”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
四○○○○○○外門・三九九九九九九外門、サウザンドアイズ旧支店。
一同が外の出ると広がる景色は別物であった。
「赤壁と炎と・・・・・・ガラスの街・・・・・・!?」
常秋に染まる街並みは、色とりどりのカットガラスで飾られ、
あちこちに彫像やモニュメントが並べられており、
人々の活気も”火龍誕生祭”にふさわしく賑わいを見せていた。
「980000kmも離れてるだけあって文化様式も随分違うな」
「今すぐ降りましょう!あのガラスの歩廊に行ってみたいわ!!」
「大賛成~!」
「そうですね、白夜叉さん話は後でも?」
「構わんよ、続きは夜にでも
「
のですよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
緋色の弾頭、黒ウサギが絶叫と共に着地。
その眼は怪しく光り、不気味な笑いが響く。
「ふ、ふふ、フフフフ・・・・・・!
ようぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方・・・・・・・・!」
「まさか、暴走!!?」
「総員退避!!」
祭の号令で一同が散る。
声をあげた祭は一拍出遅れ、黒ウサギに狙われる。
祭は黒ウサギに手をかざし、莫大な空気を撃ち出した。
「グリフォンのギフト!?」
耀はその様子を見て立ち止まってしまう。
それがいけなかった、追手は黒ウサギひとりに非ず。
「捕まえたぞ、耀」
後ろから近付くレティシアに気づかなかったのだ。
空気の壁に押された黒ウサギは、飛ばされた先の頼華に標的を変える。
「
「サアアア、頼華さん。おとなしく捕まってクダサイナ」
ガリガリと『進入禁止』で生まれた見えない壁をひっかく黒ウサギ。
「やだね~」
「それは残念です。今ならレティシア様の熱い抱擁が
「
「後デタップリオ説教ナノですヨ」
「このうそつきウサギ!!」
「何とでも、白夜叉様!二人をお願いします!!」
「よく分からんが、頑張れ黒ウサギ」
「アト・・・・・・・三人」
再び暴走モード?となり、駆け出してゆく黒ウサギ。
残されたジンとリリ、耀は項垂れ落ち込む頼華を見つめている。
「この世に救いなんてないんだ~」
見かねたレティシアが後ろから抱きしめる。
「しょうがない奴だな」
「レティシア~~~!
愛してるよーーーーーーーー!!」
「止めないか//恥ずかしい//
私もこれから三人を探さなければいけないんだ」
その光景を二人は顔を真っ赤に染めて。
残る二人はとてもニコニコ、いやニヤニヤと眺めていた。
*
「春日部さんと頼華君は捕まったようね」
「惜しい奴らを亡くした」
「殺すな殺すな」
ひとまず逃げ切った三人は商業区の赤いガラスの歩廊を歩いていた。
「こういったときだけは優秀なんだから」
「黒ウサギを焚き付ける餌としちゃ、効果抜群だったわけだ」
「それでも二人は捕まる気はないんだろう?」
「「当然!」」
「この人混みに紛れていればもう少しは見つからないかな」
「それじゃあ散策を開始しましょう!
