”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
一応月が替わるより前に投稿できてよかった
「さがりなさい二人とも!」
光が治まるよりも早く、ペストが再開の火ぶたを切る。
ヴェーザーとラッテンが後ろへまわり、両手より”死の風”があふれる。
「皆、僕の後ろへ!」
ペストが笑みを浮かべる。
「シュトロム!」
「BRUUUUUUUUM」
シュトロムの繰り出す暴風に乗った”死の風”は祭たちを躱し、町中に広がってゆく。
「しまった!」
「貴方が教えてくれたのよ。お礼を言っておくわ」
祭は轟炎と稲妻を放ち大元を断ち切る。
「さて、どれだけ死ぬか見物ね」
残された”死の風”だけでも参加者たちを壊滅させるのに十分な量がある。
「決闘チーム、Let`s GO~!」
「そうか!耀、アーシャ頼む!」
「付いて来て~!『通過加速』」
耀が飛び、頼華が駆け、アーシャが続く。
余計な言葉はもう不要なようだ。
「これ以上はさせないのです!」
黒ウサギがギフトカードを掲げ、光の奔流が一同を飲み込んだ。
輝きが収まったそこは、神聖な死の大地。
本来生命が存在できない月面だった。
「ようこそ皆様方!”
「軍神に太陽神、月神までも!」
「先手は貰うぞ!」
ありったけの稲妻をペストに放つ。
「させるかよっ!」
ヴェーザーが振るう魔笛にかき消され霧散する。
「ラッテンに演奏させてはならない!」
「任せてください!」
サンドラが轟炎を巻き上げラッテンに突進する。
かろうじて避けたラッテンが笛に口を付けようとするが、
それを祭が散弾で妨害する。
「黒ウサギ!手数が足りない!」
「お任せを!”疑似神格・金剛杵”」
さしずめ雷の絨毯爆撃。
辺り一帯を襲う稲妻の嵐。
シュトロムを盾に防ぐ三人。
「こんなところで躓くわけにいかないのよ!
怠惰な太陽に復讐するその日までは!!」
「だったら体験版だ、魔王ペスト!
これが太陽の牙だ。復讐するなら耐えきって見せろ!!」
祭が両手を掲げ撃ち出したもの。
紅炎。
プロミネンス。
摂氏一万℃に達し、数千から数万kmにも及ぶガスの柱。
****
祭が外界で死ぬためにあらゆる手段を講じ、
遂にその手段が尽きたその時、
祭は太陽に焼かれるために宇宙へ旅立った。
結果として太陽ですら祭を焼き殺すことができず、
気まぐれでプロミネンスを取り込み、ただただ無気力に宇宙を彷徨うことにした。
そんな中で祭は箱庭に招待されたのだ。
****
「「マスター!!!」」
ラッテンとヴェーザーが庇うように立ちふさがる。が
「どきなさい!」
怨嗟の衝撃波が二人を襲う。
弾き飛ばされるラッテンとヴェーザー。
「そんなっ!」
「何故だマスター!」
「あなたたちじゃいくら神格を有しても耐えられない。
それに太陽への復讐は私達八〇〇〇万人の悲願だから。
何よりも守られてちゃ、あなたたちのマスターを名乗る資格がないのよ!!」
”死の風”をまき散らし、怨嗟の衝撃波を放ち続けるも、
太陽と黒死病の相性は絶対的なまでにペストを苦しませる。
じわじわと押され始めるペスト。
それを支える二人の従者。
「馬鹿なんで!
