処女はお姉さまに恋してる 陰の庭師   作:雹衣

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?年6月

6月19日

 

 私が投票宣言されてしまった。 多分1年の子だ。 何故私なんかに……何て言ったら「私の憧れのお姉さまだからです」と恥ずかしそうに顔を赤く染めながら言われてしまった。

 

 はっきり言ってそれはおかしいと私は思った。 何故なら私は何時も他人に手伝って貰わなければ何も出来ないからだ。 正直ファンクラブだって何で出来たのか私には分からなかったのに。

 

 その1年生がそそくさと立ち去った後、車椅子を引いている陸にその事を伝えると陸はやや目を丸くしてこう言った。

 

「お前、何でそういう事には鈍感なんだよ」

 

 まさかとっても鈍感な陸にこんな事を言われるとは……。 なんて思っていると陸はさらに言葉を付け足した。

 

「そりゃお前、下級生に色々世話焼いてんじゃん。 慕われるのも当たり前だろ?」

 

 私はそんなに下級生に世話を焼いたかな?っと聞くと陸は

 

「焼いてる、めちゃくちゃな」

 

 そ、そんなにですか?陸……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月24日

 

 陸に言われてしばらく意識していたが、私が世話焼きだとやっと自覚した。 体育の授業の時は大体先生の仕事を手伝っている。 とは言っても体育の授業中は毎回見学なので暇だからという軽い動機からし始めたのだがどうやらそれが下級生にとっては「自分に出来ることを出来る限りしようとする健気なお姉さま」という風に見えていたようだ。 ……そこまで綺麗じゃないのになぁ。 と思いながら私は少し胸の奥で有ることを考えていた。

 

 もし私が車椅子に座っていなければ周りはどう思っただろうか? 健気ではあるけれどそれだけじゃないだろうか?体の一部が動かない。 その事実が下級生達に美化させているんじゃないかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月28日

 

 エルダー選挙まで後少し。 私は沢山の方に投票宣言を受けた。 ファンクラブの方々、下級生の皆様、同級生からもだ。 そして私はその投票宣言の数だけ周りの方を騙していることになる。 そう思うと胸が辛かった。

 

「美夏、最近疲れてるのか?」

 

 なんて、鈍感な陸にも言われる始末だ。 その時、私は陸に全ての事を伝えた。 私は偽善者なのだと。 そう言った時、陸はやや難しい顔をしたがこう言った。

 

「何言ってんだ? 健気かどうかじゃないだろ。 何時もお前は変なことに首つっこむくせに」

 

 私はそれを聞いて軽く驚きながら反発した。 私はそんなに手伝いはしてないと……だが陸は更にこう言ってきた。

 

「美夏って手伝いは率先してするじゃん。 ついこの間だって空が暗くなるまで1年生の落とし物を探し回ったのはお前だろ」

 

 あれは私が大変そうだと思って……。

 

「大変そうだからとかどうだって良いだろ。 ただお前は下級生達に投票宣言させる位の行いはしまくってんだよ。 そっちにも気づけよ……ったく」

 

 つまり私は……。

 

「健気かはしらんが極度のお節介なんだよ。 五体満足だったらもっと色々やってたんじゃないか?」

 

 陸の言葉に私は中々満足しなかった……けれど。 陸の言葉に何だか感動した私が居た。

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