”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
おふざけ成分マシマシで
甘さ八割増しの吐糖注意!
締めはシリアスと滅茶苦茶
さあよろしいか?よろしいか?
ではでは、どうぞ!!
「随分と派手にやってくれたようじゃの、おんしら」
「ああ。ご要望通り祭りを盛り上げてやったぜ」
「胸を張って言わないでくださいこのお馬鹿様!!!」
「僕たちは、被害者側なんですが」
「一緒にしないで欲しいわね」
騒ぎのため呼ばれたジンと、一緒についてきたリリが申し訳なさそうにしている。
「”ノーネーム”の分際で我々のゲームに騒ぎを持ち込みおって、
厳罰を覚悟するんだな!!」
「これマンドラ。
それを決めるのはおんしらの頭首、サンドラであろ?」
白夜叉が、四人の連行を決めた男、マンドラを窘める。
「”箱庭の貴族”と盟友の方々、此度は”火龍誕生祭”に足を運んでいただきありがとうございます。
貴方達に破壊された建造物は白夜叉様がご厚意で修繕してくださいましたし、
聴取の結果、展示会場での騒動も人的被害を無くしていただいたことも承知しております。
ですので壊れてしまった展示品の件も含め、私からは不問とさせていただきます」
不満そうな顔をするマンドラ。
対して安堵の息を吐くジン、黒ウサギ、祭の三人。
「太っ腹なこった」
「報酬の前金替わりじゃ。
ちょうど良い、昼の続きを話すとしよう」
白夜叉、サンドラがそれぞれ同士を下がらせ、
マンドラと”ノーネーム”の六人が残された。
人が居なくなるとサンドラの表情は砕け、
「ジン、リリ、久しぶり!
コミュニティが襲われたと聞いて心配していた!」
二人に駆け寄った。
「ありがとう、サンドラも元気そうでよかった」
「サンドラちゃん、”階層支配者”就任おめでとうございます!」
「ありがとうリリ。
本当はすぐに会いに行きたかったけど、お父様の事や継承式があって」
「仕方ないよサンドラ」
「そのように気安く呼ぶな、名無しの小僧!!!」
マンドラが剣を抜き、ジンに切りかかる。
その刃を十六夜が止め、祭はベレッタをマンドラに向ける。
「知り合いの挨拶にしちゃ物騒だなあオイ!
止める気なかったろ」
「当たり前だ!サンドラは今や北のマスター。
”名無し”になれなれしく接されては”サラマンドラ”威厳を損なう!」
「マ、マンドラ兄様!彼らはかつての盟友です。
こちらから一方的に盟約を切ってそのような態度を取っては礼節に反します!」
「だそうだマンドラさん。
ジン君が馴れ馴れしかったかもしれないが、それでも僕らのリーダーだ。
刃を向けたあなたと、どちらが無礼ですか?
それとも”サラマンドラ”は党首の言葉も聞かない組織なのですか?」
「双方そこまでじゃ!!」
白夜叉が一喝し、マンドラも祭も武器をしまった。
空気に耐えかねた黒ウサギが白夜叉に尋ねた。
「それで白夜叉様?昼の続きというのは何の事でございますか?」
「そう言えば黒ウサギは知らなんだな。
まあ、まずはこの封書を見るがよい」
白夜叉から封書を渡され、黒ウサギの下に一同が集まる。
「そんな!!
『火龍誕生祭にて、”魔王襲来”の兆しあり』ですって!!?」
「本当に魔王が現れるというの、白夜叉?」
「その封書は”サウザンドアイズ”幹部の一人が予言したものじゃ。
まず間違いないと思ってくれ」
「で依頼ってのは、魔王を討ちとれってことでいいのか」
「いや万が一の時の戦力確保、といったところだの」
「間違いないのに、ですか?」
祭の疑問に、白夜叉は頬をかき応える。
「いい方が悪かったの、魔王の相手はこの最強のフロアマスター白夜叉がする。
おんしたちはサンドラと共に露払いをしてくれればよい」
「保険をうつなら警備を増やすべきでは?
