処女はお姉さまに恋してる 陰の庭師   作:雹衣

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5月 陸のお金事情

「……そろそろ買わないといけないか」

 

 哘がやってきてから三日後、学院では3時間目くらいの頃。 俺は絵を描いている途中でそろそろ絵の具が尽きそうな事に気がついた。 前にも言ったが絵を描くのに学院の物は一つも使っていない。 なので近くのデパートなどで買わなければならない。

 

「さて、絵の具以外に必要な物は……」

 

 そういえばキャベツが無くなってたかな……ついでに食品も買っておくか。 宿直室にはキッチンが有るので俺は自炊している。 聖應女学院から貰う給料はそこんちょこらのサラリーマンよりは高いが趣味にお金が掛かるので、節約の為に自炊をしている。

 

「よし、行くか」

 俺はいつも通り手ぶらに財布一つというかなりラフな格好で宿直室から出て行くのであった。

 

 

 

 

 

 

「さて、何処で買おうか……?」

 

 聖應女学院から出て徒歩で約10分。 俺は最寄り駅にまでやってきた。 聖應女学院の近くは開発が進んでおり大きなデパートなどがある。 だがここら辺は聖應女学院の生徒などの金持ちの女子高生を狙っているので全体的に値段が高めなのだ。

 

「まあ、その分質もいいけどな……」

 

 趣味の絵に関する道具を買うのにはお金を掛けたいが、それ以外には出来るだけ節約したい……つまり、ここら辺で食品を買うと意外とお金が掛かるのだ。

 

「……ま、元々の目的は絵の具だしな」

 とりあえず俺は食品の事は放っておいてデパートに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

「結局全部デパートで買うのがオチか……」

 

 デパートに向かってから約3時間後。 俺は山ほどの袋を持って聖應女学院に向かっていた。 袋の中には絵の具や新しい筆、それ以外にもキャンバスに張る新しい紙、キャベツや人参等の一般的な野菜等が入っている。食品をデパートで買うつもりは無かったが、絵の具等の本来の目的の物を買った後に移動するのは面倒臭くなってしまい全てデパートで買ってしまったのだった。

 

「ま、いっか」

 

 どうせ、買う予定だったんだ場所を変えたところで値段は大して変わらないだろう。 俺はそう自分に言い聞かせながら聖應女学院に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼します!」

「ん?」

 

 さて、宿直室に戻って来て野菜などを冷蔵庫に詰めた後、生徒相談室に俺はいた。 もちろん俺がここに居るのは絵を描く為であり、買ったばかりの絵の具で描こうとしていた所であったが、一度も聞いたことのない声が俺の耳に入って来た。

 

「あ、1年の葉月とい……申します!こ、ここは生徒相談室で、ですよね!」

「まあ、そうだが……」

 

 俺がドアの方に振り向くと金髪の少女が緊張した面もちで立っていた。 そして俺に対して何か決意したような顔で

 

「あ、あの相談に乗って欲しいことがあるんですけど!」

 

と俺に誠心誠意伝えようという風に言ってきた。 ……これが、今年度初の生徒相談であった。

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