やはりウヴァは青春ラブコメでもウヴァさんである。 作:亜独流斧
何気に主人公視線の書き方は初めてだったので苦労しました。
少しでも面白いと感じていただければ幸いです。
「う…ここは…?」
気が付くとオレは、『真っ白な部屋』とでも言うべき空間にいた。
知らない奴の為に自己紹介しておこう。オレの名はウヴァ。800年前に生み出された欲望の力『コアメダル』。その内の一種である昆虫系メダルから生まれたグリード、虫の王とでも言うべき存在、それがこのウヴァ様だ。
…オイ、誰だ今『ウヴァ様』より『ウヴァさん』の方が合ってるとか言った奴は。
「っと、そんなことよりどこだここは?それにグリードであるオレが、こんなにもはっきりと白を認識出来るとは一体…」
そんな事を考えていると、後ろから突然
「お目覚めかね!?ウヴァくん!」
と声をかけられた。というか叫ばれた。
「誰だ!?」
オレが後ろを振り返ると、そこには忘れたくても忘れられない顔があった。
「貴様…800年前の王!」
「おや?私としては鴻上光生を意識したのだが…ああ、そう言えば彼と面と向かって会った事があるのはアンクくんだけだったね。それに鴻上はあの王の子孫だ。…そう思えば全く的外れな間違いでは無いな!」
目の前の男が何を言っているのかは分からんが、どうやらこいつはあの王・初代オーズでは無いらしい。…どうでもいいが、いちいち大声を出すな。
「…なら貴様は何者だ。そしてここはどこだ」
「実に良い質問だよウヴァくん!お答えしよう。一言で言うなら私は…神だ。ここはあの世でも現世でも無い世界。世界の破壊者ですら侵すことの出来ない領域だ!ハッハッハッハ!」
何を言ってるんだこいつは。
「…どうやら信じていないようだね。よろしい!では論より証拠だ!里中くん、カモン!!」
目の前の男が大声で誰かを呼ぶ。するとどこにいたのか、男の後ろからモニターを抱えた女が突然現れた。
おぉ!?この女、よく見たらオレとガメルとメズールを罠に嵌めた奴じゃねえか!許さん!
「今君が何を考えているのかよく分かる。が、彼女も見た目を似せただけの別人だ。それよりもウヴァくん!…君は『神様転生』という言葉を知っているかな?」
「聞いたことも無い。何だそれは?」
「主に二次創作作品などで使われている設定の一つだ。本来死ぬはずの無かった者が、神の手違いで死んでしまう。神はお詫びにその人物を別の世界に特典付で転生させてやる、という物さ」
「に、二次?…フン、要するに人間共の娯楽の一種か。そんな妄想の何が楽しいんだか」
というか、神の手違いで死んだのに、そのまま生き返らせてはくれんのか。特典とかで誤魔化しているが、殺された挙句に見知らぬ土地で人生やり直しとか…何だその飴と鞭。
「それが今の状況とどう関係ある?」
「ウヴァくん、君は忘れてしまっているようだが…君は既に死んでいる。正確に言えば、君の意思を宿したコアメダルは破壊されたのだよ!」
「何だと!?出鱈目を言うな!」
と、そこで例の女がモニターの電源を入れる。するとそこに、オレの姿やオーズ、アンクやドクターといった面々が映し出された。
『感謝するぞ、ドクター!』『もたらす終焉はきっと美しい…』
『オレは…オレは嫌だ!』『なんという見苦しさ…』
『(ウヴァの怯える声)』
何だこれは…いや、そうだ…。オレはこの光景に見覚えがある……。
「思い出したかね?君はドクター真木にコアメダルを投入され、メダルの器にされたのだ!しかし今重要なのはその先…そこだ!里中くん、ストップ!」
そう言って男が止めさせたのは、オレ(原型なし)の内部でオーズがドクターに紫のコンボで攻撃、ドクターを撃破した場面だった。
「ドクターの最期か…これがどうかしたのか?」
「ウヴァくん、実はこの世にはいくつもの並行世界が存在している。知らなかっただろう?」
また話が違う方向へ飛んだ。もったいぶるのはいいが、いい加減簡潔にまとめろと思う。
「知るか!それが何だってんだ!!」
「君たちがいた世界と非常によく似た世界があった。私はこれを個人的に『本編の世界』と呼んでいる。…さて、実はこのオーズがグリードを打ち倒すという結末は本来、本編の世界だけの物だったのだよ」
「何だと?どういう事だ」
「本来の君たちの世界の結末はこうだ。ドクター真木の死は避けられない物だったが、彼との戦いでオーズとアンクくんも相討ちになる。そして彼らの戦いの中で放たれた紫のコアの力は、君を暴走させていた余分なコアを破壊し、本来の昆虫系グリードとして復活する…という物だ」
おお!オーズが倒れ、暴走の危険もない。文句のつけようが無い終わり方だ!これこそオレの真の実力にふさわしい結末だ。
……ちょっと待て。オレが生き残るのが正しい結末なら、何故オレは砕けた?それに奴は神と名乗っていた。そして唐突な『神様転生』の話。
「……まさか貴様」
「理解したようだねウヴァくん!そうとも!私のミスでオーズをタジャドルコンボでは無くプトティラコンボで戦わせてしまい、そのせいで余分にメダルを破壊してしまったのだよ!!ハーハッハ!」
「ふざけるな貴様ァ!!!」
オレは目の前のふざけた男を黒焦げにしてやるため、得意の電撃を放とうとする。……が、一向に発射される気配がない。というか、ほんのわずかな電気さえ感じ無い。
と、そこでようやく自分の体がクワガタコア一枚になっていることに気付いた。またこれか!
