”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

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苦戦、善戦

素早く”契約書類”を手に取り内容を確認する。

 

 

 

『ギフトゲーム名 ”Wiederaufbau der Anerkennung”

 

 

・プレイヤー一覧

 

  ・認識を誤りし者。

  ・存在が不確かな者。

  

 

 

・プレイヤー側勝利条件

 

    一、ゲームマスター”ゲシュタルト”の打倒。

    二、別れた現実を繋ぎ集めよ。

    三、                。

 

 

・特記事項

 

    ・ゲーム終了時に勝利条件がクリアされていない場合、ゲームマスターの影響下にあるプレイヤーはゲームマスターに隷属となります。

    ・ゲーム終了までの制限時間はプレイヤーの数により変動します。

 

 

宣誓 

 

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

”ゲシュタルト”印』

 

 

 

「なんだこの内容は!!」

 

「でたらめすぎる!ホスト側勝利条件が無いためのルール?」

 

他の参加者たちが絶望に声を出せない中、マンドラとジンだけが心を強く持って耐えている。

 

「”箱庭の貴族”を!ゲームを中断させろ!」

 

「駄目です!The PIED PIPER of HAMERUNが同時進行している以上、

ペストたちに襲われて両方とも時間切れになります!」

 

「ならどうしろというのだ!」

 

「クリアするしかありません。二つ同時に」

 

圧倒的窮地の中で、あきらめずにいられる精神力を持つ者は少ない。

この状況下で下がった士気を上げなおすことは難しい。

 

「皆の者よく聞け!!新たな魔王が襲来した!

だが我々は勝たねばならん!ここに集ったもの皆、魔王を恐れぬ英傑であると信じている。

鬨を挙げよ!!進むのだ英傑よ!!」

 

「バラバラになったステンドグラスの回収を急いでください!

第二の勝利条件に必要なはずです。

この様子なら見つかってないステンドグラスも同じ状況でしょう。

捜索の手間が省けたと考えれば苦も無くなるはず!!」

 

二人の言葉に活を入れられ参加者の目に光が戻る。

 

「申し訳ありませんマンドラ様!」

 

「紅いドレスの少女のおかげで敵の支配から逃れることができました」

 

「我々も再び戦います。ご支持を!」

 

ラッテンに操られていた”サラマンドラ”の兵士たちが合流する。

 

「お前たち・・・・・・無事でよかった。

これよりステンドグラスの欠片を集める。

元が真実の伝承か偽の伝承か分からぬ以上、傷つけてはならん。

翼竜隊は上空高くに散らばったものの回収を急げ!

回収後はブンゲローゼン通りに集めよ!!」

 

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

 

各参加者が散り散りに回収へと向かう中、マンドラはジンを残し作戦を立てる。

 

「どの程度まで理解できている?」

 

「まずWiederaufbau der Anerkennungというゲーム名ですが、

ドイツ語で『認識の再構築』と訳されます。

そして『ゲシュタルト』これも元はドイツ語で本来『姿、形、格好』などを意味します。

ゲーム名などから考えるとコレは『ゲシュタルト崩壊』が関係しているかと」

 

「ゲシュタルト崩壊だと?」

 

 

ゲシュタルト崩壊とは、全体の認識力が低下する事によりおこる現象。

姿かたちがこわれ、個々のパーツでしか認識できなくなり、元の存在をしっかりと認識できなくなる。

現代では文字のゲシュタルト崩壊が広く知られている。

 

 

「恐らくステンドグラスというアイテムの存在が開催条件を満たしたのだと思います」

 

「クッ!!」

 

「今わかることは多くありません。僕たちも回収作業を」

 

「分かっている」

 

 

 

 

十六夜は不機嫌だった。

ヴェーザーとの一騎打ち(お楽しみ)を邪魔され、

別のゲームに無理やり組み込まれ、戦う相手も目の前におらず、

怒りをぶつける場所もない。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クソッタレ」

 

屋根を駆け、目につくシュトロムを壊して進み、

黒ウサギとサンドラ、ラッテンの下にたどり着く。

 

「十六夜さん!狙撃に失敗しました!

