”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
「サーカスのチケット?」
「うん今東の街に移動サーカスが来てるって知ってる?
そのチケットを手に入れることができたからぜひ皆にと思って!」
バーベキューの途中でやってきたこの少女は
自分の手に入れたチケットを譲ってくれるという。
「私はフェルナっていうの。あの町の小さなコミュニティに属してるわ」
「本当にいいのかい?
貴重なチケットなんだろう」
「そうだけど助けてもらったお礼がしたくて、
あのままだったらあの男にチケットを巻き上げられてたところだったもの」
「フェルナさんはなんていい子なんでしょう!」
「でも貴方達がこんな大勢のコミュニティだったなんて思わなくて・・・・・・」
フェルナがテーブルに出してくれたチケットは6枚。
主力である彼らはもちろん、子供たちの分なんて全く足りていない。
「ところでサーカスってなんなのかしら?」
「飛鳥さんにいた時代ではまだ一般的ではないんですね」
「サーカスっていうのは人や動物たちが、火の輪っかをくぐったり、
飛んだり、玉乗りをしたりいろんな芸をする見世物なんだよ」
「へぇ・・・なんだが野蛮そうだけど気になる・・・かしら・・・っ」
「黒ウサギも大変興味がありますっ」
「何だお前ら見たことないのかよ」
「オレもない~」
「東側はそういった娯楽が少ないから無理もない。
お陰でその一座がやってきたとき周辺は大混乱だったらしいぞ」
「行ったことがないならなおさら良かった!
絶対楽しめると思うよ!?」
「で・・・でも私達色々と忙しいし・・・?」ソワソワソワ
「僕たちだけが行くなんて申し訳ないし・・・」ワクワクワク
「そ、そうなんです。お気持ちはとっても嬉しいのですが
今コミュニティをほうっておいて黒ウサギたちだけ遊びにかまけるわけには・・・」ウズウズウズ
背中に心の声が表示されるヒーローなら
「行きたくて堪らないです!!」と書かれていることだろう。
「気にしないで行ってきなよ」
「ジン坊ちゃん?」
「黒ウサギにはこれまで苦労をかけっぱなしだがらね。
羽を休めるいい機会じゃないか。」
「御チビ様のお許しが出たことだし、
行こーぜ行こーぜ!!」ダムダムダム
「外で遊びたくてたまらない子供ですかーーー!!」
「人の頭でドリブルするのは止めとけ十六夜、
本気で吐きそうになるから」
ジンが頭を叩かれて既に気持ち悪そうにしている。
「ちょっとまたお留守番なわけ?」
「当たり前だ。主を差し置いて使用人が遊びに行くなどできるわけない」
「俺たちは使用人じゃねえ!」
「ほう?ちょうどいい機会だ。
お前たち二人に使用人魂というものを叩き込んでやるとしよう」
レティシアはラッテンとヴェーザーの襟元を掴んで引き摺ってゆく。
「ちょっと待て吸血鬼!そんな力どっから出た!?」
「わたし達と戦ったときはそんな力なかったでしょう!?」
「
「「それどんな理屈!?」」
「ライカ」
「なに~?」
クルッと首だけを振り向かせるレティシア
「いってらっしゃい!」
「いってきま~す!」
そして部屋の扉が閉じられた。
「よかったのでしょうか?」
「いいんじゃない?」
「あっちも楽しそうだぜ?」
「バナナはおやつに入るのかしら?」
「ダメでも僕が密輸しますから気にせず持っていきましょう」
いそいそと荷物のしたくを進める飛鳥と祭の姿があった。
「それなら今日はギフトゲームもお休みにして、
行楽日とシャレこむのです!!」
*
フェルナに案内されサーカスのテント前までやってきた黒ウサギと問題児達。
手前の通りには数多くの出店が並び活気づいている。
「そう言えば公演は何時からなのでしょう?」
「お昼過ぎからだって
このサーカスって一日一回しか公演してないの」
「やはりとても貴重なチケットだったのですね。
これは改めてフェルナさんにお礼を言わなければなりませんね。
さあ皆さんもってやっぱりどっか行ってるーー!?」
振り向く二人の視界に問題児五人の姿は当然存在しない。
「そこの露天のおじさまが『幸福になるツボ』を格安で売ってくれたわよ」
「詐欺られてるんで今すぐリリースしてきてください!」
「世にも珍しい”箱庭の貴族”だよ~見てって見てって~!」
「黒ウサギで商売しないでくださいまし!」
「ポップコーンメガ盛りにしてもらった」
「もはや屋台荒らしじゃないですか!」
「マジックもどきでよければ僕にもできるよ!」
「営業妨害ですから即刻止めてください!!」
「着ぐるみが喧嘩売ってきたからボコッといたぞ」
「謝ってください!!」
「ツッコミお疲れ~」
「誰のせいですかっ!!」
怒涛のツッコミ五連発の締めにハリセンが炸裂。
「「「「「祭りの空気に浮かれてやった今は反省している」」」」」
「せっかくの休日だというのに胃がねじ切れそうですぅ・・・・・・」
「大変なんだね・・・」
お腹を押さえている黒ウサギを引きずり入口へ。
「アハハハ皆様いらっしゃいマしサーカス一座"トリックスター"へ
お手持ちの平穏とお別れする準備はいいかな?」
陽気なピエロにフェルナにチケットを渡してもらいテントの中に進む。
彼らが入って席に着くと間もなく演目が始まった。
開幕のマジックに始まり、軽業曲芸動物ショー。
パントマイムにといろいろ飽きさせずめまぐるしくステージが進む。
「さあさあショーもクライマックス!
