”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

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衝突

『長らくお待たせいたしました!

”火龍誕生祭”のメインギフトゲーム・“造物主の決闘”の決勝を始めたいと思います!

進行及び審判は“サウザンドアイズ”の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお勤めさせていただきます♪』

 

「うおおおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああああああああ!!」

「黒ウサギいいいいいいいい!お前に会うために此処まで来たぞおおおおおお!!」

「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

決勝の開会宣言と共に上がった歓声はとても残念だった。

 

「そうだ白夜叉。

黒ウサギのスカートが、絶対に見えそうで見えない鉄壁スカートってのはどういう了見だ!」

 

「それはワシが持っておった芸術観、宇宙の神秘を体現するもの。

自らのうちに眠る、想像力という名の無数の宇宙こそ真の芸術!!

と思っておったのじゃが、少し思うところがあっての。

近々改善しようと思っておる」

 

「お前ほどの変態(ヤツ)が考えを改めるなんてな。

何があった?」

 

「昨晩の頼華の言葉よ。

『可愛さ』『綺麗さ』『健気さ』の『3k』。

なるほど宇宙の真理と呼んで差支えない、真素晴らしい価値観じゃった」

 

「ああ、それは俺ももろ手を挙げて同意するぜ」

 

「なればワシはとんでもないことをしてしまっていたと気づかされた。

もしもじゃ、黒ウサギのスカートの中が覗けるののじゃとしたら黒ウサギはどうする?」

 

「そりゃ見られないようにスカートを・・・・・・・・・!!」

 

「気づいたか。

そう。スカートを押さえ、見られていないかと頬を紅潮させ、

あまつさえ『まさか見えておりませんよね?』などと聞いて来ようものなら・・・・

ムハーーーーーー!

考えただけで興奮してきたわああああぁぁぁ!!!」

 

「基本的に『綺麗』な容姿の黒ウサギが見せる恥じらい。

そいつは間違いなく『可愛い』だろうな。

しかもそれを見えて当たり前ともいえるあの超絶ミニを『健気』に押さえながらか」

 

 

「「頼華(アイツ)の正体は神か!!!!」」

 

二人して興奮のるつぼにいる十六夜と白夜叉。

 

マンドラは、サンドラの両耳を塞いでいる。

 

「マンドラ兄様?白夜叉様はどんな楽しいお話をされているのです?」

 

屈託のない笑みで問うサンドラ。

 

(許せサンドラ。おまえの耳を腐らせるわけにはいかんのだ)

 

「遅くなりました」

 

「どこに行ってたの!私一人不快な思いをしたじゃない!!」

 

「何のことか分からないんですが・・・」

 

飛鳥が指差した先に、

熱く友情を交わしたのであろう十六夜と白夜叉がいた。

 

「僕は管轄外です」

 

苦笑いになってしまう祭。

 

「ホントにどこに行っていたの?」

 

「僕とジン君で頼華達にアドバイスを少し」

 

「私も下から応援すればよかったかしら」

 

ジンとレティシアは三毛猫を抱え、舞台脇の登場通路から応援するらしい。

 

「せっかくいい席を用意してくださったんです。

ここから楽しみましょう」

 

「・・・・・・そうね」

 

飛鳥の機嫌はまだ直らないようだ。

 

 

 

 

『それでは、入場していただきましょう!

第一ゲームのプレイヤー・”ノーネーム”の春日部耀と、

”ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスです!』

 

「サポーターの名前も呼んでよ~」

 

頼華が抗議するがその声は歓声にかき消され黒ウサギに届かない。

それをただ一人聞こえた耀は口元を隠しクスクス笑っている。

 

二人が舞台への道を歩いていると、すぐ脇を高速の火の玉が通過した。

 

「YAッFUFUFUFUUUUuuuu!!」

 

「わっ・・・・・・・!!」

「んなっ・・・!!」

 

突然のことに飛びのく二人。

火の玉を見るとロリータファッションのツインテール少女が腰かけている。

 

「あっははははははははは!

見て見て見たぁ、ジャック?

”ノーネーム”の連中がビビッて逃げちゃったよ!

