やはりウヴァは青春ラブコメでもウヴァさんである。   作:亜独流斧

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まさかの2話目。ウヴァっぽい文章って難しいです。

ゆきのんって相当ツンが多くてデレ少ないですよね。ゆきのんの毒舌…興味深い、ゾクゾクすrゲフンゲフン。


状況整理と作文と雪の女王

前回の三つの出来事。

一つ、我々の知るオーズの世界とは別の世界があり、そこに存在していたウヴァが倒される。

二つ、そのウヴァが神と名乗る男の力で異世界へと転生させられる。

そして三つ、高校の入学式当日に車に轢かれ、ウヴァの高校デビュー失敗が確定した!

 

 

 

『青春とは、欲望の解放である。かつてある男が言った。「人間なんて一皮剥けば欲望の塊だ」と。全くもってその通りだと思う。繋がりを求めて友や恋人を作り、充実感を求めて部活や趣味に打ち込む。試験で赤点を取る者は、ごく僅かな例外を除いて、皆目の前の義務より自身の欲求を優先した結果であるし、「青春を謳歌している」というのは「欲望を満たしているという感覚に酔いしれている」という事に他ならない。

つまり青春を謳歌している者ほど欲望まみれで獣と大差なく、逆にそうでない者こそ、理知的な人間としてのあるべき姿であると言える。結論を言おう。リア充はショッカー怪人の如く爆発しろ。』

 

「さて、比企谷。一体これは何だ?」

 

「見て分かるだろう。作文だ!」

 

よう。オレはウヴァ。あの事故から一年と少しが過ぎた。今オレは総武高校の職員室に呼び出されている。どうしてこうなったのか、順を追って説明してやろう。

 

 

 

グリードだった頃には、まさか乗用車ごときに自分の人生(グリード生?)を狂わされる等とは夢にも思っていなかった。

だが、今のオレは人間だ。神の特典とやらのおかげでグリードの姿になることも、グリードとしての力を使うことも出来るが、普段は多少頑丈な人間、という程度でしかない。車に轢かれればそりゃ大きなダメージを食らう。

グリードの力を使えば済んだと思った奴もいるだろう。そういう奴は逆の立場になって考えてみろ。

まずグリードの力なんぞ、正直この現代で使うタイミングを見つける方が難しい。オレが電撃を放たなくとも発電所があるし、他のコアの力も科学技術で代替可能だ。そしてここにはオーズもバースもいない。人間になったことでコアメダルやセルメダルを集める必要も無くなった上、欲望を満たすための感覚も手に入り、常に耐え難い欲望に襲われることも無くなった。つまり、異能は普段使う必要が無いのだ。

そんな生活をずっと続けてきた上、数秒前まで高校生活の事で頭がいっぱいだったオレが、そんな咄嗟に力を使えるはずがないだろう。例えるなら、もう何十年もロクに運動していないおっさんが「オレは昔甲子園目指してたんだぞ!」と、いきなり練習もアップも無しに野球をやったところで、昔と同じ動きが出来るわけがない。それと同じ事だ。

思い出して変身しようとしたときには既に車と接触していたし、セルメダルもロクに集めていなかったから大怪我を負った。

結局オレの入院中にクラスのグループは大方決まり、戻って来たオレを待っていたのは『グループやペアを組む相手がいない一年間』だった。

正直グリードだった頃の体験が無ければ心が折れていたかもしれん。一人がキツイ時にはいつもカザリやアンクの事を思い出して耐えていた。「誰かとつるんでも、どうせまたあいつらみたいなのが現れるから。むしろオレくらいになると望んで一人になるから」とな。…我ながら思考が後ろ向き過ぎる。

元々小学校、中学校とロクなポジションにいたわけでは無かったが、それでもこの状況は中々堪えるものがあった。おかげでオレの心もすっかり荒み、その状態で進級したため現在進行形でぼっちである。

 

 

 

そんな状況で『高校生活を振り返って』というテーマで作文を書かされたせいか、オレは原稿用紙いっぱいに、リア充への恨みつらみを小洒落た皮肉を織り交ぜて書き綴った。おかげで少しは気が晴れた。因みに書き終わってから少し時間が余っていたので、その間はリア充を爆破する方法を真剣に考えていた。これも少しスッキリした。

そして放課後、担任の平塚静教諭に呼び出された。

 

「もう一度聞くぞ。比企谷、これは何だ?」

 