どちらがエスコートしてくれるのかしら?」
「野蛮で凶暴そうな俺まで対象なのか?」
「紳士は多ければ多い方がいいわ」
「両手に華ですね、飛鳥さん」
「偶にはいいか、ではお嬢様?」
二人の紳士が手を差し出す。
「ありがとう!」
「まずは何から見て回りますか?」
「そうだな、この歩廊を展示物を眺めながら歩くだけでもいい。
あとはご当地品や限定ものを物色するだけでも楽しめるぜ」
「意外ね、こういうのは逆だと思っていたわ」
「言ってやるなお嬢様、元死にたがりにそいつは酷ってものだ」
「ばれてたか」
「祭君も初めてなの?」
「名前負けですが、初めてです。
実のところ、目に映るすべてが新鮮ではしゃぎまわりたい位ですよ」
「想像つかねえな」
「まったくね」
*
「なるほど、悪戯にしては悪質じゃのう。
”脱退”など、そう口にするものではない」
「確かに私たちもやり過ぎだったとは思う。
でも黒ウサギ達だって悪い」
「こんなお祭りがあるのを知ってたら、
皆の分だってお金稼いでたって~」
「お互いが歩み寄らねばどうにもならんぞ?」
「それは分かるけど・・・・・・」
「よし、物で釣ってから謝ろ~!」
「もう少しましな言い方はできんのか」
「このお祭りの一番のギフトゲームって何~?」
「それでもらえる”恩恵”プレゼントしたら黒ウサギ達、
許してくれるかな?」
耀の発言に白夜叉は驚き、すぐに優しいほほえみを湛えた。
「もちろんだとも、おんしらにその気があるのだから」
「さくっと優勝して”恩恵”貰って仲直りしちゃお~」
「小僧は参加できんぞ」
「なんで!」
「北側は環境が厳しいものゆえ、
恒久的に使える創作系のギフトが重宝されておっての。
一番のギフトゲームはこの通り」
袖からギフトゲームに関するビラを取り出し、二人に見せる。
『ギフトゲーム名 ”造物主達の決闘”
・参加資格、及び概要
・参加者は創作系のギフトを所持。
・サポートとして、一名までの同伴を許可。
・決闘内容はその都度変化。
・ギフト保持者は創作系のギフト以外の使用を一部禁ず。
・授与される恩恵に関して
・”階層支配者”の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームを開催します。
”サウザンドアイズ”印
”サラマンドラ”印』
「オレ、創作系のギフト持ってない」
「そう言うことだ、じゃが耀。
おんしには”生命の目録”がある。
その木彫りに宿る”恩恵”ならば力試しのゲームも勝ち抜けるはずじゃ」
「そうかな?」
「幸いサポーターなら、そこの小僧でも、ジンでもレティシアでも構わん。
本件とは別に、祭りを盛り上げるためにも一役買ってくれんか?」
「とびきりの”恩恵”用意しておいて」
その挑戦的な言葉に、白夜叉は再び微笑みを湛えるのだった。
*
「やはり主催である”サラマンドラ”の出展作品が多いですね」
「見てみろよ二人とも、この彫像テクタイト結晶でできてるらしいぜ」
「テクタイト結晶?」
「隕石の衝突時のエネルギーによって生成される天然ガラスの一種だったか?」
「正解だ、事典ばかり読んでた甲斐があったな」
「それに初代党首を彫るというのも、気が利いているじゃありませんか」
「そう言うことか、確かにそうだな」
「二人だけで納得してないで、私にも教えなさい!」
拗ねてふくれる飛鳥。
その顔を見た祭の、わずかな変化を十六夜は見逃さなかった。
「それじゃあ祭先生の課外授業の時間だ。
お嬢様は心して聞けよ」
「ただの雑学でそこまでハードルあげないでくれ」
「雑学だってかまわないわ先生!早く教えて下さらない?」
飛鳥も悪乗りし、祭に縋り付く。
「パワーストーンとして見ればテクタイトは、
『本来歩むべき人生に近づける為の道しるべとなる石』という意味合いを持つんだ。
他にも『カルマの浄化』や『霊的成長』といった意味もある。
要するに初代様の行動、軌跡を生きてゆく道しるべとし、
研鑚を重ね成長しよう。といったメッセージが込められているんじゃないかな」
「それを聞くと益々素敵に見えてくるわ。
製作者のサラという人にも会って話を聞いてみたいわね」
「確かその人は新たにフロアマスターになったサンドラのお姉さんだったはず。
白夜叉さんに頼めば会えるかもしれないね」
「だったらこうしちゃ居られねえ、早く白夜叉のところに戻ろうぜ!」
「その前に戻るのところがあるのでは?御三人様?」
「どこかあったかしら?」
「春日部達を置いて行ったらまずいだろ」
「白夜叉さんと一緒なのでは?」
「なら行先に変更はねえな」
「YES!黒ウサギがご案内いたしますので、
オトナシク捕マッテクダサイマスヨネ?」
「「「断る」」」
再び始まる鬼ごっこ。
三人とも別方向へ、十六夜は屋根に、飛鳥は歩廊を走り、祭はあえて黒ウサギの方へ。
祭は手を黒ウサギの方に構え
「同じ手は食いません!」
黒ウサギは跳びあがり十六夜を追う。
その黒ウサギが居なくなった後ろにはジンとリリがいた。
(やられた!)