本当の最低限くらいしか見かけませんでしたよ」
「参加者が”主催者権限”持ち込めないように、
白夜叉様が祭典のルールを、ご自身の”主催者権限”で書き換えてくださったのです」
「どういうこと?」
「おんしたちには言ってなかったの」
白夜叉の言葉に応じたかのように、光り輝く羊皮紙が現れる。
『”火龍誕生祭”
・参加に際する諸事項欄
一、一般参加は舞台区画内、自由区画内でコミュニティ間のギフトゲームの開催を禁ず。
二、”主催者権限”を所持する参加者は、祭典のホストに許可なく入ることを禁ず。
三、祭典区画内で参加者の”主催者権限”の使用を禁ず。
四、祭典区画内にある舞台区画・自由区画に参加者以外の侵入を禁ず。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下ギフトゲームを開催します。
”サウザンドアイズ”印
”サラマンドラ”印』
「なるほどな、押さえるところは押さえたわけだ」
「でも抜け道もあるよ」
「「「「え!?」」」」「何じゃと!?」
十六夜の言葉を否定する祭の発言に、驚きの声が上がる。
「屁理屈じみた方法だけど、
主催者側に魔王が潜り込んでいたらアウト。
参加者に対してしかルールが敷かれていない時点で、
申し訳ないけどザルです」
「言われてみりゃ、潜入して内部からってパターンはよくあるな」
「貴様ら、またもや我々を侮辱するか!!」
二人の発言にマンドラが怒声を上げる。
「いま思いついたことを言っただけです。
もっと考えれば他の抜け道も見つかるかもしれない」
「それでも、よく思いつくわね。
性格が悪いとそうなるのかしら?」
「まともじゃない方法を考えることなら、ずっとやってきましたから。
それに間違いなくやってくるなら、どのような条件なら魔王がやってこれるか、
発想を逆転させただけです」
「どっちにしろ、魔王はぶっ飛ばせばいい。
どこかの誰かが偶然魔王を倒しても問題ねえよな!」
不敵に笑い、やる気を見せる十六夜。
「やはり露払いは不服のようじゃな。
良かろう、隙あらば魔王の首を狙ってみよ!」
「白夜叉様、サンドラ様。
ジン=ラッセル以下”ノーネーム”は打倒魔王に協力いたします」
「ジン、頑張って。期待してる」
その後、魔王が現れた際の対応などを取り決めお開きとなった。
*
「お風呂へ駆け足ッ!!今すぐです!
そのような埃まみれのまま歩き回られては敵いません。
衣類は籠へ!洗濯します!替わり?用意します!
いいから早く入りなさい!!
オーナーもです!!」
店先で白夜叉たちを迎えた翠は、帰ってきた一同を風呂場へ追い立てた。
「まったく、半日と経たずにどうしてこれだけ汚せるのでしょうか」
*
「お先戴いてるよ~」
「何だ頼華、ここに居やがったか」
「一応どんなことがあったか、お互い話さないか?」
「ん~。耀の予選に付いて行って、明日から決勝~」
「全然わかんねえよ!」
それぞれ分かれて行動してからの事を話し、
意見しあう。
「そっちの方が面白そうじゃねえか、替われ!」
「やだ~、もう登録も済ませたし無理~」
「耀さんと頼華さんなら期待できますね」
「それより祭のデートを邪魔した鼠ムカつくね~」
「いやデートじゃ、ん?
