処女はお姉さまに恋してる 陰の庭師   作:雹衣

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7月 箱入り少女の初めて その4

「あの……陸さんはこの方とお知り合いなのですか?」

「ああ、聖應の卒業生だ。 分かり易く言うと大先輩って奴か?」

「へぇ~陸、聖應の子達を連れてるんだ~モテモテだね~」

「京香、少しうるさい」

 

 デパートの屋上でかなり騒がしい人と再開してしまった。 大月京香、元園芸部の部長で聖應の生徒らしくない。かなり自由な人物だった。 今の身長は大体160cm位だろうか? 聖應の頃と大して変わっていないようだ。

 

「というかやっぱりって何だ。 やっぱりって」

「あ、陸水着売り場に居たよね! たまたま見かけたんですよ~。 まあ、その時はどっかで見覚えがあるな~程度だったんですけどね」

「……あの時の視線はお前の物か」

 

 何か視線を感じたと思ったら……。

 

「あ、陸気付いてたんですか?」

「まあな……というかお前花屋に就職したのか?」

「そうですよ~。 知らなかったんですか?」

「知らなかったな」

 

 呑気な口調で俺に話しかけてくる京香。 こいつは相変わらず元気にやっていたようだな。

 

「……まあ、お前のことはどうでも良い。 京香、綾の欲しい花を一緒に探してくれないか」

「えぇ……7年ぶりの感動の再会ですよ。 もっと色々話しましょうよ~」

「レジからお前のことを睨んでいる人にお前が迷惑だって言ってくるがいいか?」

 

 京香が駄々を口を尖らせながら不満を言ってきたので、俺はレジに指を指しながら綾に伝える。 そこには笑顔ながらヤバい雰囲気を纏った店員らしき人が居た。

 

「あ!ちょ! 先輩にそんな事言わないで下さい! 本当に怒られます!」

「そうか、じゃあ頼む」

「……分かりましたよ。 しょうがないですね……」

 

 京香が渋々といった感じに頭の裏を手で掻きながら俺の頼みを了承した。

 

「何というか……独特な人ですね」

「こういう人もいらっしゃるんですね……物語にしかいないのかと思っていました」

 

 京香の様子を見て槐と綾が似て非なる理由で感嘆していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……確か綾ちゃんが欲しいのは綺麗な花でしたよね?」

「あ、はい!そうです……良いの有りますかね?」

「綾ちゃんは初めて育てるんでしょ? ならこれとか良いと思うんだけど……」

「これですか?」

 

 京香が自分の仕事をし始めたので、俺はえんじゅと後ろから着いていく。

 

「陸さん」

「ん?何だ?槐」

「陸さんって……意外と聖應の方達と仲が良いんですか?」

「……それ程仲は良くないな。 ちょっと顔見知りが何人か居るって位だ」

「その一人が、京香さんですか?」

「そういう事だな」

 

 へぇ~っと相槌を打ちながらえんじゅは京香の方に顔を向ける。

 

「でもどうやって知り合ったんですか? 京香さんってそんな生徒相談に来そうな雰囲気じゃ無いんですけど……」

「ああ、草の手入れをしていたら無理矢理園芸部の手伝いをさせられたのが始まりだな」

「何か凄いですね……京香さんって」

「……まあな」

 

 あの時は色々あったな……そういえばその時何か大きな事件が有ったような……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、結局買ったのはチューリップの球根か」

「はい!初心者にも簡単で可愛らしい花が咲くらしいのでこれを買いました」

 

 花探しは約30分で終わった。 そして綾は会計を1人で済ませ俺達の所に合流した。 意外に綾の成長が早いな。

 

「じゃあ、そろそろ帰るか」

「はい、私は良いですよ。 買い物は十分しましたし」

「まあ、最初ですからね。 今日はこれくらいにしましょうか」

 

 俺の言葉に綾、槐の順番に返答してくる。

 

「じゃ、京香。 また会おう」

「ええ、また会うんですよ~」

 

 俺の言葉に京香は手を大きく振りながら返してきた。 聖應に居た頃からずっと変わらない奴だな。

 

「あ、そうだ!陸」

「ん?何だ?」

 

 

 俺は京香の言葉に歩こうとした足を止める。

 

「美夏ちゃんの事は思い出しましたか?」

「美夏?誰だそれ?」

「ああ、やっぱり思い出して無いんですか」

「……ん?」

 

 俺は京香の言った人の名前を知らない。 京香は俺が忘れたかのように言った。 ……そして俺が思い出してない人の事。

 

「朝原(あさはら) 美夏(みか)ですよ。 ほら、車椅子に乗っていたあの子ですよ」

「朝原……美夏?」

 

 京香が言った少女の名前は俺の中でどこか聞き覚えがある気がした。

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