ふふふ。さあ、素敵に不敵に面白おかしく笑ってやろうぜ!」

 

「YAッFUFUFUUUuuuuu!!」

 

彼女の言葉につられて観客席からも笑い声がおこる。

だがそんな笑い声を二人は気にも留めず、

 

「その火の玉ってもしかして」

 

「コイツは我らがウィル・オ・ウィスプの名物幽鬼!

ジャック・オー・ランタンさ!」

 

「YAッFUUUUUUuuuuuu!!」

 

火の玉が自らの炎を振り払い、真の姿を見せる。

燃え盛るランプを片手に揺らめく黒衣に実体はなく、

その上に据えられたカボチャ頭が不気味に笑う。

 

 

『せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!

あと、コール前の挑発行為は控えるように』

 

「はいは~い」

 

小ばかにしたような態度と仕種だった。

 

 

 

 

「祭君!祭君!本当にいたわ!

ジャックよ!ジャック・オー・ランタン!!」

 

「やっぱり出てきましたか。コレはやっかいです」

 

「なんだ祭、知り合いか?」

 

「直接見るのは初めてです。ただ知識としてはいろいろと。

”生と死の狭間に住まう者”

不死の先輩ですからね」

 

「白夜叉、春日部さんたちは大丈夫なの?」

 

「よくて8:2で負けるじゃろ。

相手は六桁。格上のコミュニティじゃしのう」

 

「そんな!」

 

「その対策にいろいろ吹き込みましたから

6:4くらいまでは行けると思います」

 

「それでも不利なの?」

 

「まあゲームルールが不確定だとそう判断せざるをえないんです」

 

『それでは第一ゲームの開幕前に、白夜叉様から舞台に関してご説明があります。

ギャラリーの皆様はどうかご清聴の程を、よろしくお願いします』

 

「おお出番じゃな!」

 

白夜叉が立ち上がり観覧席の一番前へ移動すると歓声が静まり静寂が訪れる。

 

「うむ。協力感謝するぞ。

さて、ゲームの舞台についてだが・・・・・・まずは手元の招待状を見てほしい。

其処にナンバーが書いておる。

そのナンバーが三三四五番になっておる者はおるかの?

おるのであれば招待状を掲げ、コミュニティの名を大きな声で言ってくれ」

 

「ここに!!

”アンダーウッド”のコミュニティが三三四五番の招待状を持っています!!」

 

「おめでとう樹霊(コダマ)の童よ!

あとで粗品でも送らせてもらうぞ。

皆の者!たった今ゲームの舞台が決定した。

それではお手を拝借!」

 

白夜叉に倣い、観客たちも手を前にし

会場が柏手を打った。

 

 

 

 

『ギフトゲーム名 ”アンダーウッドの迷路”

 

 

・勝利条件

 

  一、プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。

  二、対戦プレイヤーのギフトを破壊。

  三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

 

 

・敗北条件

 

  一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。

  二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。         』

 

 

「”審判権限”の名のもとに、以上が両者不可侵であることを御旗の下契ります。

お二人とも、どうか誇りある戦いを。

それではゲームの開始を宣言します」

 

開始直後に耀が尋ねる。

 

「あなたが”ウィル・オ・ウィスプ”のリーダー?」

 

「え?なに!そう見えちゃう♪

そうだったらよかったんだけど、残念ながらアーシャ様は」

 

「んなわけないでしょ~

行こ~?」

 

「うん」

 

耀と頼華はアーシャを無視して迷路を進む。

 

「・・・・・・やってやろうじゃん!

人間狩りだ!ジャック!!」

 

二人の挑発に乗りまんまと激昂したアーシャは、二人を追跡しながら炎をまき散らす。

 

「頼華、壁お願い」

 

「あいよ~」

 

振り返りアーシャ達の前にいくつもの色つきの(・・・・・)立体を出現させる。

 

「そんなもんにぶつかるとでもおもっ

バガンっ!!

 

ジャックに乗るアーシャが立体を躱した先で見えない壁にぶつかった。

その反動でアーシャはジャックから転がり落ちた。

 

「コレはいけませんねアーシャ」

 

「ジャックさん・・・・・・

舐めてかかっちゃいけなかった。

後はお願い」

 

「まずは少年のギフトを一度無効化しないと」

 

突然頼華の目の前にジャックが現れる。

 

「「え!?」」

 

「失礼、坊や!」

 

ジャックの腕が頼華の頭を通過した。

 

「あなた、とても厄介なギフトをお持ちですね」

 

「『離脱禁止』先行ってていいよ~」

 

「ありがとう」

 

「アーシャ!」

 

「分かってるジャックさん!」

 

頼華とジャックが睨みあう横をアーシャが駆けぬける。

 

「今の言葉、私を閉じ込めたと?」

 

「一応ね~?

