今昔夢想   作:薬丸

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本日二話投稿です。


74.そして彼女は負けるのだった

 こうして覇王曹操の戦いは終わった。

 これからはただの曹孟徳の話が始まるのだろう。

 そしてそこに俺は……。

 

「して管輅よ、収束率はどこまで上がった?」

 

「今回も大幅に上がりましたね。現状全体の八割まで到達した所です」

 

「一周で一割も上がるとはな、重畳重畳」

 

 全体の八割という事はつまり次がある。故にこれで、ここで、魏の皆とはお別れなのだ。

 

「……卑弥呼、ここから曹操達の元へはどれぐらいの距離がある?」

 

「……ふむ、少し待たれよ。ほう、左慈が彼女達を監視しておるのか、これは好都合。

 私と左慈の力を用い、左慈を座標とすれば白殿一人ならばすぐさま飛ばせるぞ。

 がしかしだ、さほど時間は残されておらんぞ?」

 

「ええ、このループでの収束は確定しました。役目を終えた我らが転移するのは一瞬後か数時間後かわかりませんし、これまでの経験から猶予は多く見積もって一日あるかないかです。

 それでも会いに行かれますか? 名残惜しさが増すだけなのではありませんか?」

 

「それでも、行かなきゃいけないんだ。

 約束を果たしてくれた彼女にお礼と謝罪を伝えなければ、あまりに不義理だ」

 

「そう、ですか。ならば我らに止める言葉はございません。悔いのないようにしてくださいませ」

 

「ごめんな管輅、君の助言はいつも正しいし、何より俺の事を案じてくれてるのが分かるんだ。けれどいつも俺のわがままに付き合わせてしまっている」

 

「いいのです、私が好きでしている事ですから。白様は後悔なきよう真っ直ぐに行動してくださいませ」

 

「本当に、ありがとう」

 

「向こうの準備は整ったそうだ。白殿、準備は宜しいか?」

 

「ああ」

 

「そうか、では私からも最後に白殿にお願いしたい事がある。白殿、次のループこそはまず第一に中央へと連絡を下され。管輅のソワソワとイライラのとばっちりを受ける私の身についても考えてもらいたいのだ」

 

「なっ、卑弥呼っ!」

 

「ではそこの所よろしく頼むぞ、転送!」

 

 赤ら顔で卑弥呼に詰め寄る管輅としてやったり顔の卑弥呼の姿に笑みが溢れた瞬間、視界が切り替わった。

 仲睦まじいやり取りに心が癒やされつつ、俺は華琳達が待つ場所へと飛ぶのだった。

 

 

 次の瞬間、仏頂面の極みと言わんばかりの表情をした沙慈が目の前にいた。

 先ほどとの空気の落差に驚く。

 

「久しいな左慈」

 

「ふん、挨拶などいらん、目標はここより……と言わずとも貴様なら気配で察しているか。さっさと行け」

 

「なんだ、随分な感じじゃないか」

 

「人大の物を転送させるのは流石に力を消耗する。使命の為の消耗だったら本意だ、だが茶番の為に使えと頼まれて、笑顔で応える事は出来ん」

 

「茶番、だと?」

 

 その言葉に心がざわつく。

 

「そうだろう? 収束率から考えても次回のループは確定している。

 俺達はこれ以上このループに関われない。ならばこれ以上の干渉は茶番と言っても良いだろうが」

 

「……そういえば、卑弥呼が左慈や于吉はそういう考えだと言っていたか」

 

「ああ、それが数十回のループを繰り返し続けて至った俺の考えだ。

 必要なものだけ抱えて、無駄じゃなかったかもしれないものも無駄と割り切らねば、やってこられなかった」

 

 ああそうだった、彼らは俺とは違う時間の悲劇を経てここにいる。

 こうして会話していても分かるが、彼らには人間大の感情と思考が存在している。

 管理するべき人間と世界を理解し、物語の収束を主導するために残されただろうその人間性は、想定外の四百年に及ぶ繰り返しに耐えられる物ではなかったのだろう。

 想定外の四百年という年月の前では、何もかもが摩耗する。

 いつ救いがくるのかという不安を抱いた経験は同じだろうが、続くのと繰り返すのでは、きっと彼らの方が辛い境遇だったろうと、俺はそう思う。

 

