”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ? 作:バリアリーフ
「やあってやるぜ!」
じゃんけんに勝利した頼華が二番手となり、リングに上がる。
「お願いじゃ小僧ども、一試合でかまわんから出させてくれ。
キメ顔で翠のヤツに『ワシがちょちょいと片づけてくる』といった手前、
戦っておかんと不味いんじゃ!」
「そんなものは知らん」
「もう残り三回の出番も決め終わった」
「次が私で、その次が春日部さん。最後に十六夜君よ」
「譲ってくれ!!」
土下座をかます”階層支配者”。
無視する問題児達。
「ジャックさん、あれって大丈夫なの?」
「白夜叉様にもいろいろあるのでしょう」
「今は頼華を応援しましょう」
「それもそうだな。
ジャックさんを手こずらせたんだ、負けたら承知しねえぞ!!」
「まっかせっなさ~い」
へらへらした態度のままリングの中央へと向かう頼華。
「オレは”ノーネーム”の周防院頼華だぜ!夜露死苦!!」
「・・・・・・・・・・・・」
ヤンキー風の自己紹介をスルーされてしまう。
「ちょっとダンチョーさん!?
この子乗り悪いよ~!?」
「ウチも困っとるんどす」
「もうイヤだよ」
「ん~?」
カランという音がし振り向くと、対戦相手の少女が剣を捨てていた。
「あんた!また!」
「降参します」
「え!?何々どうなってんの~」
「もうイヤこんな・・・」
頼華が蹲って泣く少女に慌てて駆け寄り、
「えっと君も巻き込まれた子~?
だいじょうぶ~?」
「イヤなの・・・・・・こんな弱いの!?」
少女の不意打ちは頼華に届かなかった。
どこからか出した小ナイフは頼華の腕から5cmより内側へ進めず止まっている。
「あ~よかった~。猫かぶってただけか~」
「そんなどうして!?」
「ギフトの中身は教えないよ~」
「っチ」
慌てて飛び退く少女。
「ごめんね~悪いけど怪我できないんだ~彼女が心配するしね~。
特に不意打ちはもう喰らわないって決めてるし」
「こっちこそごめんね、雑魚だと思ってたから。
少しは楽しめそう!」
一転笑顔をみせた少女がナイフやジャグリングのバトンを投擲する。
今度は頼華と少女の中間地点、リング中央で速度を失う。
「楽しむ必要無いんだけどな~?」
「へ~?じゃあこんなのはどうかなっ!」
更に数を増やして頼華に遅い来る武器。
それらもまた届かず失速し地に墜ちる。
「後ろです!!」
黒ウサギが声を荒げるももう回避が間に合う距離ではない。
頼華の背後より迫りくる変形ナイフ、曲刀が、
語弊なきようにもう一度言う。
頼華ではなく襲い来る
「そんな!?」
対戦相手の少女も観客も驚きを見せ、
それだけの止まらずそのまま少女に突き刺さる。
「っぅぐ」
「君が攻撃してから一歩も動いてないんですけど~?」
つまらなそうに講義する頼華。
「それより酷いんじゃないの・・・
女の子にこんな仕打ちは・・・・・・」
ナイフが刺さり痛々しく血を流す少女。
「戦うのに今さらそれは言いっこ無しだって。
オレは混浴推奨の男女平等主義者だからね~
世の中全部混浴だったら楽しそうでしょ~?」
「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!」」」」」」」
「流石はレティシアのハートを射止めた男!
ワシもそなた支持するぞ頼華!もっと言ってやれぃ!!」
「だまらっしゃいこの駄神サマ!!」
お決まりのように迸るハリセンも観客の声にかき消され自慢の快音は響かない。
「レティシアってあの”箱庭の騎士”か?」
「何!?」
「じゃあアイツが噂の!?」
「間違いねえ『告白神』だ!」
「「「「「何だってーーーー!!」」」」
「つまり奴が『3Kの伝道師』かっ!」
「こんなところでお目にかかるとは」
「拝んどけ拝んどけ」
一斉に頼華を拝みだした観客たち。
「どうなってんだこりゃあ?」
「さあ?」
「ご存じないのですか?」
「ジャックは心当たりがあるのか?」
「心当たりも何も」
「”箱庭の騎士”を一撃で落とした伝説のプロポーズ事件は有名だろ?」
「なにそれ!?」
「待てお嬢様、アレだ」
「ああ、アレね」
「凄かったよね、アレ」
「黒ウサギもウサ耳を真っ赤にしてしまいました」
「でもなぜこんな大規模なうわさに?」
「レティシア殿は有名ですからね、
これまで浮いた話もありませんでしたし」
「あたしでも聞いたことあるからな。
”箱庭の騎士”が打ち立てた返り討ち伝説は」
「俺たちはそんなの知らねえぞ」
「レティシア様が魔王に捕まる以前の話ですので」
「美人で強くておまけに芸達者」
「当然と言えば当然ですね」
「じゃが”
「むしろ”サウザンドアイズ”だったからでは」
「祭さんのおっしゃる通りです。
我々のように小規模のコミュニティでなく大手だからこそ、
これ程早く広まったのでしょう」
「教祖にでも担ぎ上げられそうな勢いだな」
「「「「「頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!」」」」」
「「「「「頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!」」」」」
「「「「「頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!頼華!」」」」」
まさかの事態でアウェーが一気にホームへと様変わりする。
「ありがとーありがとー声援どうも~~♪」
「何よ・・・何よ・・・・・・
一体なんなのよーーーー!!?」
会場の空気に圧倒されていた少女が半ばやけに、
ありったけの武器を頼華目がけて投げつける。
「ラーラーラーラーラ~ラ~ラ~ラー♪
ラーラーラーラーラ~・ララー♪」
歓喜の歌を口遊みまるで『指揮者』のように腕を指を振るう。
頼華の動きに合わせ地に落ちた武器が舞い、飛翔し、少女に襲い掛かる。
リング上を武器という武器、サーカスに使われる道具という道具が飛び交う。
最初こそ少女の出す量が勝っていたが頼華に支配を奪われ、
やがて少女の手持ちが尽き、全てがテントの中央で球状に集められる。
「これ全部ぶつけられたら流石に負けでしょ~?」
頼華の掲げる右手の動きに合わせ球体となった武器が動く。
「降参代わりに退場してくれない?」
最後通牒だと言わんばかりの言葉に少女は身一つで戦いを挑む。
「うああああああぁぁぁぁぁ!!!」
近づくことも許されない。
仕方ないとばかりに頼華は腕を振り下ろした。
さながら隕石。
「ぁ・・・・・ぁぁ」
迫りくるそれは避けられる大きさでなどない。
少女がそれに飲み込まれるより先に、見えない膜のようなものが少女を弾き飛ばした。
「やりました!頼華さん」
「そうね」
「これで”ノーネーム”の一勝です!!」
*
「お疲れ様です」
「そんなに疲れてないよ~」
「お前そんなに強かったのかよ」
「相性~相性~」
「助かったよ頼華。
うっかり引き分けちゃったからね」
「気にしないでいいって~」
「この調子なら十六夜君の出番はないかもね」
「できれば俺も戦いたいんだがな」
「私も私も!」
「次は飛鳥さんですね。
頑張って下さい」
「もちろんよ」
「私も私も戦うぞ!」
「はいはい白夜叉はさがってて」
「それじゃあ行ってくるわ」
そしてリングに上がる飛鳥。
対戦相手であろう4匹の動物たちが既に身構えている。
「戦いを始める前にひとついいかしら?」
「何?飛鳥」
「なんで春日部さんまでここにいるの?」