”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

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攻略準備A

「さあて、皆さんお立合い!

ここに在りますは我が友が作りたる魔法の傘!

公明なる睡魔・オーレ=ルゲイエ老の作り出した一品でございます!」

 

ジャックが口上を述べ、それに合わせてアーシャが傘をくるくると回す。

 

「またレアなものを持っていますね」

 

「そうなの?」

 

「様々な夢を見させる傘だが、あのカボチャ頭一体どんなつながりで」

 

「これから行う城下町の探索に協力してくれた良い子にはこの傘をプレゼントしたいと思います」

 

「こんなサービス滅多にねえぜ!」

 

「真剣に僕も欲しいんだが」

 

「お前はちょっと引っ込んでろ」

 

ちゃっかり混じろうとした祭をあしらってアーシャが続けた。

 

「ちゃんと見てるからな、ズルとかしたりしたら悪い夢を見せちまうぞ!!」

 

アーシャが脅かしたことで子供達から悲鳴が上がるが怖がっている様子はない。

 

「ですが、ちゃんと頑張ってくれた子には幸せな夢を見せてくれますよ」

 

喜んで騒いでいた子供たちの一人がジャックに問いかけた。

 

「カボチャさん。幸せな夢の代わりに見たい夢は見れますか?」

 

「ヤホホ?まあ問題ないでしょうが・・・・・・。

差支えなければどんな夢が見たいか教えていただけますか?」

 

「”アンダーウッド”に、旗が(なび)いている、夢が見たいです」

 

その子の言葉につられるように他の子供たちも同じ夢が見たいと口々に言いだした。

 

「”アンダーウッド”は今”龍角を持つ鷲獅子”連盟の庇護下にあります。

だから旗は宝物庫にしまってあって、

収穫祭が成功したらその時に掲げるはずだったんだけど」

 

「じゃあこうしよう!

収穫祭をやり直して始める前に旗を掲げるんだ」

 

「祭?」

 

耀の隣に座って静観していた祭が子供たちの前に行き膝立ちになって話し出した。

 

「え!?でも収穫祭は・・・」

 

「まだ前夜祭だけでオープニングセレモニーもやってなかったでしょ。

やり直せばいいんだよ。

”アンダーウッド”は十年前に魔王の攻撃で傷ついてしまった。

でもみんなで頑張ってきて収穫祭を開けるまでやり直したんだ。

だったらできるよ、もう一度。何度でも!

今度は魔王にも負けませんでした!って”アンダーウッド”の復活をゲストたちに知ってもらう。

その為に最初に旗を掲げるんだ!!」

 

祭の励ましに、一言ひとことに子供たちの瞳がキラキラ輝き希望にあふれる。

 

「眠っている大精霊、君たちのかあさんが目を覚ますくらいに、

賑やかで、楽しくて、素晴らしい収穫祭をするんだ。

僕はそんな収穫祭を周りたい!!」

 

子供たちは活気づき、収穫祭で何をするか、楽しみにしていたゲーム等の事で大盛り上がりだ。

その様子を見て祭はジャックたちに目配せした。

 

「ほーらチビッ子ども!その収穫祭をするために魔王のゲームを勝たなきゃなんねえ」

 

「みんなが探索を頑張れば魔王に勝つチャンスが手に入るかもですよ!」

 

子供たちに闘志が宿ったのを見届けた祭は耀とガロロの元へ戻った。

 

「兄チャン口が立つじゃねえか」

 

「子供たちに囲まれて生活しているせいか随分甘くなっちゃったみたいです」

 

「ううん。あの子たち、ずっといい笑顔になった」

 

「そうだな。恐怖で震えてた子もいなくなった」

 

「冬獣夏草にさえ気を付ければ探索は問題なく進むでしょう。

ガロロさんにはこれを渡しておきます」

 

祭は手榴弾の下げられたベルトを出し、ガロロに手渡した。

 

「また物騒なモンが出てきたな」

 

「戦闘用のギフトをお持ちじゃないでしょう?

最低限の自衛とフォローに使ってください」

 

「そう言うことなら仕方ねえな」

 

カチャカチャとベルトを通すガロロの前に耀が立った。

 

「ガロロさんはドラコ=グライフと戦ってたことがあるんだよね」

 

「おう、結構いろいろ戦ってたぞ」

 

「じゃあその時にも魔王と戦ったことがあるんじゃないかな。

私、私たちに魔王と戦うための方法を教えてほしいの」

 

「駄目だな」

 

耀の頼みをガロロは両断した。

 

「そもそも魔王と『戦う』って発想が根本的に間違ってるんだ。

いいか、魔王は『天災』だ。

お前さんら地震や火山噴火にケンカ売ってるようなもんだ。

箱庭にゃあそういった災害を具現化したようなゲームなんかもあるが間違ってるのは分かるな?」

 

「うん」

 

「一応は」

 

((十六夜なら地震を押さえこめそうだけど))

 

「いかに戦わないか、いかに生き残るかを考えるのが、

魔王のゲームの基本だ。

魔王との直接対決はホントの最終手段でしかねえ。

これから話すのは箱庭の常識だ、耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!」

 

「「はい」」

 

なんとなく雰囲気にのまれた二人は正座してガロロの話を聞く。

 

「魔王のゲームには必ず二つ以上のクリア条件が提示される。

・魔王を倒してゲームクリア

・魔王を無力化してゲームクリア

この二つが基本だ。クリア数や時間制限が指定されていない限り一つをクリアすればいいんだが、

三つ以上のクリア条件が設定されているときには、

魔王側に有利な何かが存在する。

今回でいえばこのペナルティがそれだろうな」

 

「クリア条件に該当するのは前者が一つ目と二つ目。

後者が三つ目と四つ目に番外として中断条件と言ったところですか」

 

「ああ、そうだ」

 

「そう言えば中断条件が分かった風だったけど」

 

「ああ、獣の帯の消失ね・・・

ペルセウスの時のように十二星座を無くす。

ゲームクリアの方が簡単そうでしょ・・・・・・」

 

「そうだね・・・」

 

「ぉぅ・・・」

 

三人そろって絶妙にぼやけた表情で、

ガロロは空を見上げて遠い目をしている。

 

(金糸雀の姐さん、やっぱりハンパじゃなかった)

 

因みに祭は白夜叉と、仮面の騎士(フェイス・レス)を通してクイーン・ハロウィンの太陽主権者たちの協力を得る。

という方法まで思いついたが、実現性を考えて黙っていた。

 

「ねえガロロさん、ガロロさんはそれでも魔王のゲームを生き残ってきたんでしょ。

だったらその経験だけでも教えてほしい」

 

「そうですね、白夜叉さんは時々脱線して話にならないことがありましたし」

 

「まあ教えるのは(やぶさ)かじゃねえが、

共通する戦い方なんてのは限られてる上、昔の戦法ばかりだぜ?」

 

「それでも」

 

耀の熱意に押されガロロは承諾する。

ちょうどジャックたちの説明も終わり、探索が開始される。

 

「耀さん、皆さんの事をお願いしますね」

 

「祭は別行動?」

 

「遊撃に徹して囮になろうかと」

 

「ヤホホ。先ほどは苦戦されていたようですが?」

 

「倒しきることに拘らなければ手はあるさ。

合流が必要な場合は上空に花火か何かを上げてくれればいい」

 

「なるほど、分かりました」

 

「それじゃあ探索開始だ」

 

 

 

 

"アンダーウッド"にいる飛鳥たちは作戦会議を終え、

ジンの部屋に”ノーネーム”で集まっていた。

 

「結局、”バロールの死眼”の方が問題になり過ぎて、

竪琴の対策も何もなかったわね」

 

「呼び立てておいてすみません」

 

「それでどんな感じにまとまったわけ?」

 

頼華もまたこの部屋にいる。

この大変なの時に寝てられないと車いすを借りてリリに押してもらって来た。

 

「現在、巨人族を警戒する部隊。

空の古城へ乗り込む部隊をそれぞれ編成中です」

 

「巨龍のせいで被害も大きいからな。

早くとも明日以降になるだろうってことだ」

 

「ふーん。

それで祭は見つかった?」

 

「いいえ。

でも私たちは皆、古城にいると考えてるわ」

 

「なるほどね、ありがとー」

 

「それで俺達はどうするんだ?

俺とラッテンは一応飛べるが」

 

「二人にはペストと共に巨人族に対する部隊に入ってもらおうかと」

 

「それが妥当でしょうね。

神格にどこまで対抗できるか分からないけど、竪琴は任せてもらおうかしら」

 

「御チビと話し合ってヴェーザーには”バロールの死眼”を対処してもらおうと思ってる」

 

「待て待て、”死眼”の適正はどう考えてもマスターだろ」

 

「こいつらの考えは防御面の事よ、

”死眼”の効力も”見られる”という抽象的なものではないでしょうから」

 

「はい。ペストの言うとおり”死眼”の”視線”の該当するものが存在するでしょうから。

以前”ペルセウス”の所有していた”ゴーゴンの威光”も光の柱に触れた場合に石化していましたから」

 

「つまりはそれを遮断するのが役目って訳か」

 

「そうなる」

 

「そして本体にはバロールの伝承にのっとって対抗しようと思います」

 

「もしかして黒ウサギの出番でございます?」

 

「そっか、化け物ウサギがいたわね」

 

「そのような呼びかたは!

「「「じゃあ”箱庭の貴族”(笑)」(恥)」(残)」

 

「化け物ウサギの方がまだマシです・・」

 

「まあ黒ウサギが持ってる帝釈天の神槍なら代用品として充分だろ」

 

「それと、ペスト」

 

ジンが改まった様子でペストに向かい合った。

 

「どうしたの?」

 

「”ノーネーム”リーダー、ジン=ラッセルとして傘下契約を申し込みます」

 

ジンは取り出した羊皮紙をペストに渡した。

その羊皮紙が持つ意味を知るラッテンとヴェーザーはペストに駆け寄る。

 

「ジン。これはどういうつもり?

確かに私は”グリムグリモワール・ハーメルン”のリーダーだったわ。

けれど今はもうコミュニティは空中分解して、私はあなたに隷属してる」

 

「この契約があれば傘下という形にはなるけど、再びコミュニティとして三人は活動できる」

 

水面下でジンが進めていたらしく、黒ウサギや十六夜も知らなかったみたいだ。

 

「もちろん、魔王のコミュニティであった”グリムグリモワール・ハーメルン”の名は

改めてもらうことになっちゃうけど、

それでも”旗”は返してあげられるから」

 

ペストは手の中にある羊皮紙に視線を落とした。

そこには”      ”ジン=ラッセルと記されていて、

横には”旗印”無き印が押されている。

 

あろうことか、この少年は自分のコミュニティの旗がないまま、

隷属した自分のコミュニティの旗の為に動いていた。

それも自分がやってくるずっと前から。

 

あんなでも白夜叉は仕事はキッチリとこなす。

その白夜叉の許可を取るのにどれだけ足しげく通ったのだろう。

どれだけの言葉を尽くしてくれたのだろう。

再び魔王として活動する可能性のある自分に。

一度隷属を解く必要がある(・・・・・・・・・・)傘下契約の為に。

 

自分をマスターと呼んでくれる二人の同志(姉兄)の為にとる選択肢は決まっていた。

 

「ラッテン、ヴェーザー。

私は、この契約を受けるわ。

これからは”ノーネーム”傘下、”      ハーメルン”よ」

 

「分かりました♪」

 

「俺達に異存はないぜ!」

 

ペストが羊皮紙に書き込みを終えると”      ハーメルン”の”旗印”の印が押された。

 

「ジン

代表してお礼を言うわ。

ありがとう」

 

「うん、改めてよろしくね!ペスト」

 

空気を読み終えた十六夜はジンの頭をガシガシとかき乱し、からかい始める。

 

「やってくれたな御チビ様!

よもやこんなことを企んでいやがったとは恐れ入った。

コイツは祭にも教えて赤飯でも炊かないといけねえなあ!!」

 

「こっそりこんなことをやっていたなんて知れたら、

祭君に怒られるんじゃない?隠し事、駄目なんでしょう」

 

「それが一番の不安材料なんですよね・・・」

 

真面目な空気はどこかへ消え去って、ジンが遠い目をして周りが囃し立てる。

 

「そうなったら助けてあげるわよ」

 

「お!?よかったな御チビ!

落とした女が助けてくれるってよ」

 

「誰が落ちた女よ!!

親元のリーダーだから助けるって言ったの!!」

 

「黒ウサギ貴女気持ち悪いわよ」

 

「えっ!!」

 

顔の上半分はジンの成長を嬉しく思う親的な表情で、

下半分はジンにも遂に春が来たかとニヤニヤな表情が混ざった結果だ。

 

「じゃあ残ったオレ達で城に乗り込むんだね」

 

頼華の発言で静まり返った。

 

「何をおっしゃっているんですか頼華さん!

まだお体の方が」

 

黒ウサギの制止を遮るように立ち上がって見せた。

 

「もう動けるからさ」

 

十六夜が前に進み出て否定する。

 

「お前を連れて行く気はない。

むろんお嬢様もだ」

 

「ちょっと待って!

私は怪我もないし万全の状態よ」

 

「怪我も何も関係ねえよ。

俺が連れて行きたくねえ。

もし向こうで魔王か相応の敵に遭遇した時に二人じゃ太刀打ちできねえ」

 

「ならオレは勝手に行く。

他に誰が行くかなんてそれこそ関係ないの。

オレが行かなきゃいけないの。

レティシアが、惚れた女が連れて行かれて助けに行かない?

死にたくなる。

ジンには悪いけどオレは”ノーネーム”を抜けてでもレティシアを助けに行くから」

 

痛々しい包帯にまみれながらも闘志が溢れ、

むしろ追い詰められているようにも見えた。

 

「てい」

 

(たっ)!」

 

十六夜のチョップで頼華が崩れ落ちた。

 

「俺の攻撃一つでやられておいて何言ってやがる。

が、お前の場合牢屋につないだところで意味がねえからな」

 

仕方ねえとため息をついた十六夜は自分のギフトカードから弓と棒を出した。

 

「祭が選別した土産だ。

お嬢様にはこっちの弓、頼華はこっちだ」

 

頭をさすりながら頼華は出された棒を手にする。

 

「なにこれ?」

 

「見た目は棒だが(ムチ)らしいぞ?」

 

「何で知らないの」

 

「説明は祭が実演も含めてやるって言ってやがったからな」

 

「ふーん」

 

「十六夜君、この弓に矢は無いのかしら?」

 

「源氏の弓としか聞いてねえからなあ。

だが元々矢はなかったぜ」

 

「そう」

 

「なんで効力を知ってる本人が届けないのよ」

 

「何か企んでやがったんだから、

それに水を差すのは無粋だと思ってな」

 

「そう言えば耀さんの分もあるんでしたよね?」

 

「それは向こうで合流できた時に渡すことにする」

 

「それで?結局オレが行くのは不満なわけ?」

 

「勝手に向かう気でいるくせによく言うな。

とにかく祭が企んでた以上、戦力アップは間違いない。

作戦開始までに二人ともそれを使いこなせるようにならねえと俺は認めねえぜ?」

 

「簡単に言ってくれるわね」

 

「特にお嬢様の場合、ソイツは相当な代物だと思うが?」

 

十六夜の言葉に隠された意味を察して顔が熱くなる。

 

「余計なお世話って言葉知ってるかしら」

 

「当然だろ、何言ってんだ」

 

下手につついても無駄であることを知っているため、

飛鳥はここで黙って弓を手に取った。

 

「でも悠長に待ってていいわけ?」

 

「どういうことです?」

 

「だって向こうには耀と祭がいるんでしょ」

 

「そうだ、が・・・・・・・・!」

 

十六夜が何かに気付いたように窓の外の古城を睨んだ。

 

「ああクソっ!

よりによってあの二人か!!」

 

「えっとどういうこと?」

 

「ペストの時の休戦期間に二人して勝手やってたの」

 

「でもいくら祭君でも」

 

「俺達の中で最初に抜け駆けしてゲームを主催したのは」

 

「サーカスの時に飛鳥の順番に割り込んだのは」

 

「・・・・・急いだ方がいいことは分かったわ」

 

反論材料が見つからず飛鳥は頭を抱えた。

 

「祭だけでも面倒なのに春日部(じゃじゃ馬娘)も一緒となると」

 

「じゃあこれからは十六夜が見張っとけば?」

 

「仕方ねえか」

 

(頼華君、思わぬファインプレーよ!!)

 

耀の気持ちを一人知る飛鳥は小さくガッツポーズした。

 

「御チビ!今すぐサラの所に戻るぞ!

編成を急がせなきゃならねえ!!」

 

「分かりました、ペストも付いて来て」

 

「はいはい。

二人は試験運用を手伝ってあげて」

 

「了解、んじゃあ頼華。

久しぶりに相手してやるよ」

 

「なら飛鳥の相手は私ね、

言っておくけど普通に戦っても強いのよ」

 

「望むところよ」

 

「ちょっと頑張って見ますか」

 

それぞれが次の行動のために部屋を出てゆく。

 

「えーっと、黒ウサギはどうすれば?」

 

 

 




さていろいろと発展していきますよおおおお!!
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