皐月、十の日 天候は晴れ
一体これはどういうことだろうかと頭を悩ませたのがその日の始まりだった。
毎日欠かさずに書いている日記の所々に記憶に無いことが書かれている。それに対して疑問に思っているような文章も書かれているのだが、如何せん自分には覚えのない文章だ。
記憶に無い文章、それには共通点が存在する。全てに白いと表記されている人物が書かれているのだ。しかし、いくら考えても思い出せない。
字は自分の物であることに間違いはないとは思うが、まるで自分以外の誰かが書いた日記であるかのように思えて不気味に感じた。
まあ、あまり深くは考えずに今日も埃の匂いのする店で読書に勤しんでいた。
たまに来る来客にはしっかりと商売はするのだが、1日の間に誰も来ないと言う事もしばしばある。あまり自分自身は興味を持っていないが、話し相手がいてくれると僕自身その日は良かったと思えるだろう。
そこで、僕は日記に書かれた白い人物について思い出す。毎回というわけではないが、僕はその人物と言葉を交わしていると書いていた。まるでその日に出来た友人のようにその人物について書いていた日記は今でもおかしく感じてしまう。
一度日記を全部読み返して見るのもいいかもしれないと思った時にそれを見た。
店の外を闊歩する人物。髪の毛は白、灰色の目と服を着た異常なほどに肌が白い人物だ。ただ何を考えているのかがわからない顔が見えた。その人物はこちらを一瞥もすることもなく歩き去っていく。
まるで何かに取り憑かれたように歩く存在にその時の僕は店を飛び出すことも出来ずにその人物が歩いて行った場所を眺めているだけだった。
今思えば、あの時に日記についてその人物に問いておいたほうが良かったかもしれない。確証はないが、件の白い人物は今日見たあの白い人物であるだろうから…
もしかしたら疑問は解けたのかもしれない…
しかし、何故僕は件の人物について覚えていないのだろうか…全くと言っていい程彼の存在を自分の頭から見つけられないことに午後からはずっと頭を悩ませていた。
途中で魔理沙が店にやってきた。そこで僕は件の人物について彼女に聞いたが、彼女もまた知らないとの事だった。
一体何故僕は件の人物を知らないのだろうか。日記を見る限り簡単に忘れるような節もない。
まるで狐に化かされたような気分にもなる。いっその事、件の人物について書かれた日記を処分しようとも考えたが、後々考えてこんないい暇つぶしは無いと思いたち、そっと本棚に日記を戻した。
今日はそれからも本を読みながら件の人物について考えていた。
あれが人間か妖怪かすらわからない。もしかしたらもっと違う存在なのかもしれない。
そして、もしかしたら僕の友人かもしれない…
はたしてあの人物は何者なのか…詳しい事は明日も考えればいいと思考を打ち切り、夕飯の準備のため、僕は店を閉めた。
今日の夕飯は魔理沙の持ってきたキノコと保存しておいた鹿肉を焼いて食べた。少しばかり贅沢なような気もしたけど、満足感は十分に得られたので問題はないだろう。
夕飯を食べ終えた後は少しだけ本を読み、この日記を記している。
この後は件の人物について考えつつ床につこうか…明日人里の稗田阿求の元へ行くのも悪くないか。件の人物が妖怪であった場合、そこに情報がある可能性は高い。もしかしたら心に残った疑問を解くことも出来るかもしれないな。
後、魔理沙は何時になったら店のものを勝手に持ち出すのをやめてくれるのだろうか…いつものことだが霧雨さんに少し申し訳なく感じてしまった。
◇
【次の日】
さて、いつもどおり客の来ない店で本でも読もうか。昨日は確か、魔理沙が来て勝手に商品を持っていったな。無駄だと思うが今日来たら返して貰うように言わないと…
まあそれは置いておいて、今日はどの本を読もうか……
短いですが、ここまで。日記調の文章って難しいですね。
これからは、前書きにその文章の主な視点や最初の視点を書いておきます