”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

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とりあえずわかったこと

思いついたネタを入れないと気が済まない性格が更新遅い原因の一つ


そして告知!

『狐の嫁入り』さんの”異形の陰陽師が異世界から来るそうですよ? ”にて
コラボをして下さってます!!

是非ともそちらの作品も御贔屓下さい!!



防衛

改めて広がる戦場を見た二人は息をのむ。

響き渡る金属音、龍巻く旋風、降り注ぐ火矢。

ギフトを用いた戦争。

 

終戦に際し多くを語って聞かされた飛鳥も実物を、

戦場を目の当たりにするのは初めてで、聞こえ来る雄たけびと断末魔。

委縮しそうになる心に鞭打って気合を入れなおす。

 

「見て飛鳥!頼華も既に戦ってる!」

 

耀の声を聞き指差された方を向くと”アンダーウッド”の最も近くで、

数体の巨人が不自然に同士討ちをしている。

 

頼華の”空間信号”によって移動を阻まれ、攻撃の軌道を歪められ、

巨人たちは理解がままならぬうちに一体、また一体と戦闘不能に追い込まれている。

 

「とりあえず追加侵入は防いどくから数減らして~」

 

「のんきに手を振ってる場合じゃ無いでしょう!」

 

「大丈夫だって~。

うん、イケルイケル!」

 

頼華が背を向けていると一体の巨人が横薙ぎに昆を打ち据えようとしている。

しかしそれもあり得ない軌道、Ωの文字のような動きで別の巨人の顔面に叩き込まれる。

 

「問題ないにしても真面目にやれないのかしら」

 

「でも頼華が防衛に徹してくれると楽」

 

「そうね、一番乱戦状態のところまでお願い」

 

「大丈夫なの?」

 

「ディーンを途中で召喚するわ。

その混乱を突けば何とかなると思うの」

 

「分かった、でも気を付けてね」

 

「春日部さんも」

 

およそ四十もの巨人が列をなして戦線を押し広げてくる。

 

「今!お願い!」

 

飛鳥の声に耀は手を放し、飛鳥が流星のように撃ち出される。

 

「来なさいディーン!

手前の一体を踏み潰すのよ!」

 

飛鳥のかざすギフトカードより、紅の鉄人形、ディーンが呼び出され、

飛鳥の落下軌道に合わせ一筋の閃光となり繰り出される蹴り。

 

「DEEEEEEEeeeeEEEEEEN!!!」

 

ディーンに蹴り潰された巨人は後ろにいた三体を巻き込んで倒れる。

闖入者の一撃に戦場に動揺が走る。

 

「そのまま追撃!

両脇を潰して、空間を確保!」

 

指示の通りに両脇の巨人に伸びた巨腕が炸裂し、

反撃にやってきた巨人を一本背負いで投げつける。

 

「DEEEEEEEeeeeEEEEEEN!!!」

 

ディーンの雄たけびは戦場全てに響き、

混乱していた”龍角を持つ鷲獅子”連盟の士気を飛躍的に高めた。

 

「ディーン・・・・・・凄い!」

 

この勢いをモノにするべく誰かが連盟旗を高々と掲げ、

サラが相手取っていた主力の巨人を振り払って舞い上がり炎翼を煌々と輝かせ叫んだ。

 

「”主催者”がゲストに守られては末代までの名折れッ!

”龍角を持つ鷲獅子”の旗本に生きるものは己が領分を全うし、戦況を立て直せ!」

 

サラのカリスマによるものかディーンという予想外の救援によるものか、

連盟の同志達は本来の動きを取り戻し、

徐々に戦線を押し返し始める。

統率のとれた連盟の反抗に巨人たちも後れを取り、

戦況は覆されたと誰もが思った。

 

琴線を弾く音一つ。

直後、戦場が濃霧に包まれ視界が奪われた。

 

「どうして!?」

 

優れた五感によって何とか状況を知ることができる耀。

彼女だけが気づいた異常、

サラと戦っていたはずの主力が飛鳥とディーンに標的を変え、

他の巨人たちに鎖を巻きつけられディーンの動きが鈍る。

 

「飛鳥っ!!」

 

視界を奪われ再び混乱に陥った戦場で駆けつけられるのは自分のみ。

ディーンの動きを封じられれば飛鳥はほとんど無防備と変わらない。

 

最大速度で急降下し、質量を変え打ち下ろした一撃は

巨人の一振りによって弾かれる。

ガードはしたものの大河をバウンドするように弾き飛ばされ、

対岸まで来てしまった。

 

(今みたいなのを飛鳥が受けたら・・・・・・)

 

一刻も猶予もない中、どうすればいいか。

 

異変は琴線から始まった。

しかし音の出どころは分からない。

ならばまずはこの濃霧を何とかしなければならない。

 

(これだけ広い範囲は初めてだけどやるしかない!)

 

飛行に使うための旋風もすべてつぎ込んで霧を吹き飛ばす。

しかし効果は薄く圧倒的に出力不足。

耀の作り出した風の影響はその範囲内のみで周りの霧を巻き込んで飛ばすことができない。

 

(また私は・・・・・・っ)

 

悔しさを噛みしめる。

その時、数多の旋風が巻き起こり耀の後押しをした。

 

「GEYAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

幻獣たちの叫びが聞こえる。

その一つ一つが理解できる耀はこみ上げるものを抑えて、

 

「ありがとう!」

 

礼を一つ飛鳥の下へ飛ぶ。

駆けつけてみれば何のことはなく無傷の飛鳥がいる。

安心して加減を間違えた耀は飛鳥に飛び込んで、

二人仲良く倒れ込んだ。

 

「よかった。

あの状況で無傷なんてやっぱり飛鳥は凄い」

 

「当然、と言いたいけれど違うわ」

 

飛鳥の返答を疑問に思い周りを見渡すと、

全ての巨人が残らず殺されていた。

 

「全て彼女がやったことよ」

 

彼女、そう呼ばれる人影は返り血で染め上げられた鎧とドレススカートを纏い、

此方に歩いてくる。

 

「あなたが巨人族を?」

 

「・・・・・・・・・」

 

彼女は何も答えず、付けた仮面の奥でその瞳に二人を映すだけ。

やがて彼女は踵を返し、すんと歩み去る。

 

「彼女、強いわよ。とても」

 

飛鳥が初対面の相手を認めることは少ない。

それが何よりの証明かもしれない。

 

落ち着いた戦場跡で耀は空を見上げとても大切なことを思いだした。

 

彼が大切にしていたヘッドホン。

 

旋風を再び纏って宿舎へと急ぎかえる。

 

取り残された飛鳥は状況が分からずしばし呆けてしまった。

 

 

 

 

「そこそこ強いのに戦ってなかったでしょヴェーザー何やってた訳~?」

 

「そこそこってなんだよ。

都市部の崩落を止めるために駆けずり回ってたんだよ。

文句あるか!?」

 

「ありませんごめんなさい」

 

「よし」

 

収穫祭本陣に集められた黒ウサギ、ジン、頼華、ヴェーザー。

そしてジャックとアーシャもいる。

 

「一人でもなんとかなったがコイツのおかげで楽ができた。

前戦った時より成長してんじゃねえか」

 

ヴェーザーとコイツ呼ばわりされたアーシャ、

この二人の活躍によりアンダーウッドは巨人の襲撃に耐え景観を大きく損ねることなく済んでいる。

 

「魔王の手下なんかに褒められても嬉しくねえっつうの!」

 

「それでいいが、

イイ女になりたいなら素直に褒められとけ」

 

「っは!?はあ!はああああ!!!

うるさいうるさいうるさい!

別にそんなイイ女になんてなる気ねーよバーカ!!」

 

顔を真っ赤(・・・)にして怒鳴り散らすアーシャ。

 

「良かったじゃんジャック」

 

「カボチャなりに心配していたので一安心ですね」

 

「でも自覚するまで長そうですよ?」

 

「いやいや黒ウサギさんや。

ツンデレというのは自覚してこそなのです。

まさかこんなところで王道に出会えるとは思いませんでしたな~」

 

「王道ですか?」

 

「そう!ツインテールにはツンデレ!

曲がり角には食パン咥えた転校生!

鈍感なくせしてハーレムルート!

ジンもその辺勉強しないといつか刺されるかもよ~?」

 

「怖いこと言わないでください!」

 

「なんにせよアーシャさんは苦労するでしょうね。

無自覚に人を褒めるようで、うちの子供達からも凄い人気なのです」

 

「それはそれは、是非ともアーシャには頑張ってもらわないといけませんね」

 

チラチラとヴェーザーの事を盗み見ては、

ニヤけたり頬を膨らませたり頭をポカポカやったり忙しいアーシャ。

外野はそれを見てほっこりしていた。

 

「すまない遅くなった。

いったいどういった状況なのだ?」

 

「お気になさらず。

しかし遅れた理由はお聞きしても?」

 

「これから話すことに必要なものがあってな」

 

そう言ってサラは鍵を取り出して、

連盟旗に隠された金庫の前に行く。

 

「必要なものを取りに向かっていたのだ」

 

金庫はカラクリ錠でいくつもの手順を踏んだうえでカギを用いる仕組みのようだ。

 

「襲ってきた巨人どもが話しておきたかったことでいいんだな」

 

「ああ、そうだ。

奴らは十年前に”アンダーウッド”を襲った魔王の残党。

その時撃退したものの”アンダーウッド”は傷ついてしまったのは知っているな」

 

「ええ、ですがあのような巨人族には覚えがありません。

多くは外来種の末裔ですが、あのような仮面をつけた者達となると」

 

「多くはケルト系の混血になるが北欧なども交じっている」

 

「ちょっと待て、敗残兵であるはずの巨人がなんで徒党を組んで襲ってくる。

残党ってんなら奴らをまとめる魔王もいねえはずだろ」

 

「だからその目的を話す」

 

言い終わるころにはカラクリ錠が開き、

中に入っているものが分かるも、人の頭ほどの大きさの石だ。

 

「これが巨人族の狙いでございますか?」

 

「封印された”バロールの死眼”だ」

 

瞬間衝撃が走る。

 

「ご冗談をッ!!!

ケルト神話群でも最強最悪の死の恩恵を宿す死の神眼ではありませんか!?」

 

「死の恩恵ってことは~」

 

「ウチのマスターと変わらねえレベルの恩恵だ」

 

「触れたらアウトが、見られたらアウトって訳ね」

 

「ですが”バロールの死眼”はバロールの死と共に失われたのでは」

 

「ケルト神は多くが後天性の神霊と聞く。

第二のバロールが現れたのだろうと言われている」

 

「それで我々に街を守るために協力して欲しいということですね」

 

「さっきは成り行きで仕方なかったけど、

ウィラ姐もきっと戦わねえよ?

正確が致命的に戦闘向きじゃないし、そりゃ強いことは強いけどさ」

 

「ぼくたちは”打倒魔王”を掲げていますので、まあ協力自体は。

ですが先に”階層支配者”に助力を乞うべきではありませんか?」

 

ジンの問いにサラの表情が陰る。

 

「残念ながら、現在南には”階層支配者”がいない」

 

「・・・・・へ?」

 

「”黒死斑の魔王”が現れたのと同じ頃になるか、

七〇〇〇〇〇〇外門に現れた魔王に討たれた」

 

「じゃあ次は誰になるの~?」

 

「もしやこの収穫祭は!」

 

「”龍角を持つ鷲獅子”連盟の”階層支配者”就任と五桁昇格を賭けたゲームでもある」

 

「ようやく合点がいった」

 

「もちろんタダでという心算もない。

多くの戦果を挙げてくれたコミュニティには、

この”バロールの死眼”を与えようと考えている」

 

「何を考えていらっしゃるのですか!

その死眼の力は適性がなければ使いこなせません。

下手に扱いを誤れば使用者が命を落としかねない代物なのですよ!?」

 

「確かに、適性持ちもそうそういるわけではありません。

まあウィラであれば問題ないでしょうが・・・

下層の他のコミュニティには・・・・・・いないと思いますよ」

 

ジャックの歯切れの悪い言葉。

黒ウサギ達”ノーネーム”ならば可能性はあると考えている。

 

「祭ならとりあえず死なないしね~」

 

「ふむ、そうなのか。

そして安心して欲しい、これを譲るのもこの場のどちらかのコミュニティに限るつもりだ」

 

「不死であれば使えるわけじゃねえぜ?」

 

「勿論それは知っている。

白夜叉様から頼まれていてなこれを取りに行っていたのだ」

 

サラは持って来た小箱をジンに渡す。

 

「これは?」

 

「”The PIED PIPER of HAMERUN”のクリア報酬だ。

全ての勝利条件をクリアしたことによる特別恩賞、それがあれば適性など問題なかろう」

 

サラの言葉に神妙な面持ちで蓋を開け中を覗けば、

そこには一つの指輪が収まっていた。

 

「ちょっと待ちやがれ!

それはオレ達の、”グリムグリモワール・ハーメルン”の旗印じゃねえか!!」

 

 

 

 

耀が目を覚ましたのは簡易ベッド。

緊急でこしらえたのか宿舎の物よりも寝心地が悪い。

 

「良かったわ、気が付いたのね」

 

「・・・・・・飛鳥?」

 

「まだ頭が回らないかしら、

壊れかけの宿舎が崩壊したのに巻き込まれて気を失ったのよ」

 

少しずつ記憶が蘇ってくる。

 

急いで宿舎に戻って十六夜のヘッドホンを探した。

瓦礫をどかして下敷きになっていたヘッドホンを見つけたこと。

粉々に砕けていて意識が遠くなったこと。

崩れてきた宿舎のハリからヘッドホンを庇おうとして

 

「それで話が在るの。

これのことよ」

 

飛鳥がスッとトレーに乗ったヘッドホンの残骸を差し出す。

 

「手伝ってもらってできる限りは集めたのだけど」

 

見る見るうちに耀の顔が青ざめていく。

 

「私が、やったわけじゃ・・・・・・」

 

「そんなことわかってるわ」

 

フゥとため息をついて飛鳥が話し続ける。

 

「大体の事情は分かってるの、

犯人さんの自供でね、春日部さんはどうしたい?」

 

「・・・どう?」

 

飛鳥の言葉の意味が分からず怯えたように尋ねる。

 

「私はね、春日部さんはもう少し強いイメージだったの。

もちろん精神的なという意味でよ。

今の春日部さんはとても心配になるわ。

私は力になりたい、でもどうすれば貴女の力になれるかが分からないの」

 

飛鳥自身、こういった風に人に寄り添うように話しかけることは初めてだ。

だがそれでも、このかわいらしい友人の為に必死に言葉を紡ぐ。

 

「謝りたい。

・・・・・・でも、怖い・・・。

十六夜に嫌われるんじゃないかって・・・・・・。

・・・凄く、怖くて・・・でも・・・」

 

「落ち着いて、ゆっくりでいいから」

 

飛鳥はそっと耀を抱きしめて促す。

 

「私、十六夜が好き。

嫌われたくない・・・せっかく、仲良くなって・・・

皆とも、友達になれて、・・・でも台無しになったらって思ったら、

すごく、すごく苦しくて・・・・・・

でも私が盗ったんじゃないことは分かって欲しくて、

それでも、私の荷物にあったから謝らなきゃいけない。

・・・・・・・・・・・・

でも、やっぱり怖いの。

だから謝るときに一緒にいてほしい。

飛鳥、ついてきてくれる?」

 

「ええ。当然じゃない」

 

(まさか十六夜君のこと好きだったなんて、

冷やかされたお礼はしばらくして落ち着いてからになるわね)

 

「ありがとう飛鳥。もう大丈夫」

 

「落ち着いたみたいね」

 

「それから三毛猫。いるんでしょ」

 

飛鳥と話していたときとはうって変わり、明らかに怒気がこもっている。

 

『すまんお嬢、ワシが出過ぎた真似をしたことが原因や。

煮るなり焼くなり、どんな罰でも受ける』

 

仕切られていたカーテンの奥から三毛猫が入って謝る。

付き添っていたよく利用する”六本傷”のカフェ店員の姿も見受けられた。

 

「彼女に三毛猫の言葉を訳してもらったの」

 

「そう。ありがとう。

三毛猫、罰を決めるのは私じゃない。

全部十六夜に謝ってから」

 

『そうやな、あの坊主にも謝らなな』

 

「店員さんもここで聞いたことは秘密よ」

 

「分かってますよ、常連さんたちにはこれからも仲良く足を運んでもらいたいですからね」

 

「それから飛鳥、やっぱり治す方法を探そうと思う。

手伝ってくれる?」

 

「いちいち聞かなくてもいいわ。

ずっと寝ている時間もないわ、早速行動開始よ」

 

「うん!」

 

「私も応援しますよ!」

 

「ありがとう」

 

二人と一匹はベッドを離れヘッドホンを治す方法を探し始める。

 




飛鳥の方が一つ上でおねえさんなんで。

皆さん大好きフェイスの初登場でしたが、流石にこのくらいに。
これから先はちゃんと活躍してくれます。

それからアーシャにももうちょいスポットライトを当てようかと思ってやりました。
反省も後悔もありません!!
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