東方忘却録   作:茶ゴス

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紫視点


東方紅魔郷 後日談

 幻想郷を赤い霧が包む異変は解決された。黒幕であるレミリア・スカーレットを博麗の巫女霊夢が打ち倒してその幕を閉じたのだが、それはある二人の協力あってのものだった。一人は霧雨魔理沙。霊夢の友人であり自称普通の魔法使いである彼女は霊夢より先に侵入し、門番である紅美鈴と図書館の主であるパチュリー・ノーレッジを制し、メイド長である十六夜咲夜に不意を付かれ脱落した。しかし、その後もう一人が紅魔館に乗り込み、十六夜咲夜を撃退。その後霊夢が紅魔館に乗り込みレミリア・スカーレットを制した。十六夜咲夜を倒した者、自称ナナシ・ワスレータという偽名を抜かした男は十六夜咲夜を制した後、レミリア・スカーレットの妹であるフランドール・スカーレットと対峙し撃退したようだ。彼自身から聞いた話によれば退屈してただけだったようでそこまで大変な仕事ではなかったという。

 

 聞いた話によれば十六夜咲夜の能力【時間を操る能力】をナナシは無効化したようで、能力によるアドバンテージを失った十六夜咲夜はその事実に驚愕したままやられたようだ。何故そのタイミングで紅魔館にナナシは乗り込んだのか。それは人里に住む稗田阿求が原因のようだ。以前からナナシと交流を持っていた彼女が異変解決を頼んみ、それをナナシは受諾したそうだ。ここで気になるのは交流を持っていたということ。稗田阿求の動向を知っている私としては何時交流を持っていたのかが謎である。流石に逐一というわけではないが、それでも異変解決を頼むほどの親交があれば少なくとも一度くらいは見かけるはずだ。

 

 一体あの妖怪は何者だろうか。実力者であることは間違いないだろう。異変解決の宴会をしている今も鬼と飲み比べをして笑みを浮かべている。あの見た目、全身が白と灰色で構成されているならば存外に目立つはずだが……最近幻想入りしたわけでもなく、それでいて潜んでいたようには思えないような性格……何かが引っかかる。

 

 もしかしたら私は何か重大な事を見落としているのかもしれない。折角の宴会を蹴ってまで監視しているのだが、何か思い違いをしているのかもしれない。

 

 

 一体何故こんなにもあの妖怪はこの集団に溶け込んでいるのか、何故吸血鬼を打倒するほどの実力を持っている者を見落としていたのか……鬼と飲み比べをしていた彼が立った。鬼の方は霊夢に絡みに行っているためかそのことに気づいていない。

 何をやるつもりだろうか、何を考えているのだろうか。わからない。全くと言っていいほどわからない。

 

 彼はそのまま鳥居の方へ進み階段を降り始める。帰るのだろうか?ならばそのまま監視を続けていれば活動拠点を割り出せるはず。

 

 

 

 

 

 そう言えば何故だろうか、稗田阿求が彼のことを幻想郷縁起に書いていないのは……あれほどの力量の者を書かないとは考えにくい。

 ならば何故。私があの書を呼んだのは一週間前。その間に彼が幻想入りした?おかしい。稗田阿求の要請に応えるほどの関係になるには随分と短い。

 

 ならば……

 

 

 

「もう行くの?」

 

 

 

 彼以外にもう一人現れた。少し声が震えている気がしなくもない。あれはナナシの何かを知っているのだろうか。

 

 

 

「ああ、もう時間だからね。明後日くらいに君達の所へ遊びに行くから待っててよ」

 

「わかったよ。まあ、今は止めないけど見てられなかったら……」

 

「わかってる。っていうかその言葉何度目か覚えてる?」

 

「忘れたよ。あんたの十八番だろ?」

 

「確かに」

 

 

 

 会話の内容はわからない。あれと親しそうに話すのに少し疑問を覚えるが……

 

 

――こちらを見ている?

 

 

 

「じゃ、今日も終わりっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===============================

 

 

「あ、紫なんでここにいんだよ。宴会来ないんじゃなかったのか?」

 

「ええ、そのつもりだったけれど、少し気が変わったのよ」

 

「そうか、じゃあ萃香の相手してやってくれ。なんでか荒れてんだよ」

 

「流石に鬼を相手にするのは……」

 

「全員でかかれば大丈夫さ!!」

 

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえお姉さま、何故かいきなりつまらなくなったわ」

 

「何を言ってるのよフラン。引きこもりの貴方がやっと外に出てくれてお姉ちゃん喜んでるのよ?」

 

「それ気持ち悪いからやめて」

 

「はぁ、わかったわ。で、何故かはわからないの?」

 

「そう言ってるでしょ。ま、思ったよりも外は悪くないしまた出てもいいけれど」

 

「その時は日傘を忘れないようにね?」

 

「流石にそんな馬鹿な真似はしないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人は行ったの?」

 

「うん、行ったよ。明後日遊びに来るんだってさ」

 

「そっか。楽しみだね」

 

「そうだね」

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