ペストが急にラッテンになって、それで!」

 

「落ち着け駄ウサギ。おいラッテン」

 

「何かしら?」

 

ラッテンは銃撃によって負傷したものの神格の力で、既に傷が回復し始めている。

 

「俺はヴェーザーとやってたんだがシュトロムが出てきやがった。

あと街中飛び回ってるステンドグラス。

心当たりは」

 

「無いわ。私も驚いていたところよ」

 

「そうか、邪魔したな」

 

「待ってください十六夜さん。今は」

 

「邪魔者を叩き潰してくる。それでゲームクリアだろ?」

 

十六夜の言葉には有無を言わせぬ迫力があり、黒ウサギは黙り込む。

 

「お願いがあります。どこかへ行ったペストを先に見つけたら足止めを」

 

サンドラは他の参加者たちがペストに襲われることを心配し、十六夜に頼むが

 

「保証はしねえ、まあ見つけたらぶっとばしてやる」

 

それだけ言い、十六夜は立ち去る。

 

「黒ウサギ、彼女を!」

 

「YES!サンドラ様もご武運を」

 

サンドラがペストを探しに飛び立つ。

 

「赤い子の次は”箱庭の貴族”様がお相手?ならこんなのは如何?」

 

ラッテンが魔笛を奏で、地面が隆起し(・・・・・・)槍となって黒ウサギを襲った。

 

「っ!それはヴェーザーの!?どうして」

 

 

 

 

狙撃が失敗に終わり、異変に気付いた祭は素早く次の行動に移る。

新たな”契約書類”を読み、考察を終わらせ、勝利条件に必要なことを伝える為走った。

 

「頼華に会えれば・・・・」

 

その時黒き風が全身を包んだ。

 

「最初に死んだのは誰かしら?」

 

「ペストか!近くに飛ばされたか?」

 

「祭君!無事!?」

 

「飛鳥さん!僕は何とも」

 

「どうして!!

・・・・・・そう。貴方がジンが言っていた”不死”のギフト持ちね」

 

「だったらどうする?」

 

「あの子を目の前で殺せばあなたの心を折れるかしら?」

 

「逃げろ!飛鳥!!」

 

黒き風が今度は飛鳥を襲う。

 

「コレは死の恩恵を与える風。おめでとう(・・・・・)

 

風が飛鳥に届く寸前、彼女は華麗なステップとターンで風を躱し、

 

「ディーン!」

 

「DEEEEeeeeEEEEN」

 

自動人形ディーンが風を薙ぎ払う。

 

「続けて攻撃なさい!」

 

「DEEEEEEEeeeeeEEEEEEEEEN!!」

 

「その人形、面倒ね」

 

ディーンの拳をペストは難なく躱すが、一撃に込められた破壊力を看破し

距離を取って飛び回っている。

 

「飛鳥さんも無事でよかった」

 

「再開を喜んでる暇はないわ、私はどうすればいい?」

 

飛鳥の信頼。

祭ならば無策で動くことはない。

自分が下手に考えるより彼の考えの方が優れている。

常に何か考え、動き続ける。

飛鳥の祭に対する評価は高かった。

 

「ペストたちを集める。戦いながらの誘導は難しいがやるしかない」

 

「わかったわ」

 

 

 

 

「よう頼華、なんだか分からねえが第二ラウンドはお前みたいだな」

 

「え~やだな~」

 

「連れないこと言うなよ」

 

「いやいや~、ヴェーザー前より迫力増して怖いし。

強くなってんでしょ~。オレ痛いの嫌いなんだよね~」

 

「そんなセリフは当たってから言いやがれ!!」

 

この会話の間中、ヴェーザーが魔笛を振り回し、

頼華がそれをすり抜け続けるという、ダメージのない戦いが続いている。

 

レティシアは一人近づくことができず、奥歯を噛みしめていた。

 

(神格がない私は足手まとい。ただ見ているしかできないのか・・・・・・)

 

「だったらこいつはどうだ?」

 

ヴェーザーが魔笛をふるうと暴風(・・)が発生し、頼華を吹き飛ばした。

 

「ライカ!!」

 

吹き飛ばされた頼華は壁に激突し、崩れ落ちる。

慌てて駆け寄ろうとするレティシアを頼華の声が止める。

 

《来ないで!レティシアは祭か十六夜を探して。

新しいゲームのせいでいろいろ滅茶苦茶だから》

 

「どうした、もうギブアップじゃねえだろうな?」

 

(聞こえていない?

