東方真願録   作:dieスン

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はい、前回の続きからスタートです。果たして翔真は咲夜に勝てるのか!?…どうなんだろ?


第8話 戦闘訓練、曇りのち…

「奇術『ミスディレクション』」

 

咲夜の大量のナイフが翔真に向かって飛んでいく、翔真はそれを魔導銃で弾き落とす。だがその時には既に咲夜は居ない。

 

「え、何処に、グァッ!?」

 

ナイフが飛んできたのは最初の位置とは明らかに別の方向。

 

(いっつ…これ弾幕ごっこじゃなくて殺す気でやってるだろ…)

 

「その程度なの?勇薙翔真。」

 

(勝手な事言いやがって…こちとら実践なんか今日が初めてだっつうの!て言うか、何ださっきのは…)

 

「貴方はどこまで耐えれるかしら?」

 

そう言って、十六夜咲夜はナイフを投げた。

 

(くそっ!もうどうにでもなれ!)

 

「作成『ウェポンクリエイト』! 」

 

降りてきた護符を手袋で叩き割る。それと同時に、翔真は10本程の長剣を作りだし、魔力を注ぎ込んでナイフの群れに突っ込ませて爆発させた。

 

「なっ!?」

 

(今の内に…逃げる!)

 

 

 

 

~その少し前~

 

「…今の放送は…パチュリー様ですね。いかがいたしましょう。」

 

レミリアは少し考えた後こう告げる。

 

「そうね…咲夜、翔真の練習相手をこなしてきなさい。殺す気で構わないわ。」

 

「御意。」

 

そう言うと、十六夜咲夜の姿は瞬時に消えた。

 

「翔真は咲夜にどう立ち向かうのかしら…少し楽しみね。」

 

時は進む…例え本人が知らずとも、歯車は既に回り始めてしまったのだから…

 

 

 

 

 

「ハッ!…ハッ!……ハッ…ハァ…」

 

脅威からの逃走、これは人間の行動の中で当然の事だ。

 

(ヤバイ、これはマジでヤバイ。本気で殺しに来てる、確かに再生はするかもしれないけどだからって悪魔かよ!?)

 

勇薙翔真は本気で追い詰められていた。当然だ、咲夜は紅魔館…悪魔の館のメイド長、兼レミリア・スカーレットの護衛…プロフェッショナルだ。それに対して翔真は、つい先程戦い方~それもただ魔力を放出するだけで厳密には戦いとは呼べないレベル~を覚えたばかり。はっきり言って力の差は歴然、翔真が敵う筈も無かった。

 

「くそっ…あんな相手にどう戦えば良いんだよ…」

 

翔真の口から溢れるのは、無意識の諦め。人生で初めての敗北。天才にとってば認めることの出来ない事実。それに気づいた途端、翔真の先程までの焦りは徐々に霧散していった。代わりにやってくるのは落ち着き。今の翔真は心の底から冷静だった、先程まであんなに取り乱していたとは思えないレベルで。…もしかすると、そこが『天才が天才たる所以』なのかも知れない。

 

(外傷は……足に1本、腕に2本か…)

 

咲夜の投げナイフを引き抜きながら、打開策を考える。

 

(まずは能力…あの動きからして、あれは空間操作か時間停止ってところか?瞬間移動って線もあるか…?いや、それは無いな、瞬間移動じゃ一度にあんな量のナイフは出せない。)

 

この間大体2~3秒。

 

「……将棋は嫌いなんだけどな……今回ばかりはしょうがないよな。」

 

(今持ってるスペルでどうにかなると良いんだけど…とにかく準備準備。)

 

 

 

 

「……何処に隠れたのかしら。」

 

(確かにさっきは不意を突かれたけど、今度は逃がさないわ。)

 

だが咲夜は感心もしていた。あの状況で慌てずに逃げるという選択肢を選び、それを実行した事にだ。単純な素人なら、あそこで無茶な特効を仕掛けるか、無理矢理にでも逃げて終わり、見込みなしだ。だが翔真は焦りながらも即席で策を作り実行した。そこは評価に値するだろう。

 

(まあ、初心者にしては上出来かしらね…)

 

「十六夜咲夜!」

 

(……訂正、やっぱり駄目かも知れないわ)

 

「あら、そんなところに居たのね。」

 

「あんたにはナイフでずたずたにされた恨みがある…こっちも手加減しないからな!」

 

「貴方こそ、さっきみたいな調子じゃまたすぐに逃げ帰る事になるけど、それで良いのね?」

 

「……」

 

「……」

 

「「スペル!」」

 

「領域『エリアオラクル』!」

 

「奇術『ミスディレクション』!」

 

(…特に変化は無さそうだけど…警戒しておくに越した事はないわね。)

 

そう考えてナイフを投げつけた咲夜だったが、やはり心の何処かでは油断があったのだろう…そうでなければ次の攻撃は確実にかわしていた。

 

「…残念だけど、そこはもう僕の領域内だ。」

 

「…え?」

 

咲夜が地面に着地すると同時に、彼女の足を一本の細い糸が絡めとった。

 

(な、何!?それに、私のナイフは何処に!?)

 

「何が何だか分からないって顔してますね…なら分からないまま終わってください。雷符『カンナカムイ』!」

 

翔真が魔導銃で護符を撃ち抜くと、銃の周りには3つのビットが展開される。

 

「詰みです、十六夜咲夜。貴女は僕の事を嘗めすぎた。それが貴女の敗因です。」

 

そう言って自分の足元に電撃を撃ち込むと、電流は糸を伝い咲夜に流れ込んだ。

 

「アアアアアア!!??」

 

そのまま、咲夜はぐったりと地に伏す。

 

「…勝った。けど意外と呆気なかったかな…」

 

(種明かしをしてみれば実に簡単な事だ、まず始めから糸は隠し持っていた。その糸も電気を通しやすいように銀製で作っておく。次に領域を作る事で糸をブービートラップとして設置し、ついでに自分への攻撃も防御。糸が絡んだのは、長剣を操ったのと同じ要領だ。後は仕上げに電流を撃ち込めば、一丁上がりって寸法ですよ。)

 

「………何を勝ったつもりでいるの?」

 

「!?」

 

その声と同時に、翔真は宙を飛び地面に叩きつけられた。

 

「カハッ!?な、何で…」

 

肺から一気に空気が抜ける感覚、それと同時に翔真の意識は刈り取られる。苦しいなどと思う間もなく、勇薙翔真は敗北した。

 

「……さっきの言葉、貴方にそっくりそのまま返すわ。貴方は私の事を嘗めすぎたのよ。」

 

その言葉と同時に、何処からかロープを取りだし翔真を拘束していく。

 

(けど、本当に危なかった…あと一瞬自分の時を止めるのが遅かったら…こうなってたのは私だった。)

 

「…とにかく、お嬢様の下に運ばないと…それから館内の修繕も…本当に手間をかけてくれるわね…」

 

そのままずるずると、咲夜は翔真を引きずっていった…




「妖怪引き摺り女!(グサリ)ギャース!?」

「次回も読んでくださると作者が大変喜びます。」

そんな訳で次回も宜しくです!
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