やはりウヴァは青春ラブコメでもウヴァさんである。   作:亜独流斧

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ドライブの剛の闇墜ち…チェイスが仲間になったと思ったらこれかよ!
ていうかこれ一応最終回の前書きなのに…やっぱりこんな感じかよ!

それっぽいこと言うと、この作品の舞台には実は『俺ガイル』以外にももう一つモチーフがありました。今回は途中その裏設定が明かされる場面があります。興味の無い方や納得いかない方は、無視して読み飛ばしちゃっても構いませんが。


虫とその後と仲間たち

あのクッキー作りの依頼から数週間が過ぎた。

あれ以降由比ヶ浜は奉仕部に入り浸るようになり、先日ある依頼に取り組んでいる最中に正式な部員になった。

この数週間の間に色々な事があった。入学後一年間、いや、それよりも前からぼっちで過ごしていたオレには騒がしすぎるくらいだ。

奉仕部に入部させられ、読書をし、クッキー作りを手伝った。材木座という中2野郎の書いてきた、あまりにも中身の薄い小説を読んだり、雪ノ下と由比ヶ浜が仲良くしている横で読書をしたり、クラスメイトの戸塚のテニスの特訓を手伝ったりした。……改めて見ると半分は読書だな。

奉仕部を辞められるのならいつでも辞めてやる。その考えは決して変わらない。……だが、最近はあの教室へ向かうのがそれほど億劫では無いのも事実だ。

決してオレの扱いが変わったわけでは無い。先生は相変わらず理不尽な事ばかり言うし、雪ノ下は隙あらば罵倒してくる。由比ヶ浜もヒッキー呼びを止めやしない。それでも…あの場所に少しばかり居心地の良さを感じているのは事実だ。慣れとは恐ろしいものだな。

 

そんな事を考えながら、オレは今日も部室へと向かう。今日は由比ヶ浜は掃除当番なので、久しぶりに部室への道のりを一人でゆっくりと歩いていく。……つもりだった。

 

「おい、材木座。いい加減放せ」

 

「八幡!聞くがいい!ついに、我に眠る新たなる人格が目を覚ましたのだ!」

 

「お前、毎日のように新しい設定を持ってくるな。面倒臭い…」

 

ちなみに八幡というのは、オレのこの世界での名前だ。やだ、事実なのに言ってることが材木座みたい!

というか、5話にしてようやく名前が出たってどういう事だ…。みなさん、オレのフルネームは『比企谷ウヴァ』ではありませんのでご了承下さい。

 

「失礼な事を抜かすな!我の話は設定などでは無い!というか、今までのはぶっちゃけ設定だが、今回のはマジなのだッ!!」

 

「設定って認めたぞこいつ…」

 

「今回のは事実だと言っているだろう八幡!昨日、我は帰り道で不良に絡まれたのだが…気が付けば周りに不良どもが倒れていたのだ。…我は必至で記憶を探ったが、どうしても不良にビビって少しちびったところまでしか思い出せんのだ」

 

「なんだその微妙な情報…。そこは普通に思い出せないだけで良かっただろ。……で、それは何のパクリだ?」

 

「だから本当だと言っているだろうが!あっ、無視するな八幡!」

 

オレは付き合っていられないとばかりに、材木座を無視して部室へと歩き出した。…虫だけに。

 

 

 

 

 

ウヴァと材木座のやり取りから数時間後。赤く染まった夕日を眺めながら、平塚静は校舎屋上で一人の青年と話をしていた。

 

「どうなんだ先生、例の転生者(・・・)って奴は」

 

「性格に難はあるが、まあいい生徒だよ。家庭科室でヤミーを作ったときは流石に驚いたがね。ま、悪い事をするような奴じゃない。私が保障するよ」

 

「そうか。だったら安心だ」

 

「むしろ君の恰好の方が学校的には問題だがな。金髪に鎧とは…服装検査の日にはやめておけよ」

 

「オレはここの生徒じゃないって!それにこの格好は仕方ないもんなんだよ」

 

静の冗談を受けて、金髪の青年・葛葉紘汰は苦笑いする。

 

「ホントにビックリしたよ。別の世界の神様がいきなりやってきて、『そっちの世界に送った転生者の様子を一度見て来て欲しい。よろしく頼む』なんて言うんだから。あのオッサン声でかいんだよ」

