(とは言ったものの…どこに行こうか、僕はまだ全くと言って良いほど紅魔館の事を知らないぞ…)
彼がそう悩んでいると、屋敷内に声が響く。それは間違えようもない~何と言っても先ほどまで聞いていたのだから~パチュリー・ノーレッジの声だった。
「紅魔館の全メイドに告げるわ、勇薙翔真を捕縛しなさい。以上」
(…え?何それ、ボクソンナノキイテナイヨー…いやマジで?洒落になんないんじゃ…)
「ど、どうする?とりあえず隠れるか?」
(いや、僕の方が土地勘が低いのは確定的に明らか…この場合は館館か?まあとにかく隠れてもすぐ見つかるだろうし…これは中々ピンチなんじゃ…?)
「…しょうがない、動きながら考えるか。すげえ、僕器用…何か独り言多い気がする。」
(無意識に寂しがってんのかな?とりあえずは…他の部屋に何か使えるものないかなー…)
その頃パチュリーは…
「一仕事終えたし、本でも読んでようかしら…」
やる気無かった…しかしパチュリーはうっかりしてた、今世紀最大のうっかりを見落としていた…
で、早速侵入したんだけど…見つけたのは女性物の服やらその他女性の物ばかりで…
「何も無いし…て言うかこの館には女しか居ないのかよ…」
そう、異常に女部屋ばかりで頭を抱えていた。
(単純に迎え撃つか?いや、それだとリソースが先に尽きるのは確実にこっち…ええい!考えるのも面倒だ!当たって砕け散れい!)
そう考えながら部屋から飛び出した翔真は…いきなりメイドに出くわした。
「「はぁ!?」」
私の名前はレイチェル・メイヴ。この紅魔館でメイドをやっている人間よ。何故悪魔の館に人間が居るのかって?…それはね、ここの妖精メイド達があまりにも役にたたないから。人手不足って理由の求人募集の張り紙を見て、ここ紅魔館で住み込みで働かせてもらってるの。仕事の量は多いけど、その分やり甲斐もあるし良い職場だと思ってたわ…今日までは!
「あ、あんた…何で今私の部屋から出て来たの?」
「あっあー……あっあー?」
(やべえ、この部屋の人間かよ…嫌な時に鉢合わせた…どうしよ、どう弁明しよう…)
(何で今こいつ私の部屋から出て来たの!?変質者!?と、取り合えず確保ー!)
「お、大人しくお縄につきなさい!変質者!」
「は!?えぇ!?」
そして翔真にとっては不幸な事に、紅魔館の住人の殆どはまだ彼の事を知らなかった。これが、パチュリー最大のうっかりだ。(うっかり可愛い)
(や、やっばい!死ぬ!マジで死んじゃう!マシンガンぶっ放しちゃってるよあの子!)
「死ね!死んじゃえ!女の子の部屋に勝手に入るなんて!変態!馬鹿ぁ!」
(何か涙目なんですけど!涙目になって殺しにきてるんですけど!)
「待て、餅つけぇ!」
「餅ついて死ねっていうの!?」
(やばい会話にすらなってない!しょうがない、ここは武力行使か…)
そう考えると同時に、翔真は手袋を前にかざすと…銃弾が全部弾き落とされた。
「え!?何で!?」
「…実際に聞いてたよりも凄まじいな…これは。」
「えっと…じゃあ行って来ます。」
「ちょっと待ちなさい、貴方に言い忘れてたことがあるわ。」
「え、何です?これ以上僕に何を?」
「武器の使い方よ、銃と手袋のどちらも魔力を供給することで動くけど…手袋は不可視の盾を、銃は形状変化が出来るわ。どちらも強力だけど、その分魔力の消費も激しいから注意して使いなさい。」
「ほー…なるほどなー。で、スペルカードってやつはどうするんですか?」
「そうね…あえて教えるなら、精神を集中させ、武器を掲げてこう叫びなさい。」
「…来い、スペル!」
翔真がそう叫ぶと、何もない空間から突然光り輝く護符のようなものが落ちてくる。
「そうか…これが…炎符『ブロウ・オブ・フレイム』!」
その声とともに、翔真は魔導銃の弾丸を叩き込み護符を割る。そして…
「これが俺のスペルカードか…よくもさっきから追いかけまわしてくれたな…覚悟!」
(え、ええ!?私は自分の部屋に勝手に入られて荒らされてたから追いかけまわしてたのに何で怒られてるの!?)
レイチェルが翔真の突然の豹変にわたわたしようと、翔真には関係無い。
「Goodbye Pretty Girl」
そう言って、勇薙翔真容赦なく火球を放った。
「きゃ、きゃー!(ピチューン」
「…やばい、これ確実にやり過ぎた…絶対怒られる。」
どうやら火球に込める魔力を上昇させすぎたようで…紅魔館の廊下は殆ど半壊状態になってしまっている。壁を破っていないことを幸いというべきか…
(マジでどうすんだこれ、どうすんだと言えばこの金髪の美人さんもだけど、これ確実に怒られるよな…)
「とりあえず金髪さんには後で謝るとして(ブツ ブツ」
その時、殺気というものを~この短い人生の中でも~感じ取った事のない翔真でも分かるほどの濃密な殺気が当てられた。
思わず背筋が凍った、殺気は後ろから近づいてくる、一歩一歩確実に。しかし振り向けない、無言の圧力というものがそこには有った。
「…勇薙翔真…例えお嬢様の命令でも、理由がないから本気ではやらないつもりだったのよ?」
声の主は十六夜咲夜だった。しかしその声は翔真が最後に聞いたときよりも冷たかった、氷よりも冷たくて、南極よりも冷たくて、絶対零度より冷たくて、視線は刺すような痛みを…ようするに切れてた、プッツンだった。
「容赦なんかしないわよ…?」
(こ、殺される…)
2日に1度ぐらいのペースでは更新出来ると思います。