「……はあっ……はあっ……糞っ!何なんだあいつは!」
勇薙翔真、彼は今異形の怪物に追われていた。
「フー、フー!マテエエエエ!!」
(怖っ!絶対捕まってたまるかっ!……そもそも、どうしてこんな事になったんだぁ!?)
時は遡る事10分程前
「……………うっ……ん?ここは……どこだろう?」
見たところ山の中の様で、今は夜の様だ。
「……僕は何時間寝てたんだろう……?」
そんな事よりも……ここは何処なんだ?何でこんな山の中に……確か紫とか言う人に連れてこられた気が……
その時、翔真の後方の草むらがガサガサと動いた。
「誰だ……?」
翔真は危険を感じ、咄嗟に後ろを振り向き身構えた。
「……ウー……ガー」
(何だこいつ!?怪物!?)
翔真は理解してしまった、目の前に居る異形の怪物が、自分にとっての驚異である事、また幸運な事にその怪物は自分に気が付いていない事を。
(……とにかく、考えるのは後だ、今はこいつから逃げよう)
そう思い、翔真は静かに一歩踏み出した。すると、パキッという音が翔真の足元から鳴った。最悪な事に怪物はその音を聞き逃さなかったようだ。
「ウゥガアアアアアア!!!」
(どうする!?考えるまでもない!ここは……)
「逃げるんだよおおおお!!!」
「マァテエエエエエエ!!」
そしてそのまま翔真は逃げ出した。
そんな訳で、翔真は現在絶賛追い掛けられ中なのだ。今のところは翔真を捕まえようとする手をギリギリでかわしているが、いつ捕まってもおかしくはない。
(ヤバイ!これは僕の人生で最悪だ!どうにかして逃げないと……)
だが翔真は化け物に恐怖するあまりに足下を見ていなかった。
「ペプシッ!?」
運の悪い事に(半分は自業自得)翔真はその場から出ていた太い木の根に足をひっかけてしまった様だ。
「ヒッヒッヒッ、ゾンナニオデニグワデダイノガ?」
「そんな訳……有るかぁ!!」
そう言って翔真は手近にあった石ころを持ち、投げた。
「グガァ!?」
翔真が投げた石ころは化け物の顔面に上手く命中した。
「よし!このまま……!」
翔真がその隙を突いて逃げようとした瞬間!
「ユルザン!」
「えっ!?」
突然ムクリと起き上がった化け物の腕に、翔真は弾き飛ばされ、そのまま木に叩きつけられた。
「カハッ!」
一瞬で肺の中の空気が抜け、息が出来なくなる。彼は瞬時に理解した。『あぁ、僕は死ぬんだ……』と、あまりに呆気なく、唐突にやって来た命の終わり。それを彼は受け入れた。
「グヘヘヘ、一週間振りノ食料ダァ……ウマゾウナニンゲンダァ……」
翔真にこの目の前の脅威から逃げる術は無い、有るのは『絶対的絶望』のみ。だがそれでも彼は思った、『せめて最後は笑って死のう』と。『大して面白い人生でも無かったけど、最後くらい笑って終わろう』と。
(もうほとんど何も見えない。さようなら、世界。せめて最後に……僕に『幸運』をくれても良かった……んじゃ……ないか……な…………。)
「ウヒヒヒ、イタダキマ~……」
化け物はとの次の言葉を言う事が出来なかった。何故なら……
「何をしてるんですか!」
喋る前に頭を蹴り砕かれたからだ。無論、怪物は即死、頭を砕かれたのだから当たり前だろう。
「大丈夫ですか!?」
その長く赤い髪の女性は翔真に近寄ると、
「大丈夫ですか!?今すぐ運ぶのでそれまで耐えてくださいね!」
(誰……だ……?)
翔真は薄れゆく意識の中で自分の体がその女性に担がれたことが分かった。
(けど……もう僕も終わり……短い人生だったけど……ね)
そこで完全に翔真の意識は途切れた。
はい、早速ボッコボコにされた翔真君ですが、そんなことはどうでもいい重要なことじゃない。何が言いたいか分からないって?うん、自分もです。さて次回は早めに投稿する予定ですのでよろしくお願いします!