「本当何なんだよおおおおお!!!!」
今僕は大声をあげながら紅魔館を疾走していた、そうでもしなければ今の状況を理解する事など出来ない。
「にしてもこっちに来てから不幸ばかりだ!元から不幸だったけど前にも増して不幸だよ!」
「アハハハハハハ!!待ッテヨ!オ兄サン!!!」
「絶対やだ!!」
「ナンデ!?」
「当たり前だよおお!!!」
くそ!かくなる上は……戦う!戦い方なんか知らんけど戦う!一応僕だって吸血鬼の眷属なんだから大丈夫な筈だ!
そう思って翔真が後ろを振り向いた次の瞬間、『グシャリ』そんな音がして、翔真は吹き飛び壁に叩きつけられた。
「カッ………ハッ……!!」
息が……出来……ないっ!
「マダ終ラナイヨネ?」
息の出来ない翔真に対し、フランは容赦なく次の拳を打ち込む。
「アッ……クッ……!」
もう……駄目だ終わる。
翔真がそう確信した次の瞬間、一瞬にして景色が変わった見渡すとそこは自分の部屋で、咲夜に肩を借りる状態で何とか立っていた。
「流石に眷属ね中々丈夫だわ。」
自分の殴られた場所を見ると、自分で見ても吐き気がするような状態だった、何しろ下半身がほとんど千切れかけていたのだから。
(けど、どんどん治っていってる。)
そう、翔真は吸血鬼の眷属、吸血鬼より弱いと言っても一応再生能力もある。だがそれを見て、改めて翔真は確信した。『自分は本当にもう人間ではないのだ』……と。
けどそんな事よりも今は……
「……何なんですか、あれ……あれじゃまるで……」
「そうよ、私の妹は狂ってるの。」
そこに、それまでの会話を聞いていたようにレミリアが入って来た。
「フランとやって生きていたのね、貴方は戦った事は?」
「そんなものあるわけないでしょう。寧ろ僕は一方的に殴られただけですよ……」
「及第点よ、今の貴方はフランから10分間追いかけられても死ななかったのだから。」
「僕を……試したんですか……」
「そうね、貴方が私の眷属に相応しいかどうかね。」
「……そうですか、まあそれはそれで良いですよ。けどね、僕はフランお嬢様にもう一度挑ませてもらいます。」
その言葉には、流石の二人も驚愕させられた。
「何を言ってるの!?貴方の傷は治ったとは言っても……」
「フランお嬢様にやられた傷はもう回復した、だがまだ動ける状態ではない。だけどまだ動ける訳が無いそう言いたいんでしょう?けどね、一応僕だって男なんだ、やられっぱなしで退く訳にもいかないんですよ……」
その翔真の顔は、まさに鬼のようだった。
「分かったわ……フランと戦う事を許しましょう。」
「お嬢様!?」
レミリアに驚きの声を上げた咲夜をレミリアは手で制す。
「但し、一つだけ条件があるわ。」
「その条件とは?」
「この館のメンバーを全員倒す事よ。」
「……は?」
今度は翔真が驚いた。当たり前だ、つい先日まで普通の人間だった者が勝てる訳が無いだろう。
「とりあえず、貴方には二つの選択肢があるわ、一つはこのまま執事としての仕事だけをこなす事、二つ目は、この紅魔館のメンバー全員に勝てるほど強くなること、それぐらいの実力がなければ、ただ死にに行くようなものよ。さあ、貴方はどちらを選ぶの?」
そのレミリアの問に対し、翔真は考える時間もなくこう答える。
「折角楽しくなってきたんだ、こんなところで止める訳無いでしょう。僕はやります、自分に出来るありとあらゆる手段を使って、皆さんに勝ちます!」
その翔真の問いに対し、レミリアは口元を吊り上げ不敵に笑う。
「フフフ、それでこそ私の眷属よ。とりあえずヒントをあげるわ。この紅魔館には大きな図書館があるの、そこに私の友人の魔法使いが居るわ。そいつに能力の使い方を教わりなさい。貴方が能力を使えるかどうかは貴方の素質にかかっているけどね。」
能力が自分にも使えるかもしれない。そう考えた瞬間に、翔真の中には希望が芽生えた。
「それじゃあ私は戻るわ。後は自分で考えなさい。」
「お嬢様、ありがとうございました!」
去って行く幼い背中は、翔真にとってまだ手の届かない存在。だが翔真は、『この方と並んで歩きたい』そう感じた。
次回は恐らく翔真君の能力が明かされるのではないですかね?(相変わらずの他人事)
それでは次回もよろしくお願い致します!