ライカのギフトか!)

 

頼華は”空間信号”によってレティシアだけに声が届くようにしたのだ。

 

《ルールも分かんないけど、ふたりなら解けるでしょ~?

きっと同時攻略しないとやばいきがするんだよね。

レティシア。

任せる》

 

「痛いな~。うっかり死んじゃったらどうする気だよヴェーザー」

 

「そう来なくちゃなあ」

 

「ライカ待っていろすぐ助けを連れてくる」

 

レティシアは自分にできることを全力でなすために、

恋人を置き去りにする。

 

「なるべく早くね~」

 

立ち上がった頼華は手を振り見送った。

 

「間に合わデェっ!!」

 

見えない拳に殴られたかのように言葉が途切れる。

 

「何しやガファっ」

 

「ごめんねヴェーザー。オレもレベルアップしたんだ~」

 

 

 

 

「どうなってんだよ、コイツら!」

 

「知らない」

 

耀とアーシャは様々な力を使うシュトロムの出現に苦戦を強いられる。

 

一体は暴風。一体は地災。一体は魔の音。一体は黒い風。

 

”グリムグリモワール・ハーメルン”の全てを相手にしているようなもの。

しかし急造コンビはうまく助け合ってダメージを防いでいた。

 

暴風は耀がグリフォンから貰ったギフトで受け流し、

地災はアーシャの地精の霊格を武器に防ぎ、

魔の音はイルカやコウモリたちの超音波で逆位相の音で打消し、

黒い風は効果のほとんどないアーシャが払う。

 

「あ~もう!このままじゃ」

 

「倒しにいけない!」

 

二人は防ぐことはできるがそれ以上手が回らない。

今均衡が保っているが、崩れた方が負ける。

 

二人の危機を熱閃が救った。

全てのシュトロムが崩れ去る。

 

「大丈夫ですか、お二人とも?」

 

「サンドラ様!?あ、あの、ありがとうございます!」

 

「ありがとう。助かった」

 

「力を貸してください!」

 

「そんな!頭を上げてくださいサンドラ様!」

 

慌てふためくアーシャを見て、耀は少し笑ってしまう。

 

「もちろん手伝うよ」

 

 

 

 

パンクな衣装に身を包んだ少女が戦いを眺めケラケラ笑っている。

 

「アッチも頑張Re~、コッチも頑張Re~」

 

「おまえがゲシュタルトか?」

 

「そうだYo。初めましてだNe、金髪のお兄ちゃN。

あたしが魔王”ゲシュタルト”Da。

あんまり可愛くないかRa、気軽にタルトって呼んDe!」

 

十六夜は走り回り、やっと魔王にたどり着く。

 

「早速で悪いがお前を叩き潰す!!」

 

十六夜はヴェーザーに打ち込むはずだった一撃を、

魔王ゲシュタルトに叩き込んだ。

 

「Aチャ~」

 

「見事Niふっとんだね」

 

「大丈夫かNa?」

 

「あたしたちは無Ziだしいいんじゃない?」

 

「ドンマIあたし」

 

そこに、

ポップな、

ガーリーな、

シックな、

スタイリッシュな、

ロックな、

ファンシーな、

ゴージャスな、

ロリータな、

カジュアルな、

フェミンな、

ボーイッシュな、

ストリートな、

ギャルな、

 

様々な姿の魔王がいた。

 

「「「「「「「「「「「「「DaReWoTaTaKiTsuBuSuTteITtaNo?」」」」」」」」」」」」」

 

 

 




ゲシュタルトのセリフは読みづらいですが、許してください
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