「なら、この茶番は反対か?」

 

「要らぬ労力、つまり無駄だと断言する。……だがそれを好むというのなら勝手にやれ。

 収束率を上げにきた貴様には一応恩義がある。数度ならば多少無駄な労力を割くぐらいはしてやる」

 

「そうか、ありがとう」

 

「……ふん、無駄口が過ぎたな。もはや奴らの監視もいらんだろう、俺は管輅達と方針の再確認の為に戻る。

 あと幾らあるかもわからん残りの時間、精々好きに過ごすといい」

 

 そう言って左慈は苦い表情のまま消えてしまった。

 彼の心情を汲むなら、この事についてはもう何も触れるべきでは無いのだろう。わがままに付き合ってもらった感謝の気持ちだけ残し、先程のやり取りは忘れる事にする。

 

「さて、早く華琳達に会いに行こう」

 

 気配を探れば、数十メートル先で馬を休ませ、何かを相談している皆の気配があった。

 

「しかし、何を言われるか、何を言おうか、何も考えず覚悟も決めずに来てしまった。はてさてどうするか」

 

 思案に思案を重ねつつ、俺は彼女達の気配がする方向へ歩を進めるのだった。

 

 

 

 森の中の拓けた場所に彼女達はいた。

 疲労困憊という様子が伝わってくるが、しかしそれでも誰ひとりとして欠けることなく彼女達はそこにいた。

 華琳は切り株に座り、皆は所持品の確認、怪我の治療、馬の世話にあたっている。近付いた事で彼女達の無事が分かり、立ち止まってしまう。

 例えそれがどうしようもない敗残だったとしても、彼女達全員の命が助かった事に対して感極まってしまった。

 眦の端に溜まりそうになる涙を堪え、俺は一歩を踏み出す。

 

「遅かったわね、白。貴方は私を待たせるのが好きよね」

 

 背後から近づく形だったというのに、華琳は何でもないようにそう言った。

 疲れ果てているだろうに、俺が本来はいる筈もない事は知っているだろうに、俺の気配を察した時点で彼女は背筋を伸ばし、まるで俺が来るのは分かっていたと言わんばかりの態度で言ってのけた。

 本当に、この子は筋金入りの負けず嫌いだ。

 

「酷い言い様だな、無理をして駆けつけたというのに」

 

 その姿と言葉に涙と満面の笑みがこぼれてしまいそうになるが、我慢だ。

 そして彼女の前まで行き、跪いて頭を垂れる。

 

「此度の敗戦、私が負う責任は多大であります。如何様な処断も」

 

 覚悟している、と続けようとして、彼女がくすりと笑った事に気付いて言葉を止めて頭を上げる。

 

「ふふ、皆が皆同じ事を言う。ならば私が返す言葉もまた同じ。

 此度の敗戦は全て我が責なり。我が民、我が兵、我が将のその全てに責は無い。故に貴方が負う責もなく、罰はない」

 

 全てを悟ったような優しすぎる声と内容であった。

 だがそう言われて納得する皆ではないだろう。

 俺が来たことに驚き、近付いてきていた皆がその言葉を聞いて華琳に詰め寄る。

 

「華琳さまっ、それはあまりに自責的に過ぎます!」

 

「華琳さまの剣として働きが足りなかったとは、誰よりもこの身が知っておりますっ」

 

「私も何かが足りないと理解していたにも関わらずこの体たらくであります。自覚できる確かな罪があるならば、罰もまた必要でございます」

 

 そして夏侯姉妹と桂花の一言を契機に、一同は膝をついて華琳を見上げる態勢になる。

 それを見て華琳はやれやれといった表情をして一息をつき、言った。

 

「罰を与える、罪人を裁くというのは基本的に上位者から下すものでしょう? でもね、ここにはもう上下関係なんて無いのよ」

 