「グリムグリモワール・ハーメルンはあんたと共にある!」
「大事なマスターひとり戦わせるなんてできませんよ♪」
「悪いなグリムグリモワール・ハーメルン。
飛鳥さん、最高に決めちゃってください」
「もちろんよ。
撃ちなさい、ディーン!」
「DEEEEEEEEEEEeeeeeeeEEEEEEEEEEN!!!」
ディーンが放つはインドラの槍。
帝釈天の加護を受け、必勝を宿す”恩恵”。
「・・・・・・お別れね」
「「え?」」
ラッテンとヴェーザーが弾き飛ばされた。
軍神の槍がペストを穿つと、億千万の雷と紅炎の熱柱がペストを襲った。
《滅びるのは魔王である私一人で十分よ。
口やかましいのや、無愛想なのが付いて来られちゃ迷惑なの。
だからいいわね。あなた達は
あなたたちと過ごした時間は
じゃあね。
声と共に雷が消え、紅炎が収まる。
そこにペストの姿はない。
*
ヴェーザー河が描かれたステンドグラスが掲げられている。
残す一枚の欠片を持ってきたのは十六夜だった。
「ホラよ、御チビ様。最後までキッチリ締めないともったいないぜ?」
「ありがとうございます」
ジンが最後の欠片をステンドグラスにはめ、それを掲げる。
「これが最後のステンドグラスです。
”The PIED PIPER of HAMERUN”及び”Wiederaufbau der Anerkennung”は
僕たちの勝利です!」
参加者たちの持つ”契約書類”に勝利宣言が記され、
歓声が巻き起こる。
「よくやったなジン!聞けば指揮する様が堂に入って素晴らしかったそうじゃないか」
「ありがとうございます。レティシア様」
「もう立派な”ノーネーム”のリーダーだ。
様付は自分の評価を落としかねないぞ」
「分かりました。レティシアさん」
ハーメルンの街が、まるで幻想であったかのように霧散し、
元の街並みが参加者たちの目の前に広がった。
そして霞のごとく現れた白夜叉。
「皆、よく戦ってくれたの。
東のフロアマスターから礼と・・・・・・お詫びをせねばならんの。
偉そうにふんぞり返っておきながら、私は終始封印されたままだった。
いや、全く以て申し訳なかったのぅ」
恥じ入る白夜叉に避難の声を浴びせる者はいない。
「魔王二体を相手にまことよくやってくれた。
魔王を倒した功績の授与と、祝勝会を兼かねた誕生祭の続きをするぞ。
傷付いたものに手当てを急げ、疲れも恐怖もすべて吹き飛ばしてしまえ!」
再び歓声が上がる。
ゲームの後始末のため走り回る人々は晴れやかな表情ばかりであった。
*
「『全てが万事上手く進行し、魔王を撃退されましたこと、お祝い申し上げます。
新生“サラマンドラ”が北のフロアマスターとしてご活躍されることを心より期待しております。
追伸/聖海龍王からお預かりした神珍鉄は、例の撒き餌達に贈らせていただきました』、か。
・・・・・・・流石は“サウザンドアイズ”。何もかもお見通しか。
悪いことは出来んな」
「何が?」
ズドガァン!と執務室の天井を破って現れる十六夜。
魔王のゲームの祝勝会で人が出払い一人でいたマンドラには衝撃だった。
「”ノーネーム”の小僧!どうしてここにいる!」
「まあ、聞きたいことがあったんでな。
「なっ」
「もともと”ノーネーム”というだけで俺たちを見下していたお前が、
ノーネーム名義の出展物を許可するなんておかしい話だ。
ならなぜ一三○枚のステンドグラスが出展されていたか・・・・・・」
答えの出ている問いに押し黙るマンドラ。
「別に摘発しようとかそんなつもりはねえよ。
サンドラと”サラマンドラ”のためにやったってのも見当がついてる。
お前みたいな真っ直ぐなバカは嫌いじゃないしな」
「ならば何を聞きに来たというのだ」
「なぁに、今回
ただうちの連中や他のコミュニティがいなけりゃどうなっていた?
どれだけの惨事になっていたかちゃんと予想したうえでの企み事だったんだよな?」
語調を強め威圧するように問う。
「もしうちの連中に何かあっってたら、ぶっ潰してるところだ。
サンドラも含め全部丸ごとなあ」
「サンドラは関係ない!