デート!?あれ!!?」
「今気づいたみたいだぜコイツ」
「そんな経験なかったし仕方ないだろ!」
「黒ウサギ押しつけてお楽しみだったんだ。
詳しく聞かせろ」
「詳しくも何も、ああジン君。
”ノーネーム”最初のホストはハロウィンでよろしく」
「それは構いませんが・・・・・・」
「ジン君の彼女も誘うといいよ」
「だからサンドラは違うと言ってるじゃないですか!」
「サンドラさんとは言ってないよ?」
「やっぱりそうなのか御チビ!」
「いや意外とハーレム作ると見た~!」
祭の緊急回避に利用されたジン。
風呂から上がって逃げ出すこともできない。
*
「三人とも遅かったね」
「白夜叉、先に戴いて申し訳ない」
「よいよい、存分にこの湯を楽しんでくれ。
時に飛鳥、怪我はないか?この湯につかれば大抵の傷は後も残さず治るからの」
「何かあったの」
耀が心配そうに近づいてくる。
「ちょっと鼠の大群に襲われただけよ。
幸い祭君が守ってくれたから怪我は負ってないわ」
「油断ならんぞ!
どれワシが直々に、ってなぜ距離を取る?
黒ウサギ達まで」
「「「「セクハラ対策」」」です」
「つれないのう、おんしら。
じゃが飛鳥よ」
「何かしら?」
「そなたの身体は鎖骨から乳房まで豊かな発育をしているのに乳房から臍のボディラインには一切の崩れが無くされど触れば柔らかな女人の肉であることは間違いなくしかも臀部から腿への素晴らしい脾肉を揉み解せば指と指の間に瑞々しい少女の柔肌が食い込むのは確定的に
スパァーンッ!!
二つの木桶によって、湯船に沈む白夜叉。
「リリ、こっちへ。
変態が映るといけないからな」
「・・・・・・はい」
レティシアがリリを自分のそばへ避難させる。
「ここまで酷いとは思わなかったわ!」
「ええまあ。それより飛鳥さん。
先ほどの祭さんに助けていただいたという話なのですが?」
「え!?・・・・・・・・・/////
ただ私のギフトが通じなくて、かわりに彼が退治しただけ!」
そう答える飛鳥の顔は、先に入っていた耀たちよりも赤くなっている。
「飛鳥の”威光”が無くなった訳ではないのだな?」
「ええギフトカードにちゃんと名前があったわ」
「ならばその鼠どもは、既にほかの者の支配下にあったのじゃろう」
復活した白夜叉がそう答えた。
「もっと強くぶつけるべきでございました」
「最近、ワシへの義理を欠いておらんか黒ウサギ?
何よりこれほどの眼福極まりないお風呂イベント
スパァーン!
を逃しては最強のフロアマスター、白夜叉の名折れ!全人類の夢と希ぼ
スパパァーン!
うとスケベ心の詰まったこのく
スパパァーン!
う間を堪能する事こそ、いうなればこの生の至上命題にしてわが使命の一つである!
更にこの幻想的かつ神秘的な湯煙に交じるラブ臭を前に湯
スパパパパァーン!
に沈むなぞもっての他!
さあ飛鳥!
スパパァーン!
レティシア!
スパパパァーン!
リリよ!
スパパパパパパパパパパパァーーーン!!
存分に語ってもらおうか!!」
結果、風呂桶が尽きるまで耐え抜いた変態の粘り勝ちである。
男湯、女湯、共にこの日最高のカオスが存在していた。
*
先に湯から上がってくつろぐ男性陣。
翠の用意した浴衣に袖を通し、サイズが皆ちょうど良いことに感心し盛り上がっていた。
「いつも掃除してるイメージしかなかったが、
この着心地といい、丈の長さといい、流石”サウザンドアイズ”といった目利きだな」
「結構動いても着くずれしないって何~!
ギフトでもついてんの~?」
「サイズが合って帯をしっかり締めればこんなものです」
「翠さんはとても優秀なんですよ二人とも。
でなければ、”階層支配者”である白夜叉さんのそばで働き続けるなんてできないでしょう?」
「こいつは失礼したぜ、店員さん」
「私以上に優秀な方などいくらでもおります」
「謙遜しちゃって~」
(白夜叉様の手綱を握って、一番ましだった。
なんて理由とてもじゃありませんが話すわけにはいきません)
「あら、そんなところで歓談中?」
そうして騒いでいるうちに暖簾をくぐり、飛鳥たちが上がってきた。
「・・・・・・おお?
