”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
感謝、感謝です。
それではご覧ください。
翌朝
”ノーネーム”本拠前。
”フォレス・ガロ”とのゲームのため待ち合わせをしていた。
否、女性陣を待っていた。
「お~そ~い~」
「女性のしたくに時間がかかることぐらい、
君だって知ってるでしょう?」
「それでもさ~」
「祭ほどじゃないにせよ急いでほしいもんだ」
朝食を終え、それぞれが支度に向かおうとした時の事である。
”情報収納”で祭は一秒とかけずに、
着替えと武器として、ベレッタM1951の装備を終わらせたのである。
「便利だよね~。
着せ替え○メラと四○元ポケット足した感じでしょ~?」
「ギフトカードと大差ないんじゃないか?」
「”情報収納”最低限触れられるものじゃないと取り込めないんだ。
逆にギフト以外でも触れられれば、取り込める。
そこらへんは一長一短かな」
「最低限ってのは?」
「感電死を試したときに電気を取り込めたから」
「電磁砲とかできる!?」
「いくら電気を纏ったとしても、そいつは無理だろ」
「チッチッチ~分かってないな~十六夜クン。
そういうことじゃあないんだよ」
頼華の言いたいことが分かるものは、
残念な(幸運な)ことに誰もいなかった。
ジンはそもそも話に着いていけず、
ただ黙っているだけだった。
そんな無駄話で時間を潰したおかげか、
やっと女性陣が到着した。
「お待たせいたしました」
「「遅い黒ウサギ」」
「いえ私では
「「黒ウサギがごめんなさい」」
「ちょっとお待ちを!
飛鳥さんの服を
「似合ってていいんじゃないですか」
ハイ、とてもお似合
「ありがとう。祭君も髪をまとめたのね」
「動き回るのに邪魔でしょうから、
そのドレスで大丈夫ですか?」
「加護の恩恵があるらしいし、とても動きやすいわ」
もういいです」
自分のセリフに割り込まれ無視され、
黒ウサギはイジケテしまう。
「「「いいことあるって」」」
十六夜、耀、頼華はサムズアップと共に
(昨晩の自分にお説教してやりたいのです・・・)
「あの、・・・そろそろ出発しませんか?」
この時黒ウサギは思った。
”ノーネーム”のリーダーが
*
一行はジャングルと化した”フォレス・ガロ”の居住区画にたどり着いた。
「まさか迷った~?」
「ここで間違いありません。
ですが普通の居住区だったはず、
・・・・・・それにこの木々はまさか」
歪な木々に手を伸ばし、試案するジン。
「ジン君、ここに”
『ギフトゲーム名 ”ハンティング”
プレイヤー一覧
久遠 飛鳥
春日部 耀
仲邑 祭
ジン=ラッセル
クリア条件
ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。
クリア方法
ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。
指定武具以外は”
敗北条件
降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
指定武具
ゲームテリトリーに配置。
宣誓
上記を尊重し、誇りと旗印の下、”ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
”フォレス・ガロ”印』
「ガルドの身をクリア条件に・・・・・・指定武具で打倒!?」
「こ、これはまずいです!」
「このゲームはそんなに危険なの?」
「いえ、ゲームそのものは単純です。
ですが問題は”恩恵”ではなく”契約”によってその身を守っていることです。
これではたとえ神格であっても手を出せません」
「敵は命がけで五分に持ち込んだってことか。
観客にしてみれば面白くていいけどな」
「・・・・・・・そうじゃない」