・・・・・・サンドラ以外のコミュニティ全員が知っていながらこの体たらくだ」
マンドラは腰に差した帯刀を執務机に置き、
「気が済まんのであれば、私の命をくれてやる。
どうかそれで勘弁してほしい・・・・・・・・・・・・・・・」
瞑目するマンドラ。
「なんでこう為政者ってのはバカばっかりなんだよ。
てめえの命なんかとっても何の得もねえ。ツマラネエ!」
「ならばどうしろというのだ!」
「俺たちのリーダーに切りかかったろ。
それをちゃんと詫びろ」
「・・・・・・それだけか?」
「それ以上なんざねえよ」
「誠心誠意、謝罪させていただく」
「今は揉みくちゃにされてるだろうから」
そういって執務室をでようとするが
「ついでだ、俺たちがピンチになったら”サラマンドラ”が最初に助けに来い」
それだけ言い残し、今度こそ十六夜は去っていった。
「御旗に誓おう。
・・・・・・さて、礼服はどこに仕舞ったか」
*
飛鳥は一人、ディーンを手にするためにゲームをした地下へ来ていた。
「本当に良かったの?」
「うん これでぼくたちは もとの
じだいに かえれるんだ」
「たとえ帰っても死を逃れられないなら、
いっそ”ノーネーム”に来ない?みんなもきっと喜ぶわ」
「せきしではしんじゃうけど
ほかにも かのうせいがあるの」
「可能性?」
「わたしたちは ”ラッテンフェンガー”
つくったコミュニティを ほうっておけない」
ハーメルンのもう一つの可能性。
一三〇人の子供が新たな土地で、自分達の街を造ろうとしたというもの。
「だからしんぱいしないで」
「ぼくたちはだいじょうぶ!」
「そうね。あなた達はディーンを創り上げるほど素晴らしい力があるものね」
「ディーンは飛鳥が使ってあげて。
わたし達に用心棒は必要ないから」
「それから彼女も」
飛鳥の手元に光が集まり、
次第にそれはよく知るとんがり帽子の精霊へと姿を変えた。
「のちに僕たちが授かる
”踊る騎士”も是非。貴女のために作ったものです」
「さようなら あすか!」
「あなた達の幸福を箱庭で祈っています」
それっきり精霊たちの気配はしなくなった。
「あすかー?」
「おはよう、メルン」
「めるん?」
「貴女の名前よ。ハーメルンの笛吹きの正当な功績を継いだ地精。
私の、そして”ノーネーム”の新たな同志」
「はい!」
元気よく答える様に笑顔がこぼれる。
「さあ皆に紹介しないとね!」
*
一週間がたち、農園跡地にみんな集まっていた。
「むり!」
メルンが元気に答える。
土地の修復するため新たに同士となったメルンに期待していたのだが、
「ヴェーザー、あなたどうにかできないの?」
「無茶言うなラッテン。確かに霊格じゃ同系統だが、
流石に耕すぐらいしか俺には出来ねえよ」
なぜこの場にラッテンとヴェーザーがいるのか。
それはペストを打倒した直後にまで遡る。
****
「とんだ貧乏くじを引かされたもんだな」
「最後に誰か道連れにできたものを私たちを助けるんですもの」
「三流魔王が」
「あなた達みんな素直じゃないんですね」
「うるせえ黙ってろ」
忠を果たすべき主を失い、二人の戦意は既にない。
「あなた達はこれからどうする気ですか?」
「さあね」
「魔王の残党だ。処刑されるだろうさ」
気力を失った二人は先ほどとはまるで別人だった。
「サンドラさん。この二人を”ノーネーム”で引き取ることは可能ですか?」
「祭さん!何言ってるんですか!?」
「そうです!こいつらが何をしたか!」
「分かっていますよ。
ラッテン、ヴェーザー。
お前たちと友達になりたいと言ってるやつがウチにいるんだが」
「あの子、本気だったの」
「俺たちのマスターはこれからも変わらない」
「別に従ってくれる必要はない。
頼華の友人として”ノーネーム”に手を貸してほしい」
「何にせよ、それを決められるのは私達ではございません」
*
戦後処理のを進め、謁見の間に集まった一同。
サンドラと白夜叉、その前に鎖でつながれた二人が跪いている。
「じゃあ何かの。そ奴らの身元を”ノーネーム”が保証すると?」
「何を滅茶苦茶なことを言っている。
いくらゲームの功労者でも”ノーネーム”が身元の保証ができるか!」
マンドラの言うことも尤もである。
だがこれに反発する者がいた。
「そう言ってもさ~。処刑ってのもどうなの?