さっき急に出てきたのまで有効かは分かんないけど~」

 

「なら試して見ましょう」

 

ジャックがランプから出した炎が飛んでゆき、

その炎からジャックが出現した。

 

「もうちょっと遊んでよ~?」

 

「そう言うわけにいかないですが、

・・・・・・今度はどんな制限をしたんですか?」

 

「いろいろ試せば分かるんじゃないかな~」

 

すぐさまジャックは炎を利用した境界の移動ができないことに気付く。

 

「発火禁止、といったところですか?」

 

「ピンポンピンポン!大正解~!!

正解したからって追いかけさせないけどね~」

 

「貴方を倒すよりも先に決着がつくでしょうし、

手の内を隠しておくことにしましょう」

 

「バトルメインだとやばかった~!

ぶっちゃけガチのジャック・オー・ランタンは倒せないって~」

 

「おや気づいていたんですか?」

 

「オレの同士は優秀なんだよ~?」

 

「ヤホホホホホ!

それはぜひともお会いしたいものですね」

 

「あんたのファンもいるみたいだしぜひ会ってよ。

後ジャックって呼んでいい~?」

 

「構いませんよ」

 

「ありがとジャック!

それでさ~

 

『勝者!”ノーネーム”春日部耀!!』

 

黒ウサギのコールと共に再び舞台が戻る。

 

「終わっちゃたね~、あとで~」

 

「ええ、分かりました」

 

「耀、お疲れ~」

 

「そんなに疲れてないよ。

頼華のおかげ」

 

「耀の機動力在ってでしょ~?」

 

ふたりが謙遜しあっていると、アーシャが声をかけてくる。

 

「おいオマエ!名前は!出身外門は!!」

 

「・・・・・・春日部耀。

二一○五三八○外門」

 

「もうちょい愛想よくしない~?」

 

「私は六七八九○○外門のアーシャ=イグニファトゥスだ!

次は絶対私が勝つから覚悟しとけ!この”名無し”!!」

 

そう言い残してアーシャは舞台から去って行った。

 

「あの子は同世代の子に負けたことが無くて、

今回の敗北から成長してくれることを願うのみです」

 

「ゲームの内容次第で私たちに有利だっただけ。

いつでも相手になるって伝えて」

 

「ありがとうございます。

また後程お尋ねします」

 

ヤホホホと笑い声を上げ、アーシャの後を追って行った。

 

「は~~~~~~~~~~~~~」

 

「ホントにありがとう頼華」

 

「ジャックが先に耀を狙ってたらやばかったね~」

 

「上手く引き付けてくれて助かった」

 

「あのアーシャって子、油断とか舐めプしてなきゃ意外と強いよ。

まじでラッキー勝ちだった~~~~」

 

まだ舞台上だということを忘れて座り込む頼華。

 

『”ノーネーム”の二名は速やかに退場してください!』

 

「黒ウサギのケチ~」

 

『そういう問題ではございません!!』

 

”箱庭の貴族”のツッコミが新鮮だったのか観客は盛り上がった。

 

 

 

 

「展開の速いゲームでしたが見ごたえのあるゲームでした」

 

「うむ、ギフトだけでなく戦略の重要性を再認識させられる内容であったな」

 

「頼華のギフトは僕たちの中で一番応用の効くギフトですから」

 

「レースだったからこその勝利だ。

春日部も複雑だろうな」

 

「それでも春日部さんたちの勝利に変わりはないわ」

 

「ああ・・・・・・・・・・・・・・・・白夜叉」

 

何気なく空を見た十六夜。

その見上げた先から降り注ぐものがあった。

 

「アレは何だ」

 

「ん?!