「……正直、書き終わってから改めて見直すと、オレ自身にも何がしたかったのか分からん…」

 

書いてるときには真剣だったが、結局何が言いたいのか分からん文章になっていた。言うほどいっぱい書いてないし。

 

「比企谷?」

 

「…すいませんでした」

 

ホントなんであんなテンション上がってたんだろう。

 

「取り敢えずこれは書き直しとして…」

 

「何だと!?ふざけるな!」

 

オレはその理不尽な発言に異を唱える。いくら担任の教師だろうと、作文の書き直しをさせるなど絶対に許さない。ユグドラシルよりも許さない。何だユグドラシルて。

 

「…ふざけているのは君の方だろうが。ん?不服か比企谷」

 

「いいだろう。オレの真の実力を見せてやる。…あと、手をどけて下さい」

 

…あの作文でオレの日本語表現能力が測られてしまっては非常に不愉快だ。仕方が無いが、ここは平塚先生の提案に乗ってやろう。

決して、オレの顔にすれすれのところを通っていき、現在壁にめり込んでいる先生の拳は関係無い。

 

「この作文を見る限り、君には友人がいないようだな」

 

「失礼な事を言うな!オレは好んで一人でいるだけだ!」

 

ドン!

先生の拳が再び壁にめり込んだ。キケーン。

 

「さっきから思っていたが、君はその言葉遣いを直せ」

 

「…善処する」

 

ドン!

先生の拳がまたしても壁にめり込んだ。トテモ、キケーン。

 

「直せ」

 

「…はい」

 

何故だ…グリードの力は残っているのに勝てそうにない。

 

「まあいい。話を戻すが…という事は当然、恋人もいないわけだな?」

 

「自分だっていないじゃないでオゴォ!」

 

メキィ!

先生の拳がオレの腹部にめり込んだ。ヒッサツ!フルスロットル!

 

「…女性に彼氏や結婚について聞くなと教わらなかったか?」

 

「すまん…じゃなくて、すみませんでした…」

 

何なんだこのダメージは…。あの事故の後、オレはセルメダルを大量に集め、更に筋トレなどで人間としての体作りにも真剣に取り組んだはずだ…。にも関わらずこの激痛は…化け物かこの教師。

あと、そんな教育を受けた事は無い。

 

「はぁ…。全く、君はその捻じ曲がった根性を叩き直す必要があるな。比企谷、場所を移す。ついてきたまえ」

 

 

 

 

 

先生はオレを、プレートに『2-E』だとか『音楽室』などといった部屋名が書かれていない教室に連れてくると、ノックも無しに扉を開けた。

 

「雪ノ下、入るぞ」

 

そう言いながら先生は教室に入っていく。それはもう「入るぞ」では無く「入ったぞ」だろ…。

先生の後に続いてオレも教室に入ると、そこでは一人の女子生徒が椅子に座って文庫本を読んでいた。

 

「……平塚先生、入る時はノックをお願いしたはずですが」

 

そいつは途轍もない美少女だった。長く美しい黒髪。整った顔立ち。凛とした透明感のある声。彼女を見ても何も感じ無い男など、同性愛者を除けばそういないだろう。

正直今ほど人間になって良かったと思った事など他には二回しかない。因みに二回とも小町に「お兄ちゃん大好き」って言われた時だ。あれはコアメダル手に入れた時より嬉しかったなぁ…。

 

「ん?ああ、すまん。だが君は、ノックをしても反応しないだろう?」

 

「そういう問題ではありませんし、ちゃんと反応します。先生がそう思われるのは、ノックしても返事を待たず即座に入室されるからです」

 

この女も先生に振り回されているらしい。何やら親近感が湧くな。

 

「…ところで平塚先生、そこのぬぼーっとした人は?」

 

あ、嘘。駄目だこいつ。いきなりこういう事言うやつとは仲良く出来ん。ソースはアンク。

 

「彼は入部希望者だ。性格にかなり難があってな。すまないが、君の力で彼を矯正してやってくれないか」

 

「ちょっと待て…待って下さい。入部希望とはどういう事だ!…ですか」

 

そんな話は聞いて無い。作文に少し問題があっただけで、何故そんな話になる?