だったら戦力としても、二人が欲しいんだしちょうだいよ~」
「おいそれと、やれるわけが無かろう戯け!」
「ペストがいなくなって神格も失われました。
この二人がもし暴走しても”ノーネーム”は取り押さえられるだけの力はあります」
戦力として隷属させることができれば確かにこの二人は有益だろう。
しかしそれなしに一コミュニティに預けるわけにもいかない。
交渉が進まない中、十六夜が声をあげた。
「おいお前ら。俺たちと手を組まないか?」
突然の発言に誰も理解が追い付かない。
「ペストの意志を継ぐ気があるなら。
俺たちと手を組め。
そのうち白夜叉と戦う気でいるからな」
「いくらなんでも、この場で宣戦布告しなくてもいいだろうに」
「できることはできるうちにやっとくもんだぜ?」
十六夜と祭はさも大したことが無いといった風で、
周りは今も置いてけぼりを食らっていた。
「さて木っ端悪魔ども。
そろそろ気概を見せてくれよ。
お前らに苦戦した俺たちがみっともなくなっちまう」
「今は外から何を言っても無駄だ。
奴ら自身の内からでるものじゃないとな」
「なんでそこまで私たちを必要とするの?」
「元はオレが言った我が儘だったんだけどね~。
ジンが何としてもって言うから」
「そこのチビが?」
「勝手な言い分であることは承知しています。
”打倒魔王”を掲げるコミュニティとして、魔王の配下も取り込む。
これを実践していくまたとない機会だったので」
「ホントに勝手ね。広告塔にしようなんて」
不機嫌ではあるものの、まだ気力を戻すには至らない。
「私はできれば反対なのだけど、男性陣がどうしてもって」
「おう、どうしてもだ。祭!素敵な挑発でやる気出させろ」
横暴ともいえるオーダー。
ため息をつきながらもそれに応えるために前に出る。
「いいのか二人とも。このまま処刑されれば何も残らないぞ」
「そんなことは分かっている」
「いや分かっていないな。
お前たちまで消えれば、
”グリムグリモワール・ハーメルン”の旗印は人々の記憶からも消え去る。
そう言っている」
「「!!」」
「お前たちの御旗を担いだペストも、きっと忘れ去られる。
それでもいいのかと聞いているんだが」
「いいわけがねえだろうが!」
「マスターまで忘れ去られるなんて許せるわけないでしょう!」
「なら生きろよ。
ペストが箱庭に残した大事な
それがおまえらだろ?」
「「・・・・・・・・・・・・」」
「サンドラさん」
「何でしょうか?」
「彼らは主である魔王のために涙を流せる悪魔です」
「存じています」
「命令を下すものがいない以上、
誇りに反しない限り彼らは悪事を働くことはないでしょう」
「・・・・・・」
「白夜叉」
「うむ」
「”ノーネーム”に預けていただければ、
貴女の管轄である東側に彼らを置くことができます」
「そうじゃの」
「億に一つ、京に一つでも彼らが暴れることがあったとしても、
すぐに対応できる場にいることになります」
「確かにのう。
して、おんしらの意志は?」
白夜叉は二人に問いかける。
「俺たちは、まだ消えるわけにいかない」
「マスターの最後の命に背くわけにいかないの」
姿勢を正し、恭しく頭を下げる二人。
「「どうか」」
****
こうして彼らは”ノーネーム”の預かりとなった。
「なあ極チビ」
「ごくちび?」
「”きわめて小さいメルン”だから略して極チビ。
土壌の肥やしなんかがあればそれをもとに土地を再生させらえるか?」
おお? と考えこむメルン
「・・・・・・できる!」
「ホント!?」
「かも!」
ガクッと力が抜ける飛鳥。
気を取り直してギフトカードからディーンを召喚する。
「ディーン!すぐに取りかかるわよ!