黒く輝く”契約書類”!!・・・・・・まさか?!」

 

 

 

 

『ギフトゲーム ”The PIED PIPER of HAMELIM”

 

 

プレイヤー一覧

 

  ・現時点で三九九九九九九外門、四〇〇〇〇〇〇外門、境界壁の舞台区画に存在する参加者、主催者の全コミュニティ

 

 

  ・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

    ・太陽の運行者、星霊 白夜叉

 

 

  ・ホストプレイヤー側 勝利条件

    ・全プレイヤーの屈服、及び殺害

 

  

  ・プレイヤー側 勝利条件

    一、ゲームマスターの打倒

    二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ

 

 

宣誓

 

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

"グリムグリモワール・ハーメルン"印』

 

 

 

一つの叫び声と共に混乱が生じた。

 

 

「魔王が・・・・・・魔王が現れたぞオオオォォォォォォ!!」

 

 

パニックに陥る観衆。

それを押さえる間もなく異変が起こる。

 

「な、何っ!?」

 

「白夜叉様!?」

 

突如、白夜叉の周りを黒い膜が覆い、そこから発生した黒き風がそこにいた者達をはじき出した。

 

「きゃ・・・・・・!」

 

「チッ!お嬢様!!」

 

近くに飛ばされた十六夜と飛鳥。

十六夜が飛鳥を受け止め舞台に降ろす。

 

「ありがとう十六夜君」

 

「今はいい、祭は”サラマンドラ”側か」

 

「お二人とも大丈夫ですか!」

 

審判をしていた黒ウサギが最初に、

続いて耀と頼華、舞台脇からジンとレティシアが駆けつける。

 

「ひとまずここにいる全員無事だな。

黒ウサギ、魔王が現れた。でいいんだな?」

 

「YES。やはり何らかの抜け道を使われたのでしょう」

 

「これからどうすればいい?」

 

「俺とレティシアで魔王をけん制。

その間に黒ウサギは”サラマンドラ”の連中のところへ。

恐らく祭もそっちだ。

御チビ達は白夜叉のところに戻ってくれ」

 

「そんなに多くで行く必要は無いわ」

 

「ゲームマスターほったらかしはまずいでしょ~」

 

「そう言うことだ。白夜叉に異常があったってのがどう影響するか分からない」

 

「お待ちください。微力ながら”ウィル・オ・ウィスプ”も協力します。

いいですねアーシャ」

 

「う、うん。頑張る」

 

「ではお二人は黒ウサギと共に」

 

「祭を見つけたら白夜叉の方に合流させてくれ」

 

「分かりました」

 

それぞれがゲーム攻略のため別の方向へと走り出した。

 

 

 

 

「サンドラさん、無事ですか?マンドラさんも」

 

「ええ私は問題ありません」

 

「本当に魔王が襲ってくるとは!!」

 

「すぐに白夜叉様の救出を!!」

 

「いえそれは後で、”契約書類”によれば白夜叉さんはまだ参加できません」

 

サンドラとマンドラが慌てて”契約書類”に目を通す。

すると先ほどにはなかった

『※ゲーム参加諸事情※

・現在、プレイヤー側ゲームマスターの参戦条件がクリアされていません(・・・・・・・・・・・・・・・)

ゲームマスターの参戦を望む場合、参戦条件をクリアしてください     』

という記述が増えていた。

 

「そんな!?」

 

「白夜叉さんの下には僕の同士が向かっているはずです。

サンドラさん、フロアマスターには魔王の下に向かってもらいたい。

最高戦力の一角に足止めをしてもらわねば、参加者が殺されかねません」

 

「!!

わかりました」

 

「取り決めとは違いますがマンドラさんは”サラマンドラ”全体の指揮を。

まずは非戦闘員の避難と兵の供給を」

 

「仕方あるまい」

 

「貴方は?」

 

「僕は白夜叉さんの方へ向かい、できる限りの情報を聞きます」

 

「分かりました。マンドラ兄様、参加者たちを頼みます」

 

言うや否や高速でサンドラは飛翔した。

 

「待て、一つ聞かせろ。

なぜおまえはそこまで冷静でいられる?