 

「嫌です」

 

お前はお前で断るの早すぎだろ。『NOと言えない日本人』じゃなかったのか。

 

「しかし入部は彼の希望であるからな。それ相応の理由が無い限り却下は出来んよ」

 

「だからオレは希望などしては…」

 

「その男と長時間二人きりなんて耐えられません。その男の視線には危険なものを感じます」

 

「だから話を聞け!なんで何も言ってないのにそんな扱いをされねばならんのだ!」

 

「それなら心配は無い。彼は決して刑事罰に問われるようなことはしないよ。小物だからな」

 

「貴様ら…じゃなくてあんたらは、何故いちいち余計な一言を付け加える?」

 

まあ確かにしないが。いくらなんでもその女―――雪ノ下とやらの胸は慎ましすぎる。そういう問題じゃないか。

 

「…分かりました。それは先生からの依頼という事でよろしいですか?」

 

「ああ、頼んだよ。それでは私は仕事に戻る」

 

「!?おっ、おい!ちょっと待っ…」

 

少しぼうっとしている間に、強制的に入部が確定してしまった…。おまけに連れてきた先生は、そのまま教室から出て行ってしまう。……どうすればいいんだ、この空気。

 

 

「取り敢えず座ったら?そこに突っ立っていても間抜けよ」

 

流石にオレが立ちっぱなしでだんまりしているのを見かねたのか、雪ノ下はそう言ってくる。…相変わらず一言多いが。

 

「あ、あぁ…。ところで、ここは一体何部なんだ?オレは何も知らされずに連れて来られたのだが」

 

「そう…。ならゲームでもしてみない?ここは何をする部活だと思う?」

 

ふむ…面白い。その勝負、受けてやろう。

オレはアンクやカザリ程では無いものの、それなりに頭はキレる方だ。グリード時代に考えた『闇金融でヤミー繁殖!セルメダル回収大作戦』や、『お父さん、悪い奴いっぱいやっつけてすごいな!作戦』は特に良い作戦だったと思う。

ここはオレの賢さを見せつけて、この偉そうな女に一泡吹かせてやる!

…だが、ここはまず言わなければならない事がある気がするな。

 

「そうだな…宇宙仮面ライ「あまりにふざけた事を言ったら、何かしらのペナルティを受けてもらうわよ」…少し考えさせろ」

 

気のせいだな。言わなければならんボケとかは無いな。

そうだな…この女はさっき読書をしていた。それに、この部屋には特別な設備も無い。だが、文芸部という事は無いだろう。オレの性格を矯正するとか言っていたしな。

…そう言えば、さっき雪ノ下は『依頼』と言っていた。つまり読書は時間潰しで、本来の活動は、持ち込まれた依頼の解決という事か。

 

「ボランティア部…という程自発的に動くわけでは無さそうだな。『便利屋』とでも言ったところか?」

 

「…驚いた。ほとんど正解に近いところまで来てるわ」

 

雪ノ下は皮肉では無く本気で感心しているようだった。

フッ、見たか!これがオレの実力だ!完全復活…はしてないが、なめるな!

 

「ほとんど…という事は、完璧に正解では無いのか。答えは何だ」

 

「そうね…確かにここは依頼を受けて、それを達成することを目的としているけど、何でもかんでも手を貸すわけでは無いわ。餓えた人に調理された食事を与えるのではなく、魚の取り方を教える。そんな風に、依頼者の望みを叶える手助けをして、本人に自らの目的を達成させる。それがこの部活よ」

 

そう言って雪ノ下はオレの方を見た。…やっぱ美人なのは確かなんだがな。

 

「『奉仕部』へようこそ、比企谷くん」

 

これがオレと雪ノ下雪乃の出会いだった。

……ようこそというか、別に入りたくは無いんだがなぁ。




おまけ
八幡「さて次は…」

<PN:メロン主任>
大事なスイカロックシードを紛失してしまいました。部下に対して少しキツイ言い方をしてしまっていた手前、言い出し辛いです。どうすればいいでしょうか?

雪乃「これは…」
八幡「社会人がガチの悩み書いちゃってるよ…。てかこの文章から察するに、この人ごまかす気満々だろ…」
結衣「うーん…でもこれ、やっぱり下手に隠すより、さっさと言った方が良いと思うな」
雪乃「そうね。私もそう思うわ」

<奉仕部からの回答>
正直に打ち明けて謝りましょう。最初は色々言われるかもしれませんが、紛失した物の代わりを補充してくれるかもしれません。強化されたドライバーと夕張メロンとか、あるいはプロトタイプのウォーターメロンとか。

八幡「こんなもんか」



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