”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
感謝感激でございます!!
ちょっとオリジナル要素増やすので遅くなるかも
「・・・・・・・・ぅ。
・・・・・・ううぅん」
徐々に意識がはっきりしてくる。
「・・・・あれ?
・・・・・・・・・・え~~と~~」
ガバッと起き上がる頼華。
周りを見渡し、暗闇ではないことに気付く。
「どっかに埋まっちゃった~?
どっち~?」
勘だけを頼りに進み続けるも一向に出られる気配がない。
「え~~~~?
ホントにどうしよ。
露出のすんごいお姉ちゃんにふっとばされて~。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マジでどこだココ?」
”透過”ギフトによって壁を通り抜け、そのまま地面に沈んでしまったことに気付いていない。
頼華がそのことに気づき、地表に出るのは半日が過ぎてから。
*
大祭本陣営、大会議室
第二の勝利条件『偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ』の解読のため、
サンドラや十六夜をはじめとするプレイヤー達が集まっていた。
「つまりだハーメルンの碑文に記された百三十人の子供たちの死の要因が、
奴ら、ペスト、ラッテン、ヴェーザー、シュトロムのそれぞれが象徴する、
黒死病、神隠し、地災、暴風のどれであるかを解明する必要がある」
「仮にわかったとして、砕き、掲げるとは何のことか分からなければ意味はない」
「本気で言ってるわけじゃねえよな?
それらが描かれたステンドグラスが祭りの会場中で展示されてんだろ」
「ではそのステンドグラスが砕き、掲げる対象?」
「はい、そして恐らく魔王たちが侵入した方法もこのステンドグラスではないかと。
出品物としてなら、白夜叉様の作られたルールにも抵触せず侵入できます」
ジンと十六夜が現在分かっていること。そしてそこから推察できるすべてを提供する。
されども真実の伝承を特定する鍵は見つからない。
いろいろな意見が上がるものの、決定力に欠けるものばかり。
「ジン君、今どこまで進んでる?」
遅れてやってきた祭が進捗を問う。
「祭さん大丈夫なんですか?」
「僕の事はいい」
「真実の伝承の特定ができず、手詰まりだ」
「そうか、
・・・・・・・・・・・サンドラさん。
信頼できるごく少数以外の人払いをお願いします」
「祭さん、でしたね。
理由をお聞かせください」
「サンドラ様、僕からもお願いします。
言えないからこそ人払いが必要なのだと思います」
「そのようなこと簡単にできるわけなかろう」
「マンドラさん、僕の血を先ほど提供してきました。
僕の血には黒死病をはじめとした多くの抗体があります。
それをもとに、発症者の症状を抑える薬を作ることができます。
対価の先払いとしてこれでは足りませんか?」
「マンドラ兄様、彼らには一度既に助けられています。
ご協力感謝します」
サンドラの指示の下、退出が促され、審議決議に参加した五名と祭のみが残る。
「それではどういったご用件でしょうか?」
「僕の持つジョーカーの一つを提供しようと思います」
そういって祭は一つのアンプル、薬剤の入れられたガラスの容器をテーブルに置いた。
「これは?」
「黒死病の完全な特効薬です」
「「「「!!」」」」
祭りの発言に一斉に驚きを見せる。
「このアンプル一つで末期症状の成人一人を救う力があります」
「へえ、そりゃ人に聞かれたくはねえよな」
どれだけ保証があったとしても、特効薬以上の安全は無い。
心弱きものは欲に負け、奪い合うであろう。
「なるほど、この取り扱いについてですか・・・」
この特効薬を見て思案を続けていたジンが口を開く。
「いえサンドラ様、このアンプルを複製できませんか?」
「俺たちはまだ、他のコミュニティに繋がりがねえ。
だが”サラマンドラ”は違うだろ。この大祭のホストでもあるわけだしな」
”複製”のギフトの持ち主。あるいはその類のギフトを持ったもの、コミュニティ。
その心当たりはないか。
