闇夜行   作:b blanche

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残像と現在

苦く自身が愛飲している黄と黒が特徴的な柄の飲料でも拭い切れない過去の記憶で

極浅い眠りから覚めた。

 

 

寝汗をかいていた様で、悪夢と迄は言えないが決して心地の良いとは言い切れない眠りから醒めた

夢の終わりに安堵しつつも同時に襲ってくる不快感に顔を顰める。

 

幸い隣で、深い眠りにつく女を起こさずに済み安堵する。

日頃、未だに人付き合いを苦手とする男が円滑に日常生活を営めるのは

他人に気を遣いが出来・細かい気配りのできる女の存在が大きいかった。

 

 

女の艶やかな髪を撫でる。

擽ったそうに身を捩った為、八幡は行為を止め女の頭を一撫でした。

 

また、眠るにしても不快感を残したままにするのを避けるため風呂場へと向かう

深夜と言っても差支えの無い時刻

仕事に影響を出す訳には……と思考し足を向ける。

 

専業主夫……あの頃の幻想が夢のせいか脳裏に過った。

頭を振り思考を霧散させ熱い湯を浴る。

 

 

清潔な状態に躰をし寝間に戻った。

寝返りで夜着が肌蹴のか、豊満な胸の膨らみが目に入る。

 

「っん」

 

 

悩ましい艶のある声が聞こえ再び躰の向きが変わり

女の姿に理性を削られ襲い掛りそうになる自身を押さえつける。

一度、解放てば朝まで相手の意志を無視し女の肉体を貪り喰う事は容易に想像出来た。

 

規則正しい寝息で眠る女…綾寧は、男であれば誰もが目を奪われ夢中になる容姿を持ち

無け無しの理性を動員し、衝動を押さえた。

 

 

寝台へ歩を進め軈て辿り着く

女を夜気に曝さない様、配慮して同じ床に入る。

女性特有の甘い芳香が、八幡の鼻孔を擽りまた彼の中から獣性が首を擡げようとした。

 

ある意味、正直過ぎる自身を誤魔化す為

寝返りでこちらを向く、彩寧の無垢な寝顔が目に写る。

日頃、女に対して頼り切っていると考えていると男は感じていた。

 

 

「いつも……ありがとな」

 

言葉にするのが、苦手な男の精一杯の感謝

聞く者が、皆同じ感想を抱く優しい声音で短く告げる。

気のせいか、女の顔にも柔らかな表情が見えた。

 

 

寝床に身を倒し女と向き合う形になる。

 

(あんな辛い思いは御免だ)

 

中途半端な時間に目の醒める切欠を忌々しく感じながら

眠りに就く為、思考を意識の中に沈めて行く。

 

(難しく考える必要はない)

 

何も考える必要の無かった事に気づき腕を伸ばす。

先にある女の躰を起こさぬ様、気にしつつゆっくりと自身の懐に抱く。

暖かい……自身に余り興味を持たず妹に深く関与していた親

今、大切に抱きしめている女からはその温もりをふとした時に感じられる。

その事実を今、また実感した。

 

目元が、熱くなり始め事を感じ

徐々に大きくなるソレを誤魔化す為、八幡は自分より幼い“親”を最初より少し力を込めて抱き眠りに落ちる

深く存在する全てを隠す夜は、まだ明けない。

 

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