コレはなかなかいい眺めだ。そうは思わないかお前ら?」
「はい?」
「黒ウサギやお嬢様の薄い布の上からでも分かる二の腕から乳房にかけての豊かな発育は扇情的だが相対的にスレンダーながらも健康的な素肌の春日部やレティシアの髪から滴る水が鎖骨のラインをスゥッと流れ落ちる様は視線を自然に慎ましい胸の方へと誘導するのは確定的にあ
スパァーン!!
ハリセンと風呂桶のコンビネーションが炸裂する。
その後ろで胸に手を当てて黙り込む少女が二人。
その一人がリボンを外すと、その姿が妖艶なまでに美しく成長する。
「レティシア!そんなのできるなんて狡い!!」
「負けられない戦いなのだ!!」
「その姿、久しぶりじゃのう」
「オイ頼華!お前の彼女すげえじゃねえか!!」
「・・・・・・・・・」
反応の乏しくなった頼華。
その様子を見て不安になったレティシアは尋ねる。
「もしかして背の高い女は嫌いか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・た」
「「「え?」」」
「キッターーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
女神キタ====================!!!!!
すごく綺麗だレティシア!
幼いレティシアも大人なレティシアもとても魅力的だ!!
君という女性に惚れたオレの本能を手放しに誉めよう!!
『可愛さ』『綺麗さ』そして『健気さ』この女性の魅力の最大要因であり
宇宙の真理ともいえる『3K』を兼ね備えたレティシアは正に究極の女性!!
正に女神!!
いや女神ですら生ぬるい!!
誰でもいい彼女の魅力を称える言葉を教えてくれ!!
君に出会えた奇跡こそ、箱庭で得た最高の”ギフト”!!
レティシアという女性の素晴らしさを出会う全ての人に伝えたい!!
同時にすべて胸に秘め独占もしたい!!
君が望むならすべて叶えたい!!
今ならばどんな魔王だろうと敵ではない!!
むしろ君のために魔王にだってなって見せる!!
惚れた!惚れ直した!惚れ続けている!惚れ続ける!!愛し続ける!!
改めてオレと
結婚を前提にお付き合いしてください!!!!
お願いします!!」
ズビシッ!と直角に頭を下げ右手を前に出す頼華。
顔を真っ赤に染めうつむいたレティシアが手を握り返す。
「・・・・・・私なんかで
「レティシアがいい!!」
「・・・・・・不束者だが、よろしくお願いする/////」
「っぃヨッシャアアァァァァァァーーーーー!!!!」
プロポーズから婚約を取り付け、はしゃぎ回る頼華。
胸の内の温かさを堪えきれず涙を見せるレティシア。
情熱的という言葉を凌駕するほどの告白を聞かされた一同は、
当人たちよりも顔を赤くし、二人の幸せを願った。
*
落ち着いたところで、来賓室へと場所をうつした一行は
翌日に、耀と頼華が参加するゲームについて話し始める。
「それでは今より、第一回黒ウサギの審判衣装をエロ可愛くする会議を」
「始めません」
「始めます」
「始めませんっ!せっかくの雰囲気が台無しでございます!」
「気にしなくていいよ~」
「ああ私たちに構わず続けてくれ」
因みにレティシアはいつもの小さい姿に戻り、頼華によりかかっている。
「二人の許しも出たことだ」
「脱線をこれ以上するのは好ましくないな」
「そうです。祭さんの言うとおりです」
「黒ウサギの審判衣装は白夜叉さんに一任ということで決定。
だから話を本筋に戻してください」
「上げて落とされるこのパターン!!」
「よかろう!