その問いに対する答えは芳しくないものだった。
「残念ながら、私たちの知るものの中に”複製”のギフトの持ち主はおりません」
「そうですか」
「ならばコレは、主力が黒死病に犯された時に使うとしよう」
それに待ったを祭がかける。
「それでも構いませんが、ペストに撃ち込んでみませんか?」
「「「「「!!!」」」」」
ジンの発言以上の、十六夜さえ驚愕する。
「あくまで病原菌ペストに対する特効薬。
魔王ペストにどれだけの効果があるかは分かりません。
正直、ギャンブルですらない賭けです。
これをどう使うか。その相談にやってきました」
あまりにも、とっぴもない策。
下手をすれば魔王を一撃で倒しうる可能性。
安全策として、主力の復活。
魅力的すぎる提案。
即断できるものではない。
「この件は保留とします。
二日後に、この場の全員の意見をもとに決定したいと思います」
「「分かりました」」
「それまでの間は祭さんに一度お返しし、保管をお願いします」
「承りました。黒ウサギを少しお借りしてもよろしいですか?」
「へ?黒ウサギですか?」
間の抜けた声で返事する黒ウサギ。
「分かりました。黒ウサギは後程戻ってください」
「YES。かしこまりました」
「あとそれから、闘技場の使用許可もお願いします」
「?はい。兄様」
「付いてこい」
マンドラが二人を引き連れ、会議室を退室する。
「ジンのコミュニティってどうなってるの?」
「毎日大変だよ」
「御チビ様はそんな風に思ってたのか。
こいつは皆に報告しないとな!」
「なんでそうなるんですか!!」
「フフッ。ちょっと不謹慎だけど、
今のジンはすっごく楽しそう」
「全然楽しくなんかないから!」
「鬼の、いや
兄の居ぬ間に何とやらってか?」
「それ兄様の前では絶対に言わないでくださいね。
以前同志がふざけて言ったのを聞いていて、
それはもう修羅のようにお怒りになってしまったことがあるんです」
「そいつは気を付けないとなあ?御チビ様」
「止めてくださいね!?絶対に言わないでくださいね!!」
「残念御チビ、それ逆効果だぜ」
ヤハハと笑いからかう十六夜と、青くなっていくジン。
その様子を見ていたサンドラは少しだけ心が軽くなった。
*
マンドラに連れられ、闘技場までやってきた黒ウサギと祭。
そこにはジャックとアーシャが待っていた。
「あれ?あなた方は”ウィル・オ・ウィスプ”の」
「ジャック・オー・ランタンです。アーシャも」
「アーシャ=イグニファトゥスだ」
「初めまして、”ノーネーム”の仲邑祭です。
ご協力感謝します」
「どういうことだ?」
マンドラの問いにジャックとアーシャも続く。
「我々も協力は承諾しましたが何をするかまでは聞いていないのです」
「てか闘技場って、今から修行だとか言うんじゃねえだろうな」
「そんな感じです。
黒ウサギには中断時の雷を、
”ウィル・オ・ウィスプ”のお二人には炎を僕に叩き込んでもらいたい」
「何言ってるんですか祭さん!!
血を抜いて歩き回るのも本来駄目なんですよ!!」
「それでも僕はやらなければならない」
「だとしても貴方の修行にもっといい方法があるのでは?
こう言ってはなんですが、私たちの炎も”箱庭の貴族”殿の雷も、
簡単にあなたを死に至らしめるくらいの力があるはずですよ?」
祭はそれでもと頭を下げる。
「そのくらいでなければ魔王とのゲームで戦う攻撃力には届かない。
それに僕は”不死”のギフトがあります。
黒ウサギも知っているでしょう、僕が雷を取り込めることを」
「ああ、そういうことでしたか」
このやり取りに疑問を持ったアーシャが尋ねる。
「雷を取り込む?何のことだよ?」
「百聞は一見にしかず、ですね」
実演のため祭は両手から雷を放ち、闘技場の壁を抉った。
「僕には”不死”の他に触れた対象を取り込めるギフトがあるんです」
「それで私たちの炎が欲しいと?」
「はい。お願いします」
「理由をお聞きしても?」
「・・・・・・・・・同志が敵に捕らわれました。
貴方に会うことをとても楽しみにしていました。
今度はちゃんと会わせてあげたい。
そのためにできる全て、思いつくすべてをやらなければ気がすみません」