魔王と対峙するのは初めてだろう」

 

淋しそうな顔をし祭は答える。

 

「死が近づくと落ち着けるんです。

それだけの危険がこのゲームにはあります。

急ぎましょう」

 

「分かった」

 

二人も駆け出す。

 

 

 

 

境界壁から降りてきた魔王一行。

その中の黒い軍服を着た男を十六夜は境界壁に蹴りつけた。

 

「がっはぁ!!?」

 

「初めまして?一曲恵んでくれよ魔王様!」

 

「先に行ってるわよヴェーザー」

 

斑模様のワンピースを着た少女が、白い巨兵を連れ降りていく。

 

「情けないわね、ご要望にお応えして」

 

白い装束の女がフルートに口を添え奏で始める。

 

「魔笛にふさわしい音色だ。お前が”ネズミ取り道化(ラッテンフェンガー)”か?」

 

「私の音色が効かない!?」

 

比較的近くで逃げ遅れていた観客たちが倒れていく中、

十六夜は涼しげな顔で音色を楽しんでいた。

 

「ラッテン、お前はマスターを追え。流石に皆殺しをさせるわけにはいかん」

 

一瞬不満げな顔をしたラッテンは抗議もなく降りてゆく。

ヴェーザーはその様子を見送る十六夜を睨んでいた。

 

「ずいぶん余裕だな。なぜ見逃した」

 

「ヴェーザー、ラッテン。向こうの風を吐き出す巨兵と斑ロリ。

クリア条件が案外簡単そうなんで、各個撃破して行けば楽だろ?

ヴェーザー河の化身様!」

 

「名前だけで俺の正体を当てるとはな。

そう簡単にクリアさせると思ってんのか?」

 

「思っちゃいないがクリアさせてもらうぜ!」

 

「ハッ!!やってみろ餓鬼!!」

 

拳交わり、激戦始まる。

 

 

_____________________________

 

 

(巨兵の方はシュトロムと言っていた。

嵐を形骸化した悪魔。

なら向こうの斑模様の女は・・・・・・)

 

レティシアは白い巨兵と斑模様の少女を相手取り、情報分析を行っていた。

彼女はかつて”ノーネーム”を襲った魔王に敗れはしたものの、

それ以前の戦いにおける経験値は、現”ノーネーム”中最高。

 

とりわけ”契約書類”を読み解く事。

そして相手や相手の使うギフトの名前が攻略のカギであることを知っている。

 

「純血のヴァンパイアといってもこの程度?期待外れ」

 

「ずいぶんと言ってくれる」

 

実際に少女の言うとおりレティシアは押されている。

ランスを構え、戦いを挑むもそれぞれが放つ暴風と黒い風に阻まれダメージを与えられない。

 

「流石はゲームマスターの魔王といったところだ。

だがお前を倒せばゲームクリアだろう?」

 

「あら、どうしてそう思うのかしら?」

 

「白夜叉に起きたという異変と、その直後の黒い風。

よほどのルーキーでなければ簡単にわかること」

 

「そうね、正解よ。

ご褒美にあなたを最初の犠牲者にしてあげるわ」

 

「だが断る!」

 

一閃

レティシアがランスを振りかぶり魔王に一撃を打ち込む。

 

「やったか・・・・・・!?」

 

「やってないわ。

力をかくしていた訳ね。気に入ったわ」

 

ゾクリとレティシアを悪寒が襲った。

慌てて飛び退くもわずかに遅く少女の袖から零れる不気味な風に絡め捕られる。

意志を持つかのような不気味な風は、徐々にレティシアの意識をむしばんでゆく。

 

「私の手ごまにしてあげる」

 

少女が決着を付けようと風を増やしたとき、閃熱がそれを断ち切った。

 

「無事ですか”箱庭の騎士”。

私が相手です。ハーメルンの魔王!」

 

「あまり遅いから逃げたのかと思っていたわ。

北のマスターさん。

あと私のギフトネームの正式名称は”黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)よ」

 

「二十四代目”火龍”サンドラ=ドルトレイク」

 

「自己紹介どうも、せっかくだけどあなたの相手はできないわ」

 

「あまり舐めていると」

 

「そうじゃないわ」

 

何かを予感していた魔王。

その予感通り、雷鳴が都市中に響き渡る。

 

『”審判権限(ジャッジマスター)”の発動が受理されました。

これよりギフトゲーム"The PIED PIPER of HAMELIN"は一時中断し、

審議決議を執り行います!

プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中断し、

速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!

繰り返します________』

 

 

「またあとで会いましょう」

 

魔王の少女は笑みを残し二人の下を去った。

 

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