ラブライブ!変態お兄ちゃんはμ'sのプロデューサー!?(凍結) 作:流麗なアリス
第46話 恐らく最後の普通の日常
「あれ?花陽だけなのか?」
学校が終わり、部室に入ると花陽しかいなかった。他の皆はどうしたのだろうか。
「あ、優くん。凛ちゃんと真姫ちゃんは掃除で遅くなるって。三年生の方はまだわからないけど」
なるほど。因みに穂乃果たちは生徒会の仕事をしている。俺か?俺はちょっとやることがあるって言って逃げてきた。
「そうなのか。穂乃果たちも用事があるらしいからしばらくは花陽と二人だな」
「そ、そうだね」
「あ、ああ」
………ダメだ。何故か緊張しちまってる。花陽と二人きりなんて最近なかったからな。さて、何の話をしようか。
「ゆ、優くん」
「な、なんだ?」
何を話そうかと考えていたら花陽から話しかけてくれた。これで広がるといいんだが。
そう思っていたが、予想外な質問が飛んできた。
「優くんの、子供の頃の夢ってなに?」
「こ、子供の頃の夢?」
「う、うん」
唐突だな。まあ、そういうところも花陽らしいっちゃらしいんだけど。しかし、子供の頃の夢か。
「うーん。誰かの役に立つこと、だったかな」
「誰かの役に立つこと?」
「ああ。確かそうだった気がする」
俺は、小さい頃から何もなかった。普通というか、秀でたところもなく欠落したとこもなく平凡という文字が似合うやつだった。そんな何もない俺が嫌で、俺は色んなことをした。失敗したやつもあった。でも色んなことをした。
何か、見つかると思って。
「そういえば、花陽は?子供の頃の夢」
「……花陽は絵本作家、です…」
「絵本作家?絵本を描くのが好きだったのか?」
「うん。絵本っていうか、絵を描くのが好きだったんだ。何の取り柄もなかったけど、絵を描くのだけは得意関係なく好きだったから描いてた」
「……まあ、花陽らしいな」
「そ、そうかな?」
絵本作家か……そんな感じしてるもんな花陽って。もし、μ'sに入ってなかったら、そっちの道にでも進んでたのかな。
「じゃあ優くん。今の夢は?」
「今度は今かよ。今は、勿論決まってるさ」
そう。決まってる。とても当たり前のことだ。俺がこいつらと出会ってから決めたこと。付き合ってさらに意志が強くなったこと。
「お前らを、幸せにすること。花陽を、μ'sの皆を笑顔でいっぱいにして、その中に俺がいること。俺が幸せにしなきゃ嫌なんだ。俺が皆を幸せにしてやること。それが今の夢」
「……そっか。花陽も、一緒だよ。優くんを笑顔にさせたい。優くんの側にいたい。大好きな、優くんといつまでも一緒にいたい。ねえ、優くん」
と、花陽が俺に少し寄ってくる。それに合わせて俺も花陽に少し近寄る。
そして、二人の間が僅か数センチになった。
そして花陽は、耳元でこう囁いた。
「大好きだよ。私は、優くんに幸せにしてもらいたいです」
「………当たり前だろ。それが俺の使命でありお前らが幸せでいることが俺の原動力だ」
そして二人は部室の中で優しく、それでいて長いキスをした。
「ったく、希が変なことしてるから……よ」
「そんなこと言ったってにこっちだ………って」
「もう!そんなの後の祭り………よ」
「ぷはっ……花陽にしては随分と長かった………な」
「ぷはぁ……そ、そうかな?えへへ………あ」
「さてと、話は他の三人が集まってからね」
「ちょ、待て!これには訳が!」
「そ、そうだよ絵里ちゃん!少し待とうよ!」
「花陽ちゃん……中々大胆やね…」
「希ちゃん!?こ、これは……」
「ええの。隠すことやないよ。ただ意外だな〜って」
「そうね。あの花陽があんな長いキスするなんてねぇ……成長した、っていうのかしら?」
「でも部室であんなことするなんていただけないわよ。優は本当に見境ないんだから」
「え?俺かよ!?」
「ち、違うの絵里ちゃん!こ、これは……わ、私からしたことなの……」
「は、花陽から?そ、そう。でもやるなら他の場所にしなさい。他の人が見たら大変でしょ。ったく部室でなにやってんだか」
「いや、目的はキスじゃないぞ?そ、そうだ。絵里たちにも聞きたいんだが、お前らの子供の頃の夢は?」
俺はそれからことの経緯を話した。そうすると絵里はまあまあ納得したらしく、俺の話に乗ってくれた。
「子供の頃の夢ねぇ……希は?なんかある?」
「え!?ウ、ウチ?」
「そ、そうだけど、どうしたの?」
希の様子がおかしい。おかしいというか、妙に顔が赤い。熱があるというわけではないんだろうけど、なんか恥ずかしいことでもあるのか?