「今度は・・・・・・その同志はどんな方ですか?」
「紅いドレスを着た、飛鳥という少女です。
一度会ったと聞きました」
「「!!」」
「僕に生きる意味をくれた大切な女性です」
その瞳に宿る意志はとても情熱的に、そして静かに燃えていた。
「アーシャ、準備なさい。
”サラマンドラ”の方も下がっていてください」
「マンドラ=ドルトレイクだ。見届けさせてもらう。
”箱庭の貴族”よ、同志の頼みを聞いてやれ!」
「はあ、祭さんも言っても無駄な問題児様でした。
終わったら、しっかりと休んでいただきますよ」
「前向きに検討して善処したいと思っています」
中央に祭が立ち、ジャックとアーシャ、黒ウサギがそれを挟む。
「全力で来い!!」
唸る轟炎、迸る稲妻が祭を襲った。
*
「あすかっ!あすかっ・・・・・・・!」
精霊の声を聴き、飛鳥は目を覚ます。
「・・・・・・大丈夫よ泣かないで」
痛む体に喝を入れ無理やり起き上がる。
「確か・・・あの女に・・・・・・・蹴り飛ばされて!!」
慌てて周りを見渡すも、精霊の姿以外に見当たるものはない。
「あすかっ!こっちー」
精霊が指し示す方向に進むとそこには厳かな作りの門がそびえたっていた。
その門には昨日、展示会場で見かけた紅い巨兵と同じ旗印が刻まれている。
「ここって?」
「らってんふぇんがー!」
「貴女のコミュニティなの?」
「そおー」
不安は感じなかったため門の前まで進む。
すると一枚の羊皮紙が現れた。
『ギフトゲーム名 ”奇跡の担い手”
・プレイヤー一覧 久遠飛鳥
・クリア条件 神珍鉄製
・敗北条件 プレイヤー側が上記のクリア条件を満たせなくなった場合。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗の下” ”はギフトゲームに参加します。
”ラッテンフェンガー”印』
「これは”契約書類”?」
「あすか」
「わたしたちから あなたにおくりもの どうかうけとってほしい
そして偽りの童話________”ラッテンフェンガー”に終止符を」
周りのあちこちから声が聞こえ反響する。
「貴方達が”ラッテンフェンンガー”のコミュニティなの?」
「そう そしてハーメルンのまちで ぎせいになった 130にんのみたま
てんさいによって いのちをおとしたの」
「この子で私を試したの?」
「いいえ まったくのぐうぜん でも さいこうのきせき
ぼくたちのいしは そのこにはかんけいない」
「あなたにおしえます ぼくたちの ほんとうのものがたり
にせもののハーメルン そのひみつ」
「そしてあなたに プレゼント わたしたちの
たからもの いちばんのギフト さいこうけっさくを」
「ずっとまってた ”きせきのにないて”
そのこがつれてきた あなたがそう」
「でもさいごは あなたがきめてね
わたしたちのゲーム
受けてくれますか?」
「勿論よ!それからひとつ、いいかしら?」
「なんでしょう?」
「私は、
私たちはこれからもっともっと戦っていかなくちゃいけないの。
だからもっと私に力を頂戴!!」
「貴女が望むなら、創りましょう」
「あなたの望む
*
「まったくなんなのよ、もう!
赤い子はいなくなるし、偽物の作品まで消えるし、
どうなってんのよ!!」
「んなもん知るかよ」
「二人ともうるさい」
ペスト、ラッテン、ヴェーザーの三人はディーンが展示されていた会場に潜んでいた。
「失礼マスター」
「マスターは美術品好きなんですか?」
「暇つぶし」
「とかいってずっとこの作品を眺めてるじゃないですか」
ペストは一枚の絵画、『収穫』と名付けられたものから目を離さない。
「止めとけラッテン、マスターが何に興味を持とうが持つまいが、
それはマスターの自由だ」
「それはそうなんだけどね」
つまらなそうにクルクルとステップを踏むラッテン。
そこに闖入者があらわれる。
「でた~~~~~!太陽~~~はない~~~~~。
洞窟?」
「あんた舞台の観覧席にいた!」
「ぅわお!!裸族のねーちゃん!?」
「ブハァ!!」「。。。。。。。。。。!!」
「ちょっと!ヴェーザー笑うな!!