「祭様、ごめんなさい!!」
前進していた祭は、急転換するもジンとリリに跳び付かれあえなく捕まってしまう。
飛鳥もまた待ち伏せていたレティシアに捕まったようだ。
「十六夜君、貴方が最後の一人よ!簡単に捕まったら許さないわ!」
「了解、任せとけお嬢様!」
十六夜と黒ウサギの鬼ごっこは次元が違っていた。
「まさか二人に捕まるとはね、ジン君の入れ知恵だろ」
「どうしてわかったんですか?」
「黒ウサギ単独なら、より直接的に狙う方が早い。
一方ジン君の策は、リリちゃんとジン君自身にリスクを賭けることで確実性を上げてきた。
それに十六夜を見失う方が損が大きいって計算した。
そんなところかな」
「全部お見通しですか・・・・・・」
「落胆することないよ、
正直今のジン君じゃそこまでできないと思って油断してしまったからね」
「ジンの成長のおかげで二人を捕まえられた。
それは喜ばしい誤算だな」
「でも祭君、本気で逃げる気はなかったでしょう」
「さすがに」
「そろそろ耀様たちのところへ戻りませんか?」
「そうだな、二人も付いて来てくれ」
「そのことなんだけど、
僕と飛鳥さんはもう少し散策してからでもいいかな?」
「どうしてですか?」
「この前の件で、お詫びにみんなに何か贈ることになっただろう。
せっかくだから此処の工芸品なんかが良いんじゃないかって三人で話してたんだ」
「そういうことでしたら」
「終わったら”サウザンドアイズ”に向かえばいいのかな?」
「あまり遅くならないようにな、主たち」
祭は三人の小さな影を見送った。
「あんな根も葉もない嘘をよく思いつくものね」
「だってこんなに楽しいお祭りなんですから、
一分一秒でも長く楽しみたいじゃないですか!!」
「祭君も立派に問題児ね」
「そりゃもちろん」
「でもそうね、そんな嘘を知ってしまった以上、
私は皆に報告する義務があるの」
「分かりました。
飛鳥さんには口止め料の分もプレゼントさせていただきますよ」
「あら、悪いわね」
「共犯者の機嫌は良くないといけませんからね」
「酷い言われようね、
改めてエスコートをお願いしても?」
「喜んで」
祭に手を引かれ、飛鳥は散策を再開する。
*
「商店よりも出展物の方が多いのね」
「芸術祭としての側面が強いのかもしれませんね」
「ねえ祭君、あの歩くキャンドルスタンドが欲しいわ」
「出展”ウィル・オ・ウィスプ”となっていますから売り物じゃないみたいですね」
「残念ね、ならカボチャのお化けはいないのかしら。
ハロなんとかっていうお祭りに出てくる妖怪らしいのだけど」
「ハロウィンのジャック・オー・ランタンの事ですか?
それなら”ウィル・オ・ウィスプ”も尋ねてみますか?」
「どういうことなの?」
「言い伝えの一つでは、生と死の狭間の闇に幽閉された男に悪魔が渡した炎が、
ウィル・オ・ウィスプと呼ばれているそうです。
そしてハロウィンは日本で言うお盆、死者の魂がやってくる日で
その時に飾られるカボチャの提灯がジャック・オー・ランタン。
そのジャック・オー・ランタンから漏れる炎の光は
ウィル・オ・ウィスプの炎の光だと言われることがあるそうです」
「じゃあもしかしたら!」
「仏話のウサギがいるんですから、
ハロウィンのジャック・オー・ランタンもいてもいいんじゃないですか」
「私、箱庭に来て本当に良かった!
楽しみばかりが増えていく、こんな世界は他にはないわ!!」
「確か飛鳥さんは第二次大戦後の世界から来たんでしたよね」
「ええ、財閥の令嬢なんて聞こえはいいけど、
隔離された寮生活を強いられてとても退屈だった」
笑顔だった飛鳥に陰が差した。
「飛鳥さんなら抜け出せたんじゃないんですか?」
「箱庭に招待されなかったら、抜け出すつもりだったの。
そうね、そうなっていたらハロウィンのお祭りでも見に行ってたかしら」
「ならここでしませんか?」
「え?」
「ハロウィンです。”ノーネーム”のみんなで!