 

「私の方こそ驚いたよ。以前教育実習で一度担当した沢芽高校の生徒が、突然こんな格好になって現れたのだから。しかもお前、『お久しぶりです。オレ、神様になりました』って挨拶はなんだ。短期間とはいえ国語を教えた私の気持ちにもなってみろ」

 

「いや、先生にはどっちかというと喧嘩の仕方とか教わった記憶が強くってさ。まだインベスゲームが流行る前だったからさ、オレも裕也もよく先生直伝のボディーブローに助けられたなー」

 

「その話はよせ!生徒に教師が喧嘩を教えてたなんて、とんでもない問題になるだろ!」

 

かつての思い出話に花を咲かせる二人。二人の表情はとても生き生きとしたものだった。

 

「…そうか、ヘルヘイムの事件やメガヘクス襲来から、もうそんなに経ったのか」

 

「あぁ。君たちビートライダーズのおかげで、私たちはこうして普通に生活を送れている。本当に感謝しているよ。……もっとも、このあたりはほとんど被害が無かったせいか、あの事件に興味を持たなかったり、忘れてしまっている生徒たちも多い。残念な事だがね」

 

「……それでも、あの当時心に大きな傷を負った人たちが、一歩ずつ確実に前に進んでいる。無くしちまったものを忘れちゃいけないけど、忘れられるくらいにみんなが前を向いて歩いている。それがオレにはすげえ嬉しいんだ」

 

今回地球を訪れた紘汰は、静と会う前に沢芽市の今を見に行った。そして彼が見たのは、とても前向きに未来を掴もうとするかつての仲間たちだった。

 

シャルモンの看板を背負うに相応しいパティシエにまで成長した城之内。街の若者たちの良きリーダーとしてビートライダーズを更に盛り立て、沢芽の復興に尽力したザック。過去の過ちを償うためにユグドラシルを引き継ぐ形で新たな企業を設立し、ユグドラシルの犯してきた罪を背負いながら、同時に様々な分野の発展にも貢献している呉島兄弟。他にも沢山の仲間たちが、前を向いて今を生きていた。

 

(つっても、『ユグドラ汁』ってネーミングセンスは無いと思うぜ貴虎…。ミッチ、そこはお前が企画会議とかの段階で気付いてやれよ)

 

この総武高校でも売られている、貴虎たちの会社の人気商品の事を思い出して、紘汰は一人苦笑いした。

 

「どうした?何か可笑しかったか?」

 

「いや、ただの思い出し笑いだよ。……さてと、そろそろオレは行くか」

 

「……そうか。もう行くのか」

 

「ああ。目的は果たしたし、あんまり地球に長居するわけにもいかない。舞やみんなも待ってるしな」

 

そう言うと、紘汰の体が少しずつ光の粒子となって消え始める。

 

「じゃあな先生。悪いけど、これからも二人(・・)の事よろしく頼むわ」

 

「ああ、任せたまえ」

 

静の返事を聞くと紘汰は満足そうな表情を浮かべ、やがて完全に光の粒となって空へ昇っていった。

 

「フッ、行ったか。………幼馴染と一緒に神様かぁ。いいなあ。……はぁ、結婚したい」

 

 

 

 

 

その頃、数時間前ウヴァに軽くあしらわれた材木座義輝は

 

「見つけたぞこの野郎!テメー昨日はよくもやってくれたなぁ!」

 

「は、はうぅ…」

 

昨日に続いてピンチに陥っていた。

昨日義輝に因縁をつけ、その後義輝の記憶の無い間に何かが起こったらしい目の前の不良は、今度は仲間を引き連れて報復に来たのだった。

彼の口ぶりからして、昨日彼を撃退したのは義輝自身で間違いないらしい。が、いかんせん義輝自身にその時の記憶が無い以上、どうやってこの場を切り抜ければいいのかさっぱり分からなかった。

 

「わわわ我にしょしょしょ勝負を挑もうなどと…ひゃ、百年はや「ああ!?」ひい!ごめんなさいホントすいませんでした許して下さい!」

 

普段は自身の事を剣豪将軍と呼ぶ等痛い言動が目立つ義輝だが、さすがにこの状況ではそんな余裕は無い。

 

(誰か…誰かいないのかぁ!?誰か我を助けてくれぇー!)