「は? それはどういう」

 

 疑問の声は、

 

「恐らく、数日後にでも魏国は陥落しているでしょう。私は亡国の王、という訳」

 

「なっ?!」

 

 すぐさま驚愕の声に変わった。

 

「此度の外征は勝てば全てを得て頂点へ、負ければ全てを失い舞台から降ろされる、そういう類の戦いだったのよ」

 

「しかし、防衛に残した兵の数も多くっ」

 

 勿論軍師達は激しく反論しようとするが。

 

「ええ、従来ならば防衛に残した精兵が私達の帰還までもたせてくれたと確信しているわ。けれど今の防衛拠点には多くの義勇兵が割り振られ、古参兵は急に膨れ上がった兵の対応に追われている事でしょう。平素ではありえない状況に浮足立ち、混乱する皆の中に小さな油断が育ち始める。きっと私達が勝っているだろうから、大丈夫だろうという普段ではあり得ない思考の逃避がまかり通る。

 そこに天の加護を受け、貪欲に勝利を求める彼らがぶつかれば……想像に難くないわね」

 

 華琳は淡々と説明する。

 推測であるはずなのに、まるで確たる事実を突きつけられたかのように言葉に窮する一同。

 軍師達には見えてしまったのだ、その光景が。

 

「た、確かに有り得る話ではあります。けれど彼らもこの大戦で大いに疲弊しているはず、そこまでの強行軍を行えるとは思えません!」

 

 しかし稟は果敢に反論する。

 

「義勇兵、その中にはどれだけの細作がいるでしょうね? 天の御遣い達はもう戦う必要もないの、拠点の前に行って旗を掲げて大声で叫ぶだけでいい。我が兵は混乱し、敵兵は蜂起する。

 さすがに許昌は易易と落ちないでしょうけど、そこまでに落とされている拠点によって私達も許昌まで辿り着くのは至難。まあ分かりやすく八方塞がりよね」

 

「しかし、それはあくまで可能性の話なのです。本当にそうなっているとは限らないのですよ」

 

 風も疑義を呈するが、

 

「私ならばそうしている、そして貴方達でもそうしているでしょう?」

 

 そう言われてしまえば終いだ。

 光景が見えてしまった、想像出来てしまったという事は、どれもこれも想定の範囲内であるという事。自分達に置き換えれば確実にやっていると理解してしまう。

 

「……ぐぅ」

 

「寝るなっ! 疑問は数多くありますが、一応筋の通る話でもあります。ならば何故今攻めたのですか? 防衛に徹すればそれだけで勝利は私達のものでした。亡国の王となる可能性のある戦いを何故望まれたのですか?」

 

 ここから盤面を覆す手がないと再確認した所で、ならば聞くべきはその始まり。

 

「最もな疑問ね。確かに国力差を考えてもそうするのが私達にとっての最善手であり、何も知らなければ私も疑義を抱く事なく実行していたでしょう。

 けれどそれをしなかったのは、私が知っていたから」

 

「何を知っていたのですか?」

 

「……稟、貴方は最後に吹いた風をどう思ったかしら?」

 

 華琳は思わせぶりに質問を質問で返した。そこには若干の稚気が滲んでいるように見える。

 

「勝負を決したあの大風ですか?」

 

「そう。あれは天の御遣い達に都合の良い時機に吹いたとは思わない?」

 

「ええ、何故今に吹くのかと理不尽を感じ、思わず唇を噛み締めました。しかし自然現象に何を言っても仕方がないではありませんか」

 

 その言葉を聞いて華琳はにやりと笑った。不条理だが、仕方ない。それこそが答えであると言わんばかりに。

 

「仕方がない、ええ確かに仕方のない事。けれどね、もう少しその不条理と不自然について考えてみるべきよ。

 自然現象というのは発生する条件がある。雨が降るには雲が必要なように、霧が出るには気温の変化が必要なように、何かしらの発生条件が必要よね? けれど今回の大風はどうだったかしら、ここの風土記なんかと照らし合わせても明らかに発生条件が足りていないわ。