ラストは大マジックで締めくくりどすえ!!」
終始ステージを盛り上げていた女性が最後にステージ中央で演説する。
「これからそのマジックの主役に登場してもらいまひょ!
それはこのお方や!!」
女性が指し示す手の先にスポットライトが集中する。
「えっ!?黒ウサギですか!?」
「御客はんの中にえらいベッピンはんが居ったさかいなぁ!
さあウサギはん、ステージまでお願いします」
ピョンと跳躍し黒ウサギはステージに上がった。
「でも私は何をすればいいのやら・・・」
「ご心配なく、ここに座っといてくれたらええさかい」
ポンッと用意された椅子に腰かける黒ウサギ。
「ほんでは今からこちらのウサギはんの姿を変えてみせるどす。
よければ御客はんらもご一緒に!」
女性が三本指を立てて手を掲げる。
「スリー!」
「ツー!」
「ワン!!」
カウントがゼロになると同時に黒ウサギの姿が、
テントの幕に届きそうなくらいの大きなドラゴンへとかわった。
あっけにのまれた観客たちはすぐに歓声と万雷の喝采を送る。
「これにて本日の公演は終了どす。
皆様のまたのおこしをお待ちしとります」
「すごい・・・けど・・・」
「ええ、黒ウサギは何処へ行ったの?」
*
「どうだった~?」
「黒ウサギは裏口から退場させたって。
それ以上は取り合ってくれなかった」
「先に帰るわけにもいかねえし探すか」
「春日部さんは匂いとかで分からない?」
「この町なんか独特な匂いがして判別付かないの」
「頼華はどうだ?」
「ダメだね~。町中に張り巡らせるのは無理だし、
テントの方はマジックがネタバレしないようなギフトでもあるんだと思うよ~」
「陽もずいぶんと落ちてきましたし。
こうなったら仕方ないですね」
「あら祭君、何か名案が?」
スゥーっと息を吸い込んだ祭は、
「黒ウサギー!早く出てこないと白夜叉に、
一日着せ替え自由権をプレゼントしちゃいますよーーー!!!」
叫んだ。
「
そ
の
話
は
真
で
あ
ろ
う
な
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
」
ズドォーーンという地響き付きの着地をして白夜叉降臨。
「釣れたのは
黒ウサギに何かあったのは間違いないですね」
「あ、白夜叉はもう帰っていいよ~」
「おんしら!その対応はあんまりすぎるぞ!」
「いなくなった黒ウサギを呼び出すために言っただけなので」
「何!?黒ウサギがいなくなったとな。
今度の被害者がまさか黒ウサギになるとはのう」
「今度の被害者?それってどういうこと白夜叉!?」
「ワシは帰ってもいいんじゃろ~「情報次第で着せ替え半日」
近頃サーカスを見物に行ったコミュニティの者が返ってこないという事案が頻発。
ワシは”階層支配者”として調査に乗り出し件のサーカスがここであることを突き止め、
こうして直々にやってきたところおんしらと出くわしたのじゃ!
これでどうじゃ、着せ替え半日自由権は!?」
「黒ウサギが戻ってこなければそもそも意味がないので」
「それは卑怯じゃと思わんの「無事助け出せれば一日で」YES!YES!YE~S!!」
黒ウサギの知らぬところで勝手に取引が進められていくも誰も止める気はない。
そう全ていなくなった黒ウサギが悪いのだ。