いやただのお祭りよりも、ハロウィンのギフトゲームでも面白いか?」
「できるの!?」
「やるんです。そのためにはコミュニティをもっと立て直さないといけませんが
敷地の裏手にある農園用の土地を復活させれば、収穫祭としてのハロウィンもできますし、
白夜叉さんへのお礼にもなる。
その頃には多くのコミュニティと関わっているでしょうし
頑張ればこの”火龍誕生祭”に負けない催しもできるかもしれない」
「とても素晴らしいわ!
”ノーネーム”の最初の主催はハロウィンで予約しておきましょう!!」
「それが良いですね」
「Trick or Treat!!
この素敵なフレーズを使ってみたかったの!!」
「飛鳥さんの悪戯は怖そうだ」
「そんなこと言っていいのかしら?」
「ええ、お菓子なら持っていますので」
「残念ね、悪戯しそびれちゃった」
「流石にいい時間です。そろそろ戻りますか?」
「最後にあそこにある展示会場に寄って行きましょう」
「まあ、そのくらいなら」
________________________________
”火龍誕生祭”運営本陣営
ここでは白夜叉が紹介した”造物主達の決闘”の予選が行われていた。
耀は力試しのため、今一人で戦っている。
「上上下下左右左右BA、そこだぁぁぁ~~!!」
『いてまえーー!お嬢おおぉぉぉ!!』
頼華とレティシア達についてきた三毛猫がリング外から声をあげる。
戦いを重ねグリフォンのギフトをコントロールできるようになり、
自在に空中を駆け回る。
対戦相手の石垣のゴーレムは耀のスピードについていけず、翻弄されている。
隙を見て背後に回り込んだ耀は、象からもらったギフトで体重を変え、
ゴーレムを蹴り崩した。
そのまま追い打ちをかけ、リングに叩きつける。
それで耀の勝利が決定し、会場中から歓声が上がる。
少しの余韻ののち、白夜叉が手を打ち鳴らし声援が止んだ。
「これで最後の決勝進出者が”ノーネーム”出身の春日部耀に決まった。
決勝のゲームは明日以降に予定されている。
決勝でのルールは、もう一人の”主催者”、そして新たに”階層支配者”となった
この者に頼むとしよう」
白夜叉が下がると入れ違いに、真紅の髪の少女が前に出る。
「ご紹介にあずかりました。
北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。
この場を借り、改めて”火龍誕生祭”に協力してくださった
すべてのコミュニティにお礼を申し上げます。
以降のゲームは招待状をご覧ください」
すると各参加者の持つ招待状が文字を変化させゲームルールを綴る。
『ギフトゲーム名:”創造主達の決闘”
・決勝参加コミュニティ
・ゲームマスター・”サラマンドラ”
・プレイヤー・”ウィル・オ・ウィスプ”
・プレイヤー・”ラッテンフェンガー”
・プレイヤー・”ノーネーム”
・決勝ルール
・お互いのコミュニティが創造したギフトを比べ合う。
・ギフトを十全に扱うため、一人まで補佐が許される。
・ゲームのクリアは登録されたギフト保持者の手で行う。
・総当たり戦を行い勝ち星が多いコミュニティが優勝。
・優勝者はゲームマスターと対峙。
・授与される恩恵に関して
・”階層支配者”の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームに参加します
”サウザンドアイズ”印
”サラマンドラ”印』
___________________________________
「ここは各コミュニティの自信作が集められているみたいですね」
「そのようね。細工も綺麗だし・・・・・・
旗印を作品にも刻んでいるものが多いわ」
「また一つ、”名”と”旗印”を取り戻す理由ができましたね」
