とある輝夜の時間操作《タイムオペレーション》   作:仙崎終夜

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平穏な日々
第一位と第八位


学園都市。

その土地の一部を神奈川や埼玉に及ばせながら、東京都中央の約三分の一を占める総人口230万人の円形巨大都市。ここは総人口の約八割が学生であるためなのかはわからないが、学園都市と呼ばれている。

 

さて、そんな学園都市では『超能力開発』がされている。小難しく言うと、人間の脳を開発をし能力者として開花させる技術である。

ここで重要なのはあくまで【素質のある人間にのみ】能力が開花するということだ。

開花した能力はその大きさでランク分けされる。

 

無能力者と呼ばれるLEVEL0

低能力者と呼ばれるLEVEL1

異能力者と呼ばれるLEVEL2

強能力者と呼ばれるLEVEL3

大能力者と呼ばれるLEVEL4

超能力者と呼ばれるLEVEL5

 

さて、そんな学園都市で今日ものんびり過ごしている少年がいる。

これは学園都市で“八人”いるLEVEL5のうち、序列八位の少年のお話――――

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

学園都市も一応日本なので冬がある。

二月中旬、未だに寒さが衰えないこの時期。そんな中、フラフラと歩く少年がいた。

 

「うぅ~、寒い」

 

自分の肩を抱きながら震えている少年は、ちょうど見つけたファミレスに足を踏み入れた。

 

「いらっしゃいませー」

「あったけぇ~♪」

 

暖房の効いた場所を確保し、少年はとりあえず席についた。受験シーズンと呼ばれる時期で、もちろん彼も今年受験生なのだが一切そのような雰囲気はない。

暖をとって幸せオーラがまき散る彼の向かい合わせの席に、客が腰を下ろした。

 

「相変わらず暇そうだなァ、輝夜」

 

輝夜と呼ばれた少年、輝夜永斗。

大して珍しくもない黒色の髪に茶色の強い瞳。顔は比較的整っている方で、現在幸せオーラ全開なので非常に好意的な印象だ。

 

「ん?あぁ、一方通行(アクセラレータ)か」

 

対して一方通行と呼ばれた少年は、病的なほど白い髪に赤い瞳をしていた。彼は決して病気などではなく、彼の能力のせいでそうなっているのだ。

 

「どうした、お前がひょっこり顔を出すなんて」

「腹ァ減ったから飯食いに来たンだよ」

「まぁ、ファミレス来て飯食わないのは変だしな」

 

幸せオーラをおさめ、一方通行を見る。

注文した料理が届き、一方通行はそれを食べようとした寸前、輝夜の視線に気づいた。

 

「…なンだ?」

「いや、相変わらず白いなーって」

「うるせェよ」

 

見るだけで腹が膨れるほど肉の塊を食し始めた一方通行。輝夜は若干引き気味にそれを見ていた。

輝夜が注文していた焼き魚定食(どこからどう見ても定食)が届き、一方通行と同様に骨など一切無視で食べ始める。

その間、二人は無言で手と口を動かしていた。

ふと、何かを思い出したように手をパンっと叩き、輝夜は肉にがっつき続けている一方通行に声をかける。

 

「ちょいちょいレータくん」

「その呼び方やめろ」

「高校どこ行きますのよ?」

「あァ?高校なンて行くわけねェだろォが」

 

その言葉を聞き、輝夜はニヤリと笑う。

ヤバイ、と一方通行は身構えるも時すでに遅し。

 

「そう言うと思って準備してました!レータくんの入学申込書ぉ!」

「はァァああ!?」

 

驚愕で肉を食べる手が止まった一方通行を無視して輝夜は続けた。

 

「ほら、歳考えてみよーよ?俺ら今年受験生のはずだろ?そこでふと学生生活送りたくなったのよな。というわけでレータくんも一緒に行こう」

 

勝手すぎることを言う輝夜に、一方通行は開いた口がふさがらないと言わんばかりに呆然とする。補足だが、輝夜の発言から彼自身も学校に通っていないことがわかる。

学力的には問題の無い二人だが、『しかるべき学生生活は何物にも変えがたい宝である』とテレビで聞いた輝夜はその言葉に共感し、今に至るのだ。

 

「ふざけンな!なンでお前のお遊びに俺まで付き合わなきゃならねェんだァ!?」

 

再起動を果たし、全力で反論を開始するが輝夜はコロコロと笑いながら、

 

「いいじゃんいいじゃん~。高校生ぐらい普通にやっても罰当たらねぇって!な、いいだろモヤシ?」

 

馬鹿にするように、というより馬鹿にしながら笑う輝夜に、一方通行はふつふつと怒りで沸騰しかけている。

 

「テメェ、ケンカ売ってンのか?」

「俺は平和主義だよ?喧嘩なんて野蛮なことしないしな~い」

「ふざけンな、テメェのどこが平和主義だってンだ」

「見てわからない?」

「腹黒ってことァわかる」

「喧嘩売ってる?」

「やるかァ?」

「嫌だ」

「………見せろ」

 

完全拒否された一方通行はため息をつき、輝夜が持っている分厚い封筒をかっぱらった。

封筒を奪われた輝夜は、一瞬キョトンとするもすぐに笑顔を浮かべた。

妙に分厚いなァとボヤきながら封筒を破り開けた一方通行は中の書類に目を通した。

 

「へェ、確かにここなら普通に過ごせそォだなァ」

「でしょ?なかなかいいと思うんだよねぇ」

 

彼が口にしたのは、学園都市の第7学区にあるどこにでもある何も変哲のない高校。在学している能力者で最高レベルが2。彼らとは天と地の差があるが、輝夜はその高校を推しまくった。

 

「つーかよォ、なンでこンな高校なんだァ?俺もお前も学力で行きゃァ長点上機学園だって行けンだろォがよォ」

「えぇ~!だってあそこエリートどもの集まりじゃんか。それこそ俺らモルモットにされるぜ?」

「LEVEL5になってる時点でモルモットだろォが…」

 

文句を言いながらもペラペラと書類をめくっていく一方通行は、学園都市最強のLEVEL5で序列一位。

輝夜は同じLEVEL5だが、序列は八位と大きく差がある。それでも二人は仲良しなのだ。

書類を読み終わり何かを言おうとする一方通行をさえぎり、輝夜は爽やかな笑顔を一方通行に向け、

 

「ちゃんと書き忘れないようにしろよ?入学手続きができませんでしたとか笑えないからね」

「わァってる……って、勝手に決めンじゃねェ!」

「認めたね?今認めたよね?認めた、はい決定」

「……もォ好きにしろォ」

 

反論できず論破された一方通行は再び肉に向かう。

輝夜もうんうんと頷いて魚に向かう。

二人のLEVEL5は親友同士であるため、根本的には似た者同士なのだった。




短めですが、感想お待ちしております
(次回予告などはもう少し物語が進んだら取り込んでいきたいと思います)
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