衣装はともかく正式に黒ウサギに明日のゲームの審判と進行を依頼したい。
おんしらの騒ぎで”箱庭の貴族”を見れると期待が高まっておってな」
「・・・・・・そういうことでしたら、お受けいたします」
タイミングを見計らっていた耀が尋ねる。
「それで白夜叉。明日戦うコミュニティってどんなの?」
「すまんがそれを教えるのはフェアではない。
せいぜいコミュニティの名前ぐらいだ」
白夜叉が指を鳴らし、羊皮紙が現れる。
その羊皮紙を見て、書かれた名前に飛鳥は驚いた。
「”ウィル・オ・ウィスプ”に”ラッテンフェンガー”!?」
「知ってるの飛鳥?」
耀の問いかけにたじろぐ飛鳥、そこで祭が助け舟を出す。
「街を歩いているときに両コミュニティの展示品を見かけたので、
まさかゲームの決勝にコマを進めているとは思わなかったんですよ」
「え、ええ・・・・・・・・・」
二人はまだ出会った精霊と、鼠に襲われたときに聞いた声の事を話していなかった。
「”ラッテンフェンガー”ねえ、なら出てくるのはハーメルンの笛吹道化か?」
「ハーメルンじゃと!?詳しく話せ小僧!」
何気なく十六夜が口にした言葉に、白夜叉が過剰に反応した。
レティシアと黒ウサギも近しい反応を見せている。
「すまんかったな、おんしらは最近召喚されたばかりじゃったの。
”ハーメルンの笛吹”とある魔王の下部コミュニティだったのじゃ」
「”
強力な召喚士の魔王が率いたコミュニティだ」
「それぞれの魔書にゲーム盤として確立されたルールと、
複数の悪魔が召喚可能という恐ろしい力を秘めていたと聞きます」
「でも、それがどうしてハーメルンに繋がるの?」
「それは我らが御チビ様が懇切丁寧に解説してくれる」
バシンと背を叩かれ注目を浴びたジン。
一度呼吸を整え語り始める。
「”ラッテンフェンガー”はドイツの国の言葉で、鼠取りの男を意味します。
またコレはグリム童話の魔書にある”ハーメルンの笛吹”を指す隠語でもあります。
そしてグリム童話には史実をもとにしたものが多く、
”ハーメルンの笛吹”も実在のハーメルンという町での出来事が元になっているそうです。
____一二八四年 ヨハネとパウロの日 六月二十六日
あらゆる色で着飾った笛吹き男に一三〇人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され丘の近くの処刑場で姿を消した____
「この碑文にある笛吹男は、ネズミを操る道化師であったためこのような隠語が生まれたそうです」
「ネズミを操る道化師、”ラッテンフェンガー”・・・・・・」
「それで?いきなりネズミと戦わされたお二人のご意見は?」
十六夜の尋問に、どうこたえるべきか悩む飛鳥と祭。
祭は嘘は答えなかった。
「大会を勝ち進んだ”ラッテンフェンガー”と僕たちを襲ったネズミの親玉は別だと思う」
「どうしてそう思う」
「僕たちが襲われた会場にコミュニティ”ラッテンフェンガー”の作品がありました。
しかしその作品に刻まれていた”旗印”からは”ネズミを操る道化師”というイメージは受けませんでしたから」
飛鳥が今何を考えているかはわからない。
彼女は自分の膝の上で眠る精霊をただ見つめているようだった。
「可能性として、警戒しておく。
ぐらいでちょうどいいかと。
疑心暗鬼になって実力が出せなくなるのは避けるべきですからね」
「ふむ・・・・・・・・・。
念のため監視は付けておくとしよう。
情報提供感謝するぞ!