年長組の子達も手伝いなさい!」
「「「「「「「分かりました!」」」」」」」
「DeN」
「ラッテンもヴェーザーも執事になったんだから
キッチリ働いてもらうよ~」
「分かっている」
「でもなんで私まで執事なの?」
「ライカが言うには、メイド服よりその方がポイントが高いらしい」
主に十六夜と頼華の独断だが不満が上がることはなかった。
*
土地を再生させるためコミュニティ総出で取り組んでいる。
その休憩時に飛鳥が祭に声をかけた。
「なんであんなに必死だったの?」
「あの二人の事ですか?」
遠くで子供たちにじゃれ付かれて騒いでいるラッテンとヴェーザー。
意外に面倒見がよくて、みんな驚いていた。
「ペストを倒した直後の二人を見ていると」
「見ていると?」
「とても腹が立ったんです」
「・・・・・・・・・?」
訳が分からず首をかしげる飛鳥。
「ああ、すみません。
同族嫌悪なんでしょうが、生きる気力を失った存在をはたから見ていると、
あんなに酷いものだったのですね」
「以前の祭君も似たようなものだったわ」
「そこは、本当に失礼しました。
僕は飛鳥さんのおかげで変われました。
だから彼らにも、どうにか変わってほしかったんでしょう。
それに」
遠くを見るような視線で太陽を仰ぐ祭。
「ペストも僕と同じだったんじゃないかと」
「ペストが同じ?」
「ええ。死の苦しみを知っている。
だからその苦しみや痛みを大切な同志に味わわせたくなかった。
その気持ちが分かったからですかね」
「そう」
「もしかしたらペストも太陽に復讐なんてしなくても良かったかもしれない。
そんな可能性もあったんじゃないかと思って」
「それってどんな可能性なの?是非とも聞かせて!」
「あくまで僕の想像ですが、
太陽も黒死病の被害者だったのかもしれないと」
「またとんでもない話ね」
「自分でもそう思います。
太陽が氷河期に入ったことで大流行した黒死病。
太陽の活動が弱まることでできるものがあります。
分かりますか?」
「太陽の活動が弱まることでできるもの?
・・・・・・ちょっと待って!
「正解です。黒死病と太陽黒点。
こじつけのようで、確証なんて存在しませんがね」
「でも白夜叉とペストが仲良くするような、
そんな可能性もあってもいいかもしれないわね」
木陰で佇む二人を心地よい風が撫でる。
祭の横顔を見つめ飛鳥は思い出したことがあった。
「ねえ祭君、アーシャから聞いたのだけれど・・・・・・//」
「アーシャから?
・・・・・・ああ、あのことかな。
飛鳥さんは僕にとって大切な女性ですよ」
「そうなの//
ありがとう////」
赤くなりうつむく飛鳥。
「自分でもこの気持ちがよく分かっていません。
素直に恋愛感情ならよかったんですが。
それでも僕にとって飛鳥さんが魅力的なことに変わりありません」
飛鳥の顔がいっそう紅潮する。
「僕は頼華のように情熱的な言葉を送れるわけでも、
十六夜のように強くないので、絶対に守ってやるなんて言えません。
だから、
これからも僕と共に強くなる道を、一緒に歩んでくださいませんか」
祭は飛鳥の前にひざまずき、手を差し出す。
「・・・・・・私にとって、
何よりもうれしい言葉だわ!
こちらこそよろしくね、祭君!」
控え目ながらも、飛鳥はその手をしっかりととった。
「「「「「「「「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~」」」」」」」」
突然上がる黄色い悲鳴。
声の方向を向くと二人以外が勢ぞろいで歓声を上げていた。
「おめでとうございます!飛鳥さん!」
「二人ともお似合い!」
「ヤハハハ、だから言ったろ喜ぶって」
子供たちからもお祝いの言葉の数々をかけられる。
「どうして!?」
「周りには誰もいなかったでしょう!?」
「くっはっっっっっっっっ!
それはオレの新必殺技!『音!声!中!継!』のおかげさ~!!」
「じゃあ全部」
飛鳥が真っ赤になりながら問う。
「しっかり聞かせてもらったわよ♪」
「なかなか楽しめたぜ」
「そうか、それはヨカッタ」
「「「「「「「「「「っひ!」」」」」」」」」」
祭はアルカイックスマイルを称え歩み出す。
その行軍を遮るものはなく、自然と道が開かれる。
「黒ウサギ?」
「はひぃ!!」
「どこかに邪魔の入らない
「そそれなら、地下の二二八工房がそうなのですよぉおぉおぉ」
「黒ウサギ何を」
レティシアが制止しようとするも、すでに黒ウサギはぽろぽろと涙を流している。
「大丈夫だレティシア。ほんの五分で済む」
「ライカ逃げろっ!!」
「逃げたら」
レティシアの肩にポンと手を置く祭。
頼華に選択肢はなかった。
「投降するのでレティシアだけは~」
「わかってるよ」
工房へと消えていく二人をただ見つめるだけしかできない一同。
ジンは震えながら、新しくルールを制定する。
「祭さんを怒らせることはこれから禁止ね」
なんとかなんとかメインカップルがくっつけられました。
ちょい無理やりですが、それでもよし!
明日は遂に新刊『ラストエンブリオ』発売!!
楽しみです!!