つぶやいたのは祭だ。
「そうじゃない。横槍を入れられた」
「どういうことかしら?」
「これはガルドが用意したゲームじゃない。
傲慢なあいつが、”討伐”なんて言葉を使うわけがない。」
討伐とは、罪あるものを討つという意味を持つ言葉である。
「言われてみれば」
「僕たちの決闘は、もうどこかへ追いやられた」
「不愉快」
「気に入らないわね」
「じゃあどうすんの~?」
「ゲームには参加します。そして勝ちます。
そうしなければ”ノーネーム”前へ進めません」
ジンの言葉にみんな気を引き締めた。
「OK御チビ様」
「まずは作戦を立てましょう」
「そこまでするほどかな~?」
「昨日、
「まあ、ちょっかい出した奴の力量次第だがな、
そこんとこどうなんだ、黒ウサギ?」
「私ですか!?」
水を向けられ焦る黒ウサギ。
「大丈夫だよ黒ウサギ、
おそらく吸血鬼、彼女たちの力によって木々が鬼化されています。
ガルドにも鬼種のギフトが渡ったと考えるべきでしょう」
「なら指定武具は、心臓を貫く杭か、銀製の武器といったところね」
「次はその場所か、十六夜、分かるか?」
「さあな、だが配置ってある以上意味ねえ場所には置いてねえだろ」
「RPGとかだと別のダンジョンに取りに行かされるんだよね~」
「でも今回はゲームテリトリー内にある」
「じゃあボスの目の前だね~」
「まずはガルドを、でございますね」
「接触がどんなところかは分からない。
あとは出たとこ勝負か」
「そうだね。じゃあ最後に飛鳥さん、
緊急時は僕に『守れ』と命じてくれ」
「あなた、また」
祭は静かに首を振り応えた。
「僕のギフトを使ってほしいんだ。
”呪い”じゃなく”恩恵”だと実感したい。
それに、飛鳥さんにも自分のギフトを認めてもらいたい」
その言葉に驚いたのは飛鳥ひとりではなかった。
耀と黒ウサギは昨夜飛鳥の考察をしていた。
その時、人を操ることに抵抗を感じていることを察したのだ。
「人に殺されるためには、恨まれなきゃならない。
そのためには人の弱みを知るのが一番だった。
ごめんね」
申し訳なさそうに自らも傷つける姿に、
怒りを通り越しあきれてしまった。
「ホントいい性格してるわ」
「ご存じのとおり」
集中した空気が霧散した、
いや固さが取れたというべきだろうか。
ギフトゲーム ”ハンティング”
スタート
早速行動を開始する。
ガルドの捜索。
耀曰く、近くに匂いはなく風下でにいて感じられないから建物の中だろう、だそうだ。
歩みを進める四人、
そして”フォレス・ガロの”本拠であろう屋敷にたどり着く。
「あとはどこにガルドがいるか」
「もう見つけてる、向こうの部屋に影が見えた」
「ありがとう春日部さん」
「じゃあ前衛を僕と耀さん。
後衛をジン君と飛鳥さん。
この形で進もう」
「僕だってギフトを持っています。足手まといには」
「僕と耀さんがガルドをひきつけている間に、
二人には指定武具の奪取をお願いしたい。
それにもしかしたら近くに指定武具がない可能性も捨てきれないからね」
「祭君に理があるわ、ここは従いましょう」
「耀さんも、リスクがあるけど構わないかな?」
「大丈夫、任せて」
屋敷を進みガルドのいる部屋の前に立つ。
それぞれ覚悟を決めたことを確認し、突入した。
虎の怪物となったガルドがそこにいた。
「GEEEEEEYAAAAAAAAaaaaa!!!]
怯むことなく怪物を見据え、
その視界の隅に白銀の十字剣を捉えた。
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「今の叫び声は!!」
「ああ、間違いない。虎のギフトを使った春日部だ」
「なるほど、ってそんなわけないでしょう!?」
「虎のギフトってすごいんだね~
耀ちゃんがあんな大声出せるなんてね~」
「引っ張らないでくださいまし!!
