処女はお姉さまに恋してる 陰の庭師   作:雹衣

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6月 呪いと能力

「やっぱ哘さんが有力株なのか」

「そうですね。私の聞いた限りじゃあ御前様が一番投票宣言されてますよ」

 

 数日後、梅雨でジメジメしてきた頃。 俺は槐と2人で生徒相談室に居た。 今の話題は今年度のエルダー選挙についてだ。

 

「あと、少数だけどケイリお姉さまも投票宣言されているのを見ましたよ」

「ケイリが?」

 

 槐の言葉に俺は本気で驚いた。 ケイリは他と違うオーラはあるが彼女はエルダーとはちょっと違う気がするのだが……。

 

「何ででしょうね。 まあ、ケイリお姉さまなら魅了(チャーム)の呪いくらい出せそうですけど」

「言っている内容はかなり失礼だが同意だな。 正直ケイリなら何でも出来そうだ」

「流石にそれは出来ないよ、陸」

 

 槐と笑いながら冗談を言っていると後ろから聞き覚えのある声が……って。

 

「ケ、ケイリお姉さま!?」

「ケイリじゃないか。 いつ来たんだ?」

「つい、さっきだよ。 陸が楽しそうに話しているからちょっと待っていたんだ」

 

 そう言った後、ケイリはいつもの笑みになる。

 

「で、何の話してたの?」

「あ、え、ええとですね……」

「槐がお前なら呪いとか使えそうって言ってたぞ」

「ああ! ちょっと何ばらしてるんですか~!!」

「言ったのは事実だろ?」

 

 俺は年上だがケイリに怒られたくなかったので直ぐに槐を盾として使う。 さらば槐。 お前のことは忘れない。

 

「でも、陸も確か同意してたよね?」

「……ケイリ、お前聞いてたのかよ」

「まあね」

 

 ……そうならそう言ってくれよ、ケイリ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、魅了(チャーム)の事は別に怒ったりはしないよ」

「ほ、本当ですか?」

 

 生徒相談室でケイリも加わり三人で話していたが、槐がさっきからケイリの事を気にしている。 どうやら先程の呪い云々で怒られないか不安なようだ。

 

「ええ、別に怒るような事は無いですよ。 ……まあ、私なら何でも出来るっていう風潮はやめて欲しいかな」

「は、はい!」

 

 槐が背筋を伸ばし軍隊みたいな敬礼をしている。

 

「そういやケイリ。 槐とは知り合いなのか?」

「ええ、一回寮に泊まりに行っているから面識はあるよ」

「へ~」

 

 そういえばケイリは時々寮に遊びに行くような事を去年、本人から聞いたいた気がするな。

 

「なあケイリ」

「ん?何か用かな? 陸」

「さっき槐が言っていたが投票宣言されたって本当か?」

「ああ、2年生だったかな? 廊下を歩いていたらいきなり言われたよ」

 

 ケイリにとっても珍しいイベントだったのか記憶には残っていたようだ。

 

「ケイリがいきなりっていう表現を使うと違和感を感じるな」

「陸、私はいつもお見通しって訳じゃないよ」

「いつも何でも知ってるって顔をしてるくせに」

「そう?そんな顔をしてる?」

「してる。 なあ、槐?」

「そ、そこで私に話を振るんですか!?」

「どうなのかな?槐?」

「け、ケイリお姉さまも話にのってこないでくださいよ……」

 

俺とケイリにいじられへとへとになる槐……っていうかケイリもこういうことを案外ノリノリでするのか……初めて知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後槐がコンビニに買い物に行く用事を思い出し生徒相談室から出て行きケイリと二人っきりになった。 ケイリは生徒相談室になる椅子に適当に座り紅茶を飲んでいたがふと呟いた。

 

「けどせっかく投票宣言されたからね。 しっかりと受け取ったよ」

「……受け取った?」

「そう、私に投票宣言をしてくれた。 私はその子の善意を受け取ったんだ」

「ふーん」

 

 ケイリが言っていることはよく分からないが彼女と話しているとよくある事なので気にしない。

 

「じゃあエルダー選挙を頑張るのか?」

「私は別に頑張らないよ。 周りの人次第だ」

「何だ、ケイリにしては珍しく他人事だな」

「まあね、最終的には全て他の生徒が決めることだよ。 私は関係ない」

 

 ま、それもそうか。

 

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