 

恐怖で頭がいっぱいになった義輝は、必死に心の中で助けが来る事を望む。が、運の悪い事に誰一人として通りがかる気配は無い。

 

「オラァ!覚悟しろや!」

 

「ひいいいいいいい!」

 

動き出した不良たちを前に、思わず目を瞑る義輝。絶体絶命の状況であった。が、

 

―――――その時不思議なことが起こった―――――

 

(君は見ていて面白いからね。いいよ、助けてあげる)

 

「!?誰の声…」

 

義輝の頭の中に聞き覚えの無い声が聞こえてくる。と、直後義輝は意識を失った。

 

 

 

それからわずか二、三分後、材木座義輝を取り囲んでいた不良たちはみな力尽き、意識を失って倒れこんでいた。

 

「ふう…。悪いね、この人間は見ていて面白いんだ。だからつい味方しちゃったよ。それに、この身体が入院でもして学校に行けなくなったら、ウヴァの奴を観察することもできないしね」

 

そう語りながら倒れた不良たちを眺めているのは材木座義輝。だが、今の彼は義輝であって義輝本人では無かった。

 

「安心していいよウヴァ。今のところ、僕は何かをする気は無いから」

 

彼は独り言を呟きながら、その手に握られてる黄色いメダル(・・・)を弄ぶ。

 

「剣豪将軍…ね。ぼっちだとか、中2病だとか…メダルの争奪戦をしているときには気付かなかったけど、改めて見ると人間ってのは面白いね。当分は退屈しないで済みそうだよ」

 

カザリは義輝の姿のまま、不気味な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「ぶえっくしょい!なんだ…風邪か?それとも誰か噂でもしてるのか?」

 

「あなたのことを噂する人間…生物なんて、そうそういないと思うのだけれど」

 

「おい、なんで言い直した」

 

言い直した方が悪化してるし。

 

「ていうかヒッキーのくしゃみおじさん臭い…」

 

「やかましい」

 

相変わらず奉仕部でのオレに対する態度はこんな感じだ。

一方、雪ノ下と由比ヶ浜の仲はというと

 

「ねえゆきのん!学校の近くに美味しいクレープの店が出来たんだって!今度一緒に行こうよ!」

 

「そうね…分かった。私はあまりそういう店に行った事が無いから楽しみにしてるわ」

 

「やったあ!ありがとうゆきのん!」

 

「だから抱きつくのは…まぁいいわ」

 

こんな感じだ。チョーイイネ!

なんというか、由比ヶ浜ならぬ百合ヶ浜と雪ノ下ならぬ百合ノ下って感じだな。もう少しお互いに向けあってる優しさをオレに向けてもバチは当たらないと思うのだが。

 

「それじゃあ、いつ行く?なんなら今日この後とか!」

 

「私は構わないわよ」

 

「やった!ヒッキーもそれでいい?」

 

「…オレもか?」

 

……どうやらオレも少しは仲間として認められているらしい。正直オレは、学校が終わったら直帰したい派なのだが…まあ、悪い気はしないな。

 

「…まあ構わんが」

 

「由比ヶ浜さん、この男も一緒ってのはちょっと…」

 

「オイコラ雪ノ下」

 

訂正。やっぱりまだ優しさが足りない。きっとオレがフォーゼだったとしても、この部ではコズミックステイツにはなれないだろうな…誰だフォーゼって?

 

「ふんっ!まあいい。オレには小町と戸塚という天使がいる!お前らはせいぜい二人でイチャイチャしていろ!」

 

「ヒッキーが拗ねた…。そして言ってることがキモイ…」

 

「比企谷くん…冗談だから、その気持ちの悪い発想はなんとかならないのかしら」

 

そこまで気持ち悪いか?……気持ち悪いな。オレはいつからこうなったのだろうか。まさか800年前からずっとこうじゃないよな?