「え、えっと………ウチの子供の頃の夢は、サ、サンタさん……かな」
「「「サ、サンタさん??」」」
「なに!ウチがそんなこと言ったら変!?そんなに変なの!?」
「いや落ち着けよ希……いいんじゃないか?子供の頃なんだし」
「そうだよ。いいと思うよサンタさん。誰もが一度は思いたいもんね」
「因みに聞くけど、理由は?」
「なんだったかな〜。なんか、人を幸せにしてるのがいいな〜と思った、のかな」
「結局、人のために行動したいっていう優しい子が多いってことか。ガキって自分勝手っていうイメージが強いんだけどな」
「そうね。意外と子供も考えてるんじゃないかしら?」
「そうかもな」
俺たちがそんな他愛もない話をしていると、ドアが開けられる。
「あ、絵里ちゃんたちも来てたんだ!」
「やっときたわね。生徒会の仕事?お疲れ様」
「本当だよ〜!優くんは逃げるし!」
「に、逃げてねえって!その、わかんなかっただけだよ」
「本当ですか?もし嘘だったら二度と逃げられないように片足を切断しますよ?」
「お前自分が修羅になってるって気づいてる?」
「まあまあ海未ちゃん。優くんも反省してるようだし♪ ここは許してあげよ」
「ことり……仕方ありませんね。今回だけですよ?」
「よ、よかった。ありがとなことり」
俺がことりを撫でてあげると、ことりは目を細めて嬉しそうに笑った。
「えへへ〜〜」
「子供の頃の夢、ですか?」
「んー、ことりはなんだったかな〜?」
「ことりはケーキ屋さん!とか言い出しそうだよな。それはそれで可愛いな」
「それはあるわね。ことりってそういうのなんでもできそうだし」
「そ、そう?ありがとう絵里ちゃん、優くん!」
うん。たまには、こういういつもと変わらない日常というか皆で楽しくおしゃべりしてるのもいいんじゃないかな。皆で笑いあって、笑顔が絶えないような、皆の戻ってくるところ。
「………………」
その時は、気付かなかった。一人の少女の異変に。それが、崩壊を生むことも知らずに。
「優くん……皆と話してる時、すごく楽しそうだったなぁ」
なんか、おかしいな。優くんは私にも笑顔をくれて、幸せもくれてるのに。それでも………
足りない。たりない。タリナイ………タリナイ!
「っ!?な、なに……これ……う……あぁ」
急に胸が苦しくなった。いや、胸というよりかは、全身。まるで、締め付けられているよう。
そして、何者かが私に入ってくる、そんな感じ。
「アノオトコヲヒトリジメシタイノダロウ?」
「だ……誰…?私は、そんな、こと……」
「ワタシガソレヲテツダッテヤロウ」
「い、いやっ!……ゆ、ゆぅ……くん……たす………けてぇ………」
そこで、意識が途絶えた。
「サテ、ドウコワシテヤロウカ……」
今回はコーナーはなしです。さて、見たらわかると思いますが、なんと誰かが何者かに取り憑かれてしまいました。恐らく彼女の心が弱くなったところに漬け込んだのでしょう。では新章、μ's失踪編に突入です!