おんしたちに部屋を用意してある、明日に備えて休むとよい」
「ありがとうございます」
「縁側でしばらく寛がせてもらってもよろしいですか?」
「ああ、構わんぞ」
祭を残し、他のメンバーを翠が案内し退室していった。
*
「祭、全部話せ」
「十六夜か、全部とは?」
縁側で星空を眺めていた祭の下へ十六夜がやってきた。
「あえて話していないことを含めた全部だ」
「・・・・・・・・・それは良いけど、
そんなに僕は分かりやすかった?」
「いや。お前は嘘で騙すタイプじゃない。
重要なことを話さず、会話の方向をそらして感違いさせるタイプだろ」
十六夜が祭の隣に腰を下ろす。
「そこまで見破られてると、今後やりづらいな」
「オイオイ、コミュニティの同士にやりづらいことをする気か!?」
「さあどうかな?」
冗談のスパークリングもこれでおしまい。
「展示会場で僕と飛鳥さんは”ラッテンフェンガー”に属する精霊と出会い、
その直後にネズミに襲われ、勢いで連れてきてしまった」
「そいつはまた」
「それから、襲われるときに声を聴いた。
『ようやく見つけた。ラッテンフェンガーを騙る不埒者めが』とね」
「魔王との関連を否定した本当の理由はコッチだな」
「ああ、でも十六夜に見破られたとおり嘘は言ってないよ」
「そんなのは心底どうだっていい。
その精霊はどうする気だ」
「今は飛鳥さんの下にいる。
僕にはどうこうしようなんて気はない」
「お嬢様に丸投げかよ」
「結果的には。飛鳥さんの意見を尊重しようとは思っています」
「もう隠し事してるやつがよくいうぜ!」
「はははははは。返す言葉もないよ」
「ずいぶんとお嬢様の事買ってるみたいじゃねえか」
「惹かれているというか、憧れているというか」
「マジでか?」
「マジかな。僕と違って飛鳥さんの真っ直ぐな生き様が眩しいくらいでね。
気が付いたら彼女を目で追ってるよ」
「直接言ってやれよ、喜ぶだろうぜ」
「んー、どうかな?
それに僕のは恋愛感情っていう感じじゃないんだよ」
「ホント面倒くせえヤツ」
「そんな面倒くせえヤツに、『付き合ってください』なんて言われたら
飛鳥さんが可哀そうだ」
「お前がそれでいいんなら口出しする事でもないな」
「助かるよ」
緩んだ空気を締めるように十六夜が声色を落とす。
「魔王に狙われた場合、祭はお嬢様と春日部を守れ」
「黒ウサギは単独でも心配ない。
ジン君とリリちゃんには頼華とレティシアを回してある。
ってところか?」
「話が早くて助かる」
「いや。
リリは素直に避難するだろうけどジンや彼女たちは戦おうとするだろう」
「それをお前が止めろ。
言いくるめるのは得意だろ?」
「なら十六夜は素直に僕の言うことを聞くか?」
「まずねえな」
「彼女たちも似たようなものだ。
時間をかけて言いくるめるより、戦力として動いてもらう方がいい。
なんにせよ全ては魔王しだい」
「作戦を立てられないのは不満か?」
「即興でなんとかするのがギフトゲームの醍醐味だろ?」
「違えねぇ!」
「十六夜!」
「何だ?」
祭は取り込んでいた酒瓶と盃を出し、
酒をなみなみ注ぐ。
「高いものじゃないが勘弁してくれ。
お前の強さは信頼している。
今はサポートが精いっぱいだが必ず追いついて見せる。
それまでは先頭を頼む」
祭が盃を渡す。
「単純な強さじゃ俺の足元にも及ばねえ。
だがお前は期待できる。
待つ気はねえからさっさと昇ってこい。
先頭を譲る気はねえぜ?」
盃を受け取り腕を組み交わす。
「「よろしくな!兄弟!!」」
かなりぶち込みました。
『可愛さ』『綺麗さ』『健気さ』の『3K』はマジで広めたい!
あと白夜叉に『ラブ臭感知』のギフトを付けてみました
ついでに感想なんかもおまちしてまーす