もはや満足に動く事すら出来ないオレを、男はひょいと掴み取る。
「放せ!オレをどうするつもりだ!」
「落ち着きたまえウヴァくん。私は君を転生させてあげようとしているんだ。さあ、特典は何が良い?」
「よせ!オレは転生する気なんてない!生き返らせるなら普通に生き返らせろ!」
「遠慮することは無い。そうだな…特に希望が無いというのなら、私の方で勝手に考えてしまおう。グリードとしての力は残しつつ、人間になるというのはどうかね?コアの不足による弱体化は無く、その上でセルメダルを集めればより強くなれる!まさに無限の可能性だ!」
何!?…それはそれで中々魅力的だな。ここは転生してみるのもいいかもしれん。
「更にサービスだ!他の種類のコアの力も少し付けておこう!」
「やっぱりいらん!オレは…オレは転生なんて嫌だ!」
少しでも心が揺らいだオレが馬鹿だった!なんでまた暴走の恐怖に怯えて生活しなきゃならんのだ!
しかしもう男にオレの声は届いていなかった。男はいやに上機嫌に鼻歌を歌っている。
「ハッピーバースディトゥユー♪おめでとうウヴァくん!さあ、どんな世界に行くかはお楽しみだ。里中くん、用意はいいかね?」
「はい、会長」
その声に反応して女の方を見ると、いつの間にかさっきのディスプレイに魔法陣のような物が描かれていた。
それを確認した男は満足げに頷くと、手にしているオレのメダルを思いっ切りその魔法陣に向かって投げつけた。
「やめてくれえええ!!」
高速で迫りくる画面。オレの意識はそこで途絶えた。
「…いちゃ…、おにい…ん」
「う、うん…」
「お兄ちゃんってば!起きて!」
少女に体をゆすられ、少しずつオレの意識が覚醒していく。
「う…あぁ、小町か。早いな」
この少女は比企谷小町。転生した先で生まれたオレの妹だ。家族である上、オレが元々グリードだったので、もちろん異性として意識するという事は無い。が、家族としてはとても大切に思っている。家族がいて、それを大切に思うなどグリードだった頃には考えられなかった事だ。ていうか小町可愛い。あまりに可愛すぎて、「小町がいたらメダル足りなくても完全体になれたのでは?」と考えたことすらある。
「今日高校の入学式だから早く起こしてって言ったのお兄ちゃんでしょ?」
「ああ、悪い悪い」
そして小町可愛い。
「じゃあ小町朝ごはん作ってくるね」
「おう、頼む」
やっぱり可愛い。今まで見てきた生物で一番可愛いんじゃないか?ガメルとメズール?誰だそれは。
そんなことを考えている間に、小町は部屋から出て行った。
「ふう…」
オレはウヴァ。元昆虫系コアメダルのグリードだ。今もコアは存在しているが、メダルで出来た体では無く、人間の体にコアが宿っている。つまり状態としては以前のドクターやオーズ、人間に憑依していたアンクなんかに近い。
転生してから約15年。まさか人間の赤ん坊として生まれるところから始まるとは思わなかったが、それなりに楽しめている。
そんなオレも、今日から高校一年生。我ながら人間に染まり過ぎだろうと思いながらも支度を済ませ、気分の高まりを抑えきれずに早めに家を出る。
「…まずはクラスに多くの友人を作る。それがオレの高校生活最初の欲望だ!」
期待に胸を膨らませながら、新しい学び舎へと足を急がせた。
……はずだったが、途中で車に轢かれそうになっていた犬を庇い、結果その日から入院することとなった。
「……今度からもっとセルメダルを取り込んでおくか。ケガしにくいように」
――――――――ウヴァ、入学ぼっち確定――――――――
(このままでは済まさん…)
おまけ
八幡「千葉県横断お悩み相談メールー…さて最初は…」
<PN:剣豪将軍さんのお悩み>
どうしたら売れるラノベが書けますか?あと声優さんと結婚したいです
雪乃「…これは比企谷くんの担当ね」
八幡「勝手に割り振るなよ…やるけども」
<奉仕部からの回答>
ここではリントの言葉で話せ
八幡「これで良し…と」
ご意見、ご感想などお待ちしてます。