新世紀ヱヴァンゲリオン ~アナザーシンジ~ 作:kageto
でも勢いだけで突き進んでみようと思う。
ほかに書きたいのがあるからそっちを書くかもだけど。
プールの底から水面に浮かび上がるような浮遊感。
あぁ、目が覚めるな。
「知らない天井だ」
薄暗い部屋の天井をぼんやりと眺めながらつぶやく。知らなくても当然だ。昨日初めて入った部屋なんだから。
どことなくだるさの残る体を起して、部屋を見渡す。まだ右目の眼帯が取れないから少し見づらい。
税金を使ってる組織だけあって一人部屋でも設備がしっかりしてるな。
それにまさか地下にあるはずのジオフロントに窓と陽の光があるなんて思わなかった。
カーテンを開けて部屋に光を入れると、一人用には広すぎるとも思える部屋が明るくなる。
シャワールーム完備、風呂トイレ別、広めのクローゼット、ツードアの冷蔵庫、テレビ、2口のコンロ、クッションの効いたベッドとソファ、二人くらいで使えそうなサイズのテーブル。
赤木さんがいうには『仮眠寮』らしい。
職員のほとんどがここと外の2か所部屋をもってるそうだ。泊まり込みも多いんだろうか。家に帰れないからブラックというべきなのか、職場に個人の部屋を用意してるからホワイトというべきなのか。
とにもかくにも僕の部屋はここに決まったわけで。近くには青葉さんたちの部屋もあるそうだ。
ポロシャツとハーフパンツに着替えて食堂で朝食かな。
しばらく着なくなる制服はクローゼットの中に押し込む。今日の夕方からエヴァンゲリオンの操縦訓練だそうだ。
使徒とかいう怪物はあの1体で終わりじゃないそうで、これから何体もやってくるそうだ。そんな時に「戦い方が分かりません」では困るということらしい。
僕以外に2人いるらしいパイロットは学校もそこそこに訓練漬けの生活を10年近くやってるそうだ。すごすぎる。
「おっ。おはよう。シンジくん。朝飯か。一緒に行こう」
部屋を出てすぐ青葉さんに声をかけられた。すでに制服姿だ。
「おはようございます」
軽く頭を下げてから並んで歩き出すと、頭をガシガシとなでくりまわされた。少し首痛い。さりげなく僕の右側ちょっと前を歩いてくれてる。眼帯で見えない範囲だから助かる。
「どうだ、寝れたか?」なんていう雑談に返事を返しつつ食堂に入ると、映像で見た眼鏡の人、日向さんが出てくるところだった。
「早いな、日向」
「逆だよ。遅いんだ。葛城さんの件があって、暫定的に作戦部の仕切りをやってるから徹夜。勤務変更でこれから半休だよ」
「おつかれさん。そうだ、日向。まだ直接会ってなかっただろ。シンジくん。こいつが日向マコト。この間の戦闘の前に少し話しただろ」
「はじめまして。って言うのも変かな?日向マコトだよ。よろしく」
差し出された右手を軽く握り返したら、そのまま両手で強く握りこまれた。
「お疲れ様。無事で良かった。いろいろ言いたいことがありすぎるな。でもとりあえずこれだけは伝えるよ。ありがとう」
泣きそうになった。顔を伏せて涙をこらえる。また青葉さんが頭をなでくりまわす。
こんなに誰かから感謝されたのは初めてだ。嬉しさと、恥ずかしさと、いろいろで、頭の中がぐるぐるしてる。
こぼれそうな涙でゆがむ床を見ながら、心の中で「床も知らない柄だ」ってつぶやいた。
次回、『鳴らない、お腹』
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