こんな時くらいはふざけないで下さい!!」
「「だって暇なんだもん」」
「この問題児様方は・・・・・」
壁に手を付き、ため息をつく黒ウサギ。
「見に行っちゃだめなの~?」
「”
「十六夜がおつきでいいなんて、滅多にないんだよ~」
「最初の取り決めにない限りは駄目ですね」
「・・・・・・・・貴種のウサギさん、マジ使えね」
「ダメウサギ」
「せめて聞こえないように言ってください!本気でへこみますから!」
「小声だろうとお前の耳は拾っちまううんだろ」
「なら堂々と言おうじゃないか!!」
もう勝手にしてくれと、さじを投げる黒ウサギであった。
その胸の内は、心配と祈りであるが表に出ることは遂になかった。
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祭がすぐさま突撃を仕掛ける。
同時にベレッタを右寄りに放つ。
怪物は本能でそれを躱してみせた。
しかしこの状況で言えば悪手でしかなかった。
「まあ避けるよな、飛鳥!ジン!」
祭は後衛の二人のために道を作った。
十字剣の確保に走る二人。
常人の身体能力だがここでは充分であった。
この怪物が理性を残しゲームを理解していれば、
躱さずに祭に襲い掛かればよかった。
もっとも死なないからと言って攻撃を躱さないでいることは難しい。
それをできる彼の罠だった。
そして躱した先にグリフォンのギフトを使った耀が待ち構える。
風に乗り繰り出されたなめらかな回し蹴りが怪物を襲う。
「GEEEII!!」
蹴り飛ばされた怪物から悲鳴が漏れる。
だが飛ばされた方向が悪かった。
十字剣の奪取に向かった二人がいる。
十字剣を先に手にした飛鳥と、ジンが巨体を躱す。
不運は重なる。
躱した先でジンが孤立した。
そして起き上がった怪物の凶爪が迫る。
(今撃てばジンに!)
『躱しなさい』
ジンが跳躍した。
彼の運動能力の限界を超えて。
飛鳥のギフトがジンを救った。
怪物の視線が跳躍したジンを追う。
その一瞬に、飛鳥が駆ける。
『剣よ、力を!』
銀の破邪の力が増し輝く。
剣が怪物の心臓を捉えた。
破邪の力により、体が朽ち灰へと化してゆく。
「今さら言ってはアレだけど
・・・・・・貴方、虎の姿の方が素敵だったわ」
そう言い血振りをする姿は、とても様になっていた。
*
現在、”フォレス・ガロ”に支配されていたコミュニティに”名”と”旗印が”返還されている。
歓喜し駆け回るもの、失った同士を思い泣くもの、今だ呆然と立ち尽くすもの。
様々な姿がそこにあった。
仲間を、コミュニティを、誇りを大切にしているその姿を、
祭は他人事のように、だが同時に憧れを持って眺めていた。
「祭さんもお疲れ様でございました」
「黒ウサギ?ジンについてなくていいの?」
「私は”箱庭の貴族”ですので今回ばかりは邪魔者でしかありません」
「言われてみればそうだね、
いや、だからこそ”ノーネーム”であることが武器になる」
「何の話をしているの?」
飛鳥と耀がやってくる。
二人もこの光景に思うことがあるようだ。
「”ノーネーム”が武器?」
「うん、最弱とも思われているノーネームが打倒魔王を掲げる。
はじめは馬鹿な真似と笑われるだろう。
それでも実績を上げていけば確実に評価は逆転する。
最底辺が魔王を討つ、そのインパクトは計り知れないはずだからね」
「YES、事実魔王の傘下”フォレス・ガロ”を破ったと話が広まりだしています」
「あの外道を倒した甲斐もあったということね」
「でも意外にあっけなかった」
「そのように感じるのは皆さんのお力が優れているからでしょう。
ガルドもこの外門を支配するだけの実力は確かにありましたので」
「殴られたから分かるけど、よくて寝たきり基本的に殺される。
それくらいには強かったんだよ。
そしてガルド程度を歯牙にもかけない奴らが星の数ほど箱庭にはいる」
「そうね」
名と誇りを取り戻すため前に進み続けなければならない。
だが今は勝利の余韻に浸るのもいいだろう。
”ノーネーム”の初勝利をかみしめ。
*
「飛鳥さん、いいかな?」
「何かしら?祭君」
「なぜあの時、僕でなくジン君に?」
少し考えるようなそぶりを見せる。
しかし答えはすぐに返ってきた。
「何をかも貴方の言うとおりになるのは面白くないでしょう」
そう言い飛鳥は悪戯っぽくはにかんだ。
「さあ帰りましょう!ジン君たちを迎えに行くわよ」
走り出した彼女の背を、眩しそうに見つめる。
「まったく・・・・・・敵わないなあ」
どこか心地よさを感じていた。
ちょっと祭と飛鳥の比重が高いですが、せっかくなので
結果全員無傷で勝っちゃいました。
「ムシャクシャしてやった。反省はしていない」
ってやつです。
次回はレティシア登場!
楽しみです!!