処女はお姉さまに恋してる 陰の庭師   作:雹衣

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6月 夢の中のエルダー選挙

「……気楽だ」

 

 6月も終わりに差し掛かって来た頃、俺は誰もいない中庭で掃除をしていた。 まだ3時だと言うのに校舎は何時もより、ざわめいている。 今日はエルダー選挙当日で、そろそろエルダー選挙の結果発表されるらしい。

 

「エルダー……ね」

 

たしか槐曰わく、今年は哘さんで決まりらしい。

 

「いやーケイリお姉さまも投票宣言されてるんですけどね~やっぱり御前様が強すぎますよ~」

 

 とか昨日生徒相談室で言っていた気がする。

 

「ま、どっちがエルダーになってもいいけどな」

 

 どっちがなろうと俺には大した影響はないだろうだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく草を切り、宿直室に戻ってきてソファに横たわる。そろそろエルダー選挙も始まった頃だろう。 俺は眼を閉じしばらく眠りにつく事にした。 ……そういえば昼寝は久々だなっと思っていたらいつの間にか俺は壇上の裏に立っていた。

 

「……あれ?」

 

 俺は寝ていたはずだがいつのまにこんな所に? 取りあえず周りの様子を確認しようと壇上の表に出ようとした所誰かに手を引かれた。

 

「白崎さん、もう生徒達も入ってきてますから表にはちょっと……」

「……え?」

 

 振り返るとそこには聖應女学院の夏服を着た少女が俺の襟を掴んでいた。 どこかで見た事があるような気もするが……

 

「もう始まりますから……」

「あ、ああ……」

 

 少女に制止され、俺は動けずに居たらスピーカーから声が聞こえた。

 

『では!第69回エルダー選挙を始めたいと思います!』

「……69回!?」

「あ、声が大きいです!」

 

 スピーカーからの声に俺が思わず声を上げてしまう。 しかし第69回って……7年前か? 俺は一体何が起こったのか分からず呆然としていた。

 

 

 

 

 

 どうやらここは聖應女学院の講堂のようで今はエルダー選挙始まったようだ。 俺は生徒会の人達とエルダー選挙ギリギリまで手伝っていたようだ。

 

『投票数325票の○○○○さん』

「ん?」

 

 俺はエルダー選挙の様子を裏から眺めていたが、司会が生徒の名前を呼んだところで違和感を感じた。 生徒の名前だけが全く聞こえなかった。 俺は隣にいるさっき俺を制止した少女に話しかける。 

 

「なあ、さっき司会が誰って言ってたか分かるか」

「○○お姉さまですよ。 白崎さん聞こえなかったんですか?」

 

 ……全く聞こえない。 俺の耳がおかしくなったのだろうか。

 

「もう、どうしたんですか? 白崎さん」

「いや、何でもない」

 

 何故聞こえないないのか疑問に思いつつも俺は壇上に目を向ける。 そこには聖應女学院の教師におんぶされて1人の少女が壇上に上がってきた。 その後用意されていた椅子にその少女は座らされていた。 何だろう、あの少女に俺は会っている気がする。

 

「○○お姉さまも大変ですよね。 事故で足が動かないなんて……」

「足が?」

「はい……って白崎さんいつも○○お姉さまの車椅子押してるじゃないですか」

「車椅子を……?」

 

 車椅子、足が動かない……知っている。 俺は会ったことがある。 話したこともあった……笑いあったことも俺には有った気がする。 けれどもやっぱり俺には誰だか分からなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「陸さん、り~く~さ~ん」

「ん、ああ槐と綾か」

 

 目を開けると二人の顔が目に飛び込んで来た。 どうやらさっきの出来事はおそらく夢だったようだ。

 

「にしてはリアル過ぎだな……」

「何がリアル何ですか?」

「あ、いや何でもないよ」

 

 綾が俺の独り言に疑問を発してきたので適当にごまかす。 綾は頭に?マークを出しながらも納得はしてくれたようだ。

 

「そうだ、エルダー選挙は終わったのか?」

「あ、もう終わりましたよ」

「結果は?」

「ふふん、私の予想通りでしたよ~」

「ああ、やっぱり哘か」

 

 俺の質問に槐がどや顔を俺に向けてきた。 ちょっとムカつくな。

 

「でもケイリお姉さまが投票数20パーセントもいくとは思いませんでしたよ」

「意外だな、そんなにいくとは」

 

 正直あのケイリがそんなに投票されるとは全く思わなかった……ケイリって意外に人気なのか?

 

「けど一番はやっぱり御前様ですよ!御前様! 一人で全投票数の75パーセントを獲得したんですよ!」

「確か全投票数の75パーセント以上でエルダーだっけ?ならすごいな。 票を譲って貰わずに一人でエルダーになったのか」

 

 確かエルダーになるには全投票数の75パーセントを手に入れる必要がある。 そして75パーセントに達しなかった時は票の譲り合いが行われ、誰かが75パーセントに達するまで譲り合うとか言う変わったルールが有った筈だ。

 

「そうなんですよ! 流石に瑞穂お姉さまには届きませんでしたがこれは凄い記録ですよ!」

「瑞穂お姉さま……確か80パーセントに一回で届いたとか言うとんでも人間か」

「はい、瑞穂お姉さまには他にも伝説が一杯残ってるんですよ」

 

 槐と綾が興奮気味に語ってくる。 ここらへんは聖應の生徒なんだな~っと思いつつ二人を眺めながら俺は夢のことを考えようとした。

 

「そういえば白崎さんって瑞穂お姉さまのこと見たことあるのですか?」

「あ、それ私も聞きたいです!」

 

 ……が二人によって殆ど出来なかった。 聖應女学院の生徒とはいえやっぱり女子一度喋り出したら止まらないようだ。

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