処女はお姉さまに恋してる 陰の庭師   作:雹衣

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6月 庭師の悩みは尽きない

「何で期末テストが終わって直ぐに俺が手伝わされるんだよ……」

「別にあなたはテストを受けて無いじゃない」

 

 期末テストの最終日、俺は院長室に居た。 院長室にはいつも通り学院長代理が高そうな椅子に座って待っていた。 もちろん俺は学院長代理に呼ばれたのだ。 決して自分から来たのでは無い。

 

「で、何をすればいいんだ?」

「話が早くて助かるわ。 ちょっと手伝って欲しい事があるのよ」

「……だから何をすればいいんだ?」

「ちょっと生徒の要望でね、一時的に卒業アルバムを図書室に置くことになったのよ」

「……ちょっと待て、卒業アルバムって何冊あるんだ?」

「う~ん、60冊をちょっと越えるくらい?」

「……マジで?」

 

 俺はこの学院の歴史をこんな所で感じてしまった。 ちょっと泣ける……。

 

「ここはかわいい生徒達の為にちょっとやってくれる?」

「……しょうがない」

 

 生徒のためと言われたら手伝うしかない。 学院長代理には良いように使われているが生徒のためだ。 しょうがないな。

 

 

 

 

 

 俺は生徒達がテスト中に運ぶ。 生徒に見られたくないので俺はこの仕事をさっさと済ませようとしていた。

 

「……重」

 

 俺は20冊近くの卒業アルバムをダンボールに入れ運んでいる。 俺はそんなに力があるわけでは無い。 寧ろ平均よりは低いと思う一応庭師だが……。

 

「まったく……何でこんな仕事を……」

 

 俺は庭師だって言うのに……っと独り言をぼやきつつも、図書室に向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと運び終えた……」

 

 約30分の時間を掛け、図書室に卒業アルバムを運び終えた。 俺は図書室に卒業アルバムの入ったダンボール箱を近くのテーブルに置く。 とりあえずこれで俺の仕事は終わりだ。 俺は肩を叩きながら、椅子に座る。

 

「そういえば図書室に入るのは久しぶりだな」

 

 俺は図書室を見渡しながら呟いた。 俺が聖應の生徒達と少し仲良かった頃があった。 その頃は時々色々な場所に移動していたような気がする。 図書室だけじゃない、理科室にも顔を出していたし、生徒会の人達とも仲良く話していた。 

 

「今じゃあ、行動範囲がかなり狭まったな……」

 

 自分の仕事をして生徒相談室と宿直室に引き籠もり、時々学院長代理に呼ばれて仕事をする日々……いつからこんな風に俺はなったのだろうか。 俺は図書室の天井を見ながらボンヤリと考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、陸。 今日はあまり元気じゃ無いね」

「ああ、ケイリか」

 

 昼、図書室から生徒相談室へ帰ってきた俺は色々考えながら絵を描いていた所、ケイリがやってきた。 今日はテストがあった為に授業が早く終わったようだ。 

 

「で、どうしたの? 何か悩み事?」

「いや、悩みって訳じゃないんだが今と昔って色々と違うな~って思ってな」

「それは昔を懐かしむって感じかな」

「そうだな……そんな感じかも」

 

 俺が呟くように話すとその言葉をケイリが真面目な顔をして聞いていた。

 

「……やっぱ陸にしては珍しいね。去年はそんな事一度も言ってなかったのに」

「今年は珍しく生徒と関わる事が有ったからな」

「そこに私は含まれないのかな?」

「お前は他の生徒とは雰囲気が違いすぎてここの生徒と話しているような気がしないんだよ」

 

 正直ケイリと話しているとこいつは本当に高校生かと疑いたくなる。

 

「それは褒めているのかな?」

「ケイリの解釈しだいだな」

「そう、じゃあ褒め言葉として受け取っておくよ。 後、その悩みはそんなに深く考えない方がいいんじゃないかな?」

「そう言われてもなぁ……」

 

 ケイリがいつもの笑顔で結論を言ってくる。

 

「多分、その悩みや他の悩みは今解決する時期じゃないと思う。 けど意外と近い時期に解決出来ると思うな」

「ケイリ、お前が言うとマジで解決しそうで困るな……」

 

 そう言うとケイリは軽く微笑んでいた。 まるで未来を知っているかのように……。

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