 

「ま、まあ取り敢えずみんな行けるんだしさ。そろそろ準備しよっか」

 

「そうね…。今日はもう依頼者も来ないでしょうし」

 

そう言って二人は帰り支度を始める。

 

「ほら、ヒッキーも早く早く!」

 

「分かったから急かすな。あとヒッキー呼びは直せと言っただろ」

 

「それに関してはもう諦めたら?素敵な渾名じゃない。『ひきこもりくん』だからヒッキー」

 

「ホントに理由それっぽいからやめろ。オレは別に引きこもってはいないからな」

 

どうでもいいような内容の会話。きっとこの学校の生徒の大半と同じような会話をしたとしても、オレは数時間で忘れる自信がある。誰が虫頭だ。

けど―――何故かこいつらとの会話は記憶に、心に残る。それはきっと、オレがこいつらとの時間をそれなりに気に入っているからなのだろう。

例え大半の人間が思い描くような青春では無かったとしても。

 

―――――例えオレたちの青春ラブコメが間違っているとしても―――――

 

それでもオレは、こいつらのおかげで、人間に転生して良かったと思えている。




同率5位・15票
平塚静…理由『後進を育てる苦労について語り合いたい』
…『熱い展開が好きっていうのが一緒。色々話したい』他

海東「前者は鬼のメンバーに多かった意見だね」
士「後者のは…ガタックか?もしくは龍騎か誰かか」

一色いろは…理由『恋する乙女って感じが応援してやりたいね。あと個人的には、ちょくちょく欲望が漏れているのが逆にいいと思う(^^)b』他

士「こいつ誰だ…?」
ユウスケ「欲望って言ってるから、オーズとか龍騎のライダーじゃないのか?」
海東「二人とも、いろはちゃんの投票箱にこんなものがあった」

…理由『別にオレは興味無いが、伊達さんが投票したから入れた。だが、あのあざとさは可愛いと思う。「ごめんなさい無理です」ってのも良い』

ユウスケ「あー、バースだったのか」
士「というかこいつ、興味無いとか言いながら普通にいろはファンじゃないか」

第3位・18票
戸塚彩加…理由『素直で可愛い。士くんにも見習って欲しいです』他

士「これ夏ミカンの意見か?」
海東「なるほどね。好きなヒロインを選ぶって都合上、男の子なのにヒロイン扱いの彼は女性ライダーにとって選びやすいのかもしれないね」
ユウスケ「純粋に可愛いってのもあるけどな。アニメのファンブックでも、戸塚可愛いって言ってる女性キャストの方けっこういたし」
士「……」

…理由『男の子だからこその背徳感がたまらない。ぜひメイクアップしてみたいものです』
…『性別の問題など…振り切るぜ!』

士(まあ、票数的に女だけでない事は確かだがな。ていうかアクセルのこれは…やつの妻に教えるべきだろうか)

続く

本編?というか、この物語自体は今回で最終回です。ただし後書きが続くになっていることからも分かる通り、もう1、2本だけ後日談か短編的な話を書こうとは思っています。
前書きにも書いた裏設定ですが、実はこの話の舞台は純粋な『俺ガイル』ではなくて、『鎧武』の世界と混ざった世界というつもりでした。
わざわざ鎧武を混ぜた理由としては、よくある神様転生の設定に疑問のようなものを感じたからです。
神の手違いで死んだ人物を、特典付で別の世界に送る…まではいいとしても、もしそこで転生者が特典を使って悪事を働くなどして、そのせいでその世界まで壊れるようなことになったら、神様はどう責任を取るつもりなのか?自分の不祥事が原因で、そのバランスを取るつもりが事態を悪化させてしまった…では、もはや全能な神でもなんでもないんじゃないか?という事でした。
そのため、神はもしそのような事になった時に対処する事も想定しているんじゃないかと思い、この話の場合は怪人が転生するので仮面ライダーがいる世界に飛ばすだろうな…と、こんな感じで鎧武を混ぜました。
ちなみにライダーの中でも鎧武を選んだ理由は、今回あったように「神様同士の横の繋がりも、人間と神様の接点も描きやすい」という事と、「ヘルヘイム事件のおかげで怪人(ヤミー)に一般人が順応しやすい」という理由からです。そうです。ユグドラ汁は実は伏線だったのです。

長々と書いてしまいましたが、ここまでお読みいただいてありがとうございました。
ご意見、ご感想などお待ちしています
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