あとマスターも!!」
頼華は偶然にも(運悪くと言うべきか)ペストたちの居る場に出てしまった。
「。。。マスター。。。。コイツ最高だ。。。。。
最優先で引き込もう。。。。。。。。。。
無理。。。。だっはっははははははははは」
「いい考えね。。。。ヴェーザー。。。。」
「ほんとにいい加減にして!!」
「あ~~?ごめんなさい」
なんとなく謝ってしまった頼華。
それによりペストとヴェーザーの笑いのツボが決壊。
収まるまでラッテンは真っ赤になりながら怒鳴り散らすのだった。
「やっと落ち着いたわ」
「なんでのんびりしてんの~?」
「お前が言えたことかよ。
”契約書類”を見りゃ分かる」
ヴェーザーに促され”契約書類”に目を通す。
「休戦~?あと何日~?」
「まだ中断されて一日しかたってないわ」
「ふ~ん、ありがとね~」
「何だオマエ、俺たちが怖くねえのか?憎くねえのか?」
「吹っ飛ばされた分は返す。
でも今休戦中でしょ~。
戦ったりしたら反則取られるし~」
「思ってたより頭よさそうね」
「毒舌~。
他の仲間は~?あの白い巨兵だけ~?」
「そうよ」
「そうなんだ~。
魔王じゃなかったら友達になりたかったんだけどな~」
「何言ってるのこの子!」
「だって四人で祭りの参加者全員にケンカ吹っかけたんでしょ。
それはカッコイイ!!」
頼華の発言にあっけにとられる三人。
しかしそれもつかの間。
「だっはっははははははは。
そうか、俺たちはカッコイイか!?」
「カッコイイ!!」
「ねえあなた、本当に私たちの仲間にならない?」
「いやだ。そっちがオレ達の仲間になれば~」
「名前は?なんていうの?」
「周防院頼華。ジン=ラッセルの”ノーネーム”所属!」
「ジン=ラッセル!!そう。あなたも」
「こりゃ何としても勝たなくちゃなあ、マスター」
「ええ、こんな面白い子逃すわけにいきませんよ♪」
「ふっふっふ~。そうは問屋が卸さないんだな~。
オレ達が勝ってあんたたちを隷属させることに決定したのだ~」
「面白いわね!六日後を楽しみにしているわよ頼華!」
「こっちのセリフ~、ヴェーザー!それから~」
「ペストよ」
「ラッテン、今度ふざけた呼びかたしたら許さないわよ」
「OK~、ヴェーザー!ペスト!ラッテン!
首を洗って待ってろよ~!
バ~イ○イキ~~ン!!」
「ほんとふざけた子」
「「・・・・・・・・・」」
ヴェーザーとラッテンは二人同じことを考えていた。
「お話しておくことがありますマスター」
「何?」
「魔王としてマスターはギフトゲームを開催した。
それはいずれ必ず滅ぼされることを意味してる」
「あなたを討ち滅ぼす相手は、英雄、修羅神仏、いったいなんであるかは関係ありません。
いつかは必ず敗れ滅ぶ。箱庭における不文律の一つです。
そういうものであると認識してください」
「・・・・・・」
「だとしてもだあんたが”グリムグリモワール・ハーメルン”の名を担いでくれた以上、
俺たちは全身全霊をもってマスターを支える。
最期の時まで忠を違わねえことを誓う」
「あなたたちこそ大丈夫?
私は怠惰な太陽に復讐を誓ったもの。
その不文律とやらをも相手取って見せる。
ちゃんと付いてこられる?」
「言うまでもなく」
「当然だ、マイマスター」
「頼りにしてるわ、ふたりとも」
*
ゲーム中断より五日後、発症者は増え続け、
祭の血液から作った薬も底をつく。
そして耀もまた、黒死病を発症した。
彼女はサンドラの計らいで、他の感染者たちのようにまとめて隔離されているわけでなく、
個室を与えられて眠っている。
コレは祭やジン、”ノーネーム”の貢献に対する礼なのだそうだ。
感染の恐れがない祭と、そんなものが効くかと言い張る十六夜が、
ベッドのわきで話をしていた。
「決断が早すぎたかもしれないな」
「アンプルの事か?春日部に使うよりは可能性がある以上、
攻撃に回すのは自然だろ」
「ラッテンとの相性、十六夜となぐり合ったというヴェーザーの実力を考えればね。
ペストにもまだ切り札があるとみていいだろう」
「お前にもあるんだろ?」
「何の事?」
「お前がアンプルを持ってきたとき、
『ジョーカーの一つ』と言った。
ならほかにもジョーカーを持ってると考えられる」
「残念ながらもう一つは今回使えない」
「出し惜しみってわけじゃなさそうだな」
「ルールの都合。