頷く飛鳥、その瞳には決意の光が宿り真っ直ぐ祭を見返していた。
展示物を見ながら奥へ奥へと進んだ二人。
最深部にはこれまでのどの展示品より大きな作品が飾られていた。
「紅い・・・・・・鋼の巨人!」
「コレはなんというか」
「ええ」
「頼華が見たら喜びそうな」
「頼華君が見たら喜びそうね」
お互いの感想が重なったことが可笑しく二人はクスクスと笑いだしてしまう。
「だれー?」
二人の笑い声を聞き、巨人の前で眠っていた精霊が目を覚ます。
「ごめんなさいね、起こしてしまって。
私は久遠飛鳥よ」
「あすかー?」
「飛鳥よ、最後を短くしてみて」
「あすか!」
「僕は仲邑祭だ、精霊さん」
「おまつり?」
「飛鳥さん笑わないで・・・・・・
ま・つ・り」
「ま・つ・り?」
「そう、それをつなげて」
「まつり」
「よくできました」
「貴女のお名前は?」
「らってんふぇんがー」
その回答に二人はフリーズしてしまう。
どうしたものかと視線を彷徨わせていると展示品の出展者の欄に同じ名を見つけた。
「ラッテンフェンガーは貴女のコミュニティなの?」
「そお」
「なるほど、じゃあ君自身の名前は?」
「?」
「もともと名前が無いのかしら?」
「そうみたいですね」
「すごいのね”ラッテンフェンガー”のコミュニティは」
「ええ、これほど大きく精巧な巨人を作りだせるとは」
「えっへん!」
精霊のそのしぐさが可笑しく再び笑い出してしまう。
そして異変が起きた。
一陣の風が、すべての灯火を消し去った。
突然、展示会場は闇に包まれ混乱が訪れる。
客たちが騒ぎ、我先にと押し合い逃げ出そうとしていた。
このままでは、人同士で傷つけあうことになる、
そして飛鳥は
「『協力して逃げなさい』!!」
ギフトを用いて客たちを避難させる。
「何が起こるかわかりません、
離れないでください飛鳥さん」
「祭君」
『ヨウヤク・・・・・・ミツケタ・・・・・・
”ラッテンフェンガー”ヲ騙ル、不埒者メガ!!」
「”ラッテンフェンガー”!?」
「精霊の事か!?」
飛鳥は急いで精霊を拾い上げる。
その直後だった。
展示会場の入り口側から、大量の鼠が押し寄せてきた。
「押し通ります。飛鳥さん!」
飛鳥の手を掴み、もう一方の手で空気砲を放ち、
道を切り開く。
彼女の手を掴んだまま、わずかに開いた道を走り抜ける。
「『おとなしく巣に帰りなさい』!!」
祭に手を引かれながら、飛鳥もギフトを使用するが、
「嘘!?効かない!!」
「仕方ないか!!」
そう言い捨てた祭は、飛鳥を胸に抱き
「ちょ!?祭君」
遅い来る鼠へ向け雷を放った。
「きゃああぁぁ!!」
「きゃーーー!!」
稲光と轟音のあとに残ったのは、焼け焦げた鼠の死骸だけだった。
「一先ずは・・・・・・大丈夫でしょうか?」
「ちょっと祭君!緊急事態だから仕方ないにしても、
できるならさっさと倒せばよかったじゃない!!」
「・・・・・・全てではありませんが、展示物を駄目にしてしまいました」
「あ・・・・・・・・・」
祭の言葉通り、会場に飾られていた作品のほとんどが駄目になってしまっている。
「事情を白夜叉に話せば分かってくれるわ」
「・・・・・・そうですね
その精霊も、連れて行きましょうか」
「ええ」
ふたりは展示会場を後にする。
*
「この展示会場か、せっかくの祭典で立て続けに騒動が起きるとは」
展示会場を出た二人の目の前には、炎の龍紋を掲げトカゲの鱗を肌に持つ兵士たちがあふれていた。
「お前たち、何があったか説明してもらうぞ!」
「おそらくは”サラマンドラ”の
「お嬢様に祭じゃねえか?」
「十六夜君!?黒ウサギも!!」
「「いったいどうして?」」
「貴様ら、どうやら知り合いらしいな!!」
先頭に立つ男の怒りは頂点に達した。
なんというか
フラグ回ですねハイ