 風土記やここ数年で密かに重ねていた検証に穴があるのかも知れないけれど、それでもこの時期に風が吹いたなんて記録は一切なかった。

 そして何よりあの風は一度切りしか吹かず、しかもあちら側にとってこれ以上無い好機に吹いた。

 ここまで来れば何かしらの因果関係が無い方が、むしろ不自然だとは思わないかしら?」

 

「まさか、天候を操る者がいたとでも? そんなことは人の身では不可能です!」

 

「歌姫三姉妹は不可思議な力、呪術でステージを盛り上げているわよね? 皆も一度は舞台を見た事があるでしょう? 霧を生み出したり晴らしたり多少なりとも気象に干渉できる術の存在を貴方達は見てきているはず。ならば彼女達以上の術者がいて、天候を操る存在がいるかも知れないとは想定できなかったのかしら?」

 

「そう言われますとぐぅの音も出ませんが……しかし」

 

「ごめんなさいね、意地悪な言葉だったわ。貴方達がそれを思考から除外していても仕方がない。

 常識的に考えても有り得るとは思わないし、彼女達以上の術者など聞き及んだ事もないし、天候まで操れる存在ともなれば実戦にもっと投入されている筈だから。

 とはいえ、天候を直接操作した術者というのは存在していなかったでしょうが」

 

 迂遠な表現に一同の表情が険しいものとなる。

 

「では、何の因果が私達の敵をしたのですか?」

 

「本題ね。今宵あの瞬間、私達の敵は明らかになった。天、またはそれが生む運命こそが敵だったの」

 

 桂花を除き、皆一様にぽかんと呆けた表情になる。

 一気に弛緩した空気に苦笑を零しながら、華琳は続ける。

 

「皆一様に呆けているわね、まあそれもまた仕方のない事。

 しかしこの天が齎す運命という物は案外身近に存在していて、皆も知っている筈なのよ」

 

 気になる言い方で再び皆の注意と関心を引く。

 

「一つ例を紹介するとね、袁紹という女がこの説明に完全に一致する。あいつの存在がなければ私もそう易易とは受け入れられなかったでしょうね。

 私と袁紹は一時期同じ学び舎で過ごしていた。あらゆる能力で私は彼女を上回っていた、けれど私の目と知識と才覚を持ってしても解明できず、敵わなかった唯一の力を彼女は持っていた。

 あの政争の怪物である袁隗が、他の能力が足りずともその能力だけで彼女を次期当主に据えようとした程の能力。

 豪運という名の天与の才よ。

 遊技盤などで彼女が負けそうになると、誰かが呼びに来たり、何かが飛んできたり、果ては軽度の風巻きや地震という自然現象すら起きた。何度も何度も、それはそれは不自然なほどに」

 

「袁家の強運、そしてその中でも袁紹はその能力が飛び抜けていたとは聞き及んだ事がございますし、桂花からも詳しく聞かされました。

 つまり華琳さまは、その運が我らの敵をしたと仰られるので?」

 

「そうよ。しかもそれはただの運じゃあない。運の極致、天運という物が彼には味方をしていた」

 

「彼……天の御遣い、ですか?」

 

「そう。そして貴方達も運というものに歪みを感じる事が数多くあったのではないかしら?

 軍師は少しでも運が絡む作戦を立案すれば尽く悪い結果を引き寄せ、運を排除して徹底的に理詰めをした作戦であったとしても、綻びが生まれる。

 将は敵将が目の前で罠にかかり、無防備になっている所でその首に剣を走らせたとしても、首を挙げられない。

 敵の悪足掻きがたまたま通ったり、敵の誰かがその時だけ的確すぎる助け舟を出したり、普段なら有り得ぬ味方の不備不幸が重なったり、全ての積み重ねを押し潰す理不尽な自然現象などで幾度も決定的な好機を逃しはしなかった?

 私はここ最近ずっとそんな戦場ばかりだったわよ?」

 

「「……」」

 

 華琳の発言を聞いて、皆が顔を見合わせ、一瞬の間を置いて青褪める。

 自分に心当たりが有り過ぎて周囲の顔を見てみれば、皆が同じ表情をして見つめ返してくるのだ。

 戦場ではありとあらゆる要素が複雑に絡み合う。その中でも運の占める比重は大きく、運が良かった悪かったと受け入れざるを得ない事態は多い。

 戦場の識者である皆はそれを十二分に理解している。だからこそ最近の戦で運が異常なまでに悪過ぎたとしても、そういう物だと自分の中で折り合いをつけて消化してしまっていた。

 だから気付かなかった、その運の悪さをここにいる全員が感じていた事に。

 ここまで来れば運という偶然に、何らかの作為を感じざるを得ない。

 

「ふむ、やはり皆思い当たる節はあるようね。

 偶然もこれ程に積み上がれば必然。

 その共通の認識を持った所で、何故負ける可能性のある戦いに挑んだのか、だったわね。

 ここで勝って天運を捻じ伏せなければ、その後どういう動きを見せるか分からなかったからよ。

 勝ちを確定させずに戦争を引き伸ばした結果、彼を勝たせようとする天運は何をするかしら?

 自然災害、蝗害、疫病、異民族の思いつきのような侵略、小さな不満の奇妙な時期での爆発、身内の不幸、何の悲劇が起こるのかしらね? 私は自然災害と蝗害の可能性が高いと思うわ。他は他勢力よりも余程気を配ってきたし、どうにも対処できないのはその二つだけだもの」

 

 運に見放された、言ってみればそれだけの事。だがそれを体験した者からすれば恐怖以外の何物でもない。

 

「……それが私の見逃していた違和感、他の者なら有り得ないと切って捨てる運という概念が正体だったのですね。ああっ、白様に示唆してもらっていた私こそが見つけなければいけなかった。軍師や役人以外の他人とも交流して話をしていれば、あるいは気付けたかもしれないのにっ、私は!」

 

「そう、桂花は私達の敵について聞いていたのね。けれど桂花の後悔は不要よ。彼が示唆できたって事は天が話すのを許したという事。天が許すという事は、それは障害足り得ないという証左だもの。むしろ違和感だけでも持てた事に私は敬意を表したいわ。桂花、さすがは我が子房ね」

 

 華琳はそう小さく呟き、ぽんぽんと項垂れた桂花の頭を撫で、後悔の念を優しく包み込むように慰める。

 

「うぅぅ、華琳さま」

 

 しばしその光景を眺め、心の保養を行う。

 そしてある程度の事を既に察しており、他の皆よりも受け入れが早く済んだ秋蘭が立ち上がった。

 

「しかし華琳さま、天運という真なる敵を皆で認識できた今こそまさに好機なのではありませんか?」

 

「っ、そうです! 敵が分かれば後は叩き切るのみっ、天だろうが地だろうが私の剣で一刀両断にしてみせましょう!」

 

 その言葉に春蘭が追従し、ぶんぶんと愛用の大剣を振り回す。

 

「……こうまで話しても上を目指す貴方達姉妹の気骨と忠誠心は何物にも代え難き宝だけど、もう遅いのよ。今まで話せなかった天という存在について語れたという事は、勝敗は決し、私は舞台に立つ資格すらを失ったという事だもの。

 それにね、私はもうこの国の頂上、頂点という物にあまり惹かれなくなってしまっているの。

 本拠地で七日間籠城し、それでも私が戻らなければ降伏しなさいと信頼できる将兵には言い含めてあるし、街がどうしようもなく荒廃するという事も無いでしょう」

 

「えっ?」

 

 いつもの華琳からは出てくるはずのない言葉の群に、皆が再び息を呑んだ。




早めにあげると言いながらものすごく遅くなってしまって申し訳ありません。
しかも前話にて今回が魏編最終回と言いながら、次回こそが最終回です。
言ってる事がちぐはぐになってしまってます。本当にごめんなさい。

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