『自決・同士討ちを禁ずる』のルールがね。
将棋盤をひっくり返すようなものさ。
味方を巻き込みかねない力なんだよ」
「お前にはペストを狙撃してもらわなきゃいけねえんだ。
最悪撃ち損ねたときは俺が何とかしてやるよ」
「サンドラや黒ウサギもいれば何とかなりそうだな」
「まあな、それにわがまま娘も無理やり乱入しそうだからな、
だろ春日部?」
寝たふりをして話を聞いていた耀が、
観念して体を起こす。
「いつから?」
「アンプルの話をしていたくらいだ」
「ねえ祭、そのアンプルって特効薬か何かだよね。
もう一つ無いの?」
「本当にない。
僕の血から作るにしても、
設備が整ったうえで二か月かけて作られた」
「そう」
「残念だが春日部は休んどけ。
俺たちがきっちりゲームクリアしてやる」
「真実の伝承が分かったの?」
「それはまだだ」
「じゃあ戦力は多い方がいい」
一歩も譲らない耀が十六夜に詰め寄る。
「最低でもラッテンの笛の音を克服できないようじゃ、戦わせるわけにはいかない」
「それは祭が教えてくれた」
十六夜が冷ややかな目を向ける。
「発症前に相談されたんだ。仕方ないだろ」
「・・・・・・十全ならともかく今の状態の春日部は戦力に数えるわけにはいかない」
「分かった」
渋々といった感じで耀はうなずく。
「ところで真実と偽物の確証があるのはいる?」
「ペストが偽物だとだけ」
「ペストだけは一二八四年六月二十六日という限られた時間で一三〇人を殺すには不適切だ。
ほかの神隠し、地災、暴風なら刹那的に何とかなるが・・・・・・」
「十六夜でも悩んだりするんだね」
「俺は神様でも、聖人君子でもねえ。
悩むなんて当たり前だろ」
「何時も自信満々で傲岸で自己中で周りの迷惑考えずに何でもやってのけると思ってたから、
十六夜の意外な一面発見ってとこかな」
「そんなの祭だって大概だろ」
「僕を傍若無人に巻き込むなよ」
「祭は初日に、根暗なところを見ちゃったし」
「ああ~、そういやそうか」
祭にとってはそれは思い出したくない過去で沈んでしまう。
それを見た二人は面白がっているようだ。
「それにしても白夜叉も参戦できないままなんてね。
黒ウサギが『この駄神様ーー!!』って言ってるけどマジ駄神サマ」
「そう言うが春日部。白夜叉は本来仏神側じゃなく星霊だぜ?」
「じゃあ駄霊サマ?」
「仮にも、太陽の主権を持ち、太陽の運行を司るものにそれは」
「待て!太陽の運行!?」
十六夜が高速で思考を走らせる。
「黒死病の最盛期は太陽の寒冷期がはじまった十四世紀!
クッソやられた。そういうことかよ!」
「一二八四年は十三世紀、時代が合わないか」
「ああそうだ。でかしたぜ春日部!
お前のおかげで勝ちが見えた。
あとは枕高くして寝てな!」
十六夜はこのことを攻略班に伝えるべく部屋から飛び出していった。
「やっぱりすごいね十六夜は」
「今回は耀さんのおかげというのは本当です」
「ねえ祭」
「僕個人は、耀さんが戦うことを止める気はありません」
「じゃあ」
「ですが、十六夜や黒ウサギは心配するでしょうし、
そのせいで集中を切らさないとも限らない」
「でも私も力になりたい!
あの時私がもっと戦えていれば飛鳥も攫われずに済んだ!」
「それは関係ありません。
僕の責任ですから」
「・・・・・・・・・」
「どうせ止めても勝手に部屋を抜け出すつもりでしょう?」
「最悪の時は」
その言葉を聞き祭が一枚の羊皮紙を取り出す。
「コレは?」
「耀さんの参戦を賭けたゲームをしませんか?」
『ギフトゲーム名 ”黒死にあらがう耀き”
・プレイヤー一覧 春日部耀
・クリア条件 ギフトゲーム”The PIED PIPER of HAMELIM”の再開までに黒死病を克服する。
・敗北条件 プレイヤー側が上記のクリア条件を満たせなくなた場合。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗の下” ”はギフトゲームに参加します。
”仲邑祭”署』
「勝てば参戦許可。負ければベッドの上。
克服の必要なものは揃えてある。
どうかな?」
「やる」
言うが早いか耀は”契約書類”名を書き記す。
「じゃあこれが克服用の血液製薬。
それから」
「イモリ?」
「そう。あとは君次第」
祭は部屋を後にした。
流石に今回はちょっとほのぼのさせました。