラ的な弄られ方をすげぇやられたよ……。
つうか誰だ尻をついでに触ったオッサン女子は。
そういうセクシャルなハラスメントの扱いがあった事実はともかく、本来ならば距離を置かれるであろう場違い極まりないはずの黒一点をそれなりに受け入れ態勢であったテンションマックスの女子一同。
初日からあのテンションでよくぶっ通せるもんだ。これが、若さか……!
あ、でも朝倉だけは距離をとってた。まあその時点で予選を無双した別時間軸の俺がいたわけだから、そうなるのも仕方ないのか?
ちなみにその直ぐ後にネギ君の姿が見えないとか耳にして、俺が自分のクラスに戻るついでに探しに行く名目で女子らから離れ、保健室で時間移動に巻き込まれたのが初日の顛末。
っていうか俺にコイバナを相談するとかってなんなのゆえきちは?
あいつの中での俺に対する距離感が一番わからないわ。
「――ですが此処で貴方とぶつかったと言うことは即ち僥倖! この場を通して日頃の行いを改めるように、勝負の行方にて従っていただきますわよ!?」
……ん?
あ、やべ、話聞いてなかった。
ていうか途中から別の方向に思考がシフトしていた。
つうかなんか、あの人の言っていることが途中から繋がってなくないか?
『試合で負けたほうが言うこと聞く』でFAってこと?
『……えー、長々とよくわからないお話を頂きましてありがとうございましたが、つまりはこの試合に勝って普段から気になっている貴方に話を聞いてもらうんだからっ! ってことですかね。
それでは烏丸選手も、意思表明をどうぞー!』
あ、やっぱりそういうことなの?
っていうか朝倉、試合始めろよ。お前絶対面白がっているだけだろ、それ。
「………………えっ!? いや、ちょっ、ちっ、違いますわよ!? わたくしが言いたかったのはそういうことではなくてですねっ!?」
長い黙考の末にグッドマンさんも現状を理解してしまったらしい。
というか、そこで慌てたら朝倉の思う壺ですよー。
まあこれは本気で俺に気があるとかいう話ではなくて、単純に女子高育ちだから男子との絡みに相応の対応力が備わってない、っていうだけなんだろうけど。
さて、仕込みは終わったのでそろそろ始めてもらおうかね。
「――わかりました。じゃあそれで。勝ったほうが相手にひとつ話を聞いてもらう、宜しいですよ?」
そんな発言で返せばギャラリーが嘆息で沸く。
お前らも好きだね、こういう展開。
挑発をし、ケータイを仕舞う。
戦闘体勢は万全だ。
「だから違うと……っ! ――ああもうっ! 本当に違うんですからねっ!?」
『それでは! 両者意思を表明したところで、試合開始ーーーっ!!!』
そして鳴るゴングの音。
即座に跳ね馬+雲耀を合わせた歩法で隣接し、幽鬼のように真っ正面に対峙する。
「っ!?」
装備を整えておけば負けないと思ったか?
俺を同じような魔法生徒の輩だと認識していたか?
距離を取って警戒するとでも想定していたか?
――甘ぇよ。
「――焦天回廊」
「――っ!? きゃああああああっ!?」
轟ッ!!! と仕込んでいた炎の魔法を発動させる。
こうかは ばつぐん だ!
『とっ、突然噴き上げた炎が舞台を覆うーーーっ!? 火遁か! 火遁・劫火球の術かっ!?』
ニンジャはもういいから。
× × × × ×
――そして正座で説教受けている俺だよ!
「お前あの技は禁術だと言ったよな私? なあなんで使った? そんなにあの格好が好きか? そんなに見たかったのか? なあなあ? ちょっと説明してみてくれないかな? 私にさぁ?」
「いや、ほら、女の子と戦う趣味とかって俺には無いし、一撃で戦意喪失させるにはこれが一番かなぁって……」
「ああそうだな、あんな格好に公衆の面前で変えられてまだ戦い続けるとかそういうバトルジャンキーじゃないからな、普通の魔法生徒は」
「そ、それに全裸じゃなかったし」
「そんなのは当たり前だバカ弟子がっ!」
ウサ耳スク水メガネ尻尾付き、に変えられたグッドマンさんは、当然ながら棄権。
俺は程よく準決勝へと駒を進めることに成功した。
え? 酷すぎるって?
でも靴下は残しておいてやったから多分平気」
「気休めになるかそんなもんっ!」
「あと声出てますよ、最後」
一緒にいたせっちゃんにまで窘められてしまった。
というかキミついでに心読んでなかった?
× × × × ×
二回戦・Bブロック第一試合
泉井美月 VS 長瀬楓
せっちゃんは不戦勝なので実質二回戦は三試合しかないのだが。
ブロックごとに分ける必要性は、もう残って無いのではなかろうか。
そんな思考で見る小学生VSニンジャ。
ちなみに俺の姿勢は正座のまま。
その上に石抱き宜しくエヴァ姉が座り込んでおり、拷問というよりはご褒美なのですがこれは。
いや、後ろ手はエヴァ姉の用意した手錠で使用不可だから実質拷問か。
――くそぉ、う、動かせろ……! 柔っこくて抱きしめたいよぉ……っ!
「………………。」
そしてそんな俺を蔑んだような目で見ているせっちゃんである。
「……なんすか」
「いえ、別に……」
え。俺考えていること表情に出てる?
俺のサトラレ説が浮上する。
若しくはせっちゃんサトリ説。
『――遠出山越え笠のうち、聞かざる時には物の白黒、出方善悪、とんと分からず、
童子来たりて撞木当てざれば、とんと鐘の音分からずじまい、
手前此処に呼び出したるは、おんばこ食らって露草に育つ、
万葉古来に詠われる、筑波は四六のがまにてゴザル』
そしてお前はナニヲシテルンダ、ニンジャ。
武舞台の中央にて、どでかい蝦蟇蛙を足の下へと呼び出した長瀬がいたりする。
口寄せの術なの? ガマ仙人にでも弟子入りしていたの?
ニンジャはもういいよぉー。
『ほほう、まさかリアル自来也を見られる日がこようとは。これは僕も相応に相手しなくてはなりませんかね』
えっ、なにこの子、でかいガマを見て逆にやる気になっちゃってない?
泉井ちゃんは両手を何某かのオーラで包むと、それを舞台へと下ろす。
『創造領域・キュベレイ≪地母神≫』
その瞬間――、
舞台を突き破って出てきたのは、両腕が巨大な鰐頭となっている二足歩行のスペースゴジラと、巨大な銃のような大筒を片腕に構えた変則六角形の顔面を持つ怪物。
どちらも映画の大怪獣のように巨大ではないが、蝦蟇よりは充分に巨体。
『ゾンアーベントにフリユーリンク、です。
――さて、始めましょうか』
……正直、えっ二対一? とか、強気に出たはずの楓たんが威圧負けしているでござる……。とか、そんな感想しか浮かばなかった。
……一体誰が勝てるんだ、この子に。
そして俺の拷問はいつまで続くんだ。
~初日の暴走
のどかとのデートで事が起こったらしい
尾行者は居なかったがキスを注文したのどかが腰砕けにry
そしてそれを目撃していた高音と愛衣
まあキンクリしたんですけど
~焦点回廊
まさか二度目の登場になるとは作者も思いもしなかった(すっとぼけ)
衣装換装魔法だけど強力な武装解除でもある
そらくんマジ負完全
~筑波は四六のがまにてござい
ニンジャといったらこれだよね!
~創造領域・キュベレイ
意志薄弱な泥の人形を作り出せる。限定十二体
出現する泥人形は順ごとに体表に張り付いた目玉の数によってカウントされているが、美月は二人の泥人形使いの技をトレースしているためにあんまり関係ない
今回出たのは味方側の7体目と8体目。なのでそれぞれ